もしもハジメ君の性格がキツく口調が悪かったら(仮)   作:fruit侍

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遅れてすんません。テストでして……。

早く投稿しようとした結果、原作通り転移するところまでになってしまいました。申し訳ありません。


第七話

白崎を泣かせてやった次の日、俺達はオルクス大迷宮の正面入口がある広場に集まっていた。

 

俺としては薄暗い陰気な入口を想像していたのだが、まるで博物館の入場ゲートのようなしっかりした入口があり、受付窓口まであった。制服を着たお姉さんが笑顔で迷宮への出入りをチェックしている。ここでもこの発情期のサル共は鼻の下を伸ばしながらそのお姉さん達を見ている。……もう気持ち悪いから、ここで撃っちまってもいいか?

 

入口付近の広場には露店なども所狭しと並び建っており、それぞれの店の店主がしのぎを削っている。まるでお祭り騒ぎだ。俺は先ほど、焼き鳥みたいなのを買ったが、これがなかなかいける。昨日は酔いでろくに食事をとっていなかったので、それもあるのかもしれない。思わず5本くらい買って食ってしまった。

 

浅い階層の迷宮は良い稼ぎ場所として人気があるようで人も自然と集まる。馬鹿騒ぎした者が勢いで迷宮に挑み命を散らしたり、裏路地宜しく迷宮を犯罪の拠点とする人間も多くいたようで、戦争を控えながら国内に問題を抱えたくないと冒険者ギルドと協力して王国が設立したのだとか。入場ゲート脇の窓口でも素材の売買はしてくれるので、迷宮に潜る者は重宝しているらしい。

 

そんなもんだから、迷宮は毎日のように大盛況だ。窓口は思ったより混んでいて、俺達は神の使途ってことで優先してもらえたが、この混み具合だと最低でも一時間は待たなきゃならないだろう。その時間を潰すために置かれていると思われる飯用のテーブルと椅子があるが、座っている奴らはどいつもこいつも酒を飲んでバカ騒ぎ中だ。

 

俺は、魔人族との戦争を控えてるってのに随分と余裕そうだな、と真っ昼間から呑んだくれている冒険者共を一瞥して迷宮に入っていった。

 

 

 

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迷宮の中は、外の賑やかさとは無縁だった。

 

縦横五メートル以上ある通路は明かりもないのに薄ぼんやり発光しており、松明や明かりの魔法具がなくてもある程度視認が可能だ。これは緑光石という魔力を込めると光る特殊な鉱物のおかげで、オルクス大迷宮は、この巨大な緑光石の鉱脈を掘って出来ているらしい。

 

カス共は隊列を組みながらゾロゾロと進む。迷宮の中だってのに、こいつらは呑気に談笑しながら歩いてやがる。バカが、遠足じゃねえんだよ。

 

しばらく何事もなく進んでいると広間に出た。ドーム状の大きな場所で天井の高さは七、八メートル位ありそうだ。

 

と、その時、物珍しげに辺りを見渡しているカス共の前に、壁の隙間という隙間から灰色の毛玉が湧き出てきた。

 

「よし、光輝達が前に出ろ。他は下がれ! 交代で前に出てもらうからな、準備しておけ! あれはラットマンという魔物だ。すばしっこいが、たいした敵じゃない。冷静に行け!」

 

しばらくは俺の出る幕はないようだ。俺は適当に使えそうな鉱石集めでもしますかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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一階層を大体一周して、俺は使えそうな鉱石を結構拾った。中には弾の素材にもなる鉱石もあったので、ここでの弾切れは無いだろう。さて、戻りたくはないがそろそろ戻るか。

 

「ああ~、うん、よくやったぞ! だがここの魔物を全部倒したとは限らないから、気を緩めるなよ!」

 

どうやら終わってたみたいだ。大人数でやってた割には、時間かかってたな。

 

「それとな……今回は訓練だからいいが、魔石の回収も念頭に置いておけよ。明らかにオーバーキルだからな?」

 

……まさかこいつらこんな雑魚相手に上級魔法でも使ったのか? バカかよ。魔力回復薬があるとはいえ、魔力は有限なんだ。それを常に頭に入れて戦わねえと、いつ魔力切れになるか分からねえ。それすらできないとは、こいつらよっぽど死にたいらしいな。

