モトラド(空を飛ばないものを示す)のエルメス共に色々な国を旅するキノ。
今日はどんな国を訪れるのだろうか?

投稿予定
第1話:動物達の国(ボノボノ×キノの旅)
第2話:2人の旅人の話(刀語×キノの旅)
第3話:おかしな国(ボボボーボ・ボーボボ×キノの旅)
第4話:お菓子な国(焼きたてジャパン×キノの旅)

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今回キノ達が訪れた国、それは動物が言葉を話す珍しい国であった


動物達の国

 相棒のモトラド(一般的に空を飛ばないものを示す)と共に旅するキノ、彼女達はとある国を目指していた。

 

「キノ、本当に動物が言葉を話す国なんてあるのかな?こういっちゃなんだけど、にわかに信用できないよ」

 

「エルメスだって喋っているんだから、動物が言葉を話す国があっても驚かないよ。」

 

「それに・・・」

「それに?」

 

 ここで、一旦何かを考えていたらしく話を中断させるキノ。中々返答が来ないことにもどかしくなったエルメスが催促するように言葉を放つ。

 

「それに、の次に何て言おうとしてるの?そこで止められるととっても気になるんだけど」

 

そこで、短く笑いエルメスにこう返す

 

「それに、陸のような例もあるしね」

「うへー」

 

 キノが言う「陸」とは、以前コロシアム(原作1巻4話)で出会った剣士、シズが飼っているサモエド犬の事である。見た目は全身雪のように真っ白い毛並みに、いつも笑っているような表情、性格は大人しく飼い主にとても従順な大型犬である。(何故かエルメスとは犬猿の仲)

 

「まさか、あの犬の話が出てくるとは思わなかったよ」

「ごめんよ、そういう反応になるだろうと思って言わないでおこうと思ったんだけど」

 

「思ったけど?」

「エルメスが聞いてきたから、答えちゃったよ」

 

「うへー」

 

 1人と1台がそんな、とりとめもない事を話ながら走っていると一匹の動物を目にする。

 

「動物が、2足歩行してる・・」

「本当だ、とてもかわいいね。シマリスかな?」

 

 エルメスの言葉にどこか、ピントのずれた返答をするキノ。

 とりあえずキノ達は、自分の身長ほどのくるみを抱き抱えたシマリスと思われる2足歩行の動物に近ずき自己紹介を始める

 

「はじめまして」

「!!」

 

「僕はキノ、此方は相棒のエルメス」

「よろしくねシマリス?さん」

「・・・ぢめる」

 

 何か言葉を発したようだが、断片的にしか聞き取れない。

 再びシマリスから先程の言葉が、今度はキノにも聞き取れるくらいしっかりと発せられた。

 

「いぢめる?いぢめる?」

 

小首をかしげながら、そう問いかけるシマリス。

 

「あ~あだからいつもいってるじゃないかキノ。そんな、これ見よがしに見える位置にパースエイダー(銃器)を吊っていたら誤解されるって」

 

「きっと、それで撃たれて食べられちゃうと思ってるよ」

 

 茶化すエルメスを適当にあしらい、再びシマリスに向き直るキノ。そして、先程と同じ自己紹介を行い、自分達は旅人でありこの近辺に国がある事を聞いてやって来たこと、そして出来ればそこで3日間滞在したいことを丁寧な口調で付け足した。

 

「フムフム、じゃあシマリスちゃん達がすんでいる集落に案内してあげるでぃす」

 

「誤解が解けてよかったね」

「多分エルメスが余計なことを言わなければ、誤解は生まれなかったと思うんだけど」

「まあまあ、発車オーライということにしようよ」

 

「もしかして、結果オーライ?」

「そうとも言うね」

「・・・」

 

 そんなやり取りをしている間に視線をあげると先程までいたシマリスの姿が消えてしまっていた。さて、どうしたものか。先に行ってしまったのだろうか?等と考えていると、ふとジャケット右胸のポーチに妙に違和感がある事に気がつく。

 キノが中を開け確認するとそこには、先程のシマリスが快適そうにくつろいでいた。

 

「そこは、弾が入っているからちょっと待っててね」

 

 そういうと、一度シマリスをポーチから取り出しつつ手際よく中の弾を取り出す作業にかかる。捕まれているシマリスは小首をかしげながら不思議そうにキノを見つめあの言葉を呟く。

