ガバ転生メイリンによる「こずみっくいら」再現物語   作:めんりん

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ガバ警報。頭がパーだから議長出すとめっちゃ書きづらい()

後書きにてちょっとしたご報告を書かせていただきました、よろしければお目通しください


第十六話 : 嵐の前

 

『なるほど…君の意思は理解した。残念だが私にそれを止めることはできないようだ』

 

 

ジブラルタルへ入港した直後。

 

出頭を命じられた格納庫で彼と二人きりとなったタイミングで、俺は除隊の意を告げた。これ以上、俺は今のプラントの、いや彼のやり方に賛同できそうにない。

 

キラのことを戦う人形になれなかった不幸な存在と断ずるその言葉に、俺はこの人の内側に潜む冷徹なまでの傲慢さ、そんなものを垣間見た気がする。

 

 

『だがそうは言っても、手続きに少々時間がかかる。今しばらく猶予をもらうことになるが、いいかね?』

 

 

ああ、かまわないさ。どのみちすんなり抜けさせてはくれないだろう。

 

 

 

* * * *

 

 

 

はーい皆さんこ、ん、に、ち、わぁっ! たてばタンポポ座ればヒマワリ、歩く姿は…えっと…うーん…チューリップ!

 

硝煙の匂いを花に変え、今日も今日とて美少女らいふ。みんなのツインテ系妹属性アイドルぅぅっ、メイリン•ホークでっす☆ きゃっぴぴぴーーんっ。

 

 

と、いつにも増してうぜぇと思ったそこの方。仕方ないじゃん、もうこういう挨拶かませるのも最後になりそうなんだもん。

 

ついに、ええついにやってきましたジブラルタル。物語最大級のターニングポイントにして良きも悪きも様々なフラグが立ち並んだ原作屈指のカオスエリア。

 

しかも私という異物が入り込んでるのでどっかの聖○ダンジョンでももう少しマシな作りしとるわってくらいにごちゃごちゃしてくる危険すらある。

 

まあそれでもやることはシンプルさ。アスランさんがホテルの私の部屋逃げ込んできたら半裸になって兵士を追い返して脱走かませばいい。まあそれこそ私が一番命懸けなきゃならんシーンなんだろうけど。

 

ハッキングは出来るはず。今の私なら内側から軍のメインシステムにちょっかいかけて警報を誤作動なんておちゃのこさいさい。なんでかって? 練習したからね、ミネルバで。何回目かに艦長に見つかってめちゃくそ怒られたけど。

 

今は夕暮れ。アスランさんが転がり込んでくる正確な時間が分からない以上、早めに部屋で待機しといた方がいい。もちろん、鍵は開けたままでね。

 

 

さっさと夕飯食べて諸々に備えよう。普段通りに、いつものように振る舞え。

 

 

「メイリン、そろそろ行くわよ」

 

「あ、待ってよお姉ちゃん」

 

 

余計なことは考えるな、これが終わればお姉ちゃんに会えなくなるとか、私がいなくなったら…ううん、死んだと聞かされた時のお姉ちゃんの心配だとか。

 

今は考えるな、やるべきことをやる。大丈夫、また会えるから、絶対に。絶対にーーーーー

 

 

 

* * * *

 

 

「へぇ…さすがにいっぱいあるわね」

 

 

券売機に記された多種多様なメニューを前に、お姉ちゃんがそう呟いた。どれにしようか真剣に悩むその顔は、まさしくどのキャベツが一番か見比べる主婦のそれだった。まあそんな主婦実際は見たことないけどね、私。

 

にしても色々あんなまじ。パンの時点で食パン、クロワッサン、フランスパン、果てに揚げパンもある。いや最後のなに時代だよ。

 

無難にクロワッサンにハンバーグにしようか、それとも興味本位で揚げパンに手を出すか迷っていたところに、

 

 

「おいおい見ろよ。コーディネーター様があんな真剣な顔してパン選んでやがるぜ」

 

 

絶滅危惧種レベルの典型的な嫌みな言葉が聞こえてきた。今日び聞かないぞ出典はかぐや姫ですか?

