乙女ゲームに登場する文学少女である伯爵令嬢に転生していた..... 作:Brahma
「....久しぶりにカタリナ様に会えると思ってお兄様ったら使用人の方々と協力して移動中のお弁当まで作ったのです。これ女子分です。よかったらどうぞ。」
「本当に二コル様が作ったのですか。素晴らしいですね。」
「わたしも味見したのですが、おいしくて...お兄様にこんな才能があるとは実は驚きました。」
「ニコル様は魔法、勉強は素晴らしく、剣術もたしなんでおられますがこのお弁当...本当に多才でいらっしゃるのですね。」
「はい、お兄様はすごいんですよ。わたしも改めてお兄様を見直しました。」
「ソフィアは本当にニコル様が大好きなのね?」
「もちろんです。あ、でもカタリナ様のことも大好きですから。」
「あら、ありがとう。」
「ソフィア様、抜け駆けはいけませんわ。わたしもカタリナ様のことは大好きですから。」
「ありがとう、メアリ」
「あ、あの、わたしもです。わたしもカタリナ様が大好きです。」
マリアさんがほおを赤らめもじもじしながら話す感じは女性のわたしからみてもかわいらしく感じる。
「カタリナさま~~~~」
メアリ様が抱き着く。もう、抜け駆けしないってだれがおっしゃったんでしたっけ?
「わっ、メアリこんなところ抱き着いたら危ないよ~」
「はつ、私としたことがつい....。」
「まあ、お菓子もお弁当も無事だし...さあ、みんなでいただきましょう。」
「そうで(すわ)ね。」
そのような感じでガールズトークを楽しんで数時間。
「皆様、つきました。」
御者の方の報告を受けて馬車を降りる。
素敵な庭の奥にそれなりの規模の建物が見える。たくさんの子どもが寝泊まりするからそれなりに大きい建物だ。
「ようこそいらっしゃいました。いつもありがとうございます。」
初老の女性が現れ、サイラス様に話しかけてきた。
「マギー院長、わざわざのお出迎えありがとうございます。こちらが先日お話ししていた知人たちです。今日はともに手伝いたいということで同行しました。」
「あらあら聞いていたより大勢の方にいらしていただき感謝です。わたしが院長のマギーです。では早速野菜の搬入からお願いします。」
野菜の搬入は大勢参加したおかけで大した時間もかからずに終った。
「さあ、お手伝いいただけるということで、子どもたちにお勉強、お裁縫、お料理など教えていただけますか?」
「サイラス様?」
カタリナ様がなにやら尋ね顔になる。
「ああ、ソルシェの孤児院は、ここから学校へ通えるようにはなっているが、勉強や裁縫、料理といった家事まで教える要員まで確保しているわけではない。だからこうして大人が訪れた時には、家事や勉強を教えたりしている。わたしも毎回来るたびに勉強を見ている。子どもたちの将来のためにな。」
「なるほど、そういうことですか。」
カタリナ様は納得顔になった。
「貴族の身分だとそんなことできないしな。ということで若手商人見習い諸君、君たちはどうする?」
「俺は勉強を教えることにする。裁縫や料理はそんなに得意ではないしな。」
お兄様が口火を切ってこたえる。わたしは手を挙げて
「わたし、お裁縫なら少しお教えできます。」
するとメアリ様も
「では、わたしはお裁縫をお教えすることにします。それなりにはできますので。」
「あの、ではわたしはお料理を。たいしたものは作れませんが。」
「マリアさん、メアリ様...ご謙遜なさらないでください。わたしが恥ずかしいじゃないですか。」
二人は苦笑する。
「ジオルド、キース、二人とも勉強ができるだけじゃなく教えるのも得意じゃないか。勉強をみてあげないか?」
「はい。」「そうですね。」
「よし、じゃあわたしもマリアと一緒に料理を...。」
カタリナ様がいいかけると皆顔を見合わせる。
「ちょっと義姉さん...。」
「カタリナ、ここの厨房を壊すわけには...。」
ジオルド様とキース様が顔を青くしてカタリナ様を押しとどめようとする。
わたしたち女子3人は苦笑するしかない。
「マギー院長、勉強も裁縫も料理も得意ではないのですが、掃除とか洗濯とかできることはないでしょうか?」
カタリナ様は困り顔で院長にたずねる。
貴族令嬢が掃除や洗濯って...って思ったが土いじりや農業が気にならないカタリナ様だ。いやがらないでやるだろうが、掃除や洗濯は毎日のことだからだれかがやってるのではと思ったらそのとおりだった。マギー院長は思案顔になる。
「う~ん、掃除や洗濯は係の者がいますので...」
としばらくうなってから何か思いついたようにポンと手を打つ。
「あ、そうだ!」
「子どもたちと遊んでいただけますか?」
マギー院長は年少の子どもたちをカタリナ様に紹介する。
カタリナ様は渋るアラン様を説得する。これでカタリナ様とアラン様のお手伝いは子どもたちと遊ぶことに決定したが、横で聞いていたジオルド様、キース様、マリアさんの目の色が変わって。
「え?遊ぶんですか?」
と声に出してしまう。わたしとメアリ様はそれを見てまた苦笑する。
「あの、遊び要員はそんなにいりませんので。」
マギー院長が苦笑しつつおさえこみにかかってようやくあきらめた。
さて、勉強を教えるお兄様だが、子どもたちがお兄様に見とれて勉強にならない。女の子はもちろん、男の子もちらちら見ているありさまだ。
さすがにマギー院長も気が付いて
「ニコルさん、すみませんが、魅力がすごすぎて子どもたちが集中できません。今日は長旅でお疲れでしょうから外でお休みになってください。」
と言われてしまう。またかと思うかこればっかりは仕方がない。
お兄様は裏口のドアの階段のところへ行ったようだった。
わたしは、裁縫を子どもたちに教え、
「じょうずだね。」「あ、気を付けて」
と声をかけて、たまに指に針を刺してしまう子もいたものの、たいしたことなくそれぞれ作品を完成させられたようで皆満足そうだった。
さてしばらくして香ばしい焼き菓子の香りがただよってくる。
孤児院の職員の方が外で遊んでいる子どもたち、カタリナ様、アラン様を呼びに行く。
「おやつの時間です。」
「カタリナさん、アランさんもどうか召し上がってください。」
「いただきま~す。」
明るい声がひびいた。