使っていた動画視聴アプリが無くなり、大学に通い始めたので投稿は週末あたりになりそうです。
なんかいい動画視聴サイトかアプリないですかね?
ついに一回戦が始まる。
対戦校はサンダース大付属高校。アメリカの様な校風が特徴のいわゆるお金持ち学校。
因みに聖グロはお嬢様学校だから少し違うのでそこは注意するように。ダージリンに言って怒られたことあるから。
最も戦車を保有している学校で、戦車はあまりこれといった特長はないものの、満遍なく優秀な車両がそろっている。
こう言っては失礼にあたるかもしれないが、『大会に慣れる』という非常に重要な段階において最適な対戦相手であると言えた。初戦で黒森峰やプラウダに当たっていれば目も当てられないことになっていただろう。
一回戦は使用可能戦車数が少ない(それでもこちらと比べて倍ほどあるが)のも追い風だ。
私達は各々の搭乗戦車の最終チェックを行う。
オオカミさんチームのコメットはついこの間まで聖グロで整備されていたおかげもあってか、非常にいい状態で保たれていた。
颯が満面の笑みを浮かべながらサムズアップしている。
私もサムズアップで返すと、桃が声を張った。
「整備終わったかー!」
「「ハーイ!」」
「準備完了!」
「私達もです!」
「四号も完了です!」
「コメット問題なし」
各車全て異常ないようだ。
私はコメットの装甲を拳でこつんと叩く。金属と骨のぶつかる小気味好い音が聞こえてきた。
(お前にはもう二度と乗れないと思ってたけど……今回も頼むな)
自然と笑みが零れる。桃によって試合開始まで待機が命じられた。
後することと言えばジャケットに着替えるぐらいだろう。試合開始までは一時間以上ある。軽く腹ごしらえするのもいいし、最高のコンディションで挑めるようにするべきだ。
私はメンバーに向けて、
「良し。じゃあ、みんなは試合会場をぐるっと見て回って来てよ。その間は他の人に迷惑を掛けない限りなんでもしていいから。自分たちを応援してくれる人達、これから自分と戦う人を応援する人達……いろんな人がいるから、その空気に慣れてきてね」
「りっリクさんは……?いっ一緒に行かないんですか……」
まだスイッチが入っていないため、びくびくと怯えた小動物のような林檎が上目遣いで私を見上げる。まだ一週間しかたってないとはいえ、やっぱり彼女が初見で行進間射撃を難なく決めた砲手と同一人物とは思えない。
「早く会場の空気に慣れてもらうことが重要だからね。それに私はみほと作戦会議しなくちゃだから」
「あ……そっそうですか……」
林檎が露骨にしょぼくれる。
まあ、彼女は今まで弓道しか経験がなく、私が半ば強引に戦車道に引きこんだようなものだから不安はひとしおだろう。
不安そうに俯く林檎に、最年長の颯がポケットから取り出した棒付きの飴を突き出した。
「ホラ、甘いもん食ってりゃ少しは落ち着くだろ」
「あっありがとうございます……」
そう言って林檎はおずおずと飴を受け取り、包装を剥がして口に運んだ。
正直なところ、颯の姉御肌なところは私が一番助かるところだ。
私は年下……というよりは内気だったり、人見知りだったりする人の相手をするのが非常に苦手だ。何と言うか、いう事を聞かないといけない気がしたり、申し訳なさが勝手に溜まっていって胸が張り裂けそうになるのだ。
だから林檎に落ち込まれると非常に私は弱い。彼女のことを悪く言っているんじゃない。私はメンバーとして大切に思っているし、その腕前に非常に信頼を置いている。
ただ、私が勝手にそうなってしまうだけだ。
「さあ!行きましょう林檎先輩!ここから先は未知の世界ですよ!」
「じゃあ、こっちは任せてください」
「うん、任せる」
暁が林檎の手を取り、瑠香が最後尾を歩き出した。
『狼王』だのなんだのと呼ばれてはいるが、私もまだまだ未熟だな。そう思って、私は額の古傷を撫でた。
そしてみほの元に向かおうとすると、彼女はもうすぐ近くまでやって来ていた。後ろにはあんこうのみんなもいる
