もしもハジメ君の性格がキツく口調が悪かったら(仮) 作:fruit侍
アンケート、意外にもアンチ対象から外す方が多くて少し驚きました。因みに緊急ですので一話で投票は終了しております。
拠点の近くを少し探索していた俺は、とある魔物に出会った。
「おやおやぁ~? 何時ぞやのウサギ君じゃねえか」
俺の指を二本も奪っていったウサギだ。奴は俺のことを覚えているらしく、俺を見た瞬間、嫌な表情を浮かべてきた。まるで「また俺に殺されに来たのか」というような。
「その気色悪い表情を今すぐ絶望の表情に変えてやるよ……!」
俺は懐からトイフェルを抜く。ウサギも足に力を籠め始める。
俺はもう前の俺じゃねえ。狼を食い、何倍も強くなった。それに、今の俺には相棒もいる。
ウサギが蹴りを放ってきた。
(右だ!)
ウサギは俺の右側を狙ってきた。左手をやったから、次は右手ということだろうか。狙いが分かっていたので、俺は難なく避けることができた。
「そこだ!」
カウンターでトイフェルを発砲する。俺は命中を確信した。
しかしウサギは空中を足場にするように蹴ると、空中で綺麗に一回転してトイフェルの弾丸を避けやがった。
(んだと!?)
そしてウサギは着地すると直ぐに、俺に向かって突進してきた。しかも、とてつもない速度だ。
「っ!」
俺はギリギリでウサギの攻撃を避ける。しかしウサギはすぐにUターンしてきた。これは避けられない。しかし、俺はあることに気づく。
(これなら流石のあいつも避けられないんじゃないか?)
奴は一直線に俺の方へ向かってきている。俺に避ける隙は残されていない。しかしそれは奴も同じなのではないか?
なら俺に残されている道は一つしかない。
(この一発に全てを賭ける!)
トイフェルをウサギに向け、発砲した。弾丸はウサギの頭を粉々に粉砕した。俺の足元に、ウサギの亡骸が落ちてくる。
「へっ、あっけねえ」
因縁の相手との一戦を終えた俺の一声は、それだった。手ごたえがない。俺の指を奪ったウサギも、一発撃ち抜けば終わり。実に、あっけない。
「ま、これで更に強くなれるな」
ウサギは狼より強いことが分かっているので、食えば強くなれることは確定だろう。俺はウサギの首を掴んで、拠点に持ち帰った。
「ガリッ、ブチッ……ウサギ肉ってもマズイことに変わりねぇな……」
現在、俺は拠点にてウサギを喰っていた。かつて自分を見下し弄んだ蹴り技の達人は、今やただの食料だった。ウサギということで多少はマシな味なのではと期待したが、所詮は魔物の肉。普通に不味かった。
それでも丸一匹、ペロリと平らげる。〝胃酸強化〟を手に入れてから、食う量が格段に増えたと思う。それどころか食べようと思えばいくらでも食べられる気がする。
この水があれば死にはしないが、使いすぎると再び飢餓感に襲われそうなので考えて使わなければならない。
「さあて、お待ちかねのステータス閲覧といこうじゃねえか……」
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:12
天職:錬成師
筋力:300
体力:650
耐性:350
敏捷:500
魔力:800
魔耐:600
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・言語理解
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やはり魔物肉を喰うとステータスが上がるようだ。狼ではもう殆ど上がらなかったことを考えると喰ったことのない魔物を喰うと大きく上昇するらしい。
そして新たに、〝天歩〟とやらが増えているし派生技能もついている。まず一番最初にイメージしたのは、ウサギのあの踏み込みだ。焦点速度が間に合わなくて体がブレて見えるほどの速度。天歩の横に[+縮地]とあるのはその技能ではないかと当たりを付ける。縮地といえば地球でも有名な高速移動のことだ。
「ここじゃ狭いな……外に出るか」
俺はこの技能を試すには、広い場所の方がいいだろうということで洞穴から出ることにした。
さて、手探りで色々と学んでいかなきゃいけないわけだが、まずはどうやってこの技能を発動させるかだ。とりあえずあのウサギがやってたみたいに力を溜める体制になって……。
お? 足元に魔力が集まってくるのを感じるな。一応正解みたいだ。次に溜まった力を爆発させるイメージで……一気に踏み込むッ!
