もしもハジメ君の性格がキツく口調が悪かったら(仮)   作:fruit侍

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気合いの連日投稿ダァ! でもクオリティ低くなってないか心配……。

サソリモドキ戦です。次回は勇者sideを書こうと思っています。

UA80000ありがとうございます!


第十五話

サソリモドキの初手は尻尾の針から噴射された紫色の液体だった。俺はすかさず飛び退いてそれをかわす。着弾した紫の液体はジュワーという音を立てて瞬く間に床を溶かしていった。かなり強力な溶解液のようだ。当たれば死を免れたとしても戦闘不能は避けられない。

 

俺はそれを横目に確認しつつ、トイフェルを抜き様に発砲する。

 

 

ドパンッ!

 

 

最大威力だ。弾丸がサソリモドキの頭部に炸裂する。

 

俺は足を止めることなく〝空力〟を使い跳躍を繰り返した。

 

サソリモドキのもう一本の尻尾の針が俺に照準を合わせた。そして、尻尾の先端が一瞬肥大化したかと思うと凄まじい速度で針が撃ち出された。俺は咄嗟に避けようとしたが、針が途中で破裂し散弾のように広範囲を襲う。

 

「よっぽど初見殺しが好きみたいだな!!」

 

俺は嫌味を吐き散らしながら針をトイフェルで撃ち落とし、〝豪脚〟で払い、〝風爪〟で叩き切る。どうにか凌ぎ、お返しとばかりにトイフェルを発砲。弾が切れたのを確認すると、トイフェルをしまい代わりにポーチから取り出した手榴弾を投げつける。

 

サソリモドキはトイフェルの一撃を再び耐えきり、更に散弾針と溶解液を放とうとした。しかし、その前にコロコロと転がってきた直径八センチ程の手榴弾がカッと爆ぜる。その手榴弾は爆発と同時に中から燃える黒い泥を撒き散らしサソリモドキへと付着した。

 

いわゆる〝焼夷手榴弾〟というやつだ。前に探索した階層で手に入れたフラム鉱石という燃える鉱石を利用したもので、摂氏三千度の付着する炎を撒き散らす。

 

流石に、これは効いているようでサソリモドキが攻撃を中断して、付着した炎を引き剥がそうと大暴れした。その隙に、俺は地面に着地し、トイフェルを素早くリロードする。

 

それが終わる頃には、 〝焼夷手榴弾〟はタールが燃え尽きたのかほとんど鎮火してしまっていた。しかし、あちこちから煙を吹き上げているサソリモドキにもダメージはあったようで強烈な怒りが伝わってくる。

 

「キシャァァァァア!!!」

 

「ヘッ! そうだもっと怒れ! 余裕ぶっこいてるとまた痛い目にあうぞ!!」

 

絶叫を上げながらサソリモドキはその八本の足を猛然と動かし、俺に向かって突進してきた。四本の大バサミがいきなり伸長し大砲のように風を唸らせながら俺に迫る。

 

一本目を〝縮地〟でかわし、二本目を〝空力〟で跳躍してかわす。三本目を〝豪脚〟で蹴り流して体勢を崩している俺を、四本目のハサミが襲う。

 

が、俺は、咄嗟にトイフェルを撃ち、その激発の衝撃を利用して自らを吹き飛ばしつつ身を捻ることで辛うじて回避に成功した。背中のユエが激しい動きに思わず唸っているが、どうにか堪えられているようだ。

 

俺は、そのまま空中を跳躍し、サソリモドキの背中部分に降り立った。そして、暴れるサソリモドキの上でなんとかバランスを取りながら、ゴツッと外殻に銃口を押し付けるとゼロ距離でトイフェルを撃ち放った。

 

 

ズガンッ!!

 

 

凄まじい炸裂音が響き、サソリモドキの胴体が衝撃で地面に叩きつけられる。

 

しかし、直撃を受けた外殻は僅かに傷が付いたくらいでダメージらしいダメージは与えられていない。その事実に舌打ちしながら、俺はトイフェルを振りかぶり〝風爪〟を発動するが、ガキッという金属同士がぶつかるような音を響かせただけで、やはり外殻を突破することは敵わなかった。

 

サソリモドキが「いい加減にしろ!」とでも言うように散弾針を自分の背中目掛けて放った。

 

俺は、即行でその場を飛び退き空中で身を捻ると、散弾針の付け根目掛けて発砲する。超速の弾丸が狙い違わず尻尾の先端側の付け根部分に当たり尻尾を大きく弾き飛ばすが……尻尾まで硬い外殻に覆われているようでダメージがない。

 

……何か、おかしい。

 

俺は違和感を感じ始めていた。

 