 

「いぢめる?いぢめる?」

「いぢめないよ・・・よし!これで大丈夫。さぁどうぞ」

 

 中の弾を全て取り出し再びポーチにシマリスをしまうキノ。1人と1台と1匹は目的の集落目指して、進み始める。険しい獣道を走り続けること約30分、家らしき建物が集合する集落を漸く確認できたキノ一向。集落まであと、数百メートルと言うところでどこか気の抜けた声が聞こえてくる。

 

「シマリスちゃ~んどこ行ったの~。シーマーリーすちゃ~ん」

「おーいシマリス~」

 

 声のする方に進むとこれまた言葉を話す2足歩行のアライグマとラッコに出会った。

 

「うわ~お~ば~け~」

「逃げるぞボノボノ!!このままじゃ俺達食べられちゃうぞ」

「い~や~だ~。食べないで~」

 

 キノを目にし、泣きじゃくるボノボノ。今まで人間を見たことがない彼らにとってこの反応は当然といってもよかった。

 さて、どうすれば刺激せずに誤解を解いてもらえるだろうか?そう考えているとふと胸ポーチから、どうやら彼らの声を聞いたシマリスが隙間から顔を覗かせ2人声をかけていた。

 

「ボノボノちゃ~ん」

「あ~!!シ~マ~リ~スちゃ~ん。どこ行ってたの~」

「心配したんだからなシマリス~!」

 

 3匹が感動の再開をはたしたのもつかの間、シマリスが手際よく二匹に事情を説明してくれていた。シマリスのナイスアシストもあり、キノ達の目的を理解した彼らは目的地まで案内する。

 

 何故か、キノのエルメスに乗り込む二匹。流石に一人用のモトラドに三人?乗りは厳しいところがあるが、あえてそこには突っ込まず集落を目指す一向。

 

「重い・・・」

「まぁまぁ、あとほんの少しだからがんばってねエルメス」

 

「・・・・・重い」

 

 エルメスの10回目の重いを耳にし、集落にたどり着く一向。早速集落の長である長老に挨拶に向かい、そこで自己紹介兼3日間の滞在希望をつげる。

 快く長老の許可を得たキノ一行は早速歓迎の為の宴に招待された。当然ではあるが宴会出席者はキノを除き全員が動物であった。

 

 スナドリネコにプレーリードック、はたまたシャチやラッコ。極めつけにはオオサンショウウオまで。陸・海・空ほぼ全てに生息する動物達がこの集落に存在し人語を操るという本当に不思議な空間がそこには発生していた。

 

「なぁ、他の国ってどんなところなんだ?教えてくれよ」

「僕もしりた~い」

「シマリスちゃんも!シマリスちゃんも!!」

 

 集落に動物以外が初めて訪れた事もあり、キノはボノボノやアライグマ君達はもとより、様々な動物たちから他国はどんなところなのかを訪ねられた。

 宴会を開き、おまけに居住空間を提供してくれた彼らに、快く今まで訪れた国の話を伝える。

 

「そうですね、じゃあ恐らく訪れた国全部は話きれないと思いますが・・・」

 

そういうとキノは、訪れた幾つかの国の話を始める。

 男と女性別ごとで全ての住人の顔が同じ国のお話(同じ顔の国)、どんな犯罪行為をしても罪には問われない国(人を殺すことができる国)、国自体が移動している国(迷惑な国)等々、外の世界を知らない彼らにとっては全てが新鮮であった。

 

「どうしたんだい?シマリスちゃん?」

 

 宴もたけなわとなり始めたところで、キノとなりに腰をおろすシマリス。

そして、キノにこんなお願いをする。

 

「キノさん、シマリスちゃんも外の世界にいってみたいの」

「うーん」

 

「ダメ?ダメ?」

「どうしようか、エルメス?」

「いいんじゃない?リス一匹だけならそんなに重量に変化はないし」

 

 返答に困りエルメスに助けを求めるも、そうはぐらかされるキノ。見事にあてが外れてしまったキノは条件としてご家族の同意を得られればつれていくと行ってしまった。

 

「あんな、約束してよかったの?キノ」

「まあ、ああ言わないと引き下がりそうになかったしね」

 