 

「よし、最後は坊主、お前だ!」

 

メルドにそう言われ、俺は怠そうに前に出る。カス共は嫌な笑みを浮かべながら俺を見ている。大方、俺が油断して魔物にぶちのめされるところを見てやろうってとこだろうな。……俺を嘗めすぎだろ、おい。

 

そろそろお披露目といくか。こんな雑魚に使うのは気が引けるがな。そして俺はついにあれを取り出す。

 

「お、おいハジメ! それって、もしかして!」

 

幸利が真っ先に反応する。銃のことは、誰にも話していない。それが幸利だろうが恵里だろうがだ。カス共やクソ教会とかに話さない理由は言わなくても分かるだろう。二人に話さなかったのは、ただ単にこいつらの驚く顔が見たかったというだけだ。

 

「ほら、かかってこいよ毛玉野郎共。それともこいつが怖いか?」

 

目の前にいつの間にか立っているネズミ共を挑発する。

 

「「「キキィッ!!」」」

 

挑発されたと分かったのか、ネズミ共は怒りながら飛びかかってくる。

 

「おい坊主! その数はお前じゃ危険だ!」

 

メルドの声を無視し、俺はシュトーレンを向けた。

 

「死ねよ、害獣」

 

何発か銃声が響き、俺に飛びかかってきたネズミ共は何もできずに地面に落ちた。俺はネズミ共を解体して魔石を取り出してから、メルドの方へ向かう。

 

「終わったぜ。それと魔石だ」

 

「……あ、ああ」

 

俺の言葉に遅れたように反応するメルド。相当衝撃的だったらしい。後ろのカス共はまだマヌケな表情をしている。俺はカス共に嫌な笑みを浮かべながら言ってやった。

 

「これからは態度に気をつけろよ? 自分の体に風穴開けられたくなかったらな」

 

俺の言葉に何人かが睨みつけてくるが、すぐにシュトーレンを向けてやるとバツが悪そうに目をそらした。ハッ、今までの威勢はどこ行ったんだよ。

 

「おい南雲! それは何だ!」

 

……チッ、一番面倒な奴が来やがった。とりあえずテキトーに返すか。

 

「バカ之河君はそんなことも知らないのかー。しょうがないなー、こいつは銃つって火薬の力で弾を撃ち込む武器で「俺が聞きたいのはそんなことじゃない!」……じゃあなんだよ」

 

「銃なんて卑劣な道具を使うんじゃない! 正々堂々と戦うんだ! それを早くこっちに渡せ!」

 

こいつ、俺が銃を使うことが間違ってるって言ってるような物言いだな。ふざけんなよ? お前は腰にでっかい剣引っ提げてるくせによく言えたな? 俺とお前の差を思い知らせてやる。

 

「そんなに欲しいんなら撃ってやるよぉ!」

 

ドパンッ!!

 

「ッ!?」

 

俺はバカ之河(の後ろの壁)を狙って躊躇なく発砲した。俺が銃を人に向けて撃つのを躊躇わなかったことに、カス共や騎士達は唖然としている。

 

「な、南雲、俺は「()()渡せ、とは言ってないから、俺が勝手に『()()()渡せ』と判断しただけだ」ッ! 屁理屈を言うな!」

 

「大体な、これは俺が二週間汗水垂らして作り続けて漸く完成した物だ。それをはいそうですかって簡単に渡すわけねえだろ。お前いい加減、何でも自分の思い通りになると思うのやめろよ気色悪い。

 

そもそも、お前俺から奪うことでしか強くなれないのか? 地球にいた時から何か奪おうと必死だったよな。そんなに俺が幸せになるのがいけないか? だとしたらお前性格腐ってるな。雑魚のくせに人の幸せの邪魔するとかとんだゴミ人間だな」

 

「ち、違う! 俺は君のためを思って……」

 

「……んだと?」

 

あまりにもバカらしいバカ之河の言葉に、俺はついにブチ切れた。

 

「俺の武器を奪うことが俺のためになるだと? ふざけたこと抜かしやがって。じゃあなんで周りの奴等は武器を使っていいんだ? 俺が使ってる武器が銃だからか? それとも俺みたいな無能にはろくにダメージも与えられない素手がお似合いってか? どちらにせよお前はゴミクズ以下だ。非戦闘職である俺を戦争に駆り立てて、真っ先に戦死させようとしてる最低のな! お前いい加減にしろよ!? 殺すぞ!」

 

「南雲落ち着け! 話を」

 

ドパンッ!!

