ただ単に願望を書き連ねただけですすいません欲求に勝てませんでした許してください何でもしますから何でもするとは言ってない

家族にトラウマがある方は回避してくださいお願いします

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願望を書きたい衝動に勝てなかった今は反省していない


セントルイスに甘えるだけの話

大好きな、愛してやまない私の大切な家族に捧ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その男は自室で、明日から始まる訓練の準備を終えようとしていた。

訓練期間は1週間。

別の鎮守府の指揮官達と共に、とある大規模演習に参加する。

 

準備は万端…少なくとも、男の手の届く範囲では、これ以上ない準備を整えた。

正直不安もないわけではない。

でも今更調整するにも遅すぎるし、些細な事なら当日の認識合わせですり合わせる方が良いだろう。

今は手荷物を纏め、書類をケースにしまい込んで、ひとっ風呂でも浴びるのが良い。

 

 

 

男はようやく作業をやめて、ふと窓の外を眺める。

時間はもう午後の6時を回るか回らないかといったところで、随分と時間を喰ってしまったと肩を竦めた。

窓の外では夕陽が地平線の彼方へと消え行かんとしている。

それは過去何度も見た風景でもありながら、哀愁漂うその様は目頭を熱くさせるナニカがあった。

 

 

「…指揮官く〜ん?…あ、いたいた!」

 

 

ぼぅっと窓の外を眺める男の自室に、彼自身よりも背の高い女性…いや、KANSENが入室する。

鮮やかな蒼で彩られた髪の毛、暗褐色の優しい瞳、常に余裕ある物腰の彼女の名はセントルイス。

自室で窓の外を見ながら想いを馳せている男の、秘書艦にして嫁艦だ。

 

彼女は飛び切りの笑みを浮かべて、窓の外を見ながら微動だにしない男の正面に回る。

 

 

「指揮官くん、どうしたの?演習の準備はもう終わっ………」

 

 

だが、男の前に回ったセントルイスは、自然と口を噤む。

彼女の知る限り、この男は泣き言の多い"甘えん坊さん"ではあれど、実際にKANSEN達の前で泣き喚く事はない。

その男が窓の夕陽に瞳を向けて、静かに涙している様は、あまりにも物珍しく、でも決して揶揄う気にもなれなかった。

 

 

「指揮官くん……」

 

「………ッ!?っと、悪い!格好悪いこと見せちゃったな。」

 

「どうしたの、指揮官くん?辛い事でもあったの?」

 

「いやいやいや、何でもない。忘れてくれ。」

 

「………むぅ」

 

 

セントルイスは頬を膨らませて、窓辺から立ち去ろうとする指揮官の前へ先回りする。

まるでいたいけな少女が何か気に食わなかった時にするソレのようだが、指揮官の方はそんな彼女の可愛らしさとさえマトモに向き合おうとはしない。

 

 

「本当に何でもないんだ、忘れてくれ!」

 

「嫌よ指揮官くん!コレをくれた時、お姉さんと約束したじゃない。お互い、何かあったら包み隠さず話すって。」

 

「…………」

 

 

セントルイスが左薬指の指輪を高々と掲げながら指揮官に迫る。

 

 

「約束を反故にするなら、私にも考えがあるわよ?」

 

「いや、その…"何かあった"わけでも…」

 

「むぅ………」

 

「はぁ、分かった。話すよ。」

 

 

指揮官は自室の真ん中に配置されているソファに腰を下す。

よほど疲れ切った日には彼はこのソファで寝込んでしまい、セントルイスに見つかって本来のあるべき場所…つまり寝室のベッドへと移動させられたことも何度かあった。

今はそのソファに1人の男と1人のKANSENが腰掛けている。

先に腰を下ろしたのはKANSENの方で、彼女は真っ白な太腿を二つ並べると、それを両の手で軽く叩いてみせた。

 

"パン、パン"

 

