もしもハジメ君の性格がキツく口調が悪かったら(仮)   作:fruit侍

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一年ぶりの更新なのに読んでくださった方々がたくさんいらっしゃって、改めてこの小説の人気を再認識しました。

原作の時系列からまたまた幕間に入ります。


幕間6

ボクの頑張りで65階層を突破して少し進んだ後、ボク達は一時迷宮攻略を中断しハイリヒ王国に戻っていた。

 

道順のわかっている今までの階層と異なり、完全な探索攻略であることから、その攻略速度は一気に落ちたこと、またメンバーの疲労が激しいことから一度中断して休養を取るべきという結論に至った。ボクは一人でも攻略を進めるつもりだったんだけど、魔力回復ポーションがなくなって高火力の魔法を使えなくなっちゃったから、『仕方なく』一緒に戻ってやった。

 

しかし、ここで予想しない出来事が起きた。何でも、ヘルシャー帝国という国からボク達に会いに使者が来るらしい。

 

なんでこのタイミングなのかって、ボクも思ったよ。

 

お兄ちゃんから聞いたんだけど、ヘルシャー帝国は完全な実力主義の国らしい。そこから予想するに、ぽっと出の人間が勇者とか冗談も大概にしろって感じだったんだろうけど、今まで誰も突破できなかったオルクス大迷宮の65階層がボク達に突破されたと聞いて、名前だけではないんだって思ったんじゃないかな。

 

ま、10割ボクの頑張りによるもので、あいつらは何にもしてないんだけどね。

 

帰りの馬車で聞く必要もないようなことを聞き流しながら、ボク達は王国に帰還した。

 

馬車が王宮に入り、全員が降車すると王宮の方から一人の少年が駆けて来るのが見えた。ハイリヒ王国王子のランデル殿下だ。

 

その中身はなんでも自分の思い通りにいくと思っている、世界を半分どころか10分の1も知らないようなクソガキだ。しかも王子という立場にいるためか、遠慮をしないし礼儀を知らない。完全に偽善勇者君の上位互換だ。

 

「香織! よく帰った! 待ちわびたぞ!」

 

ご覧の通り、王様や女王様でさえボク達のことを『様』か『殿』って呼ぶのに、こいつは呼び捨てである。呼び捨てならまだ良い方で、名前を覚えてない奴のことは『お前』とか『貴様』だ。

 

もちろんこの場には、香織だけでなく他にも帰還を果たしたボク達もいる。その中で、香織以外見えないという様子のランデル殿下の態度を見ればどういう感情を持っているかは容易に想像がつく。

 

ボクとしては、お兄ちゃんのためにもとっとと結び付いてほしい。けど香織は子供に懐かれてるぐらいにしか思ってないだろうけどね。

 

「ランデル殿下。お久しぶりです」

 

まぁもちろんだけど、香織はランデル殿下の好意に全く気づいていない。こいつ、自分が周りからどう思われてるのか知らないのかな? 自分が周りからどう思われてるかをある程度知ることは、社会で生きてくためにも必要なことだと思うけどね?

 

「ああ、本当に久しぶりだな。お前が迷宮に行ってる間は生きた心地がしなかったぞ。怪我はしてないか? 余がもっと強ければお前にこんなことさせないのに……」

 

ランデル殿下は悔しそうに唇を噛む。いやまあなんとも、偽善勇者君が言いそうなキザでくっさいセリフだね。聞いてて腹が立ってくる。

 

てかボク達、こんなやり取りを聞かされるためだけにここで突っ立たされてるの? はっきり言って時間の無駄なんだけど。

 

「お気づかい下さりありがとうございます。ですが、私なら大丈夫ですよ? 自分で望んでやっていることですから」

 

「いや、香織に戦いは似合わない。そ、その、ほら、もっとこう安全な仕事もあるだろう?」

 

「安全な仕事ですか?」

 

「う、うむ。例えば、侍女とかどうだ? その、今なら余の専属にしてやってもいいぞ」

 

うっわ、すっごい上から目線じゃん。そんなんでこんな鈍感突撃娘のハートを掴めるとでも思ってんの?

