乙女ゲームに登場する文学少女である伯爵令嬢に転生していた..... 作:Brahma
長方形の板には、茶色のソーセージのようなものが縦に複数表示される。
茶色の髪の少女は、楕円形のものを→で卵のようなものをさわってカチカチと動かしてそのたびに、長方形の板に表示される絵が切り替わっていく。
見知らぬ男性は、サイラス・ランチェスターというらしい。少年のほうは、デユーイというらしい。どうやらマリアさんが恋をする物語を魔法で動く紙芝居であらわしているように思われた。その紙芝居は、ソーセージ状のもの(選択肢)の選び方によって場面が変わるようだった。
しかしあるとき黒いフードをかぶった陰気そうな女があらわれる。名前と思われる部分には「???」と書かれている。
「あ~またこの悪役が出てきた。名前隠されていたけど、これ「ワン」に出てきたジオルドの婚約者カタリナだよね。」と少女がつぶやく。
「「ワン」で完全にやっつけたのにまた戻ってきて悪事を働くなんて本当に懲りない女だな。」
とぼやいていた。
「今度は国外追放よりももっと重い刑罰になるんだろうな。」
カタリナ様が刑罰?なにを悪いことをしたんだろう。どうやらこの紙芝居では、カタリナ様が悪役でマリアさんの恋をじゃまをするらしい。
カタリナ様がそんなことをするはずがない。
あんなにマリアさんのことを大切にしているのに、そしてあんなにお優しい方なのに....
「そう、今のカタリナはこんな女じゃない。助けないと。」あの少女の声が聞こえて、その瞬間夢がとぎれ、わたしの意識もふっと消えた。
わたし佐々木敦子はソフィアの身体を借りて、Fortune LoverⅡについて日本語で書き綴っていく。前世では自動書記と呼ばれる現象なのだろう。
わたしは親友内野さんの転生した姿であるカタリナを救うために彼女の中の佐々木敦子のフラクトライトとしてカタリナの夢の中で語りかけるだけでなくソフィアを使ってこのように自動書記を行う。
Fortune LoverⅡについて書き綴っていく。
平民で主人公であるマリアが魔法学園を卒業後魔法省に就職する、生真面目な上司、くせのある同僚、一筋縄ではいかない魔法省の仕事の数々、新たな恋の物語がはじまる、
登場人物、新たな攻略対象サイラス・ランチェスター、デューイ・パーシー、ソラ....
前回からの攻略キャラには、それぞれのライバルキャラがかかわり、その子たちとうまく付き合うか、認めてもらって恋が進展していく。今回の3人の攻略キャラをクリアするには、謎の女のいやがらせをどう乗り越えるかがキーとなる。
謎の女の正体は、国外追放されたカタリナ・クラエスであることがのちに判明するが、今回のカタリナは、禁忌とされた闇の魔力を手に入れて国内、しかも魔法省に潜入して主人公マリアへの復讐を企てる。カタリナの嫌がらせを攻略対象の男性と協力して克服し、その正体をつきとめて役人に突き出して監獄に投獄させられればハッピーエンド、役人に突き出せない場合には、カタリナと相打ちになり、攻略対象は闇の魔力で廃人となってしまう、
そういったことを書き連ねた。そしてソフィアがカタリナに貸した本に挟み込んだ。
そしてソフィアの身体をベッドに戻した。
後で聞いたことだがこのときカタリナがわたしのフラクトライトが語った夢のせいでうなされて、ソフィアが貸した本をお城の廊下に忘れたということだが、じつはわたしがこのメモを入れるために廊下へ移動したせいでもある。カタリナごめんなさい。
「退場でいいでしょう~~~~~~~~~」
カタリナ様が悪い夢でもみたようで絶叫している。
「カ、カタリナ様、大丈夫ですか?」
眠い目をこすりながらおそるおそるたずねる。
「だ、大丈夫よ、ちょっと怖い夢を見て....それより騒いで起こしてしまってごめんね。」
「いいえ、もうすぐ起床する時間でしたから、ちょうどよかったです。」
わたしはほほえんだ。
「きっと疲れて怖い夢でも見たんですよ。昨日はいろいろ忙しかったですし.....。」
「カタリナ様、魔法省の入省日までは、まだ数日あります。いったん入省したら忙しいですから今のうちに休まれてください。」
わたしたち4人は、ジオルド様とアラン様に会いに行き、「自宅に戻ります。お城に泊めていただきありがとうございました。」とあいさつをする。
なぜかジオルド様は不機嫌な感じで、キース様はげっそりしていた。
さてカタリナ様とマリアさんの入省式の日になった。わたしとメアリ様も、それぞれお父様にお願いして社会勉強ということで魔法省のパート勤務をすることになったが、初日なのにカタリナ様が新人研修の省内案内で気絶されたという。心配になってメアリ様とお見舞いへ行った。どうやら生物研究室のサルが引き抜いた新種の植物の声を聞いておどろいて気絶されたらしい。
さて、カタリナの入省式がおわって、サイラスとデューイと出会ったようだ。
わたし佐々木敦子のフラクトライトは、カタリナの脳裏に前世のわたしの思い出を語りかける。
「なかなかすすまないな。」
わたしがゲームを操作してる場面だ。このときは好感度にあまりいい数値がでずに苦戦していた。
「う~ん、気分転換にスチルでも見るか。」
わたしは、スチルがストックされているファイルを開く
サイラス・ランチェスターと見つめあうシーン、デューイ・パーシーを抱きしめるシーン、ソラに壁ドンされているシーンなどをひらいていく。スチルには、メアリとソフィアが映りこんでいるが、気が付いたろうか。
「さてと。」
わたしは飲み物をとろうとする。
「Fortune Lover Ⅱ」のパンフにライバル、友人キャラとしてメアリとソフィアが描かれている。
「こうしてみると、「ワン」ででたキャラもだいたい出しているんだよね。」
「もしかして、追放されたはずのカタリナも出てくるのかな?仲間はずれにしちゃ悪いと思ったのかな。」
「それにしてもカタリナは出すぎよね。どの攻略対象でもちょいちょい邪魔しに出てくるんだから。」
「実は制作スタッフが気に入ってたりして。」
「でもその割にはどのルートも最後が悲惨だしな~」
カタリナ様が「詳しく教えて~~~~~~」
と絶叫して飛び起きた。
わたしソフィアは語りかける。
「カ、カタリナ様、大丈夫ですか?」
「ここはどこなの?」
「魔法省の医務室です。カタリナ様は、サルが引き抜いた新種の植物の声をきいて気絶されていたのです。」メアリ様が答えた。
※茶色のソーセージのようなもの=ゲーム画面の選択肢
※卵のようなもの=マウス