通いになったことで変化した大学生活。
資金難。
家の事情。
これらが重なって投稿できませんでした。
これからは土日とかに投稿できるよう頑張ります
林檎が命中させた砲弾により、シャーマンからフラッグが上がったのを確認する。
包囲した二両の両方とも撃破した。残り七両。一方、私達は一両も撃破されていない。油断はできないが、なかなかに好調な滑り出しだ。
私達が撃破した車両はみほ達の影になっていたはずだから、撃破したことを彼女に伝える。
「逃した一両はこちらで撃破した。次に移ろう」
『ありがとうございます。ですがまだフラッグ車が見つかっていませんので……』
「フラッグ車の捜索だね。了解」
『今まで通り、遊撃をお願いします。もしその間にフラッグ車を見つけたら、見つけ次第報告を。可能であれば、撃破でお願いします』
「任せて。狼王の名に懸けて、ね」
『頼りにしてます』
通信を終了する。
フラッグ車は通信を傍受している……十中八九アリサのシャーマンのはずだ。
こういうことをしてくる相手は基本的に姿を現さない。必ずどこかで身を隠し、モリアーティのごとく裏ですべてを操っているつもりになっている。因みに私はホームズよりもモリアーティ教授のほうが好きだ。
するとあんこうから偽の通信が入ってきた。
『全車、128高地に集合してください。ファイアフライがいる限り、こちらに勝ち目はありません。危険ではありますが、128高地に陣取って、上からファイアフライを一気に叩きます!』
「これで向こうの大半が128高地に向かうはず」
「偽の情報に踊らされている内に、フラッグ車を撃破するって訳ですね!」
暁が砲弾を軽々と持ち上げて目を輝かせた。
浮足立つ気持ちも分かるが、こういう時こそ慎重に、だ。それにフラッグ車の捜索なら戦車の総数が多いみほ達に任せた方がいいだろう。
私達がすべきことは、
「こっちの妨害をしてくる車両を撃破する」
「え? ですがフラッグ車を撃破すれば……」
「つまり向こうもこちらのフラッグを狙ってるって事。今は通信によるアドバンテージがあるから優位に立てているけど、何時それがひっくり返るか分からない」
「まあ、上手くいっても今のが最後だろうな」
颯が銜えていた棒付きの飴を揺らしながら、サンダースの戦車に見つからないように巧みにレバーを操作している。
彼女は地頭がいいのだろう。見た目の割に鋭いところがある。
「颯の言う通り、策士を気取っているなら今のが最後の有効打だと思う。少なくとも疑いはする。……瑠香、地図見せて」
「どうぞ」
モニターに表示された試合会場の地図を確認する。
紙で書かれているよりも数段正確なそれは、フラッグ車が見事に隠れられそうな場所を正確にとらえていた。
私は身をかがめ、全員に見えるように地図の一点を指さす。
そこは平衡感覚を奪われやすい、竹林の中だ。
「私の予想だけど、0765地点。ここにフラッグ車がいるとふんでる。シャーマンの色だと、林の中に隠れるよりも竹林のほうが迷彩は効果を発揮するはず。で、それはみほも分かっているはずだから……」
「私達はそれを追うみほさん達の、その後を追うサンダースの車両を追う。という訳?」
「今のところはその作戦でいこうと思う」
『敵フラッグ車、0765地点で発見しました!でも!こちらも見つかりました!』
『0615地点へ、全車両前進!』
「リクさんの予想、当たりましたね!」
さて、ここからが本番だ。
ケイがどう出るかは分からないけど、少なくともつり出されたアリサには逃げるように命令するはず。そしてフラッグ車を囮にした背後からの奇襲。これが現状において最もフラッグ車が撃破されるリスクを下げ、逆に撃破するリターンを上げる方法だ。
サンダースのフラッグ車は0615地点につり出されてる途中だから、三方向を囲まれている状態。で、地図を見る限り、障害物の配置的に逃げ場所は一か所だけ。
それを追っかけてるのを追っかけて、そのまた後ろを追っかけるわけだ。
「颯!西から大きく回るようにしてサンダース本隊を追いかける!最大速度で突っ走って!」
