もしもハジメ君の性格がキツく口調が悪かったら(仮)   作:fruit侍

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いよいよヒュドラ戦。ここも原作とは違う展開です。

そろそろ本格的に勉強しなきゃいけないので、更新が止まりそうですね……。帰ってこれるのははたしていつになることやら……。


第十八話

ブスアルラウネを撃ち殺した日から随分経った……気がする。

 

次の階層で俺が最初にいた階層から丁度百階目になるところまで来た。その一歩手前の階層で俺は装備の確認と補充にあたっていた。

 

ユエと出会ってからどれくらい日数が経ったのか時間感覚がないためわからないが、最近、ユエはよくまったり顔というか安らぎ顔を見せる。露骨に甘えてくるようにもなった。

 

特に拠点で休んでいる時には必ず密着している。横になれば添い寝の如く腕に抱きつくし、座っていれば背中から抱きつく。吸血させるときは正面から抱き合う形になるのだが、終わった後も中々離れようとしない。俺の胸元に顔をグリグリと擦りつけ満足げな表情でくつろぐのだ。

 

ここまで来れば、ユエが俺に向けている感情には嫌でも気づく。

 

ユエの外見が十二、三歳なので微笑ましさが先行し簡単に欲情したりはしないが、実際は遥に年上。その片鱗を時々見せると随分と妖艶になるのは困ったもんだ。未だ迷宮内である以上、常に緊張感をもっていることから耐えてはいるが、地上に出て気が抜けた後、ユエの大人モードで迫られたら理性がもつ自信はあまりない。

 

「ハジメ……いつもより慎重……」

 

「次で百階だからな。ここがユエの言ってた通り人が作ったってんなら、区切りがいい数字に何か仕掛けてくるだろうと思ってな」

 

俺が迷宮を作るとしたら区切りのいい数に仕掛けを入れる。中途半端な数にすると歯痒いし、覚えられないからだ。ユエの言ってた反逆者とやらが普通の人間なら、そう考えるはず。

 

俺自身、兵器やら技能やら体術やらに相当磨きをかけてきたつもりだ。だがそれだけでクリアさせてくれるほど、迷宮は甘くない。

 

故に、出来る時に出来る限りの準備をしておく。ちなみに今の俺のステータスはこうだ。

 

 

====================================

 

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:76

 

天職:錬成師

 

筋力:2120

 

体力:2760

 

耐性:2210

 

敏捷:2590

 

魔力:3030

 

魔耐:2640

 

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・■■■■・言語理解

 

====================================

 

 

ステータスは、初めての魔物を喰えば上昇し続けているが、固有魔法はそれほど増えなくなった。主級の魔物なら取得することもあるが、その階層の通常の魔物ではもう増えないようだ。

 

それに、いつの間に増えていた文字化けした技能はここまで来ても読めるようにならなかった。何か読めるようになる条件でもあんのかね。

 

しばらくして、全ての準備を終えた俺とユエは、階下へと続く階段へと向かった。

 

その階層は、無数の強大な柱に支えられた広大な空間だった。柱の一本一本が直径五メートルはあり、よく分からない彫刻が彫られている。柱の並びは規則正しく一定間隔で並んでいる。天井までは三十メートルはありそうだ。地面も荒れたところはなく平らで綺麗なものである。どこか荘厳さを感じさせる空間だった。

 

俺が足を踏み入れると、全ての柱が淡く輝き始めた。柱は俺達を起点に奥の方へ順次輝いていく。

 

感知系の技能をフル活用しながら歩みを進める。二百メートルも進んだ頃、前方に行き止まりを見つけた。いや、行き止まりではなく、それは巨大な扉だ。全長十メートルはある巨大な両開きの扉が有り、これまた彫刻が彫られている。

 

(……これは……間違いねえ。ここを越えたら、何か起こる)

 

感知系技能には反応がなくとも、俺の本能が警鐘を鳴らしている。この先はマズイと。それは、ユエも感じているのか、うっすらと額に汗をかいている。

 

