ガバ転生メイリンによる「こずみっくいら」再現物語 作:めんりん
以下、ご報告です。
一つ目。これからの更新頻度は一部の時のような毎日ではなく「隔日」または「3日に一度」とさせていただきます。
理由として、やはり執筆速度です。今までは原作を何となーくなぞりつつ主人公にガバってもらうだけで何とかなっていたのですが、ここから先は色々と構成やら何やらをいじくり回す必要があります。一応、5、6本のストックはあるため、この貯金を維持しながらやっていくつもりです。
加えて、ここから頭のいいオシャンティーな言葉回しを連発する奴らが結構出てきます(議長ぇ、歌姫一号機とその彼氏、ダレ•ダ•フラガさんなど)
ので、言葉の一つ一つを慎重に考えながら構成をいじりながら…とやっているため、毎日更新ではただでさえ低いクオリティがさらに低下する恐れがありますです。
最後まで描き終えたら毎日更新&最終局面はまたハイマットフルバースト投稿を予定しておりますので、どうかご了承のほどよろしくお願いします。
基本的にこの小説の更新は「午前10時」です、これは法律です。そこを1分でも過ぎて更新がなければ「あ、今日ねーわ作者クソ」と思ってください。
二つ目。アンチ•ヘイトのタグを追加しました。
三つ目。役割を終えた予告編は皆様がこれを目にされている瞬間かその前に削除させていただきます。
以上です、それでは本編二部…一.五部? お楽しみいただければ幸いです。
第十八話 : 失われた光
メイリン・ホーク及びアスラン・ザラ両名の脱走とその搭乗機の撃墜。そんな未曾有の事件から一夜明け、ジブラルタル基地内は騒然としていた。
知らされた真実に絶望する者。
無力に打ちひしがれる者。
感じたことのない感情に支配される者。
振り下ろした刃の感触を消せない者。
それぞれの心の行き着く先は、果たしてどこにあるのか。それを知る者は、どこにもいない。
* * * *
「昨日はすまなかったね、三人とも」
二人を
「君達と彼女らの間柄には報告を受けている。…辛いことを、させてしまったね」
「…いえ…そんな…」
「………」
辛いこと、ね。そんなもんじゃないはずだ。俺にとって恩人であるあの子は、二人にとっては昔からの馴染みだ。喪失感という面だけ見れば、それは恐らく俺の比じゃない。
「…議長、質問の許可を頂いても?」
「構わないさ。言ってみてくれ、ハイネ」
これだけは、ハッキリさせとかなきゃいけないんでな。
「あの二人の嫌疑についての詳細を。俺にはまだ…あの子がそんなことをしたなんて、信じられません」
あの子は、そんなことをする子じゃない。付き合いは短いし、俺はあの子に距離を置かれてる。そんな俺に何が分かる、なんて思うかもしれないけどな。
ありがとうと言われて、泣き崩れるような心の優しい子がそんなことをするなんて、俺はどうしても信じられない。
「ふむ…まだコクピットも見つからず、何も分かってはいないがね。こちらの『ラグナロク』のデータに侵入された痕があったようだ」
「ラグナロク?」
「ヘブンズベース攻撃作戦のコードネームさ。大層な名前だがね」
まったくだ。それじゃなにか? あの子は聖戦の生贄にでもされたってか? ざけんじゃねぇ。
「ただその中には、『デスティニー』と『レジェンド』のデータもある。侵入は容易ではないはずだが…情報に精通している者がいれば…或いは」
「…それが、メイリン・ホークだと?」
なるほど、それで
「報告によれば、彼女らが逃走を図るより少し前。アスランがラクスを連れ出そうとしていたらしい。考えたくはないが、初めから二人は繋がっていた、と考えていいだろう」
何か心当たりは? そう問われて口を開いたのは、ここまで口を噤んでいたレイだ。
「…アークエンジェルとフリーダムを撃て…つまりエンジェルダウン作戦が発令される直前に、二人が話しているのを聞きました。その時点でメイリンは既に作戦の内容を知っているような口ぶりでした」
「つまり、彼女の内偵はこれが初めてではないと?」
「…おそらくは」
…なんだそれ。
「では…これは恐らく計画的なものだったのだろう。作戦内容と機体データ、そしてラクス。欲しがるところはいくらでもいるが…現時点で最も有力なのは、彼らだろう」
なんだそれ。あの子とアスランがロゴスのスパイだってのか? ありえねぇ…そんなのありえるわけがねぇ!
