もしもハジメ君の性格がキツく口調が悪かったら(仮)   作:fruit侍

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遅れてしまい申し訳ありません。魔王化の描写を幾度となく書き直していたら、かなり時間が経ってました……。

前回、前々回に感想を書いてくださった皆様、ありがとうございます。学校から帰ってきて見たらかなり反響来ててビックリしました……。一人ずつ返信しようと思いましたがちょっと数が多いので、感想を書いてくださった皆様全員にgoodを押させていただきました。そして失礼ですがこの場でお礼を言わせていただきます。

さて今回は、ハジメ君の魔王化となります。最初に幾度となく書き直したと言いましたが、投稿がかなり遅れていたこともあって妥協したため、正直言って微妙です。魔王化の過程については、私の意見を後書きの方に書いております。それについて賛否あると思われますが、この小説ではこうすると決めたことなので、魔王化の過程についてとやかく言うことは、できれば控えていただきたいなと思います。ですが矛盾点があれば遠慮なくどうぞ。それも踏まえた上で書き直します。

UA60000ありがとうございます!


第十話

ぴちょん……ぴちょん……

 

水滴が頬に当たり口の中に流れ込む感触に、俺は意識が徐々に覚醒していくのを感じた。そのことを不思議に思いながらゆっくりと目を開く。

 

(……あ……ああ?)

 

疑問に思いながらグッと体を起こそうとして低い天井にガツッと額をぶつけた。

 

「痛ぇ!」

 

そういや俺が作った穴は縦幅が五十センチ程度しかなかったな……。これじゃ少し不便だから、錬成して縦幅を広げるか。

 

……ん? ひ、左手の指が二本ねえ!

 

しばらく呆然とする俺だったが、やがて自分が指を二本を失ったことを思い出した。

 

左手を開いたり閉じたりして動作確認をする。違和感はあるが、使えなくはなさそうだ。

 

そして、少し経って気がつく。切断された指の断面の肉が盛り上がって傷が塞がっていることに。そして曲がっちゃいけない方向に曲がっていたはずの指が元に戻っていることに。

 

「どうなってんだ? ……さっきまでぐちゃぐちゃだったのに何事もなかったようになってやがる」

 

左手で地面を触ると、べちゃっとした感触がした。血だ。あの時流した血がまだ乾いていないのだろう。血が乾いてないということは、気絶してそんなに時間は経ってないってことだ。

 

にもかかわらず傷が塞がっていることに疑問を感じていると、再び頬や口元にぴちょんと水滴が落ちてきた。それが口に入った瞬間、また少し体に活力が戻った気がした。

 

「……まさか……これが?」

 

俺は腕を水滴が流れる方へ突き出し錬成を行った。

 

そうやってふらつきながら再び錬成し奥へ奥へと進んで行く。

 

不思議なことに、岩の間からにじみ出るこの液体を飲むと魔力も回復するようで、いくら錬成しても魔力が尽きない。俺は休まず熱に浮かされたように水源を求めて錬成を繰り返した。

 

やがて、流れる謎の液体がポタポタからチョロチョロと明らかに量を増やし始めた頃、更に進んだところで、俺は遂に水源にたどり着いた。

 

「こいつ……は……」

 

そこにはバスケットボールぐらいの大きさの青白く発光する鉱石が存在していた。

 

その鉱石は、周りの石壁に同化するように埋まっており下方へ向けて水滴を滴らせている。神秘的で美しい石だ。アクアマリンの青をもっと濃くして発光させた感じが一番しっくりくる表現だろう。

 

俺は一瞬、見蕩れてしまった。それほど、魅力的だった。

 

そして縋り付くように、あるいは惹きつけられるように、その石に手を伸ばし直接口を付けた。

 

すると、体の内に感じていた鈍痛や靄がかかったようだった頭がクリアになり倦怠感も治まっていく。

 

やはり、俺が生き残れたのはこの石から流れる液体が原因らしい。治癒作用がある液体のようだ。

 

