乙女ゲームに登場する文学少女である伯爵令嬢に転生していた..... 作:Brahma
とある日の魔法省の食堂。わたしとメアリ様は、ランチを食べていたが、横からこんな声が聞こえてくる。
「マリア、今度の休日、サイラス様の野菜を孤児院に届けようと思っているんだけど行かない?」
「そうなんですか?行きます。」
「あの、カタリナ様?」
「メアリにソフィア?」
「聞こえてしまったのですが、孤児院に野菜を届けに行くんですか?」
「あ~そうなの...。」
「お二人だけでぬけがけはいけませんわ。」
「そういうつもりじゃなかったんだけど...。今日は二人はお手伝いの日だったのね。」
「はい、そうです。」
「でも魔法省の職員だけでおしのびで商人の格好をして孤児院に野菜を届ける話だからあまり楽しくないと思うけど二人はそれでいいの?」
「カタリナ様とご一緒できるのなら喜んでおうかがいいたしますわ。」
「わたしもです。」
「それに貧しい子どもたちに野菜をとどけるなんてすばらしいではないですか。わたしの母も貧しい平民でハント侯爵に見初められなかったらわたしも生まれてなかったのです。」
「そう、わかったわ。じゃあ一緒に行きましょう。」
(お兄様もおさそいしましょうか、カタリナ様と同じ時間をすごせるチャンスですから。)
魔法省の仕事が終わって自宅へもどるとお兄様にさっそく話す。
「カタリナ様がサイラス・ランチャスター様やマリアさんと一緒に孤児院へ野菜を届けるそうです。お兄様もいらっしゃいませんか。」
「そう...だな。将来宰相として政治を行うことになると孤児院などの実態は知っておく必要がある。いい機会だから俺も行く。ソフィアありがとう。」
(お兄様、うそではないですが、カタリナ様に会える正当な理由ができたからとうれしそうな笑みが隠せてないです。)
「貴族の格好ではまずいので商人の格好で行くそうです。」
「うん、そのほうがいい。飾らない状態がわかるからな。」
そして当日、なぜかわたしたち兄妹とメアリ様、マリアさんだけかと思ったらジオルド様とアラン様、キース様も来ている。キース様はわかるのだが、なぜジオルド様とアラン様まで....
あんのじょうサイラス様はカタリナ様に抗議している。
「カタリナ・クラエス、これはどういうことなんだ?」
「えっとこれはですね...まず出かける話をキースにしたら、心配だからついていくということになって...。」
「うむ...君の義弟がついてくるというのは想定内だったが...。」
「そうなんですか。それでサイラス様のためにマリアをさそったんですけど...。」
「なんで俺のためなんだ?」
「いや、サイラス様は女性に慣れていただかないといけないし、親交を深められるかなと...。」
「そんな気遣いは不要だ。まあ事情はわかった。しかしほかのメンバーはどういうことだ。なぜ王子や宰相の息子までいるんだ。」
「実はマリアをさそったときにたまたまメアリとソフィアにもあって次の休日は一緒に過ごそうという約束だったので、孤児院に野菜を届けるだけで楽しくないかもしれないけどいいかと尋ねたらそれでもいいということで...そうしたらいつのまにか他の皆も...。」
サイラス様は頭をかかえて
「わかった。こうなった以上追い返すわけにもいかない。しかし商人に化けているとはいえ身分が高すぎるだろう。」と話した後
「まあ行く先は治安が悪いわけじゃないから...なんとかなるからかまわないか...。」と何か確認するようにぼそりとつぶやく。
「カタリナ嬢、一つ確認しておきたいがこの野菜を育てた者についてはどう説明しているんだ?」
「ああ、それはある人の野菜があまってサイラス様が届けに行くと話してあります。」
「そうか...。」
とサイラス様は遠い目をしてつぶやく。
キース様が義姉のことは自分が見てるから心配するなとジオルド様にいえば義弟とはいえ婚約者を他の男にまかせられないとジオルド様が返す。
メアリ様がジオルド様に話していないのになぜといったら
アランがわかりやすい性格をしているからとジオルド様が返す。
いつも通りだ。
私とお兄様とマリアさんは、お兄様の作ったお弁当箱を囲んでいる。
カタリナ様が
「えっ、もしかしてそれお弁当箱?」
「はいそうです。お兄様はすごく楽しみにされていて夜から準備されていたのです。」
「でもまさかニコル様がお弁当をおつくりになるなんて。」
「料理人に頼んだものを少し手伝っただけだ。よければマリアも少し味見してみてくれ。」
「いいんですか?光栄です。」
カタリナ様が呼びかける。
「みんな、そろそろ出発するって~」
するとジオルド様がカタリナ様の手を取ろうとする。
しかしカタリナ様はさりげなく断りマリアさんに声をかける。
どうやらマリアさんをエスコートしようとしている。
キース様が義姉さんなにをしようとしているの?と小声で聞いているように見える。なにかささやいて、キース様は納得したようだ。
カタリナ様は、サイラス様にたずねる。
「なぜちゃっかり御者の隣の席に座っていらっしゃるのですか?」
「ああ、孤児院までの道は私が詳しいから案内しようと思ってな。」
「それは素晴らしいですが、せっかくの道中なんですからマリアと同じ馬車で楽しくおしゃべりすればいいじゃないですか?」
わたしは、ああなるほどと納得した。どうやらカタリナ様はサイラス様の「恋路」を応援するつもりなのだ。しかし
「カタリナ嬢、馬車という狭い空間であんなに可憐で美しいマリアといっしょに過ごすことができると思うか?無理だ、のぼせ上って倒れてしまう。勘弁してくれ。」
結局馬車は、男子組と女子組に分かれて乗ることになった。
「あの、カタリナ様これ作ってきたお菓子です。」
マリアさんがはにかみながらも微笑みを浮かべお菓子を差し出してくる。
するとメアリ様も
「カタリナ様、うちの庭で育てた茶葉から今朝紅茶をつくりました。どうぞ。」
紅茶をすすめる。
わたしはお兄様に見つからないよう巧妙に隠してきたかばんを取り出す。
「カタリナ様、最近のおすすめのロマンス小説をもってきました。ぜひお持ち帰りください。」
「ありがとうソフィア。じゃあみんなでお茶とお菓子をいただきましょう。」
「おいしーいい。」
「このお茶もお菓子にあっておいしい。」
「わたしも使用人と一緒に研究してきたのです。マリアさんのお菓子をよりおいしくひきたたせるとともにお茶自身の味もすっきりさわやかな味になるよう茶葉の選別と淹れ方を工夫しましたの。」
「ほんとにおいしいわ。シリウス会長に負けないかも。」
「そこまでほめていただけるとうれしいですわ。」
「メアリ様、ありがとうございます。感動です。」
馬車の中でわいわいとガールズトークが続く。