 

 

「呑気なもんだなぁ。自分らの国の議長様があんなこと言い出したってのによ」

 

 

振り向けば地球軍の制服を来た若い男が三人、私とお姉ちゃんを指差している。なに、こいつら。ああ、そういえば対ロゴスのために地球軍も一部協力する人たちいるんだっけ。知らんけど

 

 

「それともなにか? コーディネーター様は戦場で地球人殺しまくっておきながら地球のパンは平気ってか?」

 

 

…まあ、協力するとは言っても、一定数はこういうのもいるよね。

 

 

「…さっきからなに? 私らになんか用事?」

 

 

異変に気付いたお姉ちゃんが割りかし怒な感じになってる。まあ私も心境穏やかではないけどさ。

 

 

「べつに? ただこれから世界を左右する戦いなのに呑気なもんだなって言っただけだろ? いちいちキれんなよ、コーディネーターさ、ま?」

 

 

大方、私たちを煽って手を出させての正当防衛か、もしくは殴られての被害者演じてこっちの責任問題にしたいのか。どっちにしたって幼稚な八つ当たりだ。

 

いや、僻みか。

 

 

「お姉ちゃん、私これにする」

 

 

この手の輩は無視が一番。騒げば騒ぐほどこいつらの思う壺。そう思い、私はさっさと注文を終えてお姉ちゃんを連れこの場を立ち去ろうとする。

 

 

「ぶっ!? お姉ちゃん!? おいおいザフトはこんなお子ちゃまが入隊できんのかよ!」

 

「お姉ちゃーん、わたしーこれにするー。はははっ! ザフトなんて名前やめて幼稚園にでもしちまえよ!」

 

 

ゲラゲラと私たちを指差して笑い物にする三人組。周りに目を向けてみると薄く地球軍の一部の人たちが私たちを取り囲んでるのが分かった。

 

なるほど、ちょっと嵌められたかも。

 

 

「きさまらっ!」

 

 

私を馬鹿にされたか、お姉ちゃんのお怒りボルテージが一気に跳ね上がるのが分かった。やめなよ、せっかく包帯取れたんだからこんなことで無理しないで。

 

 

「…低俗、低脳」

 

 

ので、私がやることにした。今にも飛び出しそうなお姉ちゃんの手を掴み、ボソッとつぶやく。これが効くんだなぁこの手の輩には。

 

 

「…あ?」

 

 

ほら釣れた。

 

 

「やり方も言葉遣いも品がないです。これで軍に勤める兵士だなんて、地球軍はよっぽど入隊規定が甘いんですね。あなた方みたいな頭の弱い方でも簡単に入れるくらいには」

 

「んだとこのガキっ!」

 

 

ガキはどっちだクソガキ。

 

 

「これから一緒に戦うことになる友軍にこのような態度を取って、何になるんですか? 世界を左右する戦いとが自分で仰っていたのに」

 

「ふざけんなっ! お前らコーディネーターなんて友軍じゃねぇ!」

 

 

あー…。あのさぁ、なんでこういう奴らがここにいるわけ? 地球軍の人事ザルかよ。仕事しろちくしょーめ。

 

 

「友軍ですよ、上がそう定めたなら。上の命令に従うのが軍人の務めです。それとも、地球軍では上の指示にそうやって駄々をこねても赦されるのですか?」

 

 

気持ち、煽り気味に。売り言葉に買い言葉の時点で私も子どもだが。わたしだけならともかく、お姉ちゃんまで馬鹿にしたのは絶対に許さない。

 

 

「てめぇ調子に乗ってんじゃねぇぞ!!」

 

「っ!?」

 

 

逆上した一人がズカズカと歩いてきて私の胸ぐらを掴み上げる。いいさ、殴ればいい、そうしたらこっちはこっちでありとあらゆる方面に出て徹底的にお前らを追い詰めてやる。

 

軍に残れると思うなよ、クソガキども。

 

 

「っ!!」

 

 

目の前の光景を見たお姉ちゃんが完全に戦闘態勢に入った。瞳孔の開き切ったお姉ちゃんの拳が、私の胸ぐらを掴む男の顔面にねじ込まれようとした、その時。

 

周りの人の輪を割いて疾走した影が、私の目の前にいた男の首を掴みそのまま壁に叩きつける。

 

 

「よぉ、なんだか楽しそうなことやってんじゃないの」

 

 

どこかで聞いた革命的なボイスと、薄橙色の髪。ザフトのエリートである証の赤服。そして、その中でもさらに選ばれた者の一人であることを示す、襟元に付けられた白金色の徽章。

 

 

「俺の連れになんか用か? あ?」

 

 

