乙女ゲームに登場する文学少女である伯爵令嬢に転生していた..... 作:Brahma
翌日はみっちり講義で夕食の後わたしはつかれて部屋へ戻る。メアリ様はカタリナ様を大浴場へお誘いしたようだが、カタリナ様もかなりお疲れでお断りしていたようだ。
さらにその翌日、午前の講義が終わるとカタリナ様とメアリ様と食事をしたあとカタリナ様がいなくなった。
メアリ様が
「もうすぐ午後の講義が始まるのにカタリナ様がいない。どこにいらっしゃるかわかりますか?」
とおっしゃるので
「すみません。わたしもわかりません。」と答えてから探しに行かれてようやく居場所をみつけたらしい。カタリナ様は会合で使われる広間でピアノの練習をしているアラン様にお会いになったようで、リクエストしたら気持ちよさそうに寝てしまったそうだ。
昼寝をしたせいかカタリナ様は疲れた様子もなく講義を受けられたようた。
「メアリ、ソフィア大浴場へ行かない?」
「いいですね。」
わたしは即答だ。しかし、メアリ様はとまどったご様子だ。
「カ、カタリナ様のお誘い、心の準備が...。」
とおっしゃる。
「?メアリはダメそう?」
「いえ、お供いたします。」
とお返事された。
それぞれいったん部屋に戻り支度して大浴場に向かう。
大浴場は、だいたい10人くらいの人がゆったりはいれる感じの場所だった。
カタリナ様がながめていらっつしゃる。
「わたし、こういう大きなお風呂に入るのは初めてなんです。それにしてもおおきいし、内装もすばらしいですね~。」
しばらくメアリ様を待つがなかなかやってこない。
「メアリ様、ふだん遅刻なんかしてこないのに遅いですね。」
「そうね~珍しい、何かあったのかな」
メアリ様付きのメイドさんがやってきた。
「すみません。メアリ様は体調を崩されたので本日はご一緒出来なくて残念だとおっしゃっていました。」
「ええ!メアリ具合が悪いの??」
わたしは、カタリナ様のほうを向く。
「メアリ様が体調悪いのに私たちだけでお風呂を楽しむのは、申し訳ないし、寂しいですね。」
「そうね。今日はお風呂はやめて、次の機会に入るとしてメアリの様子を見に行きましょうか?」
そんなことを話していると、メアリ様のメイドさんは首を横に振って見せる。
「いいえ、メアリ様は今たまたま具合が悪いので一晩お休みになれば回復します。ですからカタリナ様方はお風呂をお楽しみください。メアリ様もそれを望んでおられます。」
「「わかりました。そうですか。じゃあメアリ(様)にはくれぐれもお大事にとお伝えください。」」
二人でそう伝えるとさっそく入ることにした。
「わあ、ほんとうに大きいですね。」
「泳げそうね。」
カタリナ様がそう口に出した途端、アンさんが顔をしかめて
「カタリナ様、くれぐれも泳がないでください。」
という。
「アン、心配しないで。そのくらいはわきまえてるわ。」
カタリナ様はそうお答えになるが顔色はかすかに残念そうだ。
わたしとカタリナ様はタオルを巻いて浴槽につかる。
「カタリナ様、お湯からいい香りがしませんか?」
「あ、本当ね。これバラの香りがするわね。」
「香油をお湯に入れているようですね。」
とアンさんが教えてくれる。
さすがお城のお風呂、わたしとカタリナ様はバラの香りのお風呂を楽しみ、お湯で身体を流すとつかれも洗い流されるような心地よさを味わって浴場を満喫した。
わたし佐々木敦子もソフィアとしてお城の浴場を満喫した。この世界の泡立ちの良いボディシャンプーは最高に気持ちよかった。メアリがこれなかったのはつくづく残念だ。
3日目、メアリ様は合宿講義に元気な姿をみせたので一安心した。講義は午前のみで午後はダンスのレッスンだ。
ダンスのレッスンのフロアへ行く。なんとそこにはジオルド様がいた。
わたしは、ダンスのレッスンは講義を受けている者たちで行う予定なのになぜ当たり前のようにいるのだろうと思っていたので少々驚いたが、カタリナ様も不思議に思ったようで、がなぜここにいらっしゃるのか尋ねると、
カタリナ様のダンスの相手を務めるためだという。しかし踊っているうちにカタリナ様の身体を巧みに引き寄せる。なにかささやいているようだ。かなり密着して踊っている。カタリナ様がだんだん上気して顔が赤くなり、足が少々ふらつき気味になっている。わたしはあぜんとながめてしまったが。
メアリ様がみとがめて
「カタリナ様が困っているわ。助けに行かなくては。」
とおっしゃったので二人で助けに行くことにした。
メアリ様が「ジオルド様、曲が変わりますので今度はわたしのお相手をお願いできますか?」
「ああ、メアリ嬢、僕たちは婚約者として久しぶりのダンスを楽しんでいるのですよ。遠慮していただけませんか。」
メアリ様はにっこり微笑み、
「今はダンスの練習の時間ですので、たくさんの方と踊ってこそ意味がありますわ。」
さすが社交界の華とうたわれるメアリ様だ。流れるような優雅な動作でジオルド様の手を取ってダンスの相手役になる。
「カタリナ様は、少しお疲れのようですから、ソフィアさん、あちらへお連れして下さるようお願いします。」
わたしは、カタリナ様をホールの隅に置かれた椅子のところまでお連れした。
そして飲み物をお渡しする。
飲み物で落ち着いたのか、赤くほてりぎみの顔色がもとにもどっていく。
「カタリナ様、大丈夫ですか?」
「ええ、ありがとう。少し疲れただけよ。」とお返事が返ってくる。
「ならよかったです。」とわたしは微笑んでみせる。
しかし「あのエロ王子め。あんなにベタベタと....許すまじ」と小声のつぶやきがもれてしまう。
カタリナ様が
「え?ソフィア?」
「なんでもありませんわ。」とわたしは再びにっこりと笑みをうかべてみせる。
再びカタリナ様は飲み物を口にし、
「メアリとジオルド様のダンスはやっぱり素敵ね。美男美女でお似合いだわ。」
とのんきに呟いている。
しかし、わたしは一見優雅にステップを踏む二人の足もとは、メアリ様がヒールでジオルド様の足を踏みつけようとしてジオルド様が巧みにかわすという攻防戦にしかみえない。
わたしも、恋愛ごとはよくわからないが、カタリナ様の鈍さはわたし以上だ。
ジオルド様やキース様の気持ちに気が付いたのは二人があからさまに告白したからで、お兄様の気持ちには全く気が付いていただけない。
お兄様は常識人過ぎるところがあるのでカタリナ様にご自分の気持をお伝えすることはないだろう。そうするとお兄様とカタリナ様が結ばれる可能性は限りなく低くなるということだ。