その瞬間、俺の足元が陥没し、俺は吹き飛ばされる。
途轍もないスピードだ。体感で言えば、高速道路を走っている車くらいのスピードくらいか。俺は右足を前に出してブレーキをかける。少しして体は完全に止まった。
こいつはすげえな……トイフェルと合わせたらより強力な武器になるに違いない。
お次は[+空力]だ。だが、これが中々発動しない。名称だけではどんな技能なのかわかりづらい。どんな技能なのか分かればあとは結構楽なんだがな。
そういやあのウサギが空中を足場のようにして飛び上がってたな。もしやあれか?
早速俺は、空中に透明のシールドがあることをイメージする。そして、そのシールドを踏む感じで上方に跳躍してみた。
「おぉ~! いいなぁ! 空を飛んでるみてえだ!」
結果は大成功だ。空力は空中に足場を作る固有魔法で間違いないみたいだな。
さて、どんな技能なのかは分かったから、あとはこれのイメトレ、そして実践だな。イメージが発動のトリガーである固有魔法は、イメトレも必須だ。咄嗟にイメージが出来るようにならなければ、使いこなしたとは言い難い。
俺は特訓メニューを考えるために一度拠点に戻った。
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風切る音が迷宮内に響く。
その発生源は俺だ。俺は今現在、縮地と空力を駆使しながらこの迷宮の出口を探していた。
あのあと鍛錬により〝天歩〟を完全にマスターした俺は、この階層で得られるものも無くなってきたので、出口を探すことにした。
下に行く階段は随分前に見つけたんだが、出口だけはどこを探しても見つからなかった。
途中狼やウサギの群れに遭遇したりもするが、高速移動している俺を見つけた瞬間殺している。奴等を食う意味はもうないので、今じゃただの食料だ。
狼やウサギを殺した数がもう20を越えた頃、俺は腹ごしらえのために用意していた狼肉を取り出す。すでに纏雷で調理済みだ。
「ったく、出口がどこにもねえぞ。錬成で探せるとこも探したし、これ以上探したところで無意味な気がするんだよな……ッ!!」
狼肉を食い終わった瞬間、殺気を感じ、俺はその場を離れる。
ついさっきまで俺が立っていた場所は、地面が抉れていた。まるで巨大な鉤爪で引き裂かれたような感じだ。
殺気が放たれている場所を見ると、そこには一匹のデカイ熊が立っていた。
「ヘッ、見たことねえ野郎だな。わざわざ俺に食われに来たのか?」
そんな余裕そうな口を叩いているが、内心は緊迫。奴の強さは狼とウサギの比じゃない。攻撃を見なくても分かる。油断すれば、死ぬ。
「ガアアア!!」
突如、熊が腕を振るう。
勿論、そんな至近距離に俺がいるわけではない。なら何故急に腕を振ったのか。
風の刃が、すぐそこまで迫っていた。
「ッ!?」
咄嗟に縮地で横へ回避する。少し反応が遅れたせいか、俺の頬を温かい液体が流れる感覚がした。
俺は冷や汗を流した。地面をいとも簡単に抉るような威力だ。まともに食らえば死ぬ。
だが同時に、楽しいという感情が沸き上がってきた。
初めてウサギを殺した日以来の殺し合いだ。奴は少しは抵抗したが、死ぬときはあっけなかった。そのせいで俺は、因縁の相手を倒したというのに心が満たされなかった。
だが、ここでボスの登場だ。狼もウサギも瞬きの瞬間殺してしまいそうなこいつなら、俺の満たされない殺戮衝動を少しは満たしてくれるのではないか。そう思うと不思議と心が躍る。
「テメエを殺して、俺はさらに強くなる」
俺の口元が吊り上がり、狂気の笑みを作り出すのを感じる。
俺はトイフェルを素早く引き抜き早撃ちを繰り出す。
「グゥウ!?」
熊は咄嗟とっさに崩れ落ちるように地面に身を投げ出し回避した。ほう、今のを避けるか。
だが、完全に避け切れたわけではなく肩の一部が抉れて白い毛皮を鮮血で汚している。
「ガァアア!!」
熊が咆哮を上げながら物凄い速度で突進してくる。二メートルの巨躯と広げた太く長い豪腕が地響きを立てながら迫る姿は途轍もない迫力だ。
「ハハ! もっとだ! もっと俺を楽しませろ!」
俺は空力で上へ回避する。そしてカウンターでトイフェルを発泡する。熊もカウンターを読んでいたようで、前転で回避された。デカイ割には、素早い野郎だ。
次に熊は先程の風の刃を複数放ってきた。こいつの固有魔法だろう。俺は空力と縮地を同時に使い避ける。
爪熊が獲物を逃がしたことに苛立つように咆哮を上げる。おいおい、そんな隙だらけの行動、俺が見逃すと思うか?
