乙女ゲームに登場する文学少女である伯爵令嬢に転生していた..... 作:Brahma
不思議な岩の近くで倒れた日の夜、カタリナ様からは、あの晩よく眠れたこと、闇の魔法の契約の書を解析しなければならないので大変だというお話をため息交じりにお聞きした。
さて、2年に一度のソルシェ王国を含む近隣5か国の会合の時期がやってきた。今年はソルシェ王国が主催国となる。ソルシェは治安が良く経済的にも豊かなので多くの国が参加する可能性がある。
さてカタリナ様がジオルド様からマナーや諸国の歴史などを集中的に学ぶ合宿講義をお城でなさるよう指示を受けたそうだ。わたしも行きたいとお兄様に話すとお兄様は同意してくれただけでなく
「キースからカタリナの部屋の場所を聞いたからその近くに部屋をとってやろう。」
と言って部屋もとってくださった。
そうそう、カタリナ様とお泊りで楽しむための小説をごっそりもっていこうとトランクに詰めた。
お兄様といっしょに合宿講義を行う部屋につくとジオルド様だけでなくメアリ様やアラン様もいらっしゃる。ジオルド様はなにやら不機嫌そうだ。
カタリナ様の馬車がついて、カタリナ様が少々驚いた表情で私たちの名前を呼ぶ。
メアリ様が「カタリナ様、お待ちしていました。」
と満面の笑みで出迎える。わたしもメアリ様についていく。
「会えたのはうれしいけど、どうしてここにいるの?」
「わたしたちもお城に泊まり込みでこの合宿に参加するからですわ。」
「メアリたちも参加するの?」
「社交界の華と呼ばれるメアリ嬢には今更講義など必要ないと思いますけどね。」
ジオルド様はにこやかにおっしゃるが目が笑っていない。
「いえいえ私などまだまだですわ。ね、アラン様」
「ああ...」
アラン様がそっけなく応える。その顔は明後日の方向を向いている。
「カタリナ様、わたし、お泊りのためにたくさん小説をもってまいりましたわ。」
お兄様はそれをみとがめ、トランクを取り上げられる。
「何の荷物かと思ったら。合宿講義を受けるのに小説を読んでいる場合じゃないだろう。これは俺が預かっておく。」
わたしはショックでしょぼくれるしかない。
「ソフィアはこの通りやる気に欠けるようだがよろしく頼む。俺も仕事で城に泊まり込むことになっている。もし何かあったら知らせてくれ。」
とカタリナ様に頭を下げる。
「いえいえわたしこそよろしくお願いします。」
と返事をされた。するとジオルド様が
「もうあいさつはいいですね。カタリナ、さっそく僕がカタリナの部屋までご案内しましょう。」
というとキース様が
「いえいえ義姉さんの部屋はこちらで手配しましたので大丈夫です。」
といってカタリナ様をひきよせる。
「わたしたちもその部屋の隣りの棟に部屋をかりましたの。」
とメアリ様がおっしゃる。ジオルド様は暗い表情でなにやらぶつぶつつぶやいている。その日は用意された部屋に泊まった。翌日は、メアリ様とカタリナ様と一緒に合宿講義のオリエンテーションだ。
翌朝お兄様やキース様、お二人の王子様はお仕事に向かわれ、わたしたち女性3人は、オリエンテーションをする部屋へ行く。
その部屋には、わたしたちのほかにも貴族の令息令嬢たちがいくにんかいらっしゃった。
講師のおじいさんの説明によると朝から晩までみっちり講義をするようだった。
なにやらカタリナ様がぼうっとしている。
「カタリナ様?だいじょうぶですか?」
「ご気分でも悪いのですか?」
わたしとメアリ様はおなじことを考えていたようでカタリナ様に声をかける。
「あ~本当にびっしり勉強するんだなあ...大変だあと思って」
「確かにそうですね。でも一緒にがんばりましょう。」
「協力すれば大丈夫です。」
「ありがとう。がんばりましょう。」
「じゃあ部屋に戻って身支度してから夕食に行きましょう。」
「そうですわね。」
わたしたちはいったん自分の部屋に戻ってから3人で食堂へ向かう。
城のT字路になっている廊下でジオルド様にでくわした。
「やあ、カタリナ、ちょうどよかったです。一緒に食事はいかがですか?」
「王族の方も一緒に食事をするんですか?」
「いえ、他の家族はその家族だけで食事をします。王族も同じですが、僕はカタリナと食事をしたくてこちらで食べられるよう手配したのです。」
ジオルド様がカタリナ様をエスコートしようと手を伸ばす、
しかしメアリ様がすっとはいってくる。
「ジオルド様、目に入っておられないようですがカタリナ様はわたくしたちと一緒に食事をしますのよ。」
「ああ、メアリ、いらしたのですね。カタリナとは久しぶりですので今日は遠慮してください。よかったらあなたは、うちの家族の食事に交じって婚約者のアランと親交を深めてはいかがですか。席も空いていますし。」
「あら、わたしとアラン様は充分に親交を深めているのはご存じではないですか?それにわたしたちもカタリナ様とは久しぶりなのです。ジオルド様こそ、女性同士の楽しい語らいの場ですので遠慮していただいて、ご家族の席にお戻り下さい。アラン様も寂しがっておいでですし、ご家族の方も本音では戻ってきてほしいとお考えですわ。」
ジオルド様とメアリ様が黒い作り笑顔でお話しされている。そのときお兄様が廊下の先からこちらへ向かってくるのが見えた。
「あ、お兄様」
「ん、これから皆食事なのか?」
「はい。これから夕食へ向かうところです。」
「そうか。じゃあ皆で一緒に食べよう。」
お兄様ははにかみながらほかの人には見せないうれしそうな表情をみせる。妹を何年もやっていると表情が乏しく見えるお兄様がどれほどうれしく感じているのかじわりと感じられる。魔性の魅力のせいで男性も女性もめろめろになってしまうためにかえって友人が少ないお兄様は。元生徒会メンバーのように子どものころから耐性のある親しい友人たちとの食事をとても楽しみにしているのだ。
お兄様の表情をみてジオルド様もメアリ様も何も言えなくなってしまい。大きなテーブルを囲んで食事をすることになった。そのときにキース様もいらっしゃってこの場にはアラン様と平民であるため会合に参加しないマリアさん以外の元生徒会メンバーが勢ぞろいすることになった。
お兄様はとてもうれしそうでうきうきしている。これだけでもわたしは声をかけてよかったとうれしくなった。食事がすむとメアリ様とキース様が自室へ戻るカタリナ様についていって危険だから鍵をかけるようにとかなり必死な表情で訴えかけてカタリナ様の部屋には厳重に鍵がかけられた。
言うまでもないジオルド様対策だ。