ガバ転生メイリンによる「こずみっくいら」再現物語   作:めんりん

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今日もいけると思った(仕事休み)

隔日にするつもりでしたが応援してくださるような感想、コメ付き評価をあんなにいただくと嬉しくなって投稿してしまうぅ……。

反対することなく、むしろ背中を押していただくようなコメント、ありがとうございます、これからも全身全霊やりたい放題フィーバー侍で頑張らせていただきます。


第二十話 : ヘブンズベース蹂躙

 

ヘブンズベース攻略作戦まで、およそあと僅か。とりあえずロゴス差し出せって勧告は出したみたいだが、まあ戦闘になるだろうさ。そんな楽にいくほど、現実は甘くないってね。

 

俺が今いるのは、出撃前のパイロット専用の待機室、に続く廊下。その壁に寄りかかって出撃命令が出るのを待ってる。部屋に入れって思うかもしれないが…まあ俺の顔を見たら殺意を漲らせる奴がいるって分かってんのに態々入る必要もねぇだろって話。

 

…命令とはいえ、俺があの子とアスランを殺したのは事実だ。どんなに言い訳したって、それは変わらない。それを許せなんて言わないし、許す必要もない。まして、許されるつもりもない。

 

…ロゴスを討つ。それに関しては俺にも異論はない。たとえ奴らが地球の経済圏の中枢だろうが、だからと言って奴らの都合でやたらめったら戦争を起こされたらたまったもんじゃない。

 

けど、その後はな……まあ。そんなことを考えてた時だ、俺が部屋に入らず壁にもたれるなんて地味なストイックをしてた理由がわざわざ部屋から出て俺の方に歩いて来たのは。

 

 

「…ヴェステンフルス隊長…いや、えっと…ハイネ」

 

 

…ったく、無理して名前で呼ばなくてもいいってのに。

 

 

「…なんだ?」

 

 

わざと低い声を出してみたが、帰る気はないらしい。

 

 

「…その…先日は、大変申し訳ありませんでした。私、気が動転して」

 

 

動転して当たり前だ、お前ら姉妹の仲は良いのは知ってるからな。たとえ、一緒に過ごした時間が僅かでも。けどな、

 

 

「謝るな」

 

「…え?」

 

 

そうさ、そんなのは、やめてくれ。

 

 

「俺がお前の妹を殺したのは事実だ。命の恩人だったお前の妹を殺したのは俺だ。たとえそれが命令だったとしても」

 

 

どんな理由を並べても。たとえ後から違和感に気付いたとしても。そんなものは関係ないんだよ。

 

 

「無理に許す必要なんてない。どのみち、この作戦が終わりゃまたお別れだ」

 

 

事実だ。艦長にはいてくれていいって言われたが、俺がここにいちゃ、こいつが心穏やかにはいられないだろうしな。

 

宇宙で俺の部下だった奴らの面倒見てくれてるやつのとこにでも行くとするさ。…そいつはアスランのダチらしいから、まあそこでも色々あるかもしれないけどな。

 

 

「俺は、お前の妹を」

 

「ちがいます」

 

 

…ん? なんだ、急に様子が。

 

 

「悪いのは戦争と、ロゴス。メイリンを奪ったのは、奴らです。あなたじゃない」

 

 

…おいおい。こいつは…

 

 

「だから、あなたは悪くない。あいつらさえ、あいつらさえいなければ…っ!」

 

「おいルナマーー」

 

「ルナっ!」

 

 

すげぇ勢いで瞳がドロドロしだしたルナマリアに声をかけようとしたら、それより早くこいつの名前を呼ぶ声がした。

 

 

「ルナ。コアスプレンダー、もうすぐ出るはずだ。中で座ってろ」

 

「…シンは?」

 

 

…なるほど、そういうことか。

 

 

「俺もすぐにいく、先に入っててくれ。大丈夫だから、インパルスは俺が守る」

 

「…うん」

 

 

シンに頭を撫でられて、ルナマリアは待機ルームに入っていく。

 

 

「…ハイネ、ルナとなにを」

 

 

まあ、そりゃ睨まれるわな。あの子を撃った挙句にお前の女の心抉ってさらには腹に蹴り入れてるんだから。

 

けど、いまはどうしても確かめたいことがある。何かを言いかけたシンに肩を組み、俺は奴の言葉を遮る。

 

 

「な、なんだよ急に」

 

「シンお前…今ルナマリアと…これか?」

 

 

そう言って小指を立てて揺らせば、頬を赤く染めて、けどどこか辛そうな顔をする。まあ、そうだろうさ。自分の好きになった女があんな目してたら、な。

 