ザフト軍特務隊"FAITH"所属、ハイネ•ヴェステンフルスその人が、片手で男の首を掴み上げながら、聞いたことのないほどの低い声でそう尋ねた。

 

 

「て、てめぇっ…っ!」

 

 

せめてもの抵抗なのか、目つきだけは一丁前にヴェステンフルスさんを睨みつけているが、まあ首掴まれながらのそれは負けフラグだよね。足バタバタしてるし。

 

 

「今すぐこの子に謝罪して消えるなら、ここでのことは見なかったことにしてやる。それができねぇってんなら…」

 

「ぐえっ!?」

 

 

首を掴む握力にさらにブーストをかけるFAITHパイせん。おっと、止めないと。それ以上はめっ。

 

 

「離してあげてください、ヴェステンフルスさん。私は大丈夫ですから」

 

 

彼の手を掴み、なるべく優しく、清楚に。イメージはアイスクリームに出てくる私気になります少女。ふっ…真の美少女は時に属性すら使い分けるのだ。普段は衝動に任せて生きているとも言う。

 

 

「そうか」

 

 

最後の鬱憤なのか、片手で掴んでいた男を取り巻きに向かって放り投げる。そしてすぐに彼らとその一味だろう輩はクモの子を散らすように逃げていった。最後の最後までお約束のような連中この上ない。

 

そしてFAITHパネェなおい。こんなんしかいないのか特務隊。三人しか知らんけど。

 

 

「大丈夫か、メイリンちゃん。それとルナマリア、落ち着け。めちゃくちゃおっかねぇ顔になってんぞ」

 

「あ、はい…え、ハイネ?」

 

 

今かお姉ちゃん。どんだけ頭に血上ってたんよ。嬉しいけども。

 

 

「久しぶりだな。元気そうで何より…ってことでいいのか?これ」

 

 

元気ですよ。とりあえずあなたを見て内心ええええっ!! となるくらいには。うそん。なんでここにいんのあなた。ガバもいいとこじゃんどういうこと。

 

 

「ハイネこそ、ここでなにを?」

 

「議長のお付き。まあここに来たのはそれだけじゃねんだけどな」

 

 

だろうね。なんだろうこのあからさまな嫌な予感。こういう時ってたて続くよね、いやーなこと。

 

 

「メイリン」

 

 

ほらぁ! こんどはお前かなんだよもうっ!

 

 

「お、レイ。久しぶり」

 

「ハイネ。変わりなさそうで何よりです」

 

 

なに、レイきみ知ってたのこの人がここにいるの。って当然か、議長と連絡取り合ってるんだからお付きにハイネがいること知ってても。それで、なんぞね。

 

 

「レイ、どうかしたの?」

 

「議長がお呼びだ、俺と来い」

 

 

は? だれを? 

 

 

* * * *

 

 

と、いうことでやってきました基地内ホテル最上階スイートルーム。ピアノとかあんじゃんどこよここ()

 

 

「議長。ミネルバ所属、レイ•ザ•バレル及びメイリン•ホーク、出頭しました」

 

 

はい、そうらしいです。なんだこれ、予想外もいいとこじゃん。私がこの人と直接関わることなんて前代未聞なんですけど。私の知らないとこですごいこと言ってすごいことやってメサイヤと共に消えるんじゃないの?なんで?

 

 

「レイ、それに君…メイリンと言ったね。よく来てくれた、かけたまえ」

 

 

黒髪ロングなイケメンシャアボイス。私の宿敵にしてプラント最高評議会議長。ざっくりいえば今のプラントで一番政治的権限の強い人だ。まあ知ってるけども。

 

おずおずと言った様子で勧められた高級そうなソファーに腰を下ろす。

 

でもってなんだこの状況は。こんなの記憶にもなければ私なんかが議長に呼ばれる心当たりもない。まさかもう謀反の疑いあり! ってのは流石にムリがあるだろう。てかあってくれ。

 

 

「急にすまないね。レイが君の話をしてくれるうちに、私も是非直接話をしてみたくなったのだ。メイリン•ホーク、君という一人の人間と」

 

「そ、そんな。私なんかに…」

 

 

こんにゃろう。レイなに言ったんだ。あり得ないぞこんなの。私はただの管制官で、緑だぞ。その私に議長が興味を持つ? 一体どんな嘘吹き込みやがったちくしょう。

 

 

「聞けば、ハイネも戦場で君に命を救われたと。その歳で見事なものだ、あのフリーダムがいた戦場でそこまでの活躍とは」

 

 

お前もかヴェステンフルス!

