乙女ゲームに登場する文学少女である伯爵令嬢に転生していた..... 作:Brahma
「しかし、この文字の書いてある紙が決め手になったのか...。」
それは日本語で書かれたFortune LoverⅡのメモである。
「文字は読めませんが、どうやら魔法省でマリアさんが恋をする物語が書かれているようなのです。先日フォト・オブスキュラで念写した画像をみせます。」
その画像はまさしくわたし佐々木敦子のゲーム用パソコンだった。部屋の薄いピンク色の壁も映り込んでいる。
あの世界では、まな板のように見えるデイスプレイとキーボードが写真になっている。
「このまな板のような部分に紙芝居のように絵が映し出されるのです。そしてこのソーセージ状のものの上で「矢印(※カーソルのこと)」で二回触ると絵が切り替わります。」
「サイラス、ソラ??これはデューイ?これはエテェネルの王子セザールじゃないか」
「そうです。わたしも驚きました。わたしたちの世界とそっくりなんです。」
「これは、カタリナ様です。ケルベロスを召喚し、鎌を振るっている...。」
「先日の姿とそっくりだな。」
「戦っているのはサイラス様、ソラさん、デューイくん、セザール様、ジオルド様、アラン様、お兄様、キース様とマリアさんです。」
「これは御前会議の場面だろうな、そっくりだが、カタリナが連行されて裁判になるところが違うな。」
「こちらは、闇の魔力をもったカタリナ様が勝利してしまう場面です。」
「マリアさんが死んで、サイラス様、ソラさん、デューイくん、セザール様、ジオルド様、アラン様、ニコル様、キース様が廃人のようになってしまう。」
「カタリナは知っていたのか?」
「いえ、魔法省にはいってからしばらくして知りました。夢のお告げで...。」
「カタリナ様、ラファエル様をディーク侯爵家の倉庫の隠し部屋で救った時も同じことをおっしゃってましたね。」
「はい...思い切って話すとわたしは別の世界からこの世界が描かれた電気信号による紙芝居のようなもの、それもソフィアが見せてくれた選択肢によって話がかわるものをやっていました。あの世界では「乙女ゲーム」と呼ばれるもので、マリアが主人公だったんです。」
「わ、わたしがですか?」
マリアさんが不思議そうな顔をする。
「うん、そうなの。」
「それでカタリナ様はわたしが思いを寄せる男性について繰り返しお聞きになっていたり、サイラス様とうまくいくようにしていたんですね。」
「その別の世界の親友だったのが「あっちゃん」なる人物でそれで闇の魔法が解けたというわけか。」
「そうみたいです。」
「わかった。興味深いな。転生前の記憶がよみがえれば闇魔法を解呪する力になるとは...今日のところはおそいからこれで事情聴取は終わりにする。カタリナはあしたからまた闇の魔法の練習と闇の契約の書の解読の続きをやってくれ。」
「わかりました。」
翌日、カタリナ様は魔法省に出勤して、いつものようにラファエル様に闇の魔法の練習をはじめた。
どくろのついた黒いステッキを振る。
「えいっ。」
「黒い豆のようなものが出たね。??」
「だんだん大きくなっていく?」
「そうだね。」
「な、なにこれ、引っ張られる」
「カタリナさん!」
それから急に黒い豆から強い力がかかってカタリナ様を吸い込んでいってしまった。カタリナ様をすいこむと消えた。
カラン...と音をたててどくろのステッキが地面にころがった。
ラファエル様はカタリナ様を捕まえる前に黒い豆にのみこまれたのをぼうぜんと見ていたという。
チュン、チュン、チュン...
