もしもハジメ君の性格がキツく口調が悪かったら(仮)   作:fruit侍

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遅くなりました……。多分この章はノロノロ更新になりそうです。申し訳ありません……。

今回はシュトーレンに次ぐ相棒の誕生です。原作とは違う名前をつけてあります。

評価バーがオレンジになってて驚いた……。それと遅くなりましたがお気に入り1000件ありがとうございます!

ありふれ二期楽しみ! 一期では出なかったリリアーナの声優さんも容姿も決まって更に見たくなりました!


第十一話

俺が俺でなくなって少し経った。

 

俺は罠を確認しに来ていた。ここの魔物は、上の魔物と比べて強すぎる。そのため俺は確実性と安全性を重視して罠という手段に出た。俺が錬成で作り出した洞穴の入口付近に穴を掘り、その周りに俺の血を数滴垂らしておいた。すると、一匹の狼が見事にかかっていた。

 

「ヒャハハッ! こんな罠にかかっちまうとは情けねえなぁ! それでもお前ここの魔物か? ギャハハッ!!」

 

俺は初めてかかった獲物に興奮しながら錬成し、身動きをとれなくする。錬成が終わる頃には、まさに〝壁の中〟といった有様の狼が、完全に周囲を石で固められ僅かにも身動きできず、俺を睨みながら低い唸り声を上げていた。

 

「そうやって俺を睨んでられるのも今のうちだぜ……お前らはすぐに痛みに悶え苦しむことになるんだからな!」

 

俺は低い天井を錬成し、岩の棘を作り出す。だがこれを槍にしてこいつらに刺すなんて幼稚園児でも考え付くようなことはしない。

 

俺は錬成し続ける。すると岩の棘は伸びていき、徐々に狼に近づいていく。これが意味するところは、まあそういうことだ。

 

どうしてこんな殺し方にしたのか。それは、俺が前読んでいた魔物図鑑が関係していた。

 

迷宮の魔物は下の階層に行くにつれて強くなる。それは攻撃面だけでなく、もちろん防御面でもだ。バカ之河が65階層のベヒモスに傷ひとつ入れられなかったんだ。ここの魔物はそれ以上の堅さに違いない。

 

となると俺が作るような剣や槍じゃ、傷一つ付かないのは明白。下手すりゃ銃も効かないかもしれねえ。

 

そこで俺は、密封空間で効果を発揮する武器を考え付いた。それがこの岩の棘だ。

 

錬成による物質の変形は不可逆。どんな力でも、押し返すことはできない。例えそれが世界一堅い物質だろうと。

 

俺はこの性質を利用して、どんなに堅かろうと絶対に防げない攻撃方法に転用したのだ。

 

「さあて、何分持つかねぇ?」

 

俺は岩の棘が狼の皮膚に触れても構わず錬成し続けた。

 

すると予想通り、岩の棘が錬成によって少しずつ狼の皮膚を押し潰すように刺さり始めた。

 

「グルァアアー!?」

 

狼が絶叫する。

 

「ヒャハハハハハ!! もっと叫べ! もっと足掻け! 俺を満足させるまで、苦しみ続けろ!」

 

そう言いながら、さらに魔力を込める。狼が必死にもがこうとしているが、周りを隙間一つなく埋められているのだから不可能だ。

 

そして遂に、ズブリと棘が狼の硬い皮膚を突き破った。そして体内を容赦なく破壊していく。断末魔の絶叫を上げる狼。俺はその光景を狂ったように笑いながら楽しむ。

 

しばらく叫んでいたが、突然、ビクッビクッと痙攣したかと思うとパタリと動かなくなった。

 

「あ~あつまんね。もう死にやがった」

 

俺は錬成で二尾狼達の死骸を取り出し、片手に不自由しながら毛皮を剥がしていく。

 

そして洞穴まで持ってくると、血抜きも調理もせず喰らい始めた。

 

「あぐッ……がりッ……! っへへ……クソ不味いはずだが、何でだろうな……こんなに旨く感じるのは……!」

 