意図はあまりに明白で、彼女は自身の指揮官にして夫が後頭部をその魅惑的な柔肌に預ける事を期待しているのだ。

指揮官はため息を吐き、彼女の期待に応える他ない。

さもなくばセントルイスはまた膨れっ面をして、アレコレ問いただすまで付き纏う事だろう。

 

"指揮官から夫"へ、"指揮官から甘えん坊さん"になり、大人しく後頭部を彼女の太腿に任せる。

眼前にはあまりにも巨大な二房の塊が迫り、彼女の扇情的な衣装がその下部を露出させているが…不思議と"ソッチの気"は起き上がらない。

むしろ、彼女の顔と自身の顔の間に障害物があるおかげで、指揮官の懺悔に気恥ずかしさを持ち込まずに済みそうだった。

 

 

 

「…さあ、指揮官くん。何があったのか、言ってみて?」

 

「………」

 

「恥ずかしいかもしれないけれど、言葉にして口に出せば気持ちはずぅっと楽になるわ。」

 

「………いつか話したかもしれないけど、俺は…高校から寮生活だった。」

 

「ええ、聞いた事があるわ。」

 

 

セントルイスが静かに目を瞑り、指揮官の頭を撫で始める。

母親が幼子にそうするように。

今では指揮官も目を閉じて、遠い昔の過去に想いを馳せていた。

 

 

「両親の元には、夏と冬に帰れた。長い連休の時も帰ってた。でも…」

 

「………」

 

「………歳を取るに連れて、段々帰れなくなっていった。いや、帰らなくなっていった。…俺の親父も海軍軍人だって話もしたっけか?」

 

「ええ、聞いたわ。」

 

「………俺は…きっと親父の願ったような男にはなれなかった。だから自分から敬遠してたのかもしれないし、今もそうなのかも…いやきっとそうなんだ。でもさっき、窓の外の夕陽を見た時…ふと思ったんだ、"家に帰りたい"って。」

 

「………」

 

「ウチの部屋からもああいう夕陽がよく見えた。その景色が重なったのかもしれない。とにかく、急に帰りたくなったんだ。そして後悔もした。」

 

「後悔…って?」

 

「先週休暇をもらってたろ?せっかく家に帰れるチャンスだったのにフイにしてしまった。」

 

「でもあの休暇は4日間しかなかったじゃない。指揮官くんの家に帰るなら…」

 

「ああ。2日は移動で潰れる。でも帰れないことはなかったんだ。自分で自分に言い訳をしてたんだよ。家に帰れたのに…せっかく両親に顔を合わせて団欒に望める機会があったのに…。帰省はしなかった癖に海軍学校の同期生との飲み会には参加してた。」

 

「………」

 

「ははははっ…悪かったな、セントルイス。変な話に付き合わせてしまった。いい歳したおっさんが家に帰りたいなんて、子供じゃあるまいし。…っと、それじゃあ演習資料の復習でも」

 

 

指揮官は立ち上がろうとしたが、しかし、結果的に彼が立ち上がることはない。

彼の上半身はセントルイスの巨大な二つの塊によって抑えられて、起き上がるために十分な動作をすることができなかったのだ。

押さえつけられた指揮官は大人しく後頭部を彼女の太腿に載せ直す。

 

 

「…"私達はテキサスを離れたかもしれませんが、テキサスはずっと私達と一緒でした"」

 

「?……」

 

「ある大統領の言葉よ。…その大統領自身には賛否両論あるでしょうけど、私はこの言葉自体に嘘や偽りはないと思うの。」

 

「………」

 

「指揮官くん。故郷っていうのはそういうものじゃないかしら?お父さんがあなたをどう思っていようと、あなたが自分をどう評価していようと…故郷っていうのは、きっとあなたのことを待っていてくれる。」

 

「でも、俺は帰れるチャンスがあったのに」

 

「帰らなかったら帰らなかったでいいじゃない。珍しい事でも何でもないわ。人間、そんな時はあるもの。でも、故郷はきっとあなたを待っていてくれる。どんな時でも。どんなあなたでも。」