そして、二人揃って扉の前に行こうと最後の柱の間を越えた。

 

その瞬間、扉と俺達の間の空間に巨大な魔法陣が現れた。赤黒い光を放ち、脈打つようにドクンドクンと音を響かせる。

 

俺は、その魔法陣に見覚えがあった。忘れようもない、あの日、俺が奈落へと落ちた日に見た自分達を窮地に追い込んだトラップと同じものだ。だが、ベヒモスの魔法陣が直径十メートル位だったのに対して、眼前の魔法陣は三倍の大きさがある上に構築された式もより複雑で精密なものとなっている。

 

「流石ラスボス、陣のデカさも規格外ってか?」

 

「……大丈夫……私達、負けない……」

 

ユエの言葉に「そうだな」と頷き、俺も魔法陣を睨みつける。どうやらこの魔法陣から出てくる化物を倒さないと先へは進めないらしい。

 

魔法陣はより一層輝くと遂に弾けるように光を放った。咄嗟に腕をかざし目を潰されないようにするハジメとユエ。光が収まった時、そこに現れたのは……

 

体長三十メートル、六つの頭と長い首、鋭い牙と赤黒い眼の化け物。例えるなら、神話の怪物ヒュドラだった。

 

「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」

 

不思議な音色の絶叫をあげながら六対の眼光が俺達を射貫く。常人ならそれだけで心臓を止めてしまうかもしれない壮絶な殺気だ。

 

同時に赤い紋様が刻まれた頭がガパッと口を開き火炎放射を放った。それはもう炎の壁というに相応しい規模である。

 

俺とユエは同時にその場を左右に飛び退き反撃を開始する。俺のトイフェルが火を吹き電磁加速された弾丸が超速で赤頭を狙い撃つ。弾丸は狙い違わず赤頭を吹き飛ばした。

 

「まずは一つだ!」

 

ところが、白い文様の入った頭が叫ぶと、吹き飛んだ赤頭を白い光が包み込んだ。すると、まるで逆再生でもしているかのように赤頭が元に戻った。白頭は回復魔法を使えるらしい。

 

遅れてユエの氷弾が緑の文様がある頭を吹き飛ばしたが、同じように白頭の叫びと共に回復してしまった。

 

(回復役か! 面倒くせえな!)

 

俺は舌打ちをしつつ〝念話〟でユエに伝える。

 

〝ユエ! あの白頭を狙うぞ! キリがねえ!〟

 

〝んっ!〟

 

青い文様の頭が口から散弾のように氷の礫を吐き出し、それを回避しながら白頭を狙う。

 

ドパンッ!

 

「〝緋槍〟!」

 

閃光と燃え盛る槍が白頭に迫る。しかし、直撃かと思われた瞬間、黄色の文様の頭がサッと射線に入りその頭を一瞬で肥大化させた。そして淡く黄色に輝き俺の弾丸もユエの〝緋槍〟も受け止めてしまった。衝撃と爆炎の後には無傷の黄頭が平然とそこにいる。

 

「ちっ! 盾役か。攻撃に盾に回復にと実にバランスのいいことだな!」

 

俺は頭上に向かって〝焼夷手榴弾〟を投げる。同時にトイフェルの最大出力で白頭に連射した。ユエも合わせて〝緋槍〟を連発する。ユエの〝蒼天〟なら黄頭を抜いて白頭に届くかもしれないが、最上級を使うと一発でユエは行動不能になる。吸血させれば直ぐに回復するが、その隙を他の頭が許してくれるとは思えなかった。せめて半数は減らさないと最上級は使えない。

 

俺たちの攻撃を尽く受け止めている黄頭は、流石に今度は無傷とはいかなかったのかあちこち傷ついていた。

 

「クルゥアン!」

 

すかさず白頭が黄頭を回復させる。しかし、その直後、白頭の頭上で〝焼夷手榴弾〟が破裂した。摂氏三千度の燃え盛るタールが撒き散らされる。白頭にも降り注ぎ、その苦痛に悲鳴を上げながら悶えている。

 

(よし! 今なら……)

 

このチャンスを逃すわけにはいかねえ。俺が〝念話〟で合図をユエに送ろうとした時だった。

 

後ろから強烈な殺気を感じた。

 

「ッ!」

 

俺は振り向きざまにその殺気の主にトイフェルを撃とうとしたが、その殺気の主、黒い頭の目を見た瞬間、体が動かなくなった。

 

(な……! 体が……動か……ねえ……!)