硬い筋ばかりの肉を、血を滴らせながら噛み千切り必死に飲み込んでいく。何日ぶりの飯だろうか。いきなり肉を放り込まれた胃が驚き、キリキリと痛みをもって抗議する。だが俺はそんなもの知ったことかと次から次へと飲み込んでいった。

 

調理も血抜きもしてないので、味は控えめに言って最悪。だが俺には、高級肉を食っているように感じられた。空腹は最高の調味料と昔から言う。

 

その姿は完全に野生児といった様子だ。現代の人間から見れば酷くおぞましい姿に映っただろう。

 

どれくらいそうやって喰らっていたのか、狼の3分の1程度を食い終えたくらいで、俺が水を飲み、食休みに入っていたところだった。

 

「あ? ――ッ!? アガァ!!!」

 

突如全身を激しい痛みが襲った。まるで体の内側から何かに侵食されているようなおぞましい感覚。その痛みは、時間が経てば経つほど激しくなる。

 

「ぐぁあああああ!! があっああああ!!!」

 

耐え難い痛み。自分を侵食していく何か。俺は地面をのたうち回る。

 

俺は無我夢中で水溜まりに向かい、水をがぶ飲みする。すると水が効果を発揮し痛みが引いていくが、しばらくすると再び激痛が襲ってくる。

 

「がぁぁ!! なんで、おさまら、ねえんだよぉおお!」

 

俺の体が痛みに合わせて脈動を始めた。ドクンッ、ドクンッと体全体が脈打つ。至る所からミシッ、メキッという音さえ聞こえてきた。まるで砕けていくような感覚だ。

 

しかし次の瞬間には、水が効果をあらわし体の異常を修復していく。修復が終わると再び激痛。そして修復。

 

水の効果で気絶もできない。絶大な治癒能力が仇となった形だ。

 

(何で……何で俺がこんな目に……!!)

 

怨嗟のこもった叫びを心の中であげた直後、俺の意識は塗り潰された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開けると、床がすぐそこにあった。いつの間に気を失っていたようだ。

 

俺は何度か握ったり開いたりしながら自分が生きていること、きちんと自分の意思で手が動くことを確かめるとゆっくり起き上がった。その時、あることを思い出した。

 

「……魔物は食ったら体がボロボロになって死ぬ……確か魔物図鑑の最初ら辺に書いてあったか……今さら思い出すんじゃねえよ」

 

魔物図鑑の最初に書いてあった文章。今それを思い出したのだ。食う前に思い出してりゃあ、少しは覚悟できたんだろうによ。

 

飢餓感がなくなり、妙に体が軽く、力が全身に漲っている気がする。

 

途方もない痛みに精神は疲れているもののベストコンディションといってもいいのではないだろうか。

 

腕や腹を見ると明らかに筋肉が発達している。しかし発達量が途轍もない。前の俺だったら、あと5年は筋トレをしないとこんなことにはならないだろう。

 

「俺の体どうなったんだ? なんか妙な感覚があるし……」

 

体の変化のほかに、俺は体内にも違和感を覚えていた。血ではない何かが体を駆け巡る奇妙な感覚。意識を集中してみると腕に薄らと赤黒い線が浮かび上がった。

 

「……人間を辞めた気分だ。そういやステータスプレートは……」

 

すっかり存在を忘れていたステータスプレートを探してポケットを探る。どうやら失くしていなかったようだ。今の俺の体の異常について何か分かるかもしれない。

 

 

==================================

 

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:8

 

天職:錬成師

 

筋力:200

 

体力:500

 

耐性:200

 

敏捷:250

 

魔力:600

 

魔耐:400

 

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+複製錬成][+精密錬成][+高速錬成]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・言語理解

 

==================================

 

 

「……ハハハッ」

 

驚愕のあまり乾いた笑みしか浮かんでこない。ステータスが軒並み急増しており、技能も三つ増えている。しかもレベルが上がっている。

 

「魔物食うだけでこんなに強くなれんのか? てかなんだこれ。魔力操作?」

 

文字通りなら魔力が操作できるということだろうか。

 

(そういやさっきから感じている変な感覚は魔力なのか?)