 

俺は再び発砲した。勿論外したが、バカ之河の頬からは血が垂れている。それは、俺がその気になれば撃ち殺すのも容易だということの俺なりの証明だ。

 

「二度と話しかけんな。次話しかけてくる度に四肢を一本ずつ撃ち落とす。俺はマジだからな? ほら、ここに長居する理由もねえからとっとと降りるぞ」

 

俺はシュトーレンをホルスターにしまい、騎士共のケツを蹴って進行を促す。ここで、俺はカス共と完全に決別した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一階層で一悶着あったものの、そこからは特に問題もなく交代しながら戦闘を繰り返し、順調に階層を下げて行った。たまに俺が単独で魔物を一掃してしまってメルドから訓練にならないと言われ、その度に「俺は俺のやりたいようにやる、お前らがどうなろうが知ったことか」と返すこともあったが。

 

そして、一流の冒険者か否かを分けると言われている二十階層にたどり着いた。

 

現在の迷宮最高到達階層は六十五階層らしいのだが、それは百年以上前の冒険者がなした偉業であり、今では超一流で四十階層越え、二十階層を越えれば十分に一流扱いだという。

 

俺達は戦闘経験こそ少ないものの、全員がチート持ちで俺には銃というチート武器があるので割かしあっさりと降りることができた。

 

もっとも、迷宮で一番恐いのはトラップである。場合によっては致死性のトラップも数多くあるのだ。

 

この点、トラップ対策として〝フェアスコープ〟というものがある。これは魔力の流れを感知してトラップを発見することができるという優れものだ。迷宮のトラップはほとんどが魔法を用いたものであるから八割以上はフェアスコープで発見できる。ただし、索敵範囲がかなり狭いのでスムーズに進もうと思えば使用者の経験による索敵範囲の選別が必要だ。

 

従って、俺達が素早く階層を下げられたのは、ひとえに騎士団員達の誘導があったからだと言える。メルドからも、トラップの確認をしていない場所へは絶対に勝手に行ってはいけないと強く言われているのだ。俺? 行ってはいけない場所には行ってねえし、離れるとしても弾の素材集めくらいだからな。そう遠くには行く必要がない。

 

「よし、お前達。ここから先は一種類の魔物だけでなく複数種類の魔物が混在したり連携を組んで襲ってくる。今までが楽勝だったからと言ってくれぐれも油断するなよ! 今日はこの二十階層で訓練して終了だ! 気合入れろ!」

 

メルドのかけ声がよく響く。

 

小休止に入り、ふと前方を見ると白崎と目が合った。あいつは俺の方を心配そうな表情で見ている。

 

俺は舌打ちして目を逸らす。横目で見てみると、白崎が落ち込んだ表情になっている。そこに八重樫が近づいて、白崎に話しかけていた。

 

「やっぱり、昨日のことは許してくれてないみたいね……」

 

「ううん、南雲くんの事情を考えてなかった私が悪いの。だから、許してくれないのは当たり前だと思う……」

 

ハッ、分かってるじゃねえか。地球にいた時も、そういう風にしてくれれば苦労しなかったのにな。

 

そんなことを思っていた俺は、ふと視線を感じる。ねばつくような、負の感情がたっぷりと乗った不快な視線だ。今までも教室などで感じていた類の視線だが、それとは比べ物にならないくらい深く重い。

 

その視線は今が初めてというわけではなかった。今日の朝から度々感じていたものだ。俺はずっと無視しているが、時間が経つにつれて不快さが増してきており、そろそろキレそうだ。

 

(さっきから気持ち悪いなぁ……。大体クソ山あたりだろうが、そろそろキレるぞ?)

