もしもハジメ君の性格がキツく口調が悪かったら(仮) 作:fruit侍
遅れて本当に申し訳ない……。まとまった時間がとれるから更新早くできそうですって言ったのどこのどいつだよ……。
オリジナル魔法が登場します。元ネタは……仮面ライダー好きな人なら分かっちゃうかも。
ボク達は特に問題もなく、遂に歴代最高到達階層である六十五層にたどり着いた。
「気を引き締めろ! ここのマップは不完全だ。何が起こるかわからんからな!」
メルド団長の声が響く。ボクは表情を引き締め未知の領域に足を踏み入れた。
しばらく進んでいると、大きな広間に出た。何となく見覚えがある気がする。
広間に侵入すると同時に、部屋の中央に魔法陣が浮かび上がったのだ。赤黒い脈動する直径十メートル程の魔法陣。それは、とても見覚えのある魔法陣だった。
その魔方陣を見た瞬間、ボクの中の負の感情が溢れてくる気がした。この魔方陣は、間違いなく奴だ。
「ま、まさか……アイツなのか!?」
偽善勇者君が額に冷や汗を浮かべながら叫ぶ。他の奴等の表情にも緊張の色がはっきりと浮かんでいた。
ふーん、いくらお前らみたいなボンクラでも、緊張くらいはできるんだね。
「マジかよ、アイツは死んだんじゃなかったのかよ!」
脳筋野郎も驚愕をあらわにして叫ぶ。それに応えたのは、険しい表情をしながらも冷静な声音のメルド団長だ。
「迷宮の魔物の発生原因は解明されていない。一度倒した魔物と何度も遭遇することも普通にある。気を引き締めろ! 退路の確保を忘れるな!」
いざと言う時、確実に逃げられるように、まず退路の確保を優先する指示を出すメルド団長。それに部下が即座に従う。だが、偽善勇者君がそれに不満そうに言葉を返した。
「メルドさん。俺達はもうあの時の俺達じゃありません。何倍も強くなったんだ! もう負けはしない! 必ず勝ってみせます!」
「へっ、その通りだぜ。何時までも負けっぱなしは性に合わねぇ。ここらでリベンジマッチだ!」
やれやれ、どっからそんな自信が出てくるんだろう。勇者は二度も敗北しないというご都合主義展開に賭けてるのか、本当に自分に奴を倒せるだけの力があると思ってるのか。いずれにせよ邪魔なことには変わりないね。
「は? 何言ってんの? 君達何にも成長してないね」
「なっ、こんな時に何を言い出すんだ恵里!」
「今はそんな馬鹿なこと言ってる場合じゃねえだろ!」
「脳筋君には一番言われたくないね。何? また君ら特攻して危機に陥る気? まずは全体に指示を出して隊列を組むのが普通でしょ? 君は認めたくないけどこの中でリーダーなんだから、その基本中の基本を忘れてもらっちゃ困るんだけど?」
「それは……確かにそうだな。龍太郎、まだ奴等が出てくるまで時間がある。それまでに隊列を組ませよう」
「おう、合点だ!」
一瞬言い返そうとしたけど、ボクの言い分に反論できないということで素直に言うことを聞く偽善勇者君。いつもこうだったら苦労しないのにね。まあ、一番邪魔なのを退かすことができたからよしとしようか。
「皆、隊列を組め! 背後は集団戦が得意だから、こっちも集団で応戦するんだ!」
よし、奴等がノロノロと隊列を組んでる今のうちに!
ボクはベヒモスの魔方陣の前に立ち、ボクと奴等の間に二メートル四方の最高級の紙に描かれた魔法陣を広げ、詠唱をする。
「全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の守りを、ここは聖域なりて、神敵を通さず――〝聖絶〟」
ボクと奴等の間に障壁が出現する。邪魔されないためには一番いい方法だけど、障壁系の魔法にボクはあまり適正がないので、面倒だけどこうするしかない。
「なっ!? 恵里、何してるんだ!」
「おい、早く戻ってこい!」
ボクに気づいた偽善勇者君と脳筋野郎が呼び戻しに来るが、障壁に阻まれる。
「君たちはそこで見ててもらおうか。こいつは、ボクの獲物だ」
そして、遂に魔法陣が爆発したように輝き、かつての悪夢が再びボクの前に現れた。
「グゥガァアアア!!!」
咆哮を上げ、地を踏み鳴らす異形。ベヒモスがボクを壮絶な殺意を宿らせた眼光で睨む。
「それくらいじゃボクは怯まないよ。先ずは小手調べと行こうか。……暗き炎渦巻いて、敵の尽く焼き払わん、灰となりて大地へ帰れ――〝螺炎〟」
螺旋状の炎が、ベヒモスに襲いかかる。あれからボクは、死に物狂いで訓練してきた。昼は魔力が尽きるまで魔法を撃ち続け、夜はオリジナル魔法開発のための勉強。辛かったけど、お兄ちゃんに会うためならいくらでもできる気がした。その結果、こいつらの中で一番魔力量が多くなったんだ。
その上、ボクは火属性に適正があるので、上級魔法でも火属性なら何十発でも撃てる。
さて、肝心の威力はどうかな?