 

と推測し、先程と同じく集中し〝魔力操作〟とやらを試みる。

 

俺が集中し始めると、赤黒い線が再び薄らと浮かび上がった。そして体全体に感じる感覚を右手に集束するイメージを思い描く。すると、ゆっくりとぎこちないながらも奇妙な感覚、もとい魔力が移動を始めた。

 

(体内の血を自分の意思で動かしてるみたいだな)

 

俺以外には分からないだろうが、例えるならそんな感じだ。

 

そのまま試していると、集まってきた魔力がなんとそのまま右手にはめている手袋に描かれた錬成の魔法陣に宿り始めた。もしかしてと思った俺は錬成を試す。すると通常の錬成をしたはずなのに、以前の俺の高速錬成と同じくらいのスピードで地面が盛り上がった。だがそれよりも俺が気になったのは、

 

「詠唱がいらねえのか……」

 

俺は先ほど詠唱をしていない。いやしようとしたんだが、詠唱する前に地面が盛り上がっちまったからタイミングを逃したんだ。

 

本で読んだが、人間は魔力を詠唱することで操作し、魔方陣に魔力を注ぎ込むことで魔法を使うことができ、魔力の直接操作はできない。例外は魔物。やっぱり魔物の肉食ったせいでその特性を手に入れちまったってことなんだろうな多分。

 

(これなら俺の壁蹴り戦法も使いやすくなるな)

 

次に俺は、さっきから気になっていた〝纏雷〟を試そうとする。

 

「……どうすんだ? 〝纏雷〟ってことは電気だよな? あれか? この前狼がやってたやつ」

 

あれこれ試すがなんの変化もない。魔力のように電気が流れているのを感じるわけでもないから、取っ掛かりがなくどうすればいいのか分からないのだ。

 

ん? まてよ。そういや錬成するときはイメージが大事だったな。魔法陣に多くの式を書き込まなくてよい分、明確なイメージがそのまま加工物に伝わるってことだ。

 

俺は静電気が手でバチバチ弾けるイメージする。すると右手の指先から紅い電気がバチッと弾けた。

 

「お、できた。……錬成も魔物の固有魔法も似たようなもんか」

 

その後もバチバチと放電を繰り返す。しかし、狼のように飛ばすことはできなかった。おそらく〝纏雷〟とあるように体の周囲に纏まとうか伝わらせる程度にしかできないのだろう。電流量や電圧量の調整は要練習だ。

 

最後の〝胃酸強化〟は文字通りだろう。魔物の肉を喰って、またあの激痛に襲われるのは勘弁だ。しかし、迷宮に食物があるとは思えない。飢餓感を取るか苦痛を取るか。その究極の選択を、もしかしたらこの技能が解決してくれるのでは?

 

狼から肉を剥ぎ取り〝纏雷〟で焼いていく。流石に飢餓感が癒された後で、わざわざ生食いする必要もない。

 

「うげ、酷え匂いだ」

 

得体の知れない匂いがする。だがそんなの知ったことじゃない。満足するまで焼く。

 

そして、意を決して喰らいついた。

 

 

十秒……

 

 

一分……

 

 

十分……

 

 

何事も起こらない。

 

俺は次々と肉を焼いていき再び喰ってみる。しかし、特に痛みは襲って来なかった。胃酸強化の御蔭か、それとも耐性ができたのか。まあでも、これで飯を喰う度に地獄を味わわなくて済むな。

 

腹一杯まで肉を喰った俺は、これからどうするか考え始めた。肉と水はあるので死ぬことはしばらくない。かといって水が無限かと言われると怪しい。

 

それに、いつまでもここにいるわけにはいかない。俺は奴等へ復讐しなければならないのだから。

 

魔物の肉を食えば強くなれることは分かった。しかしそれだけ。まだ分からないこともたくさんある。それに錬成や〝纏雷〟の鍛錬もしなくてはならない。今の錬成は、前の錬成とはまるで違う。慣れるまで鍛錬しねえと、実践では使い物にならない。

 

そういや武器も新調しないとな。俺の相棒シュトーレンに次ぐ最高の相棒を。

 