 

「侍女ですか? いえ、すみません。私は治癒師ですから……」

 

「な、なら医療院に入ればいい。迷宮なんて危険な場所や前線なんて行く必要ないだろう?」

 

医療院ってのは、国営の病院みたいなもの。王宮の直ぐ傍にある。そこに香織を置いとけば、殿下はいつでも会いに行けるってこと。

 

要するに、ランデル殿下は香織と離れるのが嫌なんだよ。ま、そんな気持ちは鈍感な香織には絶対届かないけど。

 

「いえ、前線でなければ直ぐに癒せませんから。心配して下さりありがとうございます」

 

「うぅ」

 

何を言っても響かない香織に、ランデル殿下が思わず情けない声を出す。そこに、偽善勇者君が割り込んできた。

 

「ランデル殿下、香織は俺の大切な幼馴染です。俺がいる限り、絶対に守り抜きますよ」

 

……こりゃ酷いね。空気を読めないにも程があるよ。

 

偽善勇者君としては、年下の少年を安心させるつもりで善意全開に言ったんだろうけど、ランデル殿下含めボク達にはこう言ってるようにしか聞こえない。

 

 

〝俺の女に手ぇ出してんじゃねぇよ。俺がいる限り香織は誰にも渡さねぇ! 絶対にな!〟

 

 

親しげに寄り添う(偽善)勇者と(鈍感)治癒師。実に見た目だけは様になる絵だ。ランデル殿下は悔しげに表情を歪めると、敵を見るようにキッと偽善勇者君を睨んだ。

 

「香織を危険な場所に行かせることに何とも思っていないお前が何を言う! 絶対に負けぬぞ! 香織は余といる方がいいに決まっているのだからな!」

 

「え~と……」

 

ランデル殿下の敵意むき出しの言葉に香織は苦笑いし、偽善勇者君はなんともまあ間抜けな顔でキョトンとしている。雫はそんな偽善勇者君を見て溜息を吐くしかない。

 

それを見て偽善勇者君が言い返せないと判断したのか、ランデル殿下は追撃してくる。

 

「大体、お前はあの裏切り者を倒すどころか見つけれてすらないそうじゃないか! あれだけ『裏切り者は俺が倒す』とほざいていたくせに手掛かりすら掴めんとは何事だ! 別にお前ができないのなら余がやってやってもいいのだぞ?」

 

……あ”?

 

「魔人族と繋がってるとは言え戦闘能力がない雑魚に変わりはないからな。聞けば奴は、訓練にも参加していなかったそうじゃないか。そんな奴、強い武器を手に入れただけの一般人と大差ないだろう。武器がなければ、余でも勝てる。余が仕留めた暁には、お前に奴の首を一番最初に見せてやっても……ぐぅっ!?」

 

その辺にしとけよクソガキ

 

駄目だ、もう耐えきれない。

 

ボクは一瞬でクソガキに近づいて胸ぐらを掴み、持ち上げた。周りが驚愕の声で満ちるが無視して続ける。

 

お前にお兄ちゃんの何が分かる? 言っとくけどな、お兄ちゃんはボク達の中でも一番努力してたんだよ。ボク達に戦わせておいて高みの見物しながらふんぞり返ってるお前に、お兄ちゃんの何が分かるんだ? ええ? 言ってみろよ

 

「ひ……ぁ……」

 

クソガキはボクの殺気で完全に黙り込む。そこにまぁ予想通りというか、偽善勇者君が止めに来る。

 

「お、おい恵里! 止め「黙ってろ偽善野郎が」ッ……」

 

ボクの殺気に偽善勇者君は怯んでいる。こんくらいの殺気、勇者なら耐えられるんじゃないのぉ? やっぱ大したことないね。

 

それにしてもこのクソガキ、どうしてやろうかなぁ? 指を一本ずつ折ってってそれから一本ずつ切り落としてやろうかな? いやそんなんじゃ全然足りないよねぇ。お兄ちゃんの苦しみ以上の苦しみをこいつには味わってもらわないといけないよねぇ?