俺はそのままズルズルと壁にもたれながらへたり込んだ。死の淵から生還したということを感じた瞬間、力が入らなくなったのだ。

 

そしてここに来る前に出会ったウサギのことを思い出す。奴は俺を玩具のように見ていた。見下していた。

 

結局、俺は魔物にも見下されるのか。何もできないまま蹂躙されて、いたぶられて、死ぬのか。

 

(クソが……)

 

今の俺には悪態をつく気力も残っていなかった。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

どれくらいそうしていただろうか。

 

俺は現在、錬成で整えた岩の壁に身を任せながら胡座をかいていた。

 

俺が落ちた日から既に何日経っているかも分からない。

 

その間、俺はほとんど動かず、滴り落ちる水のみを口にして生きながらえていた。

 

しかし、この水は空腹感まで消してくれるわけではなかった。死なないだけで、現在、俺は壮絶な飢餓感に苦しんでいた。

 

何か食べないと頭がおかしくなりそうだ。幾度となくそこら辺の石を食おうと試みたが、食えるわけない。それでも飢餓感は少し和らぐ。

 

そして俺の心を蝕む負の感情。

 

最近になって、奴等が俺に喧嘩を売るような言葉を浴びせてくる。幻聴だ。

 

最初に聞こえてきたのはクソ山率いるゴミカス四人組の声。

 

(キモオタのお前が幸せになろうとすること自体間違ってんだよ~!)

 

(キモオタはキモオタらしくポスターでも舐めてろよ!)

 

(気持ち悪ぅ~! 死んだ方がいいんじゃね~?)

 

(正に社会のゴミだな~!)

 

次にバカ勇者率いる四人組の声。

 

(君みたいな人間がこうなるのは当たり前だろ? もっと人に好かれるような人間になるんだったな)

 

(苦しむ南雲くんも、南雲くんらしくていいな! もっと苦しんでよ!)

 

(いつもご苦労なこと。でも、それが南雲くんの運命よね)

 

(努力もしねえ人間はこうなるのがオチなんだよ)

 

今まで見てきた人間が次々に俺を罵倒してくる。

 

(とっとと死ねよ!)

 

(幸せになる価値もないゴミが!)

 

(最低の屑野郎!)

 

(あんたなんか死んだって誰も悲しまないわよ!)

 

……うるせえ。

 

(エヒト様に選ばれなかった出来損ないが!)

 

(魔法の適性もない役立たずが!)

 

……うるせえ。

 

((((死ね! 死ね! 死ね!))))

 

うるせえうるせえうるせえうるせえうるせえうるせえ!!!

 

((((((死ね! 死ね! 死ね!))))))

 

「黙れえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」

 

溜まりに溜まっていた鬱憤が、ついに爆発した。

 

俺は近くの岩壁を殴り始めた。

 

「俺が何をした! てめえらに何をいつどこでした!」

 

「俺は普通の日常を過ごしたかっただけだ! 飯食って自分の好きなことして寝れりゃそれでよかった!」

 

「なのにどいつもこいつも俺をストレス発散道具みてえに扱いやがってよ! 何なんだよ! 俺がお前らの家族でも殺したか! お前らの大切なものでも壊したか! 奪ったか!」

 

「俺がオタクだからか! 白崎に絡まれるからか! 非戦闘職だからか! 魔法の適性がないからか!」

 

「何をしても、バカを見るのはいつも俺だ! 損をするのはいつも俺だ! 苦しむのはいつも俺だ!」

 

「俺には喜ぶ権利もないのか! 楽しむ権利もないのか! 幸せになる権利もないのか!」

 

「ふざけんな! ふざけんな! ふざけんなああああああッ!!」

 

喉が張り裂けるぐらいに声を出し、岩壁を殴り続けた。

 

そして落ち着きを取り戻した。

 

「ふーッ……! ふーッ……!」

 

落ち着きを取り戻した俺に、一つの感情が沸き上がってきた。

 

(……憎い)

 

(俺を苦しめ続けた奴等が生きているのが憎い)

 

(俺を都合のいい道具のように扱う教会が憎い。王国が憎い)

 

(勝手に俺を呼び出して俺から日常を奪った神が憎い)

 

(俺を何もかも拒絶して俺から全てを奪ったこの世界が憎い)

 

(憎い……! 憎い……! 憎い……!)

