乙女ゲームに登場する文学少女である伯爵令嬢に転生していた..... 作:Brahma
「あの、これは文字なのですか?」
「え?」
「異国の文字ですか?」
わたしは首をかしげてしまう。その様子を見てどうやらカタリナ様は、何かに気が付いたようだ。かなり後できがついたのだが卒業パーティの後メアリ様の部屋に泊まった時に不思議な夢を見て、その文字を見ていたのだがこのときのわたしはすっかり忘れていた。
カタリナ様はなにやら固まっている様子だ。わたしは心配になって
「あの?カタリナ様?」
と声をかける。
「あ、ちょっと混乱していて....ほんとうにソフィアはこのようなメモは見たことないんだ...。」
「はい、初めて見ました。」
ソフィアは全く覚えていないのはしかたない。全部わたし佐々木敦子がしたことだから。カタリナを内野さんを何とか助けたかった。カタリナの中の内野さんに刻まれているわたしのフラクトライトを増幅させわたしの生前の記憶を注ぎ込む。そしてソフィアを動かしてあのメモを書かせた。ソフィアに記憶が残らない状態で。
講堂からマリアさんとソラさんが
「カタリナ様、もう皆そろっていますよ。」
と呼びに来た。
「ソフィア、お休みの日にはぜひ遊びに行かせてね。」
「はい。お待ちしています。」
マリアさんとソラさんは一礼してカタリナ様をつれて講堂のほうへ行った。
わたしソフィアは魔法省で主に医務室で手伝いをしている。
カタリナ様は魔法道具研究室に無事に配属が決まったことをお聞きしていたが、ある日カタリナ様は、体調を崩して運びこまれてきた。
さてわたし佐々木敦子は、ソフィアがカタリナを看病するという絶好の機会にめぐ
り合わせた。Fortune LoverⅡのカタリナは、闇の魔法を持ちマリアと攻略対象を攻撃するが内野さんの転生したカタリナはそうではない。わたしは内野さんの転生したカタリナの心に存在する私のフラクトライトに前世でのFortune LoverⅡの知識を注ぎ込む。
カタリナが夢を見る。
わたしの部屋が彼女の夢に映し出される。パイプベットに水色のカバー、ベッドの上の青いクッション、薄いピンク色の壁、黒いテーブル。ゲーム画面が映し出される。
Ⅱの攻略対象、サイラス・ランチェスターが少々困った顔で映し出される。
画面の下にサイラスのセリフが表示される。
『マリア、君があえて危険な目にあう必要はない。どうか私に守らせてくれ。』
画面のなかのサイラスの表情は憂いを含み、いっそうイケメン顔が引き立っている。
しばらくするとサイラスのセリフが消え、マリアのセリフが表示される、
『わたしだってサイラス様を危険な目にあわせたくありません。だから私も戦います。守られるだけなのはいやなのです。』
サイラスはマリアに手を差し伸べる、
『そうか...わかった。では一緒にいこう。』
画面が切り替わる。
画面に現れたのはローブを深くかぶった謎の女。悪役令嬢カタリナ・クラエスだ。
『くくく、ようやくあの忌々しい女に復讐できる。だってわたしはこの力を手に入れたのだから。』
カタリナは不気味な笑い声をあげた。その手には黒い本。そして巨大で黒いオオカミのような影。
カタリナ・クラエスは、マリアやサイラスと戦うのだ。
わたしのフラクトライトへの増幅はそこで力尽きた。
同時にカタリナが目覚めたようだ。
がばっとカタリナ様が起きた音がする。
カーテンを開けるとカタリナ様が起き上がっていた。
「あっ、カタリナ様、お目覚めになられたのですね。」
「ソフィア、ここはどこ?」
「ここは魔法省の医務室です。カタリナ様は、魔法省の敷地にある岩の近くで体調を崩して倒れてしまったんです。だからここへ運びこまれてきたんです。」
「義姉さん大丈夫?」「カタリナ嬢大丈夫か?」「カタリナ様、大丈夫ですか?」
キース様、ラーナ様、マリアさんが心配そうな顔をのぞかせる。その後ろにはやはり心配そうな顔をしたサイラス様、ソラさん、デューイくんがいる。
「あれ?みんなもう失われた魔法は手に入ったの?」
とカタリナ様がおっしゃるとマリアさんが
「はい。おかげさまで無事に失われた光の魔法を得ることができました。それで戻ってきたらカタリナ様が岩の反対側で倒れておられたんです。あの,,,本当に大丈夫ですか?」
「あの、なんで私は倒れていたの?」
「キャンベルさんが消えた後にクラエス様は岩を観察したいと部署長たちとしばらく岩の周りを回っていたんですが、声が途絶えたと同時に姿が消えて、あわてて周囲を探しているうちに再び岩の近くに現れたとおもったらそのまま倒れてしまったんです。」
「カタリナ様、お顔が真っ青です。大丈夫ですか?」
マリアさんの表情からは心から心配している様子がにじみ出ている。
「すこしだけ気分が悪くなってしまって...だけどもう大丈夫。あの。わたし本を持っていなかった?」
「あ、はい。それでしたらこの本でしょうか?倒れた時もかかえていたということです。」
わたしはその本をさしだした。
今度はラーナ様がカタリナ様に話し掛ける。
「カタリナ嬢、マリア嬢はあの白い空間で失われた光の魔法を手に入れた。それはマリアが昨日手に入れた光の魔法の契約の書に書かれている。ただし光の魔力を発動しないと見えないのだ。マリア嬢すこしやってみてくれ。」
マリアさんは少し戸惑っている様子だったが、「はい。」と返事をして
カバンから本を取り出し、魔力を発動させた。すると本が光り輝いた。カタリナ様はマリアさんの本をのぞきこむ。
「わたしには、光の文字が浮き上がって見えるのですが、ほかの方には見えないようなんです。」
「なるほど...ほんとうに魔法の本なのね。」
とカタリナ様がマリアさんの本をみつめる。今度はラーナ様が
「では、カタリナ嬢。あの闇の使い魔を出してくれないか?」
とおっしゃり、カタリナ様はとまどいながら
「どうしてですか?」
とぽかんとした印象で問い返す。
「マリア嬢の話を聞いていただろう。本に魔法の文字が現れるかどうかは魔力を発動しないとわからないのだ。だから君の持っている闇の契約の書も魔力を発動してみないと書かれているかどうかわからないということなのだ。」
「え?あ?なんでこの本が??」
「ああ、なぜ君が持っている本が闇の契約の書とわかったのかということか。まずその契約の書がマリアの契約書に似て古字で書かれた基礎魔法の本だったということ、マリア嬢があの巨石に埋め込まれた白い石に触って消えたようにその裏側には黒い石があったのだ。覚えているか?」とラーナ様はカタリナ様に尋ねられた。