乙女ゲームに登場する文学少女である伯爵令嬢に転生していた..... 作:Brahma
お兄様の笑みはますます甘く幸せそうでかつ魔性の色気のある笑みになっていく。
カタリナ様はたまらなくなったようで、目を閉じる。お兄様はその耳元に
「愛してる」とささやいた。
カタリナ様が力が抜けたようにお兄様によりかかっていく。
どうやらお兄様の魅力に意識がとんでいかれたようだ。
そうしているうちにお兄様が本当に目を覚まされる。
ご自分がカタリナ様を抱きかかえているのにお気づきになるが、わたしはそれを呆然と眺めてかたまってしまう。
ぼうっとしているカタリナ様をお兄様はソファに横たえて私に向き合って質問してくる。
「ソフィア、いったいこれはどういうことなのか説明してくれ。」
わたしは、その声がかかったとき、はっとしてバツの悪い気持になるが言葉を紡ぐようにして事情を話し始める。
「お兄様、素敵な景色を見つけたので、カタリナ様と朝のお茶会をしたいと考え、お兄様にも喜んでもらおうとサプライズで声をかけようとしたのです。そしたらお兄様は寝ていらしたのでカタリナ様に起こしていただければ、お兄様はうれしいかと考えたのです。」
「わかった。だけど寝ている男性の部屋に勝手に入ってくるのは淑女としてどうかと思うぞ。」
「...あの...お兄様が入ってよいとおっしゃられたので....。」
お兄様は無言になられた。
「そうか...ソフィアとカタリナがそうして一緒に部屋に入ってきてカタリナが俺を起こしたってことか...それからどうなったんだ?」
「あの...その....。」
わたしは、つっかえながら目の前で起こった出来事を詳細に話した。顔から湯気が出そうな感じだがお兄様の恋が実ったような感覚で嬉しさとほてりと理由もないのになぜか恥ずかしい感じが全身をおおう。
今度はわたしの話を聞きながらお兄様がかたまった。頭の良いお兄様には珍しく思考が停止している感じだ。しかししばらくして
「ソフィア」
と声をかけられた。
「はい。」
とわたしは背筋をのばす。顔がまだほてっているが不思議なことに何か失敗したような感覚が身体にじわじわとのしかかってくる。
「ソフィア、お茶会で俺を誘いに来たところでカタリナが貧血を起こして倒れてしまった。だからソフィアの部屋で休ませることにした。そういうことだな?」
「え?お兄様、それは...どういうことですか?」
わたしはおもわず意識してまばたきしてしまう。
「ここで起こったことが知られると俺もそうだが、カタリナも経歴に傷がつくことになる。下手をすれば社交界から爪はじきになる可能性がある。」
「え、お兄様やカタリナ様の経歴に傷がついて爪はじきに...なってしまうんですか?」
わたしの顔からすうっと血が引いていく。それは最悪だ。悲しい。お兄様は続ける。
「そうだ。だから、今日はお前たちは俺の部屋の奥まではこなかった。来る直前に貧血になって休んでいた。もしカタリナが何か覚えていても夢だと言い張ってくれ。ソフィアと俺が言うならそれが正しいんだろうと素直な彼女は信じるだろうから。」
「はい、わかりました。」
お兄様と私は、カタリナ様の身体を自分の部屋へうつした。
さてわたし佐々木敦子は、内野さんの転生した姿であるカタリナを守るため、また二コルの経歴に傷をつけないために、もう一人の私であるソフィアがそばにいることによりカタリナの中にあるわたしのフラクトライトを増幅させ前世の記憶を流し込む。カタリナはわたしの中に自分がいるような感覚になるだろう。
黒いテーブル、薄いピンク色の壁。パイプベッドには水色のカバーがかけられ、青いクッションが置かれている。前世おなじみのわたしの高校時代の部屋だ。
『よし、続きをやろう』
ゲームのオープニングが流れる。
このときはジオルドルートの続きをしていた。Iのクリア履歴を保存しておきながらⅡをダウンロードすると、Ⅰのクリア履歴にシリアルナンバーがつけられ続きをプレイすることができるようになっている。
画面には茶色いソーセージ状のアイコンが複数表示される。
わたしが選択肢を選ぶと笑みをうかべたジオルドの顔が映し出される。
「困ったことがあったらいつでも相談してください。」
画面の下には、
「なんだかいつもよりジオルド様が積極的な気がする。私も同じお城に寝泊まりしていると思うと照れてしまう。」
とマリアのモノローグが流れる。
「ううん、でも今はまず近隣会合でのお仕事をしっかり頑張らなくちゃ」
マリアはジオルドの婚約者なので半ばプリンセスとして近隣会合に参加することになるのだ。
アイキャッチのような大きな文字だ。
「近隣会合がいよいよはじまる」
と表示される。
カタリナ様は起き上がる
「どういうことなの~~」
寝言のはずなのにかなり大きな声で叫んでいる。
「カ、カタリナ様、大丈夫ですか?」
「あれ?ソフィア?ここはどこ?」
「カタリナ様を朝のお茶会におさそいしたのですが、お兄様をサプライズでお呼びしようとしたのですが、お兄様の部屋の前まで来たら貧血を起こされて倒れてしまわれたのです。なのでアスカルト家の使用人にわたしの部屋まで運んでいただきました。」
「そうなの?ありがとう。」
どうやらうまくいったようだ。わたし佐々木敦子の見せた夢が彼女にとって重大すぎるがゆえに今朝起こったことが完全に記憶から消えたようだ。
カタリナ様は貧血を起こしたということで、午前中は休まれた。
わたしはメアリ様と午後の講義へ行こうとすると、遠くでカタリナ様とジオルド様が話しているのが見える。
ジオルド様は真剣そうな表情だったが、やがて笑顔になりカタリナ様の頭をなでる。
「カタリナ様、そろそろ午後の講義の時間ですわ。」
「うん、ありがとう、メアリ、ソフィア」
そして3人で講座室へはいる。
さて、ソルシエ、エテェネル、ルーサブルなど近隣5か国会合はいよいよ今日から開幕だ。
昨日から各国の代表団が集まってきていて、来賓の受付が行われている。
わたしとお兄様は宰相の息子と娘と言うことで参加している。
カタリナ様はキース様とご一緒だ。
ジオルド様とアラン様は王族であるため、近隣諸国の王族用の別室があってそっちで対応している。
わたし佐々木敦子もソフィアの意識のかたすみで、近隣会合の様子を眺めていた。近隣諸国の代表の来ている衣裳は東南アジア風、日本風などさまざまだ。異国感あふれる風景だがゲームと同様言葉が同じなのには驚いた。
近隣会合がはじまった。メアリ様とわたしはさかんに男性から声をかけられる。リアルの恋愛にあまり関心のない私は複雑な気分だ、