ガバ転生メイリンによる「こずみっくいら」再現物語   作:めんりん

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今日まではいけます、明日はなしです。

明日は新人教習の指導役(おかしい、私も社会人二年目のぺーぺー)に駆り出されるため、精神力を振り絞ります(仕事内容が他者の命を預かるもののため)

ので、本日(2020/09/22)と明日は新たなストックの執筆と、現在のストックの添削や修正に専念させていただきます。



〜 アークエンジェル編〜 壊れゆくもの
第二十二話 : 目覚め


 

「……ここは…?」

 

 

知らない天井、知らない匂い。少なくても病院ってわけじゃなさそう。多分想像通りだと思うけど、とりあえず色々確かめないと。

 

 

「…うっ!?」

 

 

そう思って体を起こそうとしたけど、半身を起こそうとした時点で異変ありまくりだった。体は熱くて力が入らないわ頭はグワングワンするわ視界はまともに定まらないわの不調目白押しオンパレード。体調不良の集大成、いやバーゲンセールかってくらい。

 

 

「あ、ちょっとっ! まだ寝てなきゃだめよ」

 

 

快活なカワボ…らしき人が部屋に濡れタオルっぽいものを持って部屋に入ってきた。聴覚視覚、ついでに脳内がまともに機能してない今の私に確かなことは何も分からないけど。

 

 

「怪我は少なくても、撃墜された機体の中にいたのよ? まだしばらく休んでなきゃダメ」

 

 

…だれだっけ、この人。私の身体を寝かしつけシーツをかけ直してくれるこの女の人。頭がまともに働けば思い出せるんだろうけど、残念ながら今はまだ無理っぽい。記憶領域に検索かける機能が熱で炎上してるみたい。

 

 

「…アス、ラン…さん…は…」

 

 

絞り出すように声を出すと、心配するなと言うように額に手が乗せられる。

 

 

「大丈夫よ。少し怪我はしてるけど、命に別状はないわ。あなたよりも先に意識も取り戻したから」

 

 

そっか…よかった。目下最大の懸念事項が無事だという事実を聞いたからか、私は途切れかけの意識の維持を諦め、再び眠りについた。流石に体が動かなさ過ぎる。おそらくは人生最大の危機を乗り越えたんだ、もう少しくらいはベッドに沈んでいたい。

 

 

 

