感想に対して本文中に書いてありますが、などと言ってますが、まだ投稿してないこの話で書いていたのを投稿していた気になっておりました……。
描写不足どころか投稿していなかったというね()
夢美の3D化配信は彼女の魅力であるリアクションを重視した企画を用意していた。
これには夢美も納得しており、大まかな流れ以外は企画部のメンバーへと任せていた。
自分の動きやリアクションを活かすため、目隠しで何かをする企画をやりたいという夢美の要望に企画部のメンバーは喜んでいろいろな企画を用意した。
彼らがライバーを軽んじていることは夢美もそれとなく察していた。
しかし、腐っても元々テレビ局で働いていた人間である彼らの力を借りることに夢美は躊躇いはなかった。
たとえそれが過酷な企画であろうとも、夢美は耐える自信があったのだ。
傍にはレオと林檎がいる。
それだけで夢美は無敵になれた気がしていたのだ。
「本番行きます!」
スタッフの合図と共に配信が開始される。
深呼吸をした夢美はスタジオの床に寝転がり、胸の前で手を組んだ。
そして、配信画面にはドアップのライオンの顔面が表示された。
「やあ」
[!?]
[!?]
[!?]
いきなりカラオケ配信以来のガチライオンの登場に、妖精達は困惑したのち、画面の向こうで爆笑し始める。
「夢美だと思ったか? 残念ガチライオンでした!」
[草]
[久々のガチライオンwww]
[やっぱにじライブ頭おかしいわ]
[レオ君、やりやがったwww]
「あれ、夢美はどこだ……あっ、こいつ寝てやがる!」
[茶番www]
[あらかわいい]
[目を瞑って動かなければマジでかわいい]
[これが眠れる森の美女って奴か……]
[どちらかというと美女と野獣]
[中身は逆な気もする]
レオがカメラの前からどいたことで目を瞑っている夢美の姿がアップで映し出される。
カメラが夢美に寄ったタイミングで、夢美は目を開けてカメラ目線で挨拶をした。
「やあ」
[挨拶雑で草]
[茶番がすぎるぞwww]
[急にかわくなくなったw]
[い、今までいた可愛い子は?]
[悲報、夢美ちゃん復帰してすぐに卒業]
レオと夢美の茶番でコメント欄が盛り上がっていることを確認すると、夢美は起き上がってきちんとした挨拶をした。
「はーい、みんなこんゆみー。茨木夢美でーす」
「こんばん山月―、お手伝いの獅子島レオでーす」
[こんゆみー]
[こんゆみー]
[こんゆみー]
[レオ君がテンションバラギに合わせてるのてぇてぇ]
[これはこれで……]
[たすかる ¥3,000円]
レオと夢美が並んだことで妖精達はさらに盛り上がる。
たとえ片方がリアルなライオンだろうと、二人が並べばそれだけでも妖精達は満足だったのだ。
「さて、お前ら! あたしの次元が一つ上がったぞ――――!」
[おめでとう! ¥10,000円]
[おめでとう! ¥50,000円]
[おめでとう! ¥6,000円]
夢美の3D化を祝して大量のスーパーチャットが流れる。
妖精達はみな今日この日をずっと楽しみにしていたのである。
「スパチャ額エッグ! みんな無理しないでな」
[安定の聖獣]
[癖になってんだ札束で殴るの ¥50,000円]
[おらァ! レオ君にも札束ビンタじゃ! ¥50,000円]
「いや、俺には届かないんだけど……」
[冷静で草]
[当たり前体操~]
[嫁に流れるんだから実質レオ君にも届いてるようなもん]
「あたしの金やぞ!」
[強欲で草]
[僕のだゾ! ¥10,000円]
[元々は俺達の金なんだよなぁ]
一通りオープニングトークも終わったことで、夢美はさっそく本題に入ることにした。
「早速ですが企画の方始めていきたいと思いまーす。今回はレオに手伝ってもらいながらいろいろな企画に挑戦していくよ。まず始めはこれ!」
夢美の合図と共にレオが勢いよくパイプイスをスタジオの床に設置する。
ガンッ、という音が鳴るのと同時に、配信画面には〝目隠しパイプイス〟という文字が表示された。
「「目隠しパイプイス!」」
[め、目隠しパイプイスだと!]
[いや、知らないが]
[確かU-tubeで芸人がやってた気がする]
企画部のメンバーは元々バラエティー番組スタッフだったこともあり、この手の企画には詳しかった。
夢美もU-tubeで事前にどういった内容かを確認し、そのまま爆笑してこの企画を快諾した。
「簡単に説明すると、レオがパイプイスを置いて、その音を頼りにイスの位置を当てて座れたら成功だよ」
「一応安全に配慮して夢美は事前に受け身の練習はしてるから心配しないでな」
[しょうもないことに全力www]
[さすがバラギ、根は真面目なだけある]
[ひたすら受け身とる練習するバラギ想像したら草]
この企画を行うにあたって夢美は入念に受け身の練習をするように言われていた。
企画部のメンバーも夢美に怪我をされてはたまらないと、これだけは譲れなかったのだ。
当然、夢美にはプロテクターや頭部保護のためのヘルメット、床にはマットなど完全防備の状態である。
さっそく始まった目隠しパイプイスだったが、ピッタリ位置を当ててイスに座ることは困難を極めた。
「うぎゃっ!?」
「何でそんなに勢いよく行くんだよ!」
[一回転してて草]
[エッ……え?]