「あいよ!」
「林檎!いつ長距離砲撃するか分からないから、集中しておくように!」
「了解」
颯がアクセルをべた踏みして速度を上げ、しかし安定感をそのままに走行し、林檎が息を深く吐いて集中状態に戻る。
すると進行方向の向こう側から、凄まじい砲撃音が聞こえてきた。
砲塔から身を乗り出す。
「今のは……」
「ファイアフライの砲撃だ。報告が来ないから、誰も撃破されていないはず。だけどビンゴだ。このまま進めば本隊を奇襲できる」
「このまま直進だな?」
「もちろん。ただ、フェアプレーを掲げるケイのことだから、通信傍受のこともあって同数で挑むか、数を減らすとかしているかもしれない。もしもの話だけど、残しているシャーマンに見つからないように」
「任せろって」
「撃破はしないの?」
「これは奇襲だからね。被撃破報告だけでも後ろからきてるってのがバレちゃうから。林檎の出番はその後」
予想通り、丘を二つ挟んでシャーマンが二両残っていた。ファイアフライの砲撃音はもっと遠くから聞こえてきたから、今撃破したところで私達の居場所を知らせるだけだ。
とかなんとか考えていると、遠方から砲撃音が複数連続で聞こえてきた。
「本隊が追いついたか……!」
前髪をかきあげる。ここをどう乗り切るかが勝負を分けるのだから、正確かつ迅速な判断が求められる。失敗は許されない。
「林檎!そこにいるシャーマン二両撃破!暁!装弾素早く!颯!撃破次第全速前進!瑠香!敵本隊の横っ腹を殴り抜く!撃破までに位置予測を割り出せ!」
「了解」
「はい!」
「ああ!」
「任せてください」
林檎が奥の一両を砲撃し、即座に暁が次弾を装填。それと同時に颯がアクセルを踏み込み、それが履帯に伝達するよりも早く林檎が二射目でもう一両を撃破した。
コメットが文字通り彗星がごとき速度で疾走する。
瑠香が一射目から二射目までの間の時間からどれだけ移動したのかを計算し、本隊の位置を予測した。
「位置特定しました。右前方約1500メートル」
「射程距離に問題はない。林檎、砲撃開始!当てなくてもいいから、足を止めさせろ!」
「……」
通信からシャーマンを撃破可能なカバさんとあんこうがフラッグ車を、ウサギさんとアヒルさんがこちらのフラッグ車であるカメさんを守っていることが確認できた。が、そのすぐ後にアヒルさんが撃破されたことが通信で伝わる。
それと同時に、林檎が予測位置に向かって砲撃した。
地面に着弾する音に一瞬遅れてもう一つ、地面に着弾した音が聞こえてきた。
あんこうから通信が入る。
『リクさん!砲撃支援、ありがとうございます!』
「その様子だと、さっきの砲撃は効果があったみたいだな」
林檎に向かってサムズアップする。すると彼女は頬を少し赤くするも、すぐに平静に戻って照準器を覗いた。
『はい!ファイアフライの砲撃が逸れました!』
もう通信傍受はされていないはずだ。
「だけどこのままじゃいずれ削られるだけだ。あと1キロだけ耐えよう!そうすれば!」
『……!はい!まだ、諦めるには早すぎます!こちらも攻撃を続けます。だからリクさんも!」
「ああ!こっちも砲撃を続け、奇襲の準備をしておく!まだ旗はとられてない!勝ちの目はまだあるぞ!」
『私達は諦めません!ですから、私達は負けません!』
1キロ先に小さな崖がある。そこを取って、敵フラッグ車を上から叩く。
それが私達の最後の一手。そこに至るまでに撃破できれば良し。出来なければ、これに賭ける。
「瑠香!位置予測は常に更新、情報は私に回さなくていいから、ダイレクトに林檎に!林檎!狙わなくていいから、確実に妨害して!暁!榴弾を装填し続けて!颯は私の指示通り素早く動けるように!」
一呼吸置く。
「……みんな、いくよ!」
一斉に返事が返ってきた。エンジンの回転数が上がる。コメットも気持ちは同じようだ。
諦め。それが、今までも、今も、これからも私達の一番の敵だ。それに勝たなければならない。
久しぶり過ぎて特徴を忘れてないかが不安。