俺を再度、四本の大バサミが嵐の如く次々と襲う。俺は苦し紛れに〝焼夷手榴弾〟をサソリモドキの背中に投げ込み大きく後方に跳躍した。爆発四散したタールが再びサソリモドキを襲うが時間稼ぎにしかならないだろう。だが、今はそれでよかった。少しでもいいから、考える時間が欲しかった。

 

俺が今まで戦ってきた魔物で、トイフェルが通用しなかった奴は殆どいなかった。だがこいつだけは一切効かない。少し効いているならまだ納得がいく。しかし全くダメージがないのだ。ここまで硬いと、何か仕掛けがあるとしか思えない。

 

だが問題は、その仕掛けが何なのかだ。今の俺で突破できる仕掛けならいいが、突破できない仕掛けだとしたら俺が圧倒的に不利だ。

 

まあ、ものは試しと言うし、やるだけやるが。

 

とその時、今までにないサソリモドキの絶叫が響き渡った。

 

「キィィィィィイイ!!」

 

その叫びを聞いて、全身を悪寒が駆け巡り、咄嗟に〝縮地〟で距離をとろうとしたが……既に遅かった。

 

絶叫が空間に響き渡ると同時に、突如、周囲の地面が波打ち、轟音を響かせながら円錐状の刺が無数に突き出してきたのだ。

 

「初見殺しもほどほどにしろよ!!」

 

これには完全に意表を突かれた。

 

ここで空中に逃げたら間違いなく溶解液と散弾針の餌食になる。サソリモドキはそれを狙っているに違いない。だがこのまま地上にいるのは危険だ。どうすれば……!

 

……ん? まてよ。たしか溶解液と散弾針は、尻尾から噴射されてたな。なら狙えないところがあるじゃないか。

 

そう、サソリモドキの下だ。

 

俺は〝縮地〟と〝空力〟で低空を素早く移動し、サソリモドキの下へ素早く潜り込む。サソリモドキは予想外だったようで、体の下に隠れた俺をあぶり出そうと必死に動いている。

 

「さて、気になってたことを試させてもらおうか!」

 

俺はサソリモドキの下に触れ、()()を使う。

 

すると、あれだけ硬かった外骨格が一瞬で剥がれてしまった。

 

やはり読んだ通り、こいつの外殻は鉱石だ。

 

今までトイフェルが魔物に通用しなかったなんてことはなかったのに、この硬さは明らかに不自然だった。そこで俺は、この硬さはこいつ自身の硬さではなく、何かやたらと硬い鉱石か何かを纏っているだけなのではないかと推測した。トイフェルの弾丸に使われているタウル鉱石が硬度8なので、これよりも硬い鉱石は少なからず存在するはずだ。

 

さて、タネが分かってしまえばこちらのもの。あとはこいつの倒し方を考えなければならないが……。

 

「キィィィィィイイ!!!」

 

おっと、サソリモドキが地面を変形させて突き刺してきたな。自分はダメージを受けないから、自分ごと貫いてしまおうという魂胆だろう。

 

だが、こいつは気付いていない。難攻不落だと思われていた自分の外殻は、既に俺によって攻略されていると。

 

俺はギリギリまで円錐の刺を引き付け、かわす。勢いがついた刺は、サソリモドキの内側の肉を容赦なく破壊する。

 

「ギェェェェェエエ!!?」

 

内側は思ったより柔らかいようだ。予想より深く刺さっている。

 

予想外の痛みにサソリモドキが悶えている間に、俺はサソリモドキの右側へ移動し、四本の足と二本のハサミの付け根の外殻を剥がす。そして風爪で、四本の足と二本のハサミを一気に切断してやった。

 

「ギュァァァァァァァアアアア!!!?」

 

バランスを崩したサソリモドキは、右側に傾く。続いて左側も同じように切断する。ついでに尻尾もだ。サソリモドキはついに地に伏した。

 

「キィィィィィィィィィィィアアアア!!!」

 

その咆哮が全ての足を切断された怒りを表すのか、想像を絶するほどの痛みを表すのかは分からない。俺はユエを降ろすと、サソリモドキの脳天に上り、未だに敵を捉えようとする目玉を見下した。

 

「どうですかぁ? 歩けなくなった気分はぁ! ギヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」

 

俺は笑いながらサソリモドキの頭を〝豪脚〟でゲシゲシと蹴りまくる。やはりサソリモドキにダメージはないようだが、先程まで死闘を演じていた相手になぶられる屈辱が感じられる。

 

「まあこうしてもテメエは痛くねえだろうな。だが今から叫びたくなるような痛みに苦しむことになるんだ」

 