よし、ここでは新たな力の習得と、武器の新調を目的とするか。

 

狼から残った肉を切り分ける。最初に比べ幾分楽に捌くことができた。肉をある程度石で作った容器に入れると俺は、技能の鍛錬を始めるのだった。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

俺が技能の鍛錬を始めてから数日が経った。

 

まず纏雷を使いこなせるようになった。電流と電圧の調整は難しかったが、物理が得意だった俺には何の問題もなかった。

 

次に錬成に再び派生技能がついた。名前は鉱物系探査。その名の通り、鉱物類を探しだすことができる。鍛錬してたら、急に頭の中でレーダーみたいな反応があちこちに出るから何事かと思った。せめて派生技能を習得したとかなんとかは言ってくれてもいいだろ。

 

早速、俺は周囲の鉱物を片っ端から掘り出すことにした。ここは未踏の地。鉱物なんぞ数えきれないくらいある。その中に俺の武器の素材になりそうな鉱物が出てくれりゃいいが。

 

(……前に5つ、右に7つ、左に4つ、後ろに3つか。右から掘り出すとするか)

 

俺は錬成で右側の岩壁を掘る。すると見慣れない鉱物が見つかる。俺は鉱物系鑑定を使用する。

 

 

==================================

 

タウル鉱石

 

黒色で硬い鉱石。硬度8(10段階評価で10が一番硬い)。衝撃や熱に強いが、冷気には弱い。冷やすことで脆くなる。熱を加えると再び結合する。

 

==================================

 

 

「これだ」

 

正に銃と相性最良の鉱石。こいつを銃身と弾丸に使えば、シュトーレン以上の火力が出ること間違いなしだ。

 

そして周りを掘り起こした結果、俺が火薬代わりに使っていた燃焼石という鉱石も見つかり、準備は整った。

 

設計図は頭の中に残っている。二週間も作り続けたんだ。もう丸暗記している。

 

俺は再びあの地獄とも言える作業に取りかかり、完成させた。

 

全長は約三十五センチ、この辺りでは最高の硬度を持つタウル鉱石を使った六連の回転式弾倉。長方形型のバレル。弾丸もタウル鉱石製で、中には粉末状の燃焼石を圧縮して入れてある。

 

しかも、弾丸は燃焼石の爆発力だけでなく、俺の纏雷により電磁加速される小型のレールガンと化している。

 

そして、肝心の名。

 

俺が前に相棒としていたシュトーレンは、どこかに行ってしまった。相棒を手放してしまったことは今でも後悔している。もう二度と手放さないという意もこめなければ、またどこかに行ってしまいそうな気がした。

 

そこで俺はこいつに、悪魔のように命を奪う凶悪な武器という意と、悪魔のような人間に変わってしまった俺の片割れという意をこめて、トイフェル*1と名付けた。

 

「もう俺はただ奪われるだけの存在じゃない。奴等の大切なものを奪って、潰して、壊し尽くしてやる……!! ……クククッ……ヒャーハハハハハハハハハッ!!!」

 

俺はトイフェルの他にも現代兵器を参考に作った兵器を眼前に並べて狂ったように嗤った。

 

これから始まるのは、ただの復讐ではない。

 

人の心を捨てた殺人鬼による、殺戮と蹂躙だ。

*1
ドイツ語で悪魔という意。




突然ですが、原作で登場した兵器の名前を募集します。原点であるドンナーを変えちゃったからそれ以降も変えなきゃ駄目かなって思いまして……しかし皆さんが期待するほど私にネーミングセンスはない……。そこで皆さんから募集しようと思います。感想は運対を受ける可能性大なので、こちらの活動報告に書いていただければなと思います。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=259253&uid=215423

それと、未だに迷っている優花の扱いについて、少しアンケートを取ります。結果次第では、アンチ対象から外れる可能性があります(ヒロインになるとは言ってない)。

緊急アンケート! 優花の扱いについて(ヒロイン昇格はないです)

  • そのまま(アンチ対象)。
  • アンチ対象から外れ、覚醒。
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