乙女ゲームに登場する文学少女である伯爵令嬢に転生していた..... 作:Brahma
魔法学園に入学して最初の試験は、アラン様に次いで4位でメアリ様は5位だった。
魔法の成績はメアリ様のほうがよく、学問のほうは、読書の蓄積がモノを言ってジオルド様に次いで2位だったが、お兄様のように魔法をうまく使えないこともあって魔法の成績がいまひとつだったので総合で4位になった。平民で光の魔力をもつマリア・キャンベルさんは総合2位、そしてメアリ様、キース様とともに生徒会に入ることになった。
マリアさんが、光の魔力を持ったがために貴族の隠し子と誤解され、努力に努力を重ねてきたという境遇をお聞きしたとき、メアリ様も私に話したように末の四女で母親が貴族でないことで卑しい身分の血が流れているとけなされ。つらい目にあってきたが努力してきたんですと話され、皆さんは、お互いに深く同情された。
さてある日カタリナ様から提案があった。
「みんなに話があるんだけど。」
「先日、キャンベルさんが、中庭で貴族令嬢たちに囲まれてハンド・フレイムで危害を加えられそうな場面をみたの。わたしが土ボコでとめたんだけど、どうやらそういうことが頻繁にあるようなの。」
「僕もそういえば見たことがあります。とめたんですけどね。困ったことです。」
会長が話をあわせてくる。
「そうでしたか、目が行き届かずすみませんでした。王族として責任を感じます。」
「そんなことがあったのか。気が付かないですまなかった。俺も王族だ。責任を感じる。しかしとんでもないことだな。」
アラン様が憤慨しメアリ様がかすかに顔をしかめてうなづく。
「身分差があるとはいえ、それをむやみに振りかざすことが許されるのなら国の法が成り立たない。」
二コル様が言うとジオルド様がうなづき、
「まったくそのとおりですね。」
と付け加える。
「義姉さんにも話したのですが、キャンベルさんを一人にしないほうがいいと思います。」
「そうですね。なるべくだれか一緒に行動しましょう。なにかあるときはキャンベルさんとペアになるとか...私たち全員がそろわないことはあってもキャンベルさんを一人にしないようにしましょう。」
「とくに昼食の時間は一人にしないほうがいいとおもうの。キャンベルさんが中庭で一人で昼食をとっているときにそのようなことがあったので。」
カタリナ様の発言をききながらわたしといっしょにメアリ様もうなづいている。
「マリアさん、私たちと一緒に食堂でめしあがりませんか?」
メアリ様が提案し、わたしも
「メアリ様のおっしゃるとおりです。それに皆といっしょのほうが楽しいし、おいしいですわ。」
と付け加え、メアリ様もうなづく。
「はい、ありがとうございます。」
「そうですね。メアリとソフィアが一緒なら安心です。」
「ん??ジオルドさまぁ~、なぜ私の名前がないのですか?」
「えっと、カタリナは私の婚約者ですから二人で食事する機会がもっとあったほうがいいのではということです。」
「いーえ、義姉さんのことは義弟のわたしに任せてください。王族に輿入れするにもまずマナーです。食事のマナーの練習もしないといけないので。」
なぜか話がそれて、わたしもマリアさんもメアリ様も苦笑してしまう。
夏休み。
わたしは、自宅に本を持って帰りたいので早々と夏休みの課題を片付けた。
このことを休み明けに話したら、夏休みの終わりごろになってキース様にも手伝ってもらったというカタリナ様だけでなく早々と夏休みの課題をかたずけたというメアリ様にも苦笑いされた。
わたし佐々木敦子は、今の私であるソフィアの意識に語りかける。
内野さんとTUTAYAなどで本やゲームやDVDを買ったり、喫茶店やファミレスで楽しく過ごした思い出だ。
Fortune Loverや乙女ゲーム以外にも、『アート・レイピア・オンライン』、刀のイケメン擬人化の『剣舞刀舞』、『天の川星雲英雄伝説』のラインホルト・フォン・エパミノンダスと親友ペロピダス・キルヒイース、そして彼らが率いる天の川星雲帝国軍には腐女子が夢中になるBL仕立ての「神聖槍騎兵」という勇猛なイケメン軍団をはじめとするハンサムな提督たちがいて人気があった。こうした好きな作品について話したり、グッズを集めたり、時にはグッズを買いすぎてクレープを半分こして食べたり、高校生なのでコラボカフェで一、二品しか頼めなくても楽しくすごした思い出だ。
そうしているうちに「魔性の伯爵」シリーズの新刊の発売予定日になった。
今日はカタリナ様といっしょに会うことになっている。
わたしは、目立たないように長い髪をまとめて結び帽子のなかにしまい、しまいきれなかった髪はポニーテール状にして背中にたらす。
お兄様も一緒だ。
お兄様は美形なので町へ出るとたくさんの視線をあびるようで何か注目されている。
カタリナ様が、
「ソフィア、あのお店はなんだろう。いってみようよ。」
というので入ったら素敵なアクセアリー店だった。
「これ、ソフィアに似合うんじゃない?」
カタリナ様がすすめてくれたのは、黄色い雄蕊をあしらった白い花のついたヘアピンで帽子にもつけられるものだ。非常に上品なもので私も気に入ってしまった。そして購入して帽子につける。
「カタリナ様にはこれがお似合いです。」
赤やピンクの小さな花をあしらったヘアピンだ。カタリナ様も気に入ったようで髪につける。上品なうえにアクセントになっている。それから目的の本屋を見つけると、お目あての「魔性の伯爵」シリーズ以外にも気にある本がいくつもあった。王子と敵国の王子の恋物語とか。
「なかなかディープね。」とカタリナ様は苦笑いをしていた。
お菓子屋さんもいろいろな種類があってわたしもカタリナ様も夢中になって何種類も購入した。
「はあ~今日は本当に楽しかったわ。」
カタリナ様が満足そうに話す。
本、お菓子、雑貨....
「はい、町へ出てこんな楽しく感じたのは初めてです。」
「さあ、帰りましょうか。」
と声がかかったとき、私は買い忘れがあったことと、昔カタリナ様と買い物に行ったような気がすることと、お兄様がもっとカタリナ様と親しくなって私の義姉になってほしいということを同時におもいだした。
「そういえば、なにかカタリナ様とはるか昔にこのように買い物したりしたような気がします。」
「え、町へ買い物にきたのははじめてだけど...。」
「そうですね、夢に見たのでしょう。ていうか、あまりのも楽しくてもうひとつの目的をわすれていたようです。」
「どうしたの?ソフィア?」
「買い忘れがあったので、もういちど買い物にもどります。」
「え~、それならわたしも一緒に行くわよ。」
「いえ、使用人について行ってもらうので大丈夫です。カタリナ様はここでお兄様とお待ちになっていてください。」
それからお兄様に小声で耳打ちする。
「お兄様、頑張ってください。」
わたしは買い物にいってもどってみると、カタリナ様はお兄様の魅力にすっかりめろめろになっている様子だった。馬車に乗っているうちに正気にもどったようで私は複雑な気持ちだった。