「グゥルガァアア!?」
お、効いてるね。魔力量だけじゃなく、火力も知らず知らずのうちに上がってたみたいだ。こいつを葬るために今まで戦闘を避けてきたから、正直なところ正確な火力が分からなかったんだよね~。
「グルゥアアア!!」
ベヒモスが踏み込みで地面を粉砕しながら突進を始める。さっきのでボクのことを完全に敵だと判断したみたいだね。
「エリリン!」
鈴がボクのことを心配して叫んでくれる。本当に面倒な親友でごめんね。
「だけど、鈴とお兄ちゃんだけ置いて死ぬわけにはいかないから」
ボクは杖を構える。実践で使うのは初めてだから、正直言って少し不安だ。
「怨念、それは敵を蝕む呪い。憤怒、それは仇を焼き滅ぼす業火。今、呪いと業火を解き放ち、敵に絶望を与えよ--怨獄」
ボクの持つ杖から、赤黒い灼熱の炎と真っ黒な暗黒の闇が飛び出し、合体しながらベヒモスに襲いかかる。炎と闇はたちまちベヒモスを囲い、火山が噴火するような勢いで噴出し始めた。
「ガァアアアアアアアアアアアア!!!!?」
ベヒモスの悲鳴が響き渡る。ボクは懐から魔力回復ポーションを何本か取り出し、がぶ飲みする。
(やっぱり消費がきついな……今回は魔力回復ポーションが何本もあるからいいけど、それでもあまり使わない方がいいか)
後ろをチラッと見てみると、あいつらが驚愕の表情を浮かべたまま棒立ちになっている。自分達を追い詰めた魔物が何もできずに叫んでいるのと、ボクが誰よりも凶悪な魔法でベヒモスを追い詰めているのに開いた口が塞がらないみたいだね。
「これだけで済むと思わないことだね。ボクのお兄ちゃんを奪った罪はどんなものよりも重いよ」
ボクは魔力回復ポーションを飲み終えてベヒモスに視線を戻すと、間髪入れずに次の詠唱を始める。
「怨恨、それは敵を引き摺り込む生きた沼。今、沼を解き放ち、敵に永遠の足枷をもたらしたまえーー久遠沼」
今度は打って変わって泥のようなものが杖から飛び出し石橋に染み込むと、ベヒモスの足元を真っ黒に染めた。
そしてボクが杖をクイッと上に向けると、その真っ黒な部分から泥にまみれた腕のようなものがベヒモスを拘束した。
「グォオオオ……!!」
「この魔法は捕縛に特化した魔法。君なんかじゃ一生かかっても抜け出せないよ」
捕縛されたまま唸り声をあげるしかないベヒモスに、ボクは嘲笑の視線を向けてやる。ベヒモスはそれを見て、自分がバカにされてると分かったのか、さっきよりも少し大きい声で唸った。
「その間に、ボクは余裕の回復~」
ボクは懐から魔力回復ポーションを取り出し、捕縛されているベヒモスを目の前に、余裕の回復をする。それができちゃうくらい、この魔法は強力だ。
空になった瓶を投げ捨て、ボクはベヒモスに再び視線を戻す。
「さてトドメといこうか。特別に僕がつい最近やっと完成させた最高傑作で仕留めてあげるよ」
ボクは杖を構え、最高傑作の発動のために詠唱を開始する。
「『悪意』、それは全ての人間が持つもの」
魔力の塊と何かがボクから抜け、杖に装填される。
「『恐怖』、それは全ての人間が本能的に感じるもの」
また魔力の塊と何かがボクから抜けて杖に装填される。
「『憤怒』、それは全ての人間を猛り狂わせるもの。『憎悪』、それは全ての人間の内側で密かに蠢くもの。『絶望』、それは時に人間を滅ぼすもの。『闘争』、それは人間が止めることのできないもの」
次々にボクから魔力の塊と何かが抜けて杖に装填される。少し目の前がクラクラしてきた。早く終わらせないと。
「『殺意』、それは全ての人間を怪物に変え得るもの。『破滅』、それは人間が幾度となく行い、行われてきたもの。『絶滅』、それは人間がいずれ辿り着くもの」
ついに、装填が終わった。
杖はおぞましい色をした魔力で包まれ、その魔力を諸に浴びてるボクの腕は、皮膚が徐々に爛れていっている。初めて使ったけど、これはヤバイね。
「それらが集いし時、この世の全てを討ち滅ぼす『滅亡』の力となる。我にその力を与え、罪深き仇敵に滅亡をーー不倶戴天」
杖から人の悲鳴のような音が少し出て、一瞬光ったかと思うと次の瞬間には、少し赤が混じったドス黒い色をした波動砲が放たれていた。その波動砲はベヒモスに直撃すると、悲鳴もあげさせずに『消滅』させてしまった。
「っ……ぅぅ……」