 

「………」

 

「深く考え過ぎよ、指揮官くん。帰りたくなったら、帰りたくなったで帰ればいいの。ご両親だって、きっとあなたを迎え入れてくれる。遠いところで頑張っている息子が帰るのよ?気に食わないわけないじゃない。」

 

「………」

 

「それにね、お父さんとあなたは違うのよ、指揮官くん。例えお父さんの思い描く通りにならなくても、あなたがそれを気負う必要はない。…どうしても気負うなら、頑張れば良いだけの話。それでも…もしお父さんが良い顔をしないなら、私が口添えをしてあげる。」

 

「…君が口添えを?」

 

「ええ、そうよ。今度は一緒に帰りましょう、指揮官くん。私とケッコンしてから帰ってないでしょう?…ちゃんとご両親に挨拶もしないとね。」

 

「………なんか、情けないな。こんな事、誰かに話すまでもなかったのに…」

 

「ううん。話してよかったハズよ、指揮官くん。言うまでもないことでも、人に聞いてもらうっていうのは心の支えになるもの。…とにかく」

 

 

巨大な2つの塊が指揮官の眼前に迫る。

その柔らかな重量物は、指揮官の顔面をすべからく覆い隠す。

温かな体温と、吐息と、柔らかな匂いが指揮官に伝わってくる。

それは妖艶というよりは温柔で、指揮官は素朴なヒトの温もりに包まれた。

 

 

 

「指揮官くん、心の膿みは出し切っちゃって?お姉さんが全部受け止めてあげる。」

 

「………」

 

「遠慮はしないで。…寂しかったのね、指揮官くん。でも大丈夫。私がついてるし、さっきも言ったけれど、故郷はいつでもあなたの事を待っていてくれるから。」

 

 

 

巨大な2つの塊を覆う布地に、染みが浮かび上がる。

広がる湿気と、乱れた吐息をくすぐったく感じながらも、セントルイスは指揮官を優しく受け止めた。

しばらく経つと彼女の夫は落ち着きを取り戻し、顔を洗って、"指揮官"へと戻っていく。

残りの続きはまた今度。

ホームシックが完治するのは、ホームへ帰った時だろう。

それまであと少し、少なくとも、この演習を乗り越えれば…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………

 

 

 

 

 

 

10日後

 

 

 

 

 

 

男はこの日も相変わらず自室での作業に当たっていた。

荷物を纏め、書類を整理し、部屋を整頓する。

ふと窓の外の夕陽が目に入る。

いつかと同じように、男はまた肩を竦めた。

時刻はもう午後の6時。

思ったよりも時間を喰ってしまった。

 

 

「………指揮官く〜ん?」

 

 

背後から声がする。

彼の秘書艦にして妻。

精神的にも肉体的にも自信の支えとなってくれる、胸を張って誇れる素晴らしいパートナー。

 

 

「飛行機に遅れちゃうわよ〜?」

 

「分かった、今行くよ。」

 

 

彼はバックパックをひとつだけ背負って自室を後にした。

両親との家族団欒を過ごすために。

自慢の妻を紹介するために。

多くの過ちを犯したし、裏切るような事もした。

父の期待に応えられたとも、未だ言い難い。

それでも、きっと故郷は待っていてくれる。

穏やかな表情で、両腕を広げて。

きっと、待っていてくれる。

 

 

 

 

 

♪『私は帰ってる、私は帰ってる。

全世界に伝えて、私は帰ってる。

雨が昨日までの痛みを洗い流してくれる。

 

私の王国は待っていてくれる。

私の罪はゆるされるのですよね?

 

私は帰ってる、帰ってる。

全世界に伝えて

私は帰ってる』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 





このお盆、コロナ禍で帰れなかった方もいらっしゃるかと思います。
私もその内の1人ですが。
でも、きっと帰れる日はやってきます。
その時故郷はあなたを労い、優しく受け止めて、包み込んでくれる事でしょう。
今はその時まで。
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