「認めたくないが、事実だ。これが私から提示できる現時点での全てだが…まだ何か、気になることはあるかな?」
「…いえ、ありがとうございます」
こじつけもいいとこじゃねぇか。そんなことで俺は殺したのか? アスランを、あの子を。ただ命令だからと。
「君達の心中は察するが、どうか今は堪えて欲しい。次の作戦には世界の命運がかかっている。君たちの働きに、期待しているよ」
「「「はっ!」」」
けど、今の俺にはどうしようもできない。ロゴスを撃つ、ここに関して異を唱えるつもりはないからな。だが、その先は…
「それとレイ、悪いが少し残ってくれ。話がある」
…そうかよ。なら俺は先に失礼させてもらうとする。…どうしても会わなきゃいけない奴がいるんでな。
「…シン、いくーー」
「…申し訳ありません、議長。どうしても、会っておきたい人物がおりますので。なにとぞお時間をいただきたく。後ほど必ず伺わせていただきますので」
いくぞ。そう言いかけた俺の言葉を遮って、レイが口を開いた。
「…そうか。いや、構わないよ。ミネルバだろう?」
「…はい」
…なんだよ、俺と同じ用事じゃねぇか、それ。
「分かった。私もミネルバには用がある。後ほどそちらで落ち合おう、いいかな?」
「はい、ありがとうございます」
失礼します、と敬礼して出て行くレイを追って、俺たちも続く。多分、行き先は全員一緒だろうしな。
…切り替えろよ、ハイネ・ヴェステンフルス。これからお前には、やらなきゃいけないことが待ってんだからな。
* * * *
「まったく…厄介なものだ、人の情というものは」
* * * *
嘘だ。
保安局からの取り調べで、そんな言葉しか出てこなかった。あの子が…メイリンがスパイ? アスランと脱走? そんな…そんなことするわけない。
けど、そんなことすら霞む一言を聞かされて、それどころじゃなかった。
「モビルスーツによって逃亡を図った彼らは既に撃墜されている。シン・アスカ、レイ・ザ・バレル、ハイネ・ヴェステンフルスの三名によってな」
どれもこれも、知ってる名前。でもそうじゃない。
撃墜、
吐き気がした。急に足元が消えてどこまでも落ちて行くような感覚に襲われて、取り調べどころじゃなかった。
そこからは、何を話し何を聞かれたか、よく覚えてない。ただひたすらに、嘘だ嘘だと自分自身に語りかけていただけ。
目の前に突きつけられた現実を、根拠のない言葉で必死に否定しようとしていただけ。
そうして気がつけば、ミネルバの廊下を歩いてた。ただひたすらに歩き回って、必死にあの子を探した。もしかしたら、何事もなかったかのように帰ってきてるかもしれない。
いつもみたいに私に抱きついて、甘えて。お腹空いたってご飯をせがんで。どんなに言っても、いつでもどこでも「お姉ちゃん」って呼ぶことをやめなくて。いっつもいっつもトンチンカンなことやって。私やレイ、艦長に捕まって叱られて。
二人の部屋、食堂、休憩室、トイレ、シャワールーム、ブリッジ、甲板。ひたすら走って、探して、駆け回って。それでも、見慣れた二つ結びの小さな背中はどこにもなくて。
「…あっ…」
代わりに出会ったのは、見たこともないくらいに暗い顔をした彼ら。さっき名前を聞いたような、いつもの二人といつかの仲間。
「…ねぇ、メイリン…は?」
震える声で、震える手で、シンの肩を掴んだ。
「…メイリンは、どこ…?」
祈るように、すがるように掴んだ彼の肩が震えていることすら気に留めず、ただただ問いかけた。
「…あの子、どこにもいないのよ? もう、朝ご飯の時間なのに。いつもなら、一緒に食堂に行くのに。お腹空いたって…私の手を引っ張って…」
お願いだから答えて。嘘だと言って。私のこのあり得ない現実を、否定して。
「…ねぇ、答えてよ! メイリンはどこ!? あの子はどこにいるのっ!? シンっ! レイっ! ハイネぇっ!!」
けど、どんなに願っても現実は変わらない。どんなに否定しても、見ないフリをしても、
「…ごめん…っ」
シンの押し殺すような言葉を聞いた時、私の中で何かがぷつんと切れた。必死に切れないように、ちぎれないようにしていた何かが、音を立てて切り離される。
「…嘘よ…こんなの…嘘に決まってる、そうでしょ? だって、こんな、こんなこと」
肩を揺すってすがっても、視線を合わせて問いかけても。私の願いを聞き入れてくれる仲間は一人もいなくて。
「…お願いだから、嘘って言って…言ってよ、ねぇ言ってよっ!! 嘘って言ってぇっ!!! シンっ!!!」
どれだけ縋り付いても、彼はただ涙を流すだけで。レイすら俯いたまま何も言ってくれなくて。
「そいつじゃねぇよ」
「…え…?」
…けれど、最後の一人が唐突に口を開いた。……は…? なにを言ってるのよ、アンタ。
「そいつは邪魔しただけだ、そうだよな?」
「…っ…ハイネっ!!」
聞いたこともないくらい冷たい声で、彼が言う。いや、聞きたくない、聞きたくない、聞きたくないっ!!