魔法を撃った直後、激しい頭痛がボクを襲い、ボクは立つことができなくなってしまった。この魔法は消費魔力が多すぎる。早くポーションを飲んで回復しなきゃ。
「か、勝ったのか?」
その言葉を聞いて、ボクは振り返る。
どうやらあの骨達の増殖も止まってしまったようだ。おそらく『ベヒモスの死亡』が、骨達の増殖を止めるトリガーになっていたみたいだね。
魔力が回復したボクは立ち上がり、邪魔が入らないようにするための障壁を壊した。もう必要ないからね。
そして戻ってきたボクを見る奴等の目は……まるで化け物を見るような目だった。
「何なのその目。せっかくボクが奴を倒してやったってのにさ、感謝とかできないの?」
「そんなことはどうでもいい」
ボクの前に歩いてきたのは、またしても偽善勇者君だった。
しかし先程と違ったのは、偽善勇者君がボクに聖剣の剣先を向けているということだ。
「恵里……さっきの魔法……あれは何だ!」
「ボクが開発したオリジナル魔法さ。王国に戻った後、血反吐を吐くような訓練をして、ようやく使えるようになったんだ。ま、実践は初めてだったけど」
「それなら、何故俺達に教えなかった!」
「もう忘れちゃったの? ボクは君達のこと、仲間だなんて思ってないって。なんで仲間じゃない奴にわざわざ自分の手の内を見せびらかす必要があるの?」
偽善勇者君は信じられないと言ったような顔をしている。まさか本気で言ってるとは思ってなかったの? 本当に都合のいい作りしてる脳だよ。
「これで分かったろ? ボクは本気だ。ボクの邪魔をするなら、君達はボクの敵と判断する。その時は、もれなくボクが開発した魔法で消し炭にしてあげるから、覚悟しな」
今度は忠告ではなく、脅迫にも近い声音で言ってやった。そしてボクはそれだけ言うと、次の階層に続く階段へ一直線に向かった。
その時、ボクに対する敵意の籠った言葉がボクの耳に入る。
「……南雲君は渡さない……!」
……誰かは直ぐに分かるけど、今のところ向こうから手は出してこなさそうだね。一応、警戒しとこうか。
怨獄(えんごく)
恵里のオリジナル魔法。火属性と闇属性の混合魔法。合体した炎と闇は、まるで生きているように動いて対象を囲い、包み込むように焼き尽くす。それは正に、恵里の怨念が作り出した、敵に終わらない痛みを与え続ける牢獄。
久遠沼(くおんしょう)
恵里のオリジナル魔法。闇属性の魔法。怨獄と違い、殺傷能力はない。しかし非常に拘束力に長けており、ベヒモスをも赤子の手をひねるが如く簡単に拘束してしまう。それは正に、一度嵌まってしまったら永遠に抜け出せない底無し沼。
不倶戴天(ふぐたいてん)
恵里のオリジナル魔法の中で最も火力が高い魔法。魔方陣や媒体を包む魔力に触れるだけでも危険。どの属性にも属さない。魔力と自身の負の感情を、九つの詠唱がそれぞれ完了する度に魔方陣に注ぎ込み、『滅亡』の力に変えて敵を消滅させる魔法。魔力だけでなく、恵里の負の感情を魔方陣に注ぎ込むため、敵にどれだけの負の感情を抱いているかによって、威力と攻撃方法が変わる。ベヒモスはまだ軽い方。魔力の消費量が尋常じゃなく、ユエが使う最上級魔法の三倍は使う。また、感情そのものを使用するため短時間で何発も放つと、感情を失い人形のようになってしまう危険性がある。
名前の由来は故事成語の不倶戴天から。
魔法の設定とか詠唱とか考えるのすっごく難しくてですね……かなり遅れてしまいました。
負の感情なら別にバンバン消費しても人形にはならなくね? とか思われそうですが、それだと完全無双になって面白くなくなっちゃうので、そうできないようデメリットを設けてあるということにしておいてください。
終わり方がめちゃ雑に……。次からはハジメ君sideに戻ります。
兵器の名前はまだまだ募集中です。それと同時に、今後恵里が使うオリジナル魔法の案も募ってみようと思います。
↓↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=259253&uid=215423
皆さんが望むクラスメイト(一部を除く)の今後
-
魔人族に着いていって奴隷化
-
王都戦争編でハジメ君に一人ずつ処刑される
-
迷宮で全滅
-
エヒトに強化(建前)されて捨て駒になる