乙女ゲームに登場する文学少女である伯爵令嬢に転生していた..... 作:Brahma
お父様がやや慌てた様子で美しくもりりしい魔法省のガウンを着た女性、金髪のわたしと同じ歳くらいの女性というか、マリアさんに少年の3人を通す。
「ソフィア、お客さんだ。魔法省魔法道具研究室のラーナ・スミスさんだ。」
「ラーナ様?マリアさんに?」
「デューイ・パーシーです。ソフィア様」
「はじめまして」
「まあ、挨拶はそれくらいにして、早速だがソフィア嬢、これに額をあててくれ。思い浮かべたものを紙に移す魔法道具だ。」
「はい。」
「これは...。」
そう、まさしく映し出されたのは、高校時代のわたし佐々木敦子の姿。
「ほんとうにみたことのない少女だな。」
ラーナ様はそうつぶやくとわたしに
「よし、これを魔法省へもっていく。ソフィア嬢は思い出せる限りのものを念写してくれ。」
「はい。」
少女の写真を持ってラーナ様はあわただしく出ていかれた。
魔法省の戦いでは、鼠にかまれた職員が次々に敵方にまわっていく。
「うぐっつ。」
けが人のジオルドがついに敵のアーセン・ゴーレムにつきとばされた。
「ジオルド、大丈夫か?」
「アラン、そんな...ひまは...ない...は、ず、だ。戦って...く、れ。」
ジオルドは気を失い、首から力が抜け顔を横に向ける。メアリが一瞬心配顔になる。
「だいじょうぶ、気を失っているだけだ。」
アランがそういうと、メアリに黒い微笑が戻る。
「そうですわね。考えてみれば、あのジオルド様がこんなことくらいで死ぬわけがありませんわ。」
「おいおい、かりにも王子で俺の兄だぞ。」
「それよりもあのゴーレムを抑えましょう。アラン様。」
「ああ。」
アランとメアリは敵のアーセン・ゴーレムを水流でおさえるが、その水流が敵の風魔法でとばされる。アーセン・ゴーレムがアランをつきとばす。
「アラン様!」
メアリが叫ぶ。
「う..う...。」
アランは、あおむけに倒れ、先日の傷口が開いて出血している。
あわてて従者たちが、止血して運び出した。
ケルベロスを抑えていたアーセン・ゴーレムがついに敵のゴーレムたちに倒される。ケルベロスが襲い掛かってもはや全滅かと思われた時、
「カタリナ・クラエス!こっちを見ろ!」
ラーナの声がひびきカタリナが東洋人風の少女の「写真」、フォト・オブスキュラでソフィアから念写されたこの世界で二番目の「写真」、わたし佐々木敦子の上半身の画像がプリントされたものをみせる。
「....あっちゃん...。」
カタリナの潜在意識に訴える。
カタリナの動きが断続的になり、ガイ・アンダースンの動きと鼠にかまれた職員たちの動きもにぶくなっていく。しかし数の力はいかんともしがたく、魔法省に最後の時が近づいているように思われた。
そのとき光のかすみが一面にひろがる。マリアが祈りながらリペントを詠唱したのだ。
カタリナや敵の動きがますますにぶくなっていく。後ろから黒いローブの女が現れる。
「でてきたな、サラ」
「ラーナ・スミス、いやスザンナ・ランドール侯爵令嬢か。」
サラがほくそえむと周囲が闇になる。しかし、マリアが祈るとまた光のかすみがあたりにひろがり、光と闇が押し合いへし合いしている状態となる。
そのときだった。マリアがふらっとしてあお向けにたおれる。
「マリアさん!」
メアリが悲鳴を上げる。ついに体力の限界が来たのだ。次の瞬間、アーセン・ゴーレムとキースが突き飛ばされる。
「ね、え、さ、ん...。」とつぶやくと首から力が抜けてうつぶせに倒れた。
メアリも疲れ切っていて、死んだ魚のようなうつろな目になり、呆然として座りこんでしまう。
「よく頑張ったがもう終わりだな。ソルシェの魔法省はわれわれのものだ。」
ヴラド公爵が現れる。
「ヴラド、やはりお前か。」
「スザンナ・ランドール侯爵令嬢、上司になんという口の利き方だ。第一王子の婚約者とはいえこれで終わりだな。」
「ふん、のこのこと出てきおって。殊勝なことだ。どちらが終わりかこれからわかるだろう。」
「カタリナ様!」
ソフィアがなにやら紙をもってカタリナのそばへ寄ろうとする。
鎌がソフィアをおそった。
紙が空中にうかぶ。
「ソフィア嬢、あの紙には秘密があるんだな。」
「はい、わたしには読めませんがカタリナ様には読めるはずです。」
その紙が何なのか、わたし佐々木敦子は知っている。それは日本語で書かれたFortuune LoverⅡの攻略メモだ。
「お兄様、あの紙をカタリナ様のところへ!」
「わかった。」
ニコルの風魔法がその紙をカタリナのところへ風の魔力で流す。
「なにをしている。」
サラがいぶかって叫ぶ。
カタリナの顔にその紙がかぶさる。
この世界で唯一の日本語でかかれた紙だ。
「...あっちゃん...。」
とつぶやきカタリナの動きが完全に止まった。
ガイ・アンダースンとほかの職員たちの動きがにぶくなっていく。アーセン・ゴーレムが消えていく。同士討ちを始める者もではじめた。
「何が起こったんだ。」
「さあな。」
「サラ、ヴラド公爵。お前たちを国家反逆罪で逮捕する。」
いっせいに数十人の職員がサイレンスをサラへ向けて詠唱する。
「うぐ...。」
「つかまえろ。」
サイレンスで束縛され、身体も束縛されたサラは連行されていく。
「ウオオオオオオオオ~~~~ウオオオオオ!!」
その時 ヴラド公爵が吠えて、その身体が黒々と変化してみるみるおおきくなっていく。そして70mというそびえたつ姿になった。その姿は龍の身体を持つゴリラで胸をドラミングする。
わたしソフィアは、さきほどまで呆けた感じであったカタリナ様が魔法省の少女趣味の男の人に話しかけているのを見た。
「アンダースン先輩?」
「わたしのことはローラと呼びなさいと何度も...。」
「あれ??わたしたちどうかしていたんでしょうか?」
「カタリナ様!」
「メアリ、ソフィア、何が起こっていたの?あ、あそこに倒れているのはマリア?」
「正気に戻られたのですね?」
「え?正気って??」
「はい、実は...。」
わたしたちは一部始終をカタリナ様に話す。
カタリナ様の顔が青くなった。
「わたしがそんなひどいことを...ど、どうすれば...。」
「幸いにもけが人は多いですが死者はでていません。主犯はサラというあの女です。」
「それよりもあの化け物をなんとかしないと...。」
「??」
「どうしたんですか?」
「??あの狸狩りをしたときの鏡があつくなってる。」
カタリナ様が驚いた口調になった。
カタリナ様の影が大きくうねるように動いた。