乙女ゲームに登場する文学少女である伯爵令嬢に転生していた..... 作:Brahma
カタリナ様が私たちにお返事なさる。
「あ~そうだったんだ。お手伝いに来てくれる日だったのね。せっかく来てくれたのに寝ててごめんなさい。」
「いえいえ、久しぶりにカタリナ様の寝顔を拝見できて、お得なくらいでしたわ。」
メアリ様は微笑みながらそうおっしゃり、わたしも同感なのでうなづきながらも笑みがもれてしまう。
「二人の今日のお手伝いはもう終わったの?」
「ええ、それほど難しくない書類整理でしたので....これでおいとまはするのですが...むしろラファエル様をはじめ皆さんは大変だなあと感じました。」
「そうですわね。頼まれた分は終わったのですが、あの量を拝見すると申し訳なく感じました。」
「たしかに忙しいから...それにしても学園時代は、ずっと一緒だったのに最近はあまり会えないね。...ちょっと寂しいな。」
するとメアリ様の瞳孔がかっとおおきくなり、上半身をカタリナ様へむかって乗り出される。
「わたし、カタリナ様のお仕事が終わるまでおまちしますわ。そうでなくても仕事の内容がわかる範囲でお手伝いして、なんでしたらそのままお泊りします。」
わたし佐々木敦子は感じる。これじゃあ前世の省庁の話のようだ。魔法省なにげにブラック?と脳裏によぎる。
わたしソフィアはカタリナ様が引いておらっしゃるのをみて
「メアリ様、落ち着いてください。カタリナ様が引いていらっしゃいます。それからメアリ様はこれから用事があるとおっしゃっていたではないですか?」
わたしはメアリ様の上半身をひっぱってソファの隣にすわっていただく。
メアリ様がだんだん冷静になる一方では、ほおをふくらませてつぶやく。
「うう...そうでしたわ。カタリナ様のことに比べたら大した用ではないのに...。」
「わたしたちも魔法省にお伺いするときに会える時間が減ってさびしいですねとお話ししていたのです。さすがに今日はこれでおいとまするのですが、同じ日に休日がとれるようでしたらご一緒させていただきたいです。」
「そうね。一緒に過ごしたいわ。」
「あ、皆さん、まだいらしたのですね。」
タイミングよくマリアさんがいらっしゃった。
わたしが声をかける。
「次の休日どうしようかお話ししていたのです。」
マリアさんも目を輝かせる。
「あの、新しいレシピのお菓子か、とびきりのお菓子お持ちします。」
次にメアリ様が目を輝かせ
「いいですわね。ちょうどいい茶葉が用意できそうです。お茶会にしませんか?」
「おいしいお茶においしいお菓子。楽しみです。」
「次の休日はお茶会で決まりね。」
「それから連休がとれるようでしたらお泊り会もいいですね。」
「そうですわ。またパジャマパーティをしませんか。」
「賛成です。って、メアリ様、こんな時間。大丈夫ですか?」
休憩室の時計の針が時間が迫っていることを示していた。
「メアリの用って何なの?」
「アラン様の演奏会の準備です。」
「大したことではないのですが...。」
「え~それは大したことだよ。メアリ。行ってあげないと。」
カタリナ様はそうおっしゃるものの、メアリ様は名残惜しそうだ。
「メアリ様、わたしもお手伝いしますから。」
そういってメアリ様をなだめる。
わたしたちは、カタリナ様に挨拶して演奏会場へ向かう。
廊下でラーナ様とサイラス様とすれ違う。
「アスカルト嬢にハント嬢か。今日はどうもありがとう。」
「どういたしまして。ラーナ部署長、サイラス部署長。でも皆さんお忙しそうでちょっと申し訳ないです。」
「いやいや、きまりきったああいう書類をやっていただくだけでもすごく助かる。次もよろしくたのむ。」
「「はい、お役に立てればうれしいです。」」
わたしたちはそれぞれの馬車に乗り込んだ。
演奏会場へ着くとアラン様の侍従の方々、メアリ様の侍従の方々などもいらっしゃて準備をしている。
「ああ、メアリ、ソフィア来てくれたのか。ありがとう。」
「はい。重いものは運べませんがお手伝いいたします。」
「ああ、さっそく演奏用の風魔法用具の点検頼む。」
演奏会場には、音がきれいによく響くように風魔法用具が会場に設置されている、楽器の運搬や機器の設置などは侍従たちの仕事だが、風魔法用具の点検は魔法学園卒業者もしくは貴族の仕事だ。演奏会の成功は、風魔法用具の調子が影響するので魔法学園でも音楽の単元で授業時間が割り振られている。
メアリ様が点検し、風魔法をもつわたしが調整する。
「ソフィア様、これちょっと調子悪いようですわ。」
「わかりました。」
「このくらいでいいでしょうか。」
繰り返し耳をあてる。
「そうね、大丈夫でしょう」
そんなふうに話しながら風魔法用具の点検をして調整する。
「点検、準備終わりました。」
「じゃあ二人は受付に回ってくれ。」
来客は、貴族の方々が多いので、わたしとメアリ様は必然的に裏方を早々外され受付へ回される。お客様がちらほらいらっしゃる。
「お久し振りです。」
「お久しぶり。今日は何の曲なの?」
メアリ様が曲目を説明する、わたしもロマンス小説と関連のある曲であれば詳しく説明する。そうこうしていると魔法学園時代のなつかしい顔や先輩方、後輩たちの姿もあらわれる。
「メアリ様、ソフィア様」
「あ~ジンジャーさんにフレイさんですね。ご機嫌いかがですか。」
「はい。アラン様が卒業して久々の演奏会でしたので今日は生徒会をはやめにきりあげてきたのです。」
「ありがとうございます。こちらのお席です。」
「ありがとうございます。」
「やあハント嬢にアスカルト嬢か。お疲れさん。」
「ジェフリー様@@」
「うん、かわいい弟のアランの演奏会だからな。兄として行かないわけにいかないだろう。」
「ありがとうございます...。? スザンナ様は?」
「ああ、今日は仕事でこれないそうだ。マリア嬢とカタリナ嬢の...」
「マリアさんとカタリナ様がどうかしたのですか?」
「うおっほん。いや失敬。なんか別のことが思い浮かんだようだ。気にしないでくれ。さて僕の席はどこかな。」
「ジェフリー様の席はあちらです。第一王子でお兄様でいらっしゃるので特別席を用意しました。」
「そうか、そうか、ありがたい。ではまた。」
演奏会がはじまった。アラン様の演奏が一曲終わるごとに拍手と黄色い声が飛び交う。
今日は5曲演奏した。
「メアリ様、ソフィア様お疲れさまでした。片付けはやりますので。」
「お願いします。」
夜遅くなっていたが充実した1日だった。わたしとメアリ様はあいさつしてそれぞれの馬車に乗り込んだ、わたしは馬車の中でうとうとしはじめた。
翌朝ベッドの中で目を覚ました。気恥ずかしくなった。
「お兄様?」
「ああ、よく寝ていたからな。」
「ありがとうございます ////。」
お兄様はほほえんだ。