 

体を必死に動かそうとする俺の意思に反して、俺の意識は闇に沈んでいった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「……あぁ?」

 

気がつけば、俺は真っ暗闇の中にいた。しかし、今の俺の見た目は、ここ奈落に来た直後のボロボロの格好だ。

 

(……ユエ!?)

 

そして俺の前方には、ユエがいた。

 

しかし前のユエは、俺を一瞥すると俺の反対方向へ歩いて行ってしまう。

 

「おい待てよ! お前は俺の傍にいてくれるんじゃないのかよ!」

 

ユエの方向へ脇目もふらず走り続ける。しかしその距離が埋まることはなく、遠ざかっていく。

 

「行くな! 行かないでくれ! 俺を見捨てないでくれ!」

 

次第に、俺の体が欠損していき、走れなくなっていく。ユエに向かって叫ぶが、それでもユエは歩みを止めない。

 

「血ならいくらでも吸わせてやる! 何か気分を害したなら謝る! だから、だから! 俺を、一人にしないでくれ!!」

 

四肢が無くなった状態で這いずりながら叫ぶも、全く効果無し。そしてユエは、奥の暗闇へと消えようとしていた。

 

俺は、また裏切られるのか? また、自分だけバカを見るのか?

 

「ユエ! 行くな! 行くなああああアアア!!!」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「があ"あ"あ"あ"ア"ア"ア"ア"ッ"!!!」

 

「!?」

 

ハジメの叫び声が聞こえ、咄嗟にハジメに駆け寄ろうとするが、それを邪魔するように赤頭と緑頭が炎弾と風刃を無数に放とうとしてくる。

 

しかしその二つの頭は一筋の閃光によって木っ端微塵に破壊されてしまった。

 

閃光の出場所を見ると、明らかに正気じゃないハジメが自身の武器……銃、だっけ? を構えている。

 

「ぐがあ"あ"あ"あ"ア"ア"ア"ッ"!!!」

 

そして再び絶叫すると同時に此処彼処に乱射し始める。いつも余裕そうなのに、ここまで取り乱すなんて一体何があったの……?

 

(この魔物の首は、自身の色に対応した魔法でそれぞれ戦ってる。赤は火、青は氷、緑は風、白は回復。黒は……考えられるのは闇。闇魔法は洗脳や状態異常などの妨害系が多い……まさか!)

 

私は身体強化でハジメの攻撃を避けながらハジメに近づき、黒頭に向かって緋槍を放った。ハジメに集中していた黒頭は、私から魔法が放たれていたことも知らず蒸発したように消えてなくなる。

 

それと同時にハジメが武器を持った手を力なく降ろし、膝を着いた。そのハジメを喰らおうというのか、青頭が大口を開けながら長い首を伸ばしハジメに迫っていく。

 

「……させない! 〝緋槍〟!」

 

私はハジメと青頭の間に入り、魔法を放つ。勢い余った青頭は避けることもできず、緋槍を諸に食らい蒸発した。

 

すかさず四つの破壊された頭を修復しようと、白頭が回復魔法を発動する。その隙に私はハジメを抱き抱え柱の陰に隠れた。

 

「ハジメ! ハジメ!」

 

「っ……ぁ……?」

 

私に呼び掛けられて、ハジメはようやく私を認識できたようだ。

 

「よかった……」

 

安堵しようとした瞬間、私はハジメに押し倒され、眉間に銃を突き付けられた。急なことで、私は反応できなかった。

 

「……ハ、ハジメ?」

 

「テメェも……テメェも! 俺を! 見捨てるのか!」

 