 

俺は深々と溜息を吐く。そうこうしてる間に小休止が終わり、二十階層の探索が始まった。

 

二十階層の一番奥の部屋はまるで鍾乳洞のようにツララ状の壁が飛び出していたり、溶けたりしたような複雑な地形をしていた。この先を進むと二十一階層への階段があるらしい。

 

そこまで行けば今日の実戦訓練は終わりだ。神代の転移魔法の様な便利なものは現代にはないので、また地道に帰らなければならない。俺達は、せり出す壁のせいで横列を組めないので縦列で進む。その中俺は腹減ったな~とか思いながら呑気に進んでいた。

 

すると、先頭を行く奴等が立ち止まった。そして明らかな戦闘態勢に入る。どうやら魔物のようだ。俺は面倒だなとか思いつつもホルスターからシュトーレンを抜いた。

 

「擬態しているぞ! 周りをよ~く注意しておけ!」

 

メルドの忠告が飛ぶ。

 

その直後、前方でせり出していた壁が突如変色しながら起き上がった。壁と同化していた体は、今は褐色となり、二本足で立ち上がる。そして胸を叩きドラミングを始めた。どうやらカメレオンのような擬態能力を持ったゴリラの魔物のようだ。

 

「ロックマウントだ! 二本の腕に注意しろ! 豪腕だぞ!」

 

メルドの声が響く。バカ之河達が相手をするようだ。飛びかかってきたロックマウントの豪腕を脳筋太郎が拳で弾き返す。バカ之河と八重樫が取り囲もうとするが、鍾乳洞的な地形のせいで足場が悪く思うように囲むことができない。

 

脳筋太郎の人壁を抜けられないと感じたのか、ロックマウントは後ろに下がり仰け反りながら大きく息を吸った。

 

直後、

 

「グゥガガガァァァァアアアアーーーー!!」

 

部屋全体を震動させるような強烈な咆哮が発せられた。

 

「ぐっ!?」

 

「うわっ!?」

 

「きゃあ!?」

 

体をビリビリと衝撃が走り、ダメージ自体はないものの硬直してしまう。これは多分、ロックマウントの固有魔法“威圧の咆哮”だな。魔力を乗せた咆哮で一時的に相手を麻痺させるという効果だ。

 

まんまと食らってしまった前衛組が一瞬硬直してしまった。予習してないからこうなる。俺は奴が大きく息を吸ってた時点で耳を塞いでたから多少は軽減できたがな。予習してたから対策方は知っている。

 

ロックマウントはその隙に突撃するかと思えばサイドステップし、傍らにあった岩を持ち上げ白崎達後衛組に向かって投げつけた。しかも見事な砲丸投げのフォームでな。咄嗟に動けない前衛組の頭上を越えて、岩が白崎達へと迫る。

 

白崎達が、準備していた魔法で迎撃せんと魔法陣が施された杖を向けた。避けるスペースが心もとないからだ。

 

しかし、発動しようとした瞬間、白崎達は衝撃的光景に思わず硬直してしまう。何やってんだと俺が岩の方を見てみると、あいつらが硬直した理由に納得してしまった。

 

なんと、投げられた岩もロックマウントだったのだ。空中で見事な一回転を決めると両腕をいっぱいに広げて白崎達へと迫る。その姿は、さながらル○ンダイブだ。そのうち「ふじこちゃ~ん!」とか言いそうだな。しかも、妙に目が血走り鼻息が荒い。

 

「気持ち悪いんだよ発情期のゴリラが!」

 

あまりの気持ち悪さに耐え切れず、俺は前へ出てシュトーレンを連射する。弾丸は全て命中し、ロックマウントは見るも無残な姿で落ちてくる。奥の方にはまだ何体か残っている。さっきのをまた見せられたくはなかったので、俺がさっさと処理することにした。

 

「錬成!」

 

俺は足元を錬成して跳び上がり、壁を更に錬成して登っていく。そして下にいるロックマウント共を一体ずつ撃ち抜いていく。こういう狭い場所ではこれがかなり強い。

 

「大体片付いたか?」

 

大分処理し終わり、残るは数体となった。俺は壁に貼り付いている状態で、やろうと思えば直ぐにでも奴等を殺すことができる。俺はさっさと終わらせようとシュトーレンを構えようとした。

 

しかし撃つことはできなかった。我らがバカ勇者バカ之河のせいだ。

 

「貴様……よくも香織達を……許さない!」

 