 

もう何日も何も食べていないことからくる飢餓。

 

俺に理不尽を強いるこの世界への憤怒。

 

奴等への憎悪。

 

そして殺意。

 

飢餓、憤怒、憎悪、殺意。負の感情が集まりに集まって、新たな俺を形成していく。

 

それはまるで、真っ黒なキャンバスに赤の絵の具を殴るようにぶちまけ、キャンバスをドス黒い血のように赤黒く染めていくようだった。

 

(この憎しみを消すためにはどうすればいい?)

 

簡単だ。奴等を殺せばいい。

 

(ただ単に殺すだけでいいのか?)

 

そんなの許されねえ。苦しまない死なんて救いと同等だ。

 

(ならどうやって殺す?)

 

散々苦しめて痛め付けて、命乞いを一蹴されて絶望の表情を浮かべたところを殺す。

 

奴等を様々な方法で奴等を痛め付けて苦しめ、最後に殺す妄想をすると、不思議と俺の中が満たされていく感じがした。

 

だが、すぐに足りなくなる。

 

奴等を殺したい。今すぐにでも殺したい。殺したい。殺したい。

 

殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいころしたいコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイコロシタイ

 

満たされぬ殺意が、俺の中から溢れてくる。

 

俺は殺意に突き動かされるように、いつの間に地面に溜まっていた水をがぶ飲みする。

 

体に活力が戻ると同時に、溢れてくる殺意の量が増える。

 

体が、心が俺に『奴等を殺せ』と命令してくる。

 

今の俺は、前の俺じゃない。

 

満たされぬ殺意を満たすためにこの世界の人間を殺す殺人鬼。それが今の俺だ。

 

カス共も、この世界の人間も、この世界の神も、みんなみんな殺してやる。

 

「殺してやる……殺してやるよ……! クククッ……ヒャーハハハハハハッ!!!」

 

奈落の底に悪魔の嗤い声が響いた。




原作を読んでるうちに私は、ハジメ君が生きることに執着するようになったのは、左手を失ったことによる苦痛とショックが原因ではないかと考えました。ですがこの作品のハジメ君は、指を何本か失う程度で済んでいます。体験したことはないですが、偏見で腕を失うのと指を失ったのでは痛みのレベルが違うだろうということでこの作品のハジメ君は苦痛に悶え苦しんでいません。

するとどうなるか。苦痛という死を感じるようなものを何日間も感じなければ、原作ハジメ君のあれ程までの生への執着は生まれないと思います。そして原作にはなかったですが、人間は極度に追い詰められると、現実から逃避するように脳が幻を作り出します。この作品のハジメ君の脳は、耐え難い飢餓感から逃れるために元々自分が嫌っていた人物達の幻聴を聞かせて、自分の中に秘められている憎悪を増幅させることで、飢餓感から逃れているというわけです。その結果、肥大化した憎悪が殺意へと昇華し、この作品のハジメ君は殺人鬼のような性格へと変貌してしまったというわけです。

人が人を殺す要因になる感情は憎悪。

大きくなりすぎた憎悪は、人をいとも簡単に変えてしまうほど強く、恐ろしい力をもっているのです。

原作ハジメ君も人の悪意をもろに受けてましたから、腕を失ってなければこれに近いことになってたかもしれませんね。

それとイメージしづらかった方のために一応説明しますが、ハジメ君の笑い方は、幼女戦記のターニャみたいな感じです。あの笑い方個人的にめっちゃ好きなんですよね。
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