俺はサソリモドキの頭の外殻を錬成で剥がし、靴底に貼り付けてある錬成の陣が書かれた石板を錬成し、無数の刺を作り出す。

 

そして再び〝豪脚〟で蹴り始めた。

 

さっきと違うのは、俺が足を振り下ろす度に血が飛び散るところか。

 

「グゥギィヤァァァアアア!!!?」

 

「エ"ハハハハハハ!!! ア"ーッハハハハハハハハハ!!! もっともがいてみろよ!! もしかしたら逃げられるかもしれねえぞ? キヒャハハハハハハハハハ!!!」

 

サソリモドキが脳を抉られる痛みに悲鳴をあげながら、ない足を動かそうともがく。俺はその光景がなんとも滑稽で、面白かった。

 

「もう、やめてあげて」

 

ユエが俺の肩を叩いて、俺にそう言ってくる。その眼は、悲しそうだ。

 

「無理だな。だってこいつがもがいてるのが堪らなく面白いんだよ。逃げられないのに逃げようとする。それのどこか面白くないんだ? 滅茶苦茶面白いじゃねえか」

 

まるで俺の圧倒的な力に逃げることも叶わずただ命乞いをするしかないあのクソ共を見ているようで。

 

悪びれもせずにそう言ってやると、ユエは次の瞬間、

 

 

パンッ!!

 

 

俺の頬を叩いた。

 

「ってえな! 何しやがる!」

 

「今のハジメはただ八つ当たりしてるだけ! 確かにこれは敵だったけど、八つ当たりしていい理由にはならない!」

 

八つ当たり……?

 

その瞬間、俺の中が急に冷めていく感じがした。

 

「ここにいるってことは、ハジメも物凄く辛い思いをしたんだと思う。けど、八つ当たりは何の意味もない!」

 

ユエの大きな声で、感情がリセットされていく。しかし、それに対して急に冷めさせられたものが再び沸き上がってくる。

 

「テメエに、何が分かるッ!!」

 

大声で言い返されたユエは、「ひっ」と短い悲鳴をあげる。

 

「テメエに分かるのか! 生まれてからずーーっと仲間がいない苦しみが!! 分からねえよな! テメエは王族で、生まれたときから周りからちやほやされてたんだもんな! 確かに裏切られたのは辛いだろうよ! 実際俺も裏切られたからな! だが俺の場合は、ただの俺の思い込みだった! 向こうは仲間だなんてこれっぽっちも思ってなかった! 生まれてから今まで仲間がいなくて、仲間だと思ってた奴等に切り捨てられて、人生を孤独に生きてきた俺の気持ちが、テメエに分かんのか!! ええ!?」

 

血走った目をした俺がユエの瞳に反射する。ユエは驚いた表情をしていたが、すぐに元の表情に戻ると、俺の顔を掴んだ。

 

「っ、何すん」

 

「八つ当たりは駄目」

 

この期に及んでまだ言うか、と思ったが、それはすぐにかき消された。

 

「やるなら、そいつらに。思いっきり仕返ししてやればいい」

 

その言葉に、俺は目を見開いた。

 

俺は何で忘れていたんだろうか。俺の目的は、奴等への復讐。こんなところで、油売ってる暇なんかない。

 

「……そうじゃねえか。さっきまでの俺がバカみたいだよ。……いや、実際にバカだな」

 

俺は苦笑いを含めて返すと、ユエが少し笑ったような顔をした。感情の出し方を思い出してきたんだろうか。

 

「それじゃ今のハジメがやらなきゃいけないことは?」

 

「決まってる。こうだ」

 

俺はトイフェルを抜いてサソリモドキの脳天に何発か発砲する。サソリモドキは完全に動きを止め、その生涯を終えた。

 

「そう。よくできました」

 

「なんか間違いを正されてるガキみてえだな」

 

いや、お互いの年齢的に俺がガキなのは間違いねえ。

 

すると急にユエがジト目で見てくる。

 

「……マナー違反」

 

「ただの例えだろうがそんな反応すんなよ」

 

もしや思考を読まれたか? 俺は呆れるようにそう返すと、俺とユエは地面に降り、俺は戦いの疲れを癒すのと補給に移るため、錬成で仮拠点を作り出すのだった。




ユエさんの力を借りずにサソリモドキを倒しましたハジメ君。原作でも錬成使えばあっさり倒せたのでは? みたいなシーンがあったので、ここではそれに気づいたということで話を進めてます。

なんかもう、ハジメ君とユエさんが殺戮の天使のザックとレイにしか見えないんですが……。似せてるつもりはないんですけどね。無意識に似せちゃってるのかもしれないです。

兵器の新名はまだまだ募集中です。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=259253&uid=215423
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