乙女ゲームに登場する文学少女である伯爵令嬢に転生していた..... 作:Brahma
高2になってまもなくのある日、昼休みが半分終わったころ、わたしのクラスに内野さんがやってきた。今日はきゅうりだけを食べてきて、遅刻して呼び出されたのだという。
「また遅刻して呼び出されたってクラスの子に聞いたよ。どうせ、ゲームにのめりこんで夜更かししたんでしょう。」
えへへ...と内野さんは苦笑して見せる。
「で、Fortune Loverはどこまで進んだの?」
「いま俺様王子のアランを攻略できそう。」
「そうなんだ。」
「メアリって素敵だよね。すごく気が付いて、なかなか主人公にアランを渡さないの。」
「たしかにあそこまで気が付くのは本当にアランを愛しているからだよね。」
「でもなんとか糸口がつかめたから。苦労した~。あ~今朝はきゅうりしか食べてないからおなかぺこぺこ。」
「じゃあわたしの卵焼きあげる。」
「ありがとうあっちゃん様」
そんな風にその日も楽しく過ごした。
それから一週間後、今から思えば内野さんが事故に遭う2日前だった。
「Fortune Loverは、どこまで進んだの?」
「俺様王子とチャラ男は攻略できたんだけど、腹黒ドS王子がなかなか攻略できなくて...ライバルキャラの悪役令嬢カタリナのじゃまがすごくて。」
「カタリナは婚約者だからね。必死だよ。」
わたしはへへんと笑みを浮かべながら
「わたしは全部クリアしちゃったよ。」
とドヤ顔をする。内野さんはおどろいて
「えっ!?、もうクリアしちゃったの?」
「攻略キャラ4人はもちろん、隠しキャラも全員攻略しちゃった。」
「さすが。あっちゃん、早いね~、やっぱり隠しキャラもいたんだ~。」
「うん、攻略キャラを全員クリアすると攻略できるキャラとして出てくるわよ。ちなみにどのキャラだったか知りたい?」
「ちょっと~やめて~聞きたくない~~ネタばれ禁止~」
内野さんは耳をふさぐが、わたしはちょっと意地悪い笑みをうかべて
「隠しキャラの攻略はけっこうたいへんでね~、闇の魔力を持つ危険人物なんだよね。攻略が成功すれば主人公と甘々なハッピーエンドなんだけど、攻略が失敗したら主人公とその友人の生徒会メンバーが彼に殺されてしまうってひどいバットエンドなんだよ。ちなみにそのキャラは赤い髪に灰色の瞳をもっている童顔のキャラなんだ。」
このことが実は役に立つことになるとは夢にも思わない。
帰路彼女と一緒に変える帰り道
「どう、今日うちへ寄ってく?」
「ううん、帰るよ、なんとか腹黒ドS王子を攻略したいし。」
それが彼女に会う最後になるとは思いもよらなかった。
その翌日の明け方突然目が覚めた。春なのに冷え込んで星がよく見えた。
なぜかぼんやり小さな雲のようなものが見えたような気がした。それが高校1年の秋に夜空で見たものとおなじアンドロメダ銀河だと知ることになる。230万光年離れ、光速ロケットで往復56年で到達するという。窓をしめた直後にひときわ明るい赤みを帯びた流れ星があったことにも気が付かなかった。
わたしは、内野さんとのにぎやかで楽しい日々がずっと続くと思っていたが、その終わりは突然やってきた。
その日は、偶然スマホを自宅に忘れてきたこともあって、内野さんが登校していないことに気が付かなかった。
(今日は内野さん、遊びに来ないな~かぜでもひいたかな)と思っていた。
放課後に担任の教師がわたしを見て
「佐々木、4組の内野真樹子さんが登校中に交通事故に遭ったって聞いていないか?」
「え?」
「そうか。実はな、ここの交差点で自転車で飛び出して事故にあったんだ。あわてものだからいつかこんなことにならなければと思っていたのだが....」
わたしは一瞬固まってしまい、突然のことで信じきれなかった。
お通夜でもお葬式でも実感がなく泣くことができなかった。
また数日後ひょっこり昼休みにくるのではないかという感覚が残っていた。
お葬式が終わって数日後、スマホに未読メッセージがあることに気が付く。
時刻は、事故の前日の深夜。困り顔のマリアのアイコンに吹き出しがあり
「あっちゃん、腹黒ドS王子が攻略できない~」
と書かれていた。
最後のメッセージがこれって....わたしは、あの子らしいメッセージに思わず噴き出して涙が出るほどだったが、それが引き金になって悲しい気持ちが怒涛の津波のように襲ってきた。あの子がもう二度ともどってこない...そのことがその時になって心に突き刺さる痛覚、喪失感となり、津波におぼれたような息苦しさを覚えしゃくりあげた。
これからわたしはあの子のいない日常を生きていく。
あの子は、あの子以外の友人をはじめわたしにかけがえのないものをくれた。
しかし、わたしのその後の人生は、結婚し主婦兼限りなくフルタイムに近いパートとなって必死に家計と夫を支え、子どもを育てたが、子どもの就職、夫の退職を目の当たりにしたときにほっとした。もう私は楽になれると感じて過労で死亡した。
享年60歳。
もしこの世界で命が尽きて、新しく生まれ変わることができるならもう一度あの子と友達になりたい...