ハジメの言動で私は確信した。あの黒頭は、敵を恐慌状態に陥れることができる。その敵が、一番恐れていることを幻覚にして見せることで。

 

ハジメはこれまで多くの人に虐げられてきたと聞いた。そうされないように、ハジメ自身が強くなったということも。そしてその間、ずっと一人だったことも。一人は想像以上に辛かっただろう。私は、生まれたときから色んな人に囲まれていたからあまり分からないが。

 

でも、あの憎しみに囚われた目を見ていれば、嫌でも分かる。

 

だから、数少ない理解者である私に見捨てられることが、今のハジメにとって一番恐いんだろう。

 

銃を持つ手が、震えているから。

 

私はハジメの銃を持つ手に優しく手を重ねた。

 

「ッ! 動くんじゃねェッ!」

 

ハジメの手の震えが増す。しかし私はゆっくりとその手を退けて、ハジメの顔に自身の顔を近づける。ハジメの顔は、幻覚とはいえ見捨ようとしたことに対する憤怒と、また見捨てられるのではないかということに対する恐怖で染まっている。

 

そんなハジメに、私はそっとキスをした。

 

「!? !!!?」

 

ハジメは目を見開き、驚愕の表情をする。

 

しかし私は止まらない。今まで散々我慢していたのだ。これでもかというほどに私の今の気持ちをハジメに思い切りぶつけてやる。

 

しばらくして、そっと唇を離した。銀色の橋が、刹那の間だけ私とハジメを繋ぐ。

 

「……どう? これでもまだ、私がハジメを見捨てると思う?」

 

マジマジと私を見つめていたハジメだが、その言葉を聞くといつもの目に戻り、

 

「へっ、むしろしようと思ってもさせるかよ。俺のファーストキスを奪ったんだ。責任は取ってもらうぜ」

 

「上等」

 

そして私達は柱の陰から出た。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

ユエのお陰で立ち直ることができた俺は、未だに破壊された頭を修復しようと回復魔法を発動している白頭を見る。ユエが跡形もなく頭を吹き飛ばしてくれたお陰か、修復に手間取っているようだった。

 

「さて、散々俺を弄んだんだ。灰になる覚悟はできてんだろうな?」

 

俺は背中からギーベリを取り出し、白頭に照準を合わせる。その間に全ての頭がようやく修復完了したようで、全ての頭の殺気が俺へと向いている。俺はユエに念話で指示を出す。

 

〝ユエ! ギーベリを使う! 少しの間囮を頼めるか!〟

 

〝……任せて!〟

 

いつもより断然やる気に溢れているユエ。静かな呟くような口調が崩れ覇気に溢れた応答だ。

 

「〝緋槍〟! 〝砲皇〟! 〝凍雨〟!」

 

矢継ぎ早に引かれた魔法のトリガー。有り得ない速度で魔法が構築され、炎の槍と螺旋に渦巻く真空刃を伴った竜巻と鋭い針のような氷の雨が一斉に奴をを襲う。攻撃直後の隙を狙われ死に体の赤頭、青頭、緑頭の前に黄頭が出ようとするが、白頭の方を俺が狙っていると気がついたのかその場を動かず、代わりに咆哮を上げる。

 

「クルゥアン!」

 

すると近くの柱が波打ち、変形して即席の盾となった。どうやらこの黄頭はサソリモドキと同様の技が使えるらしい。あいつと比べたらしょぼいけどな。

 

当然、そんなものでユエの魔法を防げるわけがなく、先陣が壁を爆砕し、後続の魔法が三つの頭に直撃した。

 

「「「グルゥウウウウ!!!」」」

 

悲鳴を上げのたうつ三つの頭。黒頭が魔法を使った直後のユエを狙っているのに気づいた俺は、念話で伝える。

 

〝ユエ! 右斜め上に黒頭だ!〟

 

するとユエはノールックで緋槍を黒頭へ放つ。完全に不意を突かれた黒頭はなす術なく蒸発した。

 