 

 

「レイが私に他者を称賛する報告をするのは稀有なことでね。そうかしこまらず、出来れば普段に近しい態度で構わない。君の姉…ルナマリアと言ったかな? 彼女と接するときのように」

 

 

アホか、無理に決まってんだろ。いや逆にこの場できゃぴ☆とか言えば帰れって言われそう。ワンチャンあり? なしですかそうですか。

 

 

「い、いえ。買い被り過ぎですよ、私みたいなどこにでもいるーー」

 

「どこにでもいるような管制官に、未来の戦局が予想できたりはしないさ。あのベルリンの悲劇や、アークエンジェルの時のようなね」

 

 

あー…なーるほど、これはやらかした。あの時のことレイのやつ洗いざらい吐いてやがんな。何ならアスランさんとの会話も抜かれてねこれ。

 

「若くして君のような能力を培っている者は希少だ。今後とも是非その力を存分に発揮してくれたまえ」

 

 

あははー…、私今日で軍抜けまーす。…ほんとなにこれ、え? まさか私の脱走勘付かれてる? いやまさか。ならこれはなに、何故こんなわけわからん展開になる。

 

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

とにかく、適当に話を切り上げて部屋に戻らないと。こんなことでアスランさん脱走失敗とか話にならない。だから聞くもん聞いたら急げよそこの壁に隠れてるラクス様二号機。

 

 

「その類稀な眼力を持つ君に訊ねよう。世界から争いをなくすにはどうすればいいと思う?」

 

 

さあ、とりあえず世界中のみんながお腹いっぱいになるとかじゃないですか。

 

 

「議長は、どうお考えなのですか?」

 

 

こういうときの必殺。質問に質問返し。相手の考えを聞いてそれに適当に同意する。これ世の中の処世術の基本ね。

 

 

「ふっ…やはり聡明だな、君は」

 

 

ええはいそうめんは好きですよ、なんて言ってる場合じゃない。怖すぎる、この人どこまで勘づいてんの。

 

 

「結論から言えば、誰もが幸福であればいい。そうであれば、争いなど決して生まれはしないだろう」

 

 

そりゃね。誰もが幸せハッピーセット万歳ウェーイなら戦争なんて起こらないだろうさ。

 

ただ、何にどう【幸福】を感じるかは、その人次第な気がするけど。私はお腹いっぱいご飯を食べてオシャレして買い物してお姉ちゃんに甘えられれば幸福ですよ。

 

 

「では、その幸福の条件とは?」

 

「誰もが満ち足りていることだ」

 

 

…さいですか。

 

 

「己を知り、精一杯出来ることをし誰かの役に立つ。これが人の幸せだ、違うかな?」

 

 

違わない。誰だって他人に心から「ありがとう」と言われれば嬉しいさ。誰かに感謝されることが嫌いな人なんていない…と思う。

 

 

「いいえ、違いません」

 

「ほう…では君は私の考えにさんどーー」

 

「ただし、それが他人から強制されたものじゃなければ、ですけれど」

 

 

そう。例え誰かから感謝されるとしても、それが他人に強制された行いならば。私は幸福を感じない。

 

例を言ってやろうか。キラ•ヤマトに「今日はフリーダムで○人殺したな、すげーなありがとう」と言ったら、彼は幸福を感じるだろうか。

 

否、断じて否だ。

 

 

「やりたいことを思いっきりやって、誰かに"ありがとう"と言われたら。それは幸せなことかもしれません。しかし」

 

 

そこに自らの意思があれば、の話だ。

 

 

「強いから、素質があるから。ただそれだけの理由で望まぬ者に銃を握らせる世界が、本当に平和な世界なのですか?」

 

 

誰かに強制されて嫌々やったことにありがとうなんていわれるくらいなら。オシャレして友達に"可愛い"、"似合ってる"なんて言われた方が幸せだ。

 

お姉ちゃんに"仕方ないわね"って頭撫でてもらう方が何倍も嬉しい。

 

 

「誰かに押し付けられた幸福なんて、私はいりません。私の幸福は、幸せは、私が決めます」

 

 

あなたは為政者で、世界規模の話をしているのは分かる。対して私のは個人の、私の目線だけの意見だ。全体に対して個の意見をぶつけるのは、お門違いかもしれない。

 