[嬉しくないパンチラ]
夢美はとにかく絵面の面白さを重視して、勢いよくイスに向かって歩き、座るように指示されていた。
夢美もそれには異存はなかった。
受け身の練習に加えて、傍にはレオがいる。最悪、変な体勢で転んでもレオが受け止めてくれると信じていたのだ。
何度かチャレンジをしていると、画面の端から青い服と赤い髪がチラリと映った。
[あれ?]
[おい、焼き林檎いるぞw]
[これはドッキリの予感]
いち早く林檎の存在に気がついた妖精達は、夢美が目隠ししていることもあり、コメント欄で盛り上がり始めた。
林檎は忍び足で夢美へと近寄る。そんな彼女を見てレオは苦笑した。
「次、いくぞー」
「オッケー」
そして、レオがパイプイスを置く合図をした瞬間、林檎は後ろから大声を出した。
「わぁ!」
「ヴェアァァァァァ!?」
[とんでもない悲鳴出てて草]
[鼓膜ないなった]
[悲鳴たすかる ¥1,000円]
[たすからないんだよなぁ]
ゲームに出現するモンスターのような悲鳴を上げた夢美は目隠しを乱暴にとると、頬を膨らませて乱入者の名前を呼んだ。
「林檎ちゃん!」
「てへぺろ(・ω<)」
[ちくしょう可愛い]
[これはいい焼き林檎]
「妖精のみんな、おはっぽー。お手伝いその2の白雪林檎だよー」
[おはっぽー!]
[おはっぽー!]
[おはっぽー!]
[三期生てぇてぇ]
普段から仲良く三人でコラボすることも増えてきた三期生。
その仲の良さは三期生の視聴者ならば誰もが知っていることだ。
特にカリューの主演ドラマ〝東京アマゾネス〟の同時視聴枠で三人が集まって談笑する姿は高い同時視聴接続数を誇っていた。
「お手伝いって言っても賑やかしだけどねー」
「来てくれただけでも嬉しいが?」
「それな。こうして三人集まれるだけでも楽しいからいいだろ」
[てぇてぇ]
[顧客が本当に求めていたもの]
[解 釈 一 致 ]
[答えは得た……]
林檎の卒業騒ぎから様々な苦難を共にしてきた三人は固い絆で結ばれていた。
それは自他共に認めるかけがえのないものだった。
「さて、それじゃあ林檎ちゃんも来たことだし、ここらで成功させよっか」
「おう、頼んだぞ!」
「頑張れー」
レオは夢美の斜め後ろにパイプイスを設置する。夢美はレオの立てた音を感じ取ると、勢いよく歩き出し、
「痛っ!?」
「おい、バカ!」
パイプイスに足を引っかけて派手に前から転びそうになった。
咄嗟に近くにいたレオは夢美の腕を掴んで自分の元へと引き寄せた。
それによってレオが夢美を抱きしめている状態となったのだ。
「―――っはぁぁぁぁ!? てぇてぇ! てぇてぇだよ!」
[あ゛(尊死)]
[白雪そこかわれ!]
[これがガチライオンじゃなきゃなぁ]
[ごめんワロタ]
[見た目は想像力で補うんだよ!]
レオと夢美の事故によるハグ。それによってコメント欄は尊死者が続出した。
もはやレオの見た目がガチライオンであろうとも妖精達には関係なかった。
それほどまでに二人の関係性は広く深く知れ渡っていたのだ。
「っとと……レオ、ありがとね」
「ま、気にすんな!」
平静を装っているが耳まで真っ赤になっている夢美に、レオは満面の笑みで答えた。ちなみに、林檎は二人の横で胸を押さえてしゃがみ込んでいた。
それから時間も押していることもあって、夢美は次のチャレンジを最後にすることにした。
「よし、時間もないしラストチャンスいくよ!」
「気張っていくぞ!」
「おー!」
[ここで決めたら神]
[バラギ頑張れ!]
[冷静に考えると俺らは何を見せられているんだ?]
[気にするなただのてえてぇだ]
「最後は……ここだ!」
「ッシャオラァ!」
レオは夢美からかなり離れた斜め後ろの位置にパイプイスを設置する。
夢美は目隠しをしっかりと装着し直すと、気合いを入れて今まで以上のスピードで後ろ向きに歩いていく。
そして、何の躊躇いもなく尻を突き出してその場に座り――しっかりとパイプイスが受け止めた。
「「「シャァァァァァ!」」」
[キタ――――!]
[やっぱ三期生は持ってるな]
[見事! ¥50,000円]
[切り抜き確定]
[おめでとう! ¥10,000円]
「ハイタッチたすかる」
[てぇてぇ……てぇてぇだよ!]
綺麗に夢美が目隠しパイプイスを成功させたことにより、三人は成功と同時にハイタッチをした。
ラスト一回でチャレンジを成功させたことで、コメント欄も大盛り上がりである。
「はい、それでは〝目隠しパイプイス〟はここまで!」
「次の企画に移ります!」
「準備するからちょっと待ってねー」
こうして、夢美の目隠しパイプイスは大いに盛り上がった。
この後に控えるいくつかの過酷な企画。
勢いづいた夢美にとっては、それらの企画も楽しみなものに過ぎなかった。
長くなりそうだったので、次回に続きます!