乙女ゲームに登場する文学少女である伯爵令嬢に転生していた..... 作:Brahma
一方、王宮では急遽御前会議が開かれた。
「ザクセン侯、ヴラド公爵、このたびの魔法省での騒動、どう処置するか?」
「カタリナ・クラエスとガイ・アンダースンの処刑が適当かと。」
「ヴラド公、それは性急ではないか。カタリナをあやつった闇の魔力の少女がいるというではないか。それをどうにかしないと第二第三のカタリナが生まれるのではないか。」
「現に王の子息であるジオルド様、アラン様とその婚約者メアリ嬢、それに次期宰相との呼び声のあるアスカルト伯の長子のニコルが大けがをしている、議論の余地はないと思うが...。」
「??」
「ジオルド王子!」
ジオルドが従者に肩をもたれて、ずるずると連れられて御前会議の場に現れる。
「カタリナを処刑にしないでください。」
「ジオルド、いかにお前が王子といえこの場は御前会議だ。控えよ。」
「いえ、陛下、父上、カタリナはわたしの婚約者です。わたしの婚約者について発言する権利はあるはずです。わたしとカタリナ、ニコル、キース、ソフィア、メアリは約束しました。もし彼女が間違った道へいく場合は命がけでとめると。」
「しかし、お前もアランも現在重傷を負っているではないか。」
「でも陛下、父上、わたしは、彼女との約束を果たさねばなりません。幼馴染で生徒会でいっしょだった友人たちも必死になってカタリナをとめようとしています。どうか時間をください。」
「王子、そうはいっても騒動は止められない。もとを絶たねばならない。」
「そうですね。元をたたねばなりませんね。」
「ジェフリー王子、スザンナ・ランドール侯爵令嬢!」
「この事件は闇の魔力が働いているのです。その魔力を発揮しているのはこのサラという少女。」
サラの肖像画が取り出される。。
「この少女とその裏で動いている人間を捕まえるか、場合によっては処刑しなければ元をたつことはできないでしょう。陛下、調査のためにも時間をください。」
「闇の魔力だと...。ばかなことを。」
「現にラファエル・ウオルトがディーク公爵夫人によって実の母親の命が闇の魔力で奪われ、カタリナの弟もこのサラという少女にあやつられた従兄によって行方不明になっている。調査の必要があるとおもいますが。」
「わかった。カタリナとガイ・アンダーソンの件は、保留とし、そのサラという少女と闇の魔力の調査をすることにする。よいな。」
「陛下!そんな世迷いごとを信じるのですか?」
「ヴラド公爵、卿は、魔法省の次官でありながらディーク公爵夫人やキース・クラエスの誘拐事件をしらないのか?怠慢すぎないか?」
「それは、ディーク侯爵夫人の犯罪、キース・クラエスのものもただの誘拐事件で報告しているはずですが...。」
「ヴラド公爵、場合のよっては虚偽の報告ないしは公文書偽造になるぞ?」
「虚偽の報告をしているのはそっちじゃないか!」
「さあ、どうかな。」
ジェフリーはほくそえむ。
翌日、魔力魔法研究室では...
「サイラス様」
「マリア・キャンベルか?」
「光の契約の書の新しい魔法が解読できました。思い浮かんだものを紙に描くソートグラフというものです。自分で見たものも紙に描くことができます。」
「面白いな...ラーナが聞いたらどう思うか...。しかし、今の事態を切り抜けるのに役に立つとは思えないな...。」
「サイラス」
「なんだ、ラーナ・スミス。変人部署の部署長が何の用だ?」
「もうしわけない。聞こえてしまった。この風の魔法道具だ。遠くからの音をひろうということでテレフォンと名付けた。」
「いつのまに...。」
「そこにあるのはスピーカーという魔法道具で、その音をひろってこのテレフォンに流すんだ、」
「そんなもの置くな。」
「いいじゃないか。何事も実験だ。」
しばらく二人は言い争っていたが、マリアとデューイがとめる。
「こほん」
「じつはな、ソフィア・アスカルトが、カタリナをシリウス・ディークのかけた永遠の眠りから目覚めさせるきっかけを作ったのは知っているな。」
三人ともうなづく。
「そのときソフィアの脳裏、瞼の裏。そしてソフィアが自分の姿を映した窓に東洋人風の不思議な姿をした少女がうつったというんだ。その少女の姿をマリアの解読した魔法で紙に描いてカタリナにみせればなにか変化があるのではないかという気がするんだ。」
わたし佐々木敦子はおどろいた。その道具は、プッシュボタンはないもののなにかでみたカーテレフォンにそっくりだったからだ。
「マリア、そのソートグラフをこの箱にかけてくれないか。本人がこの耳あてと額にこの箱を接触したとき思い浮かんだものがこの箱に入れた紙に描かれるようにしたいんだ。」
「はい。」
「よし。このフォト・オブスキュラをソフィアのところへもっていくぞ。デューイ、マリアついてこい。」
「はい。」
「おいおい、ラーナ、二人の上司はこの俺だぞ。」
「わかった。サイラスも来てくれ。あらためて二人に職務命令を出してくれ。」
「命令。マリア・キャンベル、デューイ・パーシー、アスカルト伯爵家令嬢ソフィアのところへ行き、フォト・オブスキュラ使用の任務を命じる。」
「はい。」
二人は笑顔で答え、サイラスも微笑んだ。
一方、魔法省の敷地内では戦いが繰り広げられていた。カタリナ、ガイ・アンダースンと鼠にかまれた職員が舞い戻り、けがを押して出てきたジオルド、アラン、メアリ、ニコルと鼠にかまれていない職員とが魔法で戦っている。火、水の魔法の激しい応酬、アーセン・ゴーレム同士の戦い、キースもアーセン・ゴーレムを召喚して戦っている。アーセン・ゴーレムを出せるのがジオルド・キース勢に多いためになんとか戦えているものの、カタリナのケルベロスを三体のゴーレムでようやく抑えている状態で予断を許さない。鼠を出せるのがカタリナだけなので火属性の職員たちが待ち構え鼠を出すたびに焼き殺していくものの、何せ数が多いため、かまれる職員も続出して敵方に回り、形勢はじわじわと不利になりつつあった。