と願ったようにそのようになった。
さて、わたしは、ソルシエ王国のアスカルト伯爵家に生まれ、ソフィアと名付けられた。父も母も聡明で美しく優しく、兄のニコルも同様だった。父は、領主としての経営手腕に優れていて、領地の商工業、鉱山開発で発展していた。それゆえに王様に媚びる輩に評判がよくなくて誹謗中傷されていた。現在のソルシェ王は、評判のいいはずの貴族の領地は治まっておらず、父の領地が治まっていることで宰相に抜擢した。そういう事情もあって家は裕福であり、父ダン・アスカルトは30台という若さでソルシエ王国を切り盛りする宰相になった。父は単純に優秀だったから宰相になったのだが、政争で宰相になれなかった貴族たちからはねたみも多く、わたしの容姿はかっこうの標的となって気持ち悪がられた。4歳の時にお披露目のお茶会の時に老人のように白い髪、血のように赤い瞳ということで呪われた子として、アスカルト伯爵は不正をしたからその呪いだと敵方の貴族たちからは陰口をたたかれた。
そのため、外へ出ることを避けるようになった。まるで小学校時代の佐々木敦子そのものだった。
わたしは、奇しくも前世と同じように自宅の中で本ばかり読む少女になっていた。
本の世界、ロマンス小説の世界ではわたしは自由になれた。活躍することもあれば、エスコートされる姫にもなった。ときには王子になることもできた。
お兄様はお父様やわたしを貶めようとする貴族たちの不正の情報を集めているようだった。
王様に媚びる輩に評判がよくなくて誹謗中傷されていた。現在のソルシェ王は、評判のいいはずの貴族の領地は治まっておらず、父の領地が治まっていることで宰相に抜擢した。
田敬仲完世家
威王、即墨の大夫を召して、之に語げて曰く、「子の即墨に居りし自り、毀言日に至る。然れども吾、人をして即墨を視しむるに、田野は闢け、民人は給り、官は留事無く、東方は以て寧し。是れ、子の吾の左右に事え、以て誉れを求めざればなり。之に万家を封ず。阿の大夫を召し語げて曰く、「子の阿を守りし自り、誉の言、日に聞こゆ。然れども使いをして阿を視しむるに、田野は闢けず、民は貧苦す。昔日、趙、甄を攻むるや、子は救うこと能わず。衛、薛陵を取るや、子は知らず。是れは、子の幣を以て吾の左右に厚くし、以て誉れを求むればなり。」是の日、阿大夫を烹る。及びて左右の嘗て誉めし者は、皆并せて之を烹る。
(斉の威王は、即墨の大夫を召して、「貴殿に即墨を治めさせてから、誹謗中傷ばかり聞いてきたが、実際に監察官をひそかに送ってみたら、耕地はよく耕され、住民は満ち足りて、事務がとどこおりなくなく行われていて、心配事がない様子が見て取れた。それは貴殿が私の側近にわいろを贈るなどして称賛させなかったからだ。」そのため万戸侯にとりたてた。一方阿の大夫を召して「貴殿に阿を治めさせてから、ほめたたえる言葉ばかり聞いてきたが、実際に監察官をひそかに送ってみたら、耕地は荒れていて、住民は貧困に苦しんでいた。だから趙が甄を攻めきたとき、貴殿は出兵することができなかった。衛が薛陵を取ったときは、貴殿は気が付かなかった。それは、お前がわたしの側近たちにわいろを贈って、お前をほめるように仕向けたからだ。」そして、阿の大夫を煮殺す刑に処し、阿の大夫をほめた者どもも煮殺した。)