 

「恵里」

 

今度はリリアーナがボクの邪魔をしに来た。

 

なぁに? リリアーナ。今このクソガキと話してるんだ。邪魔しないでよ

 

「ランデルの非礼は私の責任です。私はどうなっても構いません。ですからランデルのことはどうか許してくださいませんか?」

 

リリアーナは真っ直ぐな眼で言ってくる。けど足は少し震えている。まあ殺気をピンポイントでリリアーナに向けてるからね。ボクが言うのもなんだけど、一般人なら即気絶するレベルだと思う。

 

てか、これだとボクが悪者みたいじゃんか。そう考えるとなんか萎えちゃうよ。ボクはなんにも悪くないんだもん。

 

「……ハァ、興冷めしちゃった。ま、今回は許してあげるよ。ボクは優しいから。でも次は殺すからなクソガキ」

 

ボクが乱暴にクソガキを地面に投げ捨てると、クソガキはボクのことを涙目で睨みながら逃げていった。ハッ、いい気味だね。捨て台詞でも吐こうもんなら、すぐにでも殺してやったのに。

 

「香織、光輝さん、弟が失礼しました。代わってお詫び致しますわ。それと……恵里、本当に申し訳ありません」

 

リリアーナはそう言ってボクに頭を下げた。全くやめてくれって。ますますボクが悪者みたいだ。

 

「……もういいって言ってるでしょ。そんなに謝られるとボクが悪者みたいになるからやめてほしいんだけど」

 

今のボクは機嫌が悪い。お兄ちゃんを散々バカにされたからキレた挙げ句結果的に何故かこっちが悪者みたいな雰囲気にされたんだから。

 

そういえば、こんな雰囲気にした張本人であるリリアーナの説明がまだだったね。

 

リリアーナは、現在十四歳の才媛だ。その容姿も非常に優れていて、国民にも大変人気のある金髪碧眼の美少女だ。性格は真面目で温和、しかし硬すぎるということもない。TPOをわきまえつつも使用人達とも気さくに接する人当たりの良さを持っている。

 

召喚されたボク達にも、王女としての立場だけでなく一個人としても心を砕いてくれている。それとは別に、罪悪感も感じられるんだよね。 

 

そんな訳で、率先してボク達と関わるリリアーナとボク等が親しくなるのに時間はかからなかった。特に同年代の香織や雫との関係は非常に良好で、今では愛称と呼び捨て、タメ口で言葉を交わす仲である。

 

ボクも一応タメで話せる間柄ではある。悪い奴ではないからね。

 

「……改めて、お帰りなさいませ、皆様。無事のご帰還、心から嬉しく思いますわ」

 

リリアーナはそう言うと、ふわりと微笑んだ。

 

「ありがとう、リリィ。君の笑顔で疲れも吹っ飛んだよ。俺も、また君に会えて嬉しいよ」

 

あーあーあー、耳が腐る。

 

さらりとキザなセリフを爽やかな笑顔で言ってしまう偽善勇者君。これに下心が一切ないのが、余計恥ずかしいんだよ。もうホントに鈍感系主人公とかいうジャンル滅んでくれないかな?

 

「えっ、そ、そうですか? え、えっと」

 

リリアーナはなんて返すべきか分からなくなって、顔を赤くする。

 

王女である以上、国の貴族や各都市、帝国の使者等からお世辞混じりの褒め言葉をもらうのは慣れてるんだろうね。だから、笑顔の仮面の下に隠れた下心を見抜く目も自然と鍛えられているけど、偽善勇者君が一切下心なく素で言っているのがわかっちゃう。それ故の反応なんだろう。

 

「えっと、とにかくお疲れ様でした。お食事の準備も、清めの準備もできておりますから、ゆっくりお寛ぎくださいませ。帝国からの使者様が来られるには未だ数日は掛かりますから、お気になさらず」

 

どうにか乱れた精神を立て直したリリアーナは、ボク達に次の行動を促した。要するにとっとと風呂入って飯食って、帝国の使者が来るまで休んどけってことだね。

 

ボクとしては、帝国の使者とかホントどうでもいいから、バックレちゃおうかな? って思ってるけど。




兵器の名前及びオリジナル魔法の案はまだまだ募集中です。
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皆さんが望むクラスメイト(一部を除く)の今後

  • 魔人族に着いていって奴隷化
  • 王都戦争編でハジメ君に一人ずつ処刑される
  • 迷宮で全滅
  • エヒトに強化(建前)されて捨て駒になる
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