でも、やっぱり私は。あなたの考えを認められない。私は"私"でいたい。明日の私は、私が決める。誰かに強制される私なんてまっぴらだ。

 

 

「…なるほど、見事なものだ。聞いていた通りの、いや聞いていた以上に君は聡明だ。実に、実に興味深い問答だったよ」

 

 

平和を願うあなたの考えは、決して間違いではないのかもしれない。そうまでしなければならないほど、今のこの世界は争いの種に満ち溢れているのかもしれない。

 

でも。それでも私は。()()が欲しい。私が、私の大切な人たちがありのままでいられる、明日が欲しい。

 

 

だからーーーー

 

 

 

* * * *

 

 

まるでかの歌姫のようなことを言って、彼女は退室していった。その姿に思わず圧倒された。

 

自分の幸せは自分で決める、己の明日は己で決める。普段に艦内を駆けずり回って躓き転がっているような彼女からは、考えられないくらいに強い言葉だ。

 

 

「…君が気にかける理由が、私にも分かった気がするな」

 

「ギル?」

 

 

まさかこんなことになるとは予想していなかった。普段の彼女であれば、恐縮して俯くだけで終わるのではないかと思っていた。

 

いや、違うな。あの日の彼女を見た時から。そして先日のアスランとの会話を聞いていた時から。俺はこうなる可能性をずっと考えていた。

 

あの日、部屋を出た時にたまたま見かけた彼女の様子が妙だったので追いかけようとした先での、アスランとの会話。いや…あれはもはや会話ではない、未来を見据えた忠告だ。

 

だからこそ危惧した、そうせざるを得なかった。近い将来、彼女は()()()()の敵になるかもしれないと。俺たちの…ギルの敵となるやもしれんと。

 

 

「本当に困ったものだ、あれほどの隠し玉がミネルバに残っていたとはね」

 

 

ギルのその声を聞いた時、俺は自らの失敗を確信した。彼女のことをギルに教えたことも、彼女をギルに会わせたことも。

 

 

「だが、残念なことに。新たな世界にあのような考えを持つ者は不要だ」

 

 

見通しが甘かった、間違いだった。彼女を、ギルに会わせるべきではなかった。そうすれば、こんなことにはならなかった。

 

 

「この際アスランは後でいい。まず彼女から頼むよ、罪状はこちらで用意しよう。あれは()()()。なるべく穏便に、だが確実に処理してくれ」

 

 

こんな名前のわからない感情に胸を支配されることはなかった。

 

 

「あれほどの意思と未来を見透すかのような凄まじい眼力。放っておけば、いつか第二の白のクイーンに足るやもしれん。あくまで可能性の話だがね」

 

 

 

初めてだ。ああ、初めてだ、こんなことを感じるのは。これから発せられるギルの命令を、その声を、聞きたくないと感じてしまうのは。あなたの声が、こんなにも冷たく感じてしまうのは。

 

 

「だからそうなる前に、可能性のうちに手を打たねばならん。分かっているな、レイ。あの少女が我々の確かな障害となる前に」

 

 

ー消してくれー

 

 

 

俺は、

 

 

『レイがね、褒めてくれたの』

 

 

『なにをって…はくひゅ?』

 

 

俺は、

 

 

『私が知ってるのは、そんなレイだよ』

 

『あれ? なんでだろ? おかしいな…』

 

俺、はっ。

 

『紛い物なんかじゃない。私が知ってる、私の大切な友達、レイ・ザ・バレルだよ』

 

 

俺は…っ!

 

 


 

 

救いたいと思った命。救ってはいけなかった命。そして、救われて欲しいと願った命。

 

全部守りたかったけど、やっぱり世界は残酷で。

 

きっとこれが、私への罰なんだ。背負うべき罪から逃げて、それでも多くを手にしようとした、愚かな私への。

 

 

次回

『訣別』

 

 

激情の刃、振り下ろせ。()()()()()()

 

 

 

 

 

 




↑のような、予告風にしてみました。次の話がこの物語で最重要なポイントになると思ったので。

以下、ご報告です。

↑の話は長いので前編と後編の二分割にしました。前編の投稿日はいつも通り明日(2020/09/12/10:00)………ではなく。本日16時に投稿します(予約済み)

気合と時間があれば後編も今日中に出します。

この物語最大のターニングポイント、楽しんでいただければ幸いです。

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