 

「…なら守ってやれ。絶対に手、離すなよ。…あいつ、今スレスレだぞ」

 

「…っ!!」

 

 

お前が手を握ってるから留まってはいるが、ありゃ()()()寸前だ。何があったか知らねぇけど、あんなドロドロな目をする奴じゃなかった。少なくても、昨日俺の首を絞めてきた時はな。

 

…一体、アイツに何があった。

 

 

「お前は死ぬな、あいつも死なせるな。いいな?」

 

「…お前に言われなくても、そのつもりだ」

 

 

…言うじゃねぇの。てっきり実力はあってもまだまだ甘ちゃんかと思ったが、中々どうしていい目をしやがる。

 

…心配すんな。お前も、ルナマリアも。死なせやしねぇよ、俺がいる限りな。

 

 

「ならいいさ。おらいけ、出撃前にキスぐらいはしとけよ」

 

「なっ!? ハイネっ!」

 

 

顔を真っ赤に染めるこいつの背中を押し込んで待機室に放り込む。そばにいてやれよ、シン。お前が繋ぎとめてやらなきゃ、ルナマリアは二度と戻って来れない場所にいっちまうからな。

 

 

「…お前は、行かなくていいのか? ああ、悪い。やっぱ少し待ってくれ、あいつらがやることやるまでな」

 

 

…んだよ。随分とつまらねぇ顔するようになったな、こいつ。

 

 

「…構いません。特に中に入る必要もないので」

 

 

はっ、そうかよ。

 

 

「なぁ、お前、議長とちょいちょい話してるよな?」

 

「ええ。色々と報告することがありますので」

 

 

…本当に、つまらねぇ顔だ。

 

 

「…メイリンちゃんとアスランの件、ありゃなんだ?」

 

「なんだ、とは?」

 

「こじつけだろうが、あんなもん。なんであそこまでして二人を…あの子を討つ必要があった? 議長は…一体なにを考えてる?」

 

 

あの時、こいつは確かにメイリンちゃんを撃つことを迷ってた。最後の際まで、絶対に武器を抜くことをしなかった。

 

けど、それを許さんと言わんばかりの議長の声、過剰なまでの撃墜命令。少し考えりゃ分かることだ。議長にとって、あの子の存在はこの上なく目障りだったってな。

 

 

「議長はただ、理想を実現されたいだけです。誰もが幸福に満ち、争いの起こらぬ平和な世界を」

 

「その世界にっ! お前らの言う理想の世界に、あの子の居場所はないって言いてぇのかっ!!」

 

 

あんな心優しい子に。自らが作る平和な世界に生きる資格はないって言うのか、あの人は。

 

 

「…彼女は裏切り者です。平和を目指す、我らの敵です。そう思ったからこそ、彼女を撃ったのでしょう?あなたは」

 

「てめぇ…っ!」

 

 

視界が真っ赤になるような怒りに包まれて、思わず目の前のこいつの胸ぐらを掴み上げそうになる。けど、今は作戦前だ。そんなことをしていい場合じゃない。

 

 

「…それでいいのかよ」

 

 

だから、せめても意趣返しとして。こいつの心に一本の矢をぶっ刺してやることにした。見てろよ、その澄ました、いや澄ましたつもりになってる顔を思いっきり歪めてやる。

 

 

「…お前、メイリンちゃんのこと好きだったろ」

 

「っ!?」

 

 

ほれ見ろ、動揺が隠し切れてねーってんだ。

 

 

「それが人としてか…女の子としてなのかは知らねぇけどな。そんな子がこんな死に方して、なんでもありませんってフリしてんのは…めちゃくちゃダセェよって話だ」

 

「…貴様っ…!」

 

 

なんだ、出来んじゃねぇかそんな顔も。そっちのがずっと俺好みだぜ、まったく。

 

 

「お前のすべきことはな、無理にそんな澄ました顔することじゃなくて、俺に掴みかかって怒鳴り散らしてブン殴ることなんだよ、レイ」

 

 

けど、そうはしないってことは。お前もまた、逃げられない何かに囚われたままだってことか。

 

 

「俺は……っ!!」

 

 

ん? 何だよ言ってみろ。吐き出せよ、その溜め込んでるもんを。無理やり押し込んで見ないフリをしてるもんを。

 

 

「……失礼します。間も無く出撃でしょう、貴方もコックピットに向かった方がよろしいかと」

 

 

そう言って足早に去っていく奴の背中を見て、俺は何とも言えない苛々が胸の奥に燻っているのを感じた。

 

 

「…くそっ!!」

 