わたしは、交通事故にあった内野さんの病室にいた。一命をとりとめたものの意識不明の状態が続き、親御さんに希望して看病をしていた。
「う、ううん...。」
わたしは驚いた。一生植物状態が続くという話だったが手を一晩中握り続けて、内野さんに語り続け、祈っていた。
「?あっちゃん??ここはどこ?」
「病院だよ。あなたは事故にあって、瀕死の重傷を負って、10日以上意識不明だったの。」
「あ、そういえば...ジオルドを攻略できなくて、朝起きて学校へ行こうとしたら何か硬いものにぶつかってから記憶が...。あのね、あっちゃんわたし不思議な夢をみたの。」
「どんな夢?」
「わたしがカタリナに生まれ変わった夢。破滅すると思ったから必死に対策をしたの。ジオルドとも、メアリともアランともソフィアともなかよくなってマリアちゃんとも仲良くなったの。」
「カタリナなのに?」
「そうそう。マリアのお菓子ってとてもおいしいし、マリアってとてもいい娘なんだ。」
「そして無事に魔法学園を卒業したら、魔法省に勤めることになって...あっちゃんがFortune LoverⅡをプレイしていたのをみて、そのとおりやったらしばらく上手くいってた気がしてたんだけど...あれ??はっきり覚えていない...なにがあったんだろう..。」
「Fortune LoverⅡって...Fortune Loverに続編が出るの?」
「うん、魔法省の新キャラがでるよ...あれ??誰だっけ??」
数日後
「内野さんの容体が?」
「どうしたの?」
「あの交通事故で打撲を受けていたので、複雑骨折が別の場所から起こって内出血が...。」
わたしは急遽病院へ行った。
内野さんは息もたえだえだったが意識はしっかりしていた。
「あっちゃん、今までありがとう。ようやくお礼が直接言えた...。」
「何言ってるのこれからじゃない!」
「あの世界にもどるよ...わたし...。さようなら...。」
内野さんの手を強く握った、しかし、だんだん皮膚から生気が抜けていった。内出血であちこちがエビ色ににじんでいた。
内野さんが言った通りあれから1年後Fortume Lover Ⅱが発売された。
近隣五か国会合の場面となり、ソフィアの部屋が映し出されたときに眠くなった。
わたしは、ソフィアの部屋にいてソフィア自身になっているようだった。そしてなぜかソフィアの身体をつかって衝動的に日本語でFortume Lover Ⅱについて書き綴っていた。
翌日目が覚めた時ふつうに自宅のベッドにいた。
わたしは、机の上にある内野さんと一緒に写っている写真に話しかける。
「いってきます。」
それから着替えて朝食をとり歯を磨いて登校した。よく晴れた日だった。
もし、生まれ変わることができるならもう一度あの子と友達になりたい...
エピローグ
僕ラファエル・ウォルトは、上司であるラーナ様にカタリナさんがどくろのステッキを振った時に現れる「黒い豆」に吸い込まれたことを報告した。
「不思議なこともあるものだな。」
「はい...ところで彼女は戻ってくるのでしょうか?」
「わからないな...でもソフィア・アスカルト嬢はなにか感じていることがあるのかもしれない。そのステッキを彼女にしばらくあづけてみようか。」
「そうですね。」
僕はほかにいい案が思い浮かばなかったので、ラーナ様の提案に従った。
「ソフィア様、お客様です。」
赤毛で灰色の瞳の好青年だった。
「ラファエル様!」
「ソフィア嬢。これをしばらくあづかってほしい。」
「これは...カタリナ様の...。」
「そうだ。どくろのステッキだ。カタリナ嬢はこのステッキの魔法が生み出す「黒い豆」というか「黒い孔」といったほうがいいだろうな...2日前に飲み込まれた。」
「そうなんですか。」
「念写したときのように、その「あっちゃん」を思い浮かべてほしい。なにかがわかるかもしれない。」
「はい...。」
(「カタリナ」はもどってきたよ。最後のあいさつといって...おそらく近いうちにそっちへ戻ると思う。)
2日後、どくろのステッキが震えた。「黒い豆」があらわれ、「豆」から強い風がふいてきた。
「うわっとと...。」
カタリナ様が「孔」から吐き出されたように現れた。
「カタリナ様!」
「ソフィア?ここはどこ?」
「わたしの部屋です!カタリナ様、ご無事でよかった。」
「そうなの。なんだかわからないけど...ただいま。」
「おかえりなさい。」
わたしはカタリナ様にだきついた。
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