私は首の後ろを掻きながら、
「まだまだ未熟だな」
「まだまだこれからだよ、私達は」
みほが口元を手で押さえ、くすくすと笑う。
そうだよなぁ。まだ高校生なんだもんな、私達。
軽く緊張をほぐし合った後、みほは真剣な顔つきになった。恐らく、私も同じようになっているだろう。
みほが口を開く。
「戦術は昨日説明したとおりに。皆さんの調子もいいですし、上手くいってくれると思います」
「まあ、これが出来なきゃフラッグ戦は絶望的だからね、私達。オオカミさんチームは試合に慣れることに専念するよ」
「お願いします。……でも一番重要なのは」
みほが笑った。
その先の台詞は分かり切っている。
「戦車道を楽しむこと……だろ?」
「はい!全力で楽しみましょう!」
「暢気なものね?」
「それでよくのこのこと全国大会に出てこれたわね」
横から大洗では聞いたことのない、だけど聞き覚えのある声が聞こえてきた。
サンダースのナオミとアリサだ。
いきなり対戦校の選手が現れたことで桃がかみつく。
「貴様ら何しに来た!」
「試合前の交流もかねて、食事でもどうかと思いまして」
「ああぁいいねぇ」
杏が煽り合いに加わった。
サンダース……というよりアメリカの料理って大味で美味しくないんだよね。後脂っこすぎて気分が悪くなる。
私としては丁重にお断りしたいところだ。
するとそこにサンダースの隊長、ケイが加わった。
彼女はやって来るや否や煽りをブッこんできた二人とは異なり、フランクな明るい態度で生徒会、特に杏と打ち解け合っている。
ケイは私達、特にオッドボール三等軍曹として学園艦に乗り込んだ優花里の存在に気づいたようだ。朗らかな笑みを浮かべてこっちにやってくる。
「ヘイ!オッドボール三等軍曹!」
「わぁ!見つかっちゃった……」
「怒られるのかな……」
「多分、大丈夫だと思うよ」
沙織は心配しているが、ケイは明るい雰囲気を崩さない。
彼女は大急ぎで逃げた優花里を心配しているようで、
「この間、大丈夫だった?」
「へ?」
「またいつでも遊びに来て!ウチはいつだってオープンだからね。じゃ!」
とだけ言って戻っていった。
カメラの映像でしか彼女のことは知らなかったが、ほんとに想像通りの人間だったとは思わなかった。そして、その人間性は戦車の動かし方でわかるのだなぁとも思った。
「隊長は良い人そうだね」
「フレンドリーだな」
それが如何やらあんこうのケイに対する評価だった。私もそう思う。
一時間は直ぐに経過し、試合が始まろうとしている。
大洗の戦車を横一列に並べ、すでに並べられているサンダースの戦車と向かい合う。瑠香と優花里が収集した情報に間違いはなく、出場戦車はすべて一致していた。
私は搭乗員に声をかける。
「で、どうだった?会場の様子は」
「さいっこうでした!あんな多くの人が私たちを応援してくれるんですね!」
「アタシの走りで会場を魅了したくなったよ」
「スパイは目立つものではないのだが……悪くはなかった」
「……」
「なら、よかった」
林檎は応えなかったが、非常に高い集中状態にいるのが答えだろう。
暁はいつでも動けるように肩をぐるぐると回し、颯はゴーグルと革のグローブをはめ、瑠香は通信機器の調子を確認している。
呑まれているものは一人もいない。まずはそれだけで十分だ。
みほがマイクで作戦を説明する。
『機動性を生かして常に動き続け、三突の前に引きずり込んでください』
各車から威勢のいい返事が聞こえてくる。
ケイのフェアプレイの精神からくる同数対決が多いのは、変な油断を生まないように伝えないことにしていた。私とみほも、心にとどめておく程度にしている。
杏が戻ってきて、試合開始を告げる煙玉が打ちあがった。
あんこうの四号を中心に前進する。
「私達の最初の目的は試合に慣れること!まずは生き残る。功は二の次三の次で!」
「「「「了解!」」」」
私達の戦車道が始まった。
書いてなかったから変になっていないだろうか?