 

口汚く壁を殴りつけたところで、なにも変わりはしない。言いようのない感情を抱えたまま、俺もまた与えられた新たな機体…彼女とアスランを葬った忌むべき機体のコックピットへと向かった。

 

 

 

* * * *

 

 

ザフト、地球連合軍よりヘブンズベース基地へと勧告されたロゴスと名を挙げた人物の引渡し及び基地内の武装解除要求、その期限までおよそあと三時間。開戦の狼煙は、突如として上げられた。

 

勧告に対する返答のないまま、へブンズベース側が突如として攻撃を開始。豪雨のように降り注ぐミサイル群。これの対応に遅れた連合艦隊は初手に多大なる被害を被った

 

さらに、へブンズベースから出撃した多種多量のMS、MAの中には、あのベルリンの悲劇を引き起こした破壊の化身、「デストロイ」の姿も確認された。それが、()()

 

その五機のデストロイの放った長射程高出力ビーム砲、"アウフプラール・ドライツェーン"は連合艦隊の並ぶ海を一瞬で破壊の嵐で呑み込み、集結していた連合艦隊の前衛に壊滅的な損害を与えた。

 

また、遅れて攻撃を開始したザフト軍の「オペレーション・ラグナロク」によって、衛星軌道上から放たれた降下揚陸部隊は、これを予期していたロゴス側と、基地に設置されていた対空掃討砲"ニーベルング"によってその大半を消滅させられた。

 

以上、当初は勧告を無視し先んじて攻撃を開始したロゴス側が有利に運ぶ戦況かと思われた。しかし、事態を見兼ねたプラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダルはここで軍の主力かつ切り札であるMS群の投入を決定。

 

戦艦"ミネルバ"より四機のMS、「デスティニーガンダム」二機、「レジェンドガンダム」、「インパルスガンダム」が発進した。

 

これらの投入により、ロゴス有利に傾いていた戦局は一気に覆されることとなる。

 

四機の出撃後すぐ、空を覆っていたロゴス側のMSや海上のMAは彼ら四人の手によって羽虫の如く打ち落とされ、瞬く間にその数を減らし、息つく暇も無く彼らによる内陸部侵入を許してしまう。

 

 

『こんなことをする…っ! こんなことをするやつら、ロゴスっ!!』

 

 

目の前に立ちはだかる破壊の巨神を前にした一人の少年の脳裏には、様々な者達の姿があった。

 

無力だった少年の前で虫けらのように散った己が家族。守ると誓い、しかし最後には少年の腕の中であまりに悲惨な生涯を終えた少女。

 

そして、最愛の想い人である彼女が何より大切にしていた、かけがえのない妹。その全て、尽く彼は取りこぼした。

 

なぜか? 少年に力がなかったから? 

 

それもあるかもしれない。だが、そもそも力が必要な状況を、人と人とが争わなければならない世界を作る者たちがいる。他者の命を金に変え笑っているものたちがいる。

 

そんな者たちがいるから、そんな者たちの身勝手な所業が、彼女らを死に追いやったのだとしたら。

 

 

『許すもんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』

 

 

心の種を弾けさせた少年の怒りの刃は、鉄壁の防御力を持つ筈の巨神さえただ一刀の元に斬り伏せる。

 

 

『…アンタたちさえ…アンタたちさえいなければっ!!』

 

 

この世で最も大切な家族を、己の半身である妹を奪われた少女は、ただひたすらに怨嗟の叫びを上げる。

 

争いさえなければ、それを起こす者さえいなければ。ただその一点にのみ溢れる憎しみを凝縮させ、涙を流し軋む心で刃を振るう。

 

この巨神を前に、高機動型では意味を為さないと判断した彼女は、誰の助言を得るまでもなく機体の装備を巨大な対艦刀を携える格闘型に換装。

 

甲羅のような巨神の頭部に飛び乗り、両の手に握ったあまりに大きな刃を徹底的に叩きつける。装甲を剥がし、突き刺し、高出力ビーム砲の砲身を叩き割り、機能を維持できなくなり倒れ伏した巨神になお、彼女は憎悪を込めた刃を叩き込む。

 

 

『…返せ、返せ、返せっ!! メイリンを…メイリンを返せぇぇぇぇぇぇぇっ!!!』

 

 

そして、その光景に胸を鷲掴みにされる者もまた。

 

 

『…くそっ…くそっ!!!』

 

 

躊躇い迷い、疑念を持ちながらも。ただ命令されれるままに決して撃ってはならない存在を撃ってしまった彼は。

 

 

『…今よ、とんでもなく機嫌が悪いんだ、俺は…』

 