「もし家族の同意を得られたらどうするのさ?」

「そのときは・・・」

 

「そのときは?」

「そのとき考えるよ。今日はもう寝る時間だおやすみエルメス。」

 

「さいですか。おやすみキノ」

 

こうして、1日目が終了した。

 2日目は昨日同様、彼らに旅のはなしを行う。所持していた携帯食料を珍しげに見ていたので彼等におすそわけしてあげた。

 

「ま~ず~い~よ~」

「おいしくはないな」

「シマリスちゃんは結構すきでぃす」

 

 三者三様の反応を示しつつ、食べ進める。そんな姿を微笑みながら見つめるキノ他の国では感じることができない、どこかゆったりとした時間。

そんな、不思議な空間を楽しみつつ2日目もあっという間にすぎていった。

 

 そして、最終日となった滞在3日目長老への挨拶も終わりエルメスに跨がるキノ。

そんな彼女達を見送るため、広場は大勢の動物達で賑わっていた。

 

「さよ~なら~」

「元気でなー」

 

 口々にキノへ別れの言葉を告げる動物達。しかし、そのなかにシマリスの姿はなかった。

 

「以外だねきっといの一番に来ると思ったんだけどね」

「恐らく家族の同意が得られなかったんじゃないかな?」

 

 近くにいた、ボノボノに尋ねると案の定予想通りの答えが帰ってきた。シマリス家族によると今は不貞腐れて自宅で寝ているのではないか?との事である。

 

「よかったねキノ。本当に許可得ていたらどうしようもなかったもんね」

「そのときは、一緒に旅をするのも悪くないと思っていたけどね」

 

 そう呟き、一人と一台は国を出国した。そして、出国から暫くエルメスを走らせているとき、ふとキノがある違和感に気付きエルメスを停車させる。

 

「どうしたのさ?キノ」

「ちょっとね・・・」

 

そういうと、おもむろにジャケットの右胸のポーチを確認し呟く

 

「やっぱり」

「何がやっぱりなのさ?」

 

 エルメスにも見えるようにポーチ内を見せる。そこには、熟睡しているシマリスの姿があった。いつ侵入したのかは不明だが、恐らく家族と喧嘩別れしたあとポーチに潜り込んだのであろう。これならば、あのとき姿を表さなかったのも納得がいく。

 

「・・・どうするのさ?」

「どうしよっか?」

 

 エルメスの質問に質問で返すキノ。そうこうしているうちに、シマリスが目を覚ます。そして、キノを見つめ首をかしげながらあの言葉を呟いた

 

「いぢめる?いぢめる?」

「いぢめないよ」

 

そう言ってキノは優しく頭を撫でていた。

 

「シマリスちゃん、僕達はこれから旅に出るんだ。旅では当然危険なこともあるし、不便なことも強いられる。」

 

「それに、3食の食事とベットに毎日ありつける保証もないしね」

 

「そういうわけだから出来れば、君には元の村に戻ってほしいんだ。勿論ちゃんと送り届けるよ」

 

そう説得するもシマリスは頑なに首をたてには降らなかった。

 

「大丈夫、シマリスちゃんこう見えてもとっても強いの。きっと役に立つときが来ると思うのでぃす」

 

「だって、どうするのさ?」

 

 シマリスの説得成功の確率はどうやら低いようだ。無理矢理連れて帰る手もないわけではないが、恐らく抵抗し逃走を図るであろう。ここまで小さいと捕まえるには、一苦労だ。

 

「わかったよシマリスちゃん。でもこれだけは覚えていてほしい。」

 

「さっきもいったけど、旅は本当に危険で不便なことも一杯あるんだ。どうしても耐えられないと思ったら直ぐに僕に言ってね。」

 

「そのときは、どんなの遠くにいようとも必ず君の国に送り届けるから」

 

その言葉に、握りこぶしに親指をたてて。了解のポーズを取るシマリス。

 

新たな仲間が加わり、一人と一台そして一匹の旅は続く




 自分に絵力があれば、キノとエルメスとキノのポーチから顔を出すシマリス是非かいてみたかったですね(願望)

 他作品との2足のわらじならぬ、3足のわらじで並行作成中のため恐らく投稿ペースは非常にスローリーです。ご容赦ください

PSボノボノって今考えるとケ○ノフレンズのさきがけ作品ですよね


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