どうやら気持ち悪さで白崎達が青褪めているのを死の恐怖を感じたせいだと勘違いしたらしい。遠くから見ても分かるほど怒りをあらわにしている。それに呼応してか奴の聖剣が輝き出す。

 

ってあいつ大技を放つ気か? しかもここはロックマウントの密集地帯。……てことはつまり、こういうことだ。

 

「万翔羽ばたき、天へと至れ――〝天翔閃〟!」

 

「あっ、こら、馬鹿者!」

 

メルドの声を無視して、バカ之河は大上段に振りかぶった聖剣を一気に振り下ろした。その瞬間、詠唱により強烈な光を纏っていた聖剣から、その光自体が斬撃となって放たれた。問題は、その斬撃が俺の方に向かってきているということだ。

 

 

こんのバカ野郎がああああああああああああああ!!!! 味方がいる場所に向かって攻撃を放つとは何考えてやがる!

 

 

「クソッ! 錬成!」

 

俺は咄嗟に錬成でこの階層の天井まで跳び上がる。あの斬撃は、僅かな抵抗も許さずロックマウントを縦に両断し、更に先程まで俺がいた壁を破壊し尽くしてようやく止まった。あと少し遅れてたら、足が持っていかれてただろう。

 

「はぁ~……ったく、ビビらせやがって」

 

俺は天井から手足を離して降りる。バカ之河の方を見てみると、メルドから強烈な拳骨を頂戴していた。

 

「へぶぅ!?」

 

「この馬鹿者が。気持ちはわかるがな、こんな狭いところで使う技じゃないだろうが! 崩落でもしたらどうすんだ!」

 

メルドの怒りの声に「うっ」と声を詰まらせ、バツが悪そうに謝罪するバカ之河。

 

だが俺が許さない。

 

「テメエよお、人がいるところに向かって技撃つたあどういう神経してやがる? まさか見えなかったなんて言わねえだろうなぁ?」

 

俺はバカ之河の胸倉を掴んで威嚇しながら言う。

 

「な、何を言うんだ南雲。あそこには、ロックマウントしかいなかった「俺がいたんだよ! そこでビビってた奴等の代わりにわざわざ出向いてやってたんだよ! 俺のことを仲間と思う思わないは勝手だが、だからって人殺していいのかぁ!? えぇ!? あれで俺の四肢が一本でも千切れてたら、どう責任取るつもりだったんだよアア!?」ッ……」

 

俺の言ってることがド正論なため、バカ之河は言い返すことができない。そこにメルドが来る。

 

「言いたいことは分かるが落ち着け坊主。とにかく次からは控えろ。一回の判断ミスが、仲間全員の命を危険に晒すんだ」

 

「……はい。くっ、何で俺が……

 

バカ之河は全く反省してないようだ。少し煽ってやるか。

 

「あ~ら~? 怒りに身を任せて勝手に大技ぶっ放した挙げ句クラスメイトを殺しかけた大バカ野郎はどこの誰だっけな~?」

 

「ッ! 南雲!」

 

「いい加減にしろと言っておるだろうこの馬鹿者!」

 

俺に突っかかって来ようとしたバカ之河をメルドが黙らせる。バカ之河は俺を睨むことしかできない。人を弄ぶのは楽しいな。特にクズを弄ぶ時は最高だ。俺は全力で嫌な笑みを浮かべながらバカ之河に向けて中指を立ててやった。

 

その時、ふと白崎が崩れた壁の方に視線を向けた。

 

「……あれ、何かな? キラキラしてる……」

 

その言葉に、全員が白崎の指差す方へ目を向けた。

 

そこには青白く発光する鉱物が花咲くように壁から生えていた。まるでインディコライトが内包された水晶のようである。白崎を含め女共は夢見るように、その美しい姿にうっとりした表情になった。んな表情しても俺にとっては気色悪いだけだ。

 

「ほぉ~、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ。珍しい。宝石の原石みたいなものでな、特に何か効能があるわけではないが、その涼やかで煌びやかな輝きが大人気でな、加工して指輪・イヤリング・ペンダントなどにして贈ると大変喜ばれるんだ。求婚の際に選ばれる宝石としてもトップに入るとか言われてる」

 

「素敵……」

 