 

彼を見据える巨神が一つ。それが彼や狂乱する彼女の背を穿たんと両の手を向ける。

 

 

『…ちょろちょろと…出てくんじゃねぇよっ!!』

 

 

放たれる光の雨に、ビームシールドを前面に押し当て強引に距離を詰める。やがて巨神の懐に飛び込んだ彼は、機体の右手に破壊的なエネルギーを凝縮させ、

 

 

『邪魔だぁっ!!!』

 

 

その右の掌を、怒りと光に満ちる掌を、彼は巨神の心臓部…コックピットへと叩き付け、爆散させる。

 

内部機構と操縦者という機体の中枢部分を同時に蹂躙された巨神は、なす術もなく地に倒れ伏す。

 

 

『…………』

 

 

そして、かつての感情を夢と断じ、鉄の如き意志で戦う者は。ただ粛々と基地に残る残存兵力に照準を合わせその引き金を引いていく。

 

無数の銃口から放たれる破壊の光は、ただそれだけで地を這うことしかできない者たちを犯し尽くす。空を飛ぶ羽虫を撃ち落とし、這いつくばる芋虫を焼き尽くすその様は、さながら裁きを下す天使の様。

 

暴虐なまでの力を振るう彼らの出撃から、ヘブンズベース基地が戦線維持に必要な戦力を駆逐されるまで、実に半時いらず。

 

圧倒的な力で全てをねじ伏せるデスティニー。

 

敵の命尽きるまで、何度でも憎しみの刃を振り下ろすインパルス。

 

ただひたすらに冷徹な光を放ち続けるレジェンド。

 

この日ヘブンズベース基地は、たった四機のMSによって、その姿を名が示すものとは全くの逆、阿鼻叫喚の止まぬ地獄へと変貌させられた。

 

 

 

* * * *

 

 

戦闘は終わった。主力であるデストロイ五機を全て失い、まともなMSすら残ってないやつらが白旗上げて要求に応じるまで、そう時間はかからなかった。

 

 

『…はぁ…はぁ…はぁ…』

 

 

限界まで力を振り絞り、もはや装甲すら維持できなくなったインパルスが、ボロボロになり既に実剣でしかない対艦刀を引きずって、基地内部へと歩いていく。

 

 

『…どこ、どこにいるっ!! ロゴスっ!!!』

 

 

叫ぶや否や、握った実剣をやたらめったら振り回し、すでに戦闘の意思がない基地施設をさらに破壊、蹂躙していく。半壊した建物や動くことすらできないMSを徹底的に叩きのめし、生身の人間にすら容赦なく刃を振り下ろし、踏み潰す。夥しい血と弾けた肉と臓物、そして無数の悲鳴が、インパルスの灰色の装甲を染め上げていく。

 

おい馬鹿っ!! そいつらは降伏した奴らだぞっ!! やめろっ!!

 

 

『死ねっ! 死ね、死ね死ね死ねっ!!!』

 

『やめろルナっ!!』

 

 

飛び出そうとした時に、俺より早く翼を広げてぶっ飛んできたシンがインパルスを羽交い締めにする。機体の性能差に加え、インパルスはガス欠寸前だ。抵抗できるはずがない。

 

 

『メイリンの…メイリンを…っ!!』

 

 

それでもなお、デスティニーの拘束を破ろうと暴れるインパルスだが、やがて活動限界を迎えた機体は、さっきまでの狂乱が嘘のようにピクリとも動かなくなる。

 

 

『…終わった。終わったんだよ、ルナ』

 

『……あ……え……?』

 

 

機体が動きを止めると同時に、それを動かしてたパイロットもまるで糸の切れた人形のように動かなくなる。

 

 

『……帰ろう、ルナ』

 

『……シ…ン…』

 

 

動けなくなったインパルスを、デスティニーと上空から降下してきたレジェンドが両サイドから抱えて帰艦していく。

 

 

「……っ!!!」

 

 

分かってる、声なき叫びを拳に変えて操縦桿に叩きつけたって、何も変わりはしない。でも、これは…これはあんまりにも酷すぎるっ!!

 

これが、俺の罪か。生かされた命で、あいつらの光を奪った俺への。

 

言いようのない怒りを抱えたまま、俺もまたあいつらと同じようにミネルバへと機体を飛翔させた。

 

……宇宙へ上がる前に、直接確かめさせてもらうとしよう。何となくだが、今の俺には心当たりがある。ルナマリアをああまでした人間の、心当たりがな。

 

…あんたのその真意、暴かせてもらうぜ、()()

 

 

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