「俺だよ、俺が殺した」
…………嘘、そんなの。
「…な、にを…」
「聞こえなかったのか? それとも意味がわからねぇか? 俺が殺したって言ったんだ、アスランも、お前の妹も」
呆然とする私に、彼は容赦なく責め立てる。
「そいつらはただ見てただけだ。俺が殺した、一人でな」
……メイリンを、ころした?
「わからねぇなら何度でも言ってやる、お前の妹を殺したのは」
そうして気付いた時には遅かった。頭の中が真っ白になって、周りの音が聞こえなくなって。まるで、体が自分のものじゃないみたいに、燃えてるんじゃないかってくらい熱くなった。
「ルナやめろっ!!」
「よせっ!! ルナマリア!!」
二人の、恐らくは制止を叫ぶ声すら届かずに。私の制御を離れた両手は、あらん限りの力で彼の首を締め付けていた。
「…アンタが…アンタがメイリンをっ!!!」
怒りと涙でグシャグシャになった視界のなか、掌から人の皮膚を潰す感覚だけが鮮明に伝わってくる。
「殺すっ!! 殺してやるっ!!!」
爪が食い込み皮膚が裂け、骨すら軋ませる勢いで、いっそ握り潰してやるつもりで力を込める。もっと、もっともっともっと。絶対に殺してやる、メイリンの、メイリンのかたっ!?
「がはっ!?」
そう殺意を滾らせた私の体は、たかが鳩尾に一発の蹴りを浴びただけで簡単に引き剥がされる。
「ルナっ!!」
「がっ、あっ!?」
息ができない。呼吸すら忘れて力を込めていたところに、腹部への重撃。私の体は、怒りに燃え滾っていたはずの私の体は、いとも簡単に地面に転げ落ちる。
「
「ま、待ってくれ、ハイネっ!」
蹲る私に駆け寄ったシンにわずかに視線を向け、彼は何事もなかったかのように襟を直し、そのまま背を向けて立ち去ろうとする。
「ま、…っ」
まて、という一言すら絞り出せない。追いかけようにも、未だ立つことすら叶わない体で何ができるわけもなく。息が詰まるなか無様に吠えることすら出来ず。
「…だが今回だけは…不問にしといてやる。…次はねぇぞ」
低い声で吐き捨てるように言葉を置いて、彼は背を向けてそのまま去っていく。
なんて、なんて無様なのだろう。何もできず、気づいてすらあげられず、仇も討てず。ただ這いつくばって吠えることすら満足に出来ない。
「う…うぁ…あああああっ…ああああああああああああああ…っ!」
怒り、悔しさ、悲しみ。湧き上がる様々な感情の名前すらわからないまま、私はひたすらに涙を流した、いつ枯れるとも知らない大粒を涙を。
「ごめん…っ! ごめん………っ!!」
抱きしめてくれるシンの胸にすがり、子供のように泣き叫んだ。けど、どれほど泣いて悔やんでも、縋り付いて祈っても、あの子はもう帰ってこない。
もっと話がしたかった。もっと一緒にいたかった。色んなことをして、色んなところに行って。この戦争が終わったら、二人でいっぱい遊ぶんだって、言ってたのに。
『お姉ちゃん!』
守るって…誓ったのに。
『また…また
そう…言ったのにっ!!
ごめんね、メイリン。こんな、どうしようもないお姉ちゃんで。何もしてあげられなくて、守ってあげられなくて…………ごめんっ
「………っ………」