白頭がすかさず回復させようとするが、それは俺が待ちわびていた完全な隙。回復魔法を使用している間、奴は動けない。

 

黄頭が白頭を守るように立ち塞がるが、そんな事は想定済みだ。

 

「テメェらまとめて地獄行きだ!」

 

纏雷を使い、ギーベリが紅いスパークを起こす。弾丸はタウル鉱石をサソリモドキの外殻であるシュタル鉱石でコーティングした地球で言うところのフルメタルジャケットだ。

 

シュタル鉱石は魔力との親和性が高く〝纏雷〟にもよく馴染む。通常弾の数倍の量を圧縮して詰められた燃焼粉が撃鉄の起こす火花に引火して大爆発を起こした。

 

 

 

 

ドガンッ!!

 

 

 

 

大砲でも撃ったかのような凄まじい炸裂音と共にフルメタルジャケットの赤い弾丸が、更に約一・五メートルのバレルにより電磁加速を加えられる。その威力は理論上、トイフェルの最大威力の更に十倍。異世界の特殊な鉱石と固有魔法がなければ到底実現し得なかった怪物兵器だ。

 

発射の光景はまるで極太のレーザー兵器だ。射出された弾丸は真っ直ぐ周囲の空気を焼きながら黄頭に直撃した。

 

黄頭もしっかり金剛らしき防御をしていたのだが……まるで何もなかったように弾丸は背後の白頭に到達し、そのままやはり何もなかったように貫通して背後の壁を爆砕した。階層全体が地震でも起こしたかのように激しく震動する。

 

後に残ったのは、頭部が綺麗さっぱり消滅しドロッと融解したように白熱化する断面が見える二つの頭と、周囲を四散させ、どこまで続いているかわからない深い穴の空いた壁だけだった。

 

一度に半数の頭を消滅させられた残り三つの頭が思わず、ユエの相手を忘れて呆然と俺の方を見る。

 

目の前の敵に集中しない、そんなことをしたらどうなるかは、もうお察しの通りだ。

 

「〝天灼〟」

 

三つの頭の周囲に六つの放電する雷球が取り囲む様に空中を漂ったかと思うと、次の瞬間、それぞれの球体が結びつくように放電を互いに伸ばしてつながり、その中央に巨大な雷球を作り出した。

 

 

 

ズガガガガガガガガガッ!!

 

 

 

中央の雷球は弾けると六つの雷球で囲まれた範囲内に絶大な威力の雷撃を撒き散らした。三つの頭が逃げ出そうとするが、まるで壁でもあるかのように雷球で囲まれた範囲を抜け出せない。天より降り注ぐ神の怒りの如く、轟音と閃光が広大な空間を満たす。

 

そして、十秒以上続いた最上級魔法に為すすべもなく、三つの頭は断末魔の悲鳴を上げながら遂に消し炭となった。

 

いつもの如くユエがペタリと座り込む。魔力枯渇で荒い息を吐きながら、無表情ではあるが満足気な光を瞳に宿し、俺に向けてサムズアップした。

 

俺も頬を緩めながらサムズアップで返す。ギーベリを担ぎ直し奴の僅かに残った胴体部分の残骸に背を向け、ユエの下へ行こうと歩みだした。

 

その直後、

 

「ハジメ!」

 

ユエの切羽詰まった声が響き渡る。何事かと奴の残骸に目を向けると、音もなく七つ目の頭が胴体部分からせり上がり、俺を睥睨していた。




長くなったので一回切ります。

原作とは違ってハジメ君が幻覚を見せられる、という展開は前々から予定していました。これでハジメ君はユエさんなしじゃ生きられなくなりました()

兵器の名前及びオリジナル魔法の案はまだまだ募集中です。
↓↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=259253&uid=215423

皆さんが望むクラスメイト(一部を除く)の今後

  • 魔人族に着いていって奴隷化
  • 王都戦争編でハジメ君に一人ずつ処刑される
  • 迷宮で全滅
  • エヒトに強化(建前)されて捨て駒になる
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