この場の空気を変えようとメルドが簡単に説明すると、白崎がそれを聞いて頬を染めながら更にうっとりとする。

 

だが、あの生え方は不自然だ。花の形に生えてるとか偶然にしちゃ出来すぎてる。あれはトラップの可能性が高い。

 

「だったら俺らで回収しようぜ!」

 

だが、それにすら気づかないバカはどこにでもいるもんだ。

 

唐突に動き出したのはクソ山だった。グランツ鉱石に向けてヒョイヒョイと崩れた壁を登っていく。それに慌てたのはメルドだ。

 

「こら! 勝手なことをするな! 安全確認もまだなんだぞ!」

 

しかし、クソ山は聞こえないふりをして、とうとう鉱石の場所に辿り着いてしまった。

 

メルドは、止めようとクソ山を追いかける。同時に騎士団の一人がフェアスコープで鉱石の辺りを確認する。そして、一気に青褪めた。

 

「団長! トラップです!」

 

「ッ!?」

 

しかし、メルドも、騎士団の奴の警告も一歩遅かった。

 

クソ山がグランツ鉱石に触れた瞬間、鉱石を中心に魔法陣が広がる。ほーら言わんこっちゃねえ。綺麗な薔薇には棘がある。昔っからよく言う。

 

魔法陣は瞬く間に部屋全体に広がり、輝きを増していった。デジャヴだな。

 

ん? ということは、これはもしかしたら転移系のトラップってことになるのか?

 

だとしたら最悪だ! もしかしたら、この迷宮で探索されてない場所にこいつらと一緒になっちまう! そのことが脳内に流れてきた瞬間、俺はこの部屋から逃げ出す。

 

「くっ、撤退だ! 早くこの部屋から出ろ!」

 

メルドの言葉にやっとカス共も動き出し、急いで部屋の外に向かう。

 

が……最初に動いた俺でも間に合わなかった。

 

部屋の中に光が満ち、俺達の視界を白一色に染めると同時に一瞬の浮遊感に包まれる。

 

俺は空気が変わったのを感じた。次いで、ドスンという音と共に地面に叩きつけられた。

 

「いってぇ!」

 

不意をつく尻の痛みに呻き声を上げながら、俺は周囲を見渡す。カス共のほとんどは俺と同じように尻餅をついていたが、メルドや騎士達、バカ之河など一部の前衛職の奴等は既に立ち上がって周囲の警戒をしている。それを見て俺も直ぐに立ち上がる。チッ、こんな奴らと同じ行動をするとは一生の不覚だ。

 

やはりというか、先の魔法陣は転移させるものだったらしい。俺の知識が正しけりゃ、転移系の魔法は現代じゃ実現できないはずだが?

 

俺達が転移した場所は、巨大な石造りの橋の上だった。ざっと百メートルはありそうだ。天井も高く二十メートルはあるだろう。橋の下は川などなく、全く何も見えない深淵の如き闇が広がっていた。まさに落ちれば奈落の底といった様子だ。

 

橋の横幅は十メートルくらいありそうだが、手すりどころか縁石すらなく、足を滑らせれば掴むものもなく真っ逆さまだ。俺達はその巨大な橋のど真ん中にいた。橋の両サイドにはそれぞれ、奥へと続く通路と上階への階段が見える。

 

それを確認したメルドが、険しい表情をしながら指示を飛ばした。

 

「お前達、直ぐに立ち上がって、あの階段の場所まで行け。急げ!」

 

雷の如く轟いた号令に、わたわたと動き出すカス共。俺はその前に移動してる。

 

しかし、迷宮のトラップが転移させるだけで済むわけもなく、撤退は叶わなかった。階段側の橋の入口に現れた魔法陣から大量の魔物が出現したからだ。更に、通路側にも魔法陣は出現し、そちらからは一体の巨大な魔物が現れた。

 

その時、現れた巨大な魔物を呆然と見つめるメルドの呻く様な呟きがやけに明瞭に響いた。

 

「まさか……ベヒモス……なのか……」




新しいアンケートを始めようと思います。

ミレディとか言う奴……どうする?

  • お持ち帰り
  • ゴーレム魔改造しちまえ(着いては来ない)
  • 原作通りぶっ壊すだけぶっ壊せ
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