俺はあるものを投げる。あるものは熊の足元に転がり、熊がそれに視線を向けた瞬間、強烈な光を放った。
俺特製の〝閃光手榴弾〟である。
原理は単純だ。緑光石に魔力を限界ギリギリまで流し込み、光が漏れないように表面を薄くコーティングする。更に中心部に燃焼石を砕いた燃焼粉を圧縮して仕込み、その中心部から導火線のように燃焼粉を表面まで繋げる。
後は〝纏雷〟で表に出ている燃焼粉に着火すれば圧縮してない部分がゆっくり燃え上がり、中心部に到達すると爆発。臨界まで光を溜め込んだ緑光石が砕けて強烈な光を発するというわけだ。ちなみに、発火から爆発までは三秒に調整してある。苦労したんだぜ? 緑光石の魔力飽和量が分からない間は、しょっちゅう駄目にしてたからな。
当然、そんな兵器など知らない熊はモロにその閃光を見てしまい一時的に視力を失った。両腕をめちゃくちゃに振り回しながら、咆哮を上げもがく。何も見えないという異常事態にパニックになっているようだ。集中もできていないからだろうか。腕を振り回しているのに固有魔法が発動していない。
その隙を逃す俺ではない。再びトイフェルを構えてすかさず何発か発砲する。電磁加速された絶大な威力の弾丸が暴れまわる熊の両肩に命中し、腕を根元から吹き飛ばした。
「ルゥアアアアア!!!」
凄まじい悲鳴を上げる熊。その肩からはおびただしい量の血が噴水のように噴き出している。吹き飛ばされた両腕がくるくると空中を躍り、やがて力尽きたようにドサッと地面に落ちた。
「さあこれでテメエの自慢の固有魔法も使えなくなったぜ?」
俺は両腕を失った熊に対して嘲笑するような笑みを向けた。そして目が回復した熊は、その笑みを挑発だと受け取ったのか、こちらを強烈な怒りを宿した眼で睨んでくる。
「グガアアアアアアアア!!!!」
今までの咆哮が比にならない凄まじい咆哮を上げ、突進してくる。完全に怒りで我を忘れているようだ。
だが、固有魔法が使えない奴なんか怖くない。
俺は縮地を同時発動し、熊に近づく。熊は突然近づかれたことに驚き、思わず突進の勢いを弱める。俺は近づいた時の勢いを利用し、飛び膝蹴りを熊の顎に思いっきり叩き込んだ。
バランスを崩した熊は、仰向けに倒れる。両腕が無いので立ち上がることもできない。しかし眼光は未だ鋭く殺意に満ちていて俺を睨んでいる。
俺は歪んだ笑みで返し、ホルスターに仕舞っていたトイフェルを抜きながら歩み寄り、熊の頭部に銃口を押し当てた。
「俺の勝ちだ」
それだけ言うと有無も言わずに引き金を引く。撃ち出された弾丸は熊の頭部をいとも簡単に粉砕した。
迷宮内に銃声が木霊する。そして静かになる。
戦っている最中は確かに心が躍ったが、想像していたような爽快感はない。だが、虚しさもまたなかった。こいつは今まで会ってきた奴の中では、間違いなく強者。同じ強者として、最後まで敵に臆すること無く戦ったことは敬意を払ってやろう。
熊を殺し一段落ついたところで、改めて自分の心と向き合ってみる。
目標は、俺を陥れたもの全てに対する復讐。
この力でまた新たな魔物を殺し、食らい、力を手に入れる。そして俺を見下しバカにし、陥れた奴等に地獄を見せてやるんだ。
そして、あわよくば俺を都合のいい道具のように扱い捨て駒にしようとした教会を、王国を、俺を喚び出し日常を奪った役立たず神を、
この世界の全てを、壊し尽くしてやる。
「待ってろよテメエら……きっちり全員地獄に落としてやるからなぁ……ア"ーッハハハハッ!! ア"ーッハーッハーッハーッハッ!!! ギャーッハーッハーッハーッハッ!!!」
俺は南雲ハジメ。
この世界を壊さんとする悪魔だ。
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:14
天職:錬成師
筋力:350
体力:680
耐性:410
敏捷:570
魔力:890
魔耐:640
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+高速錬成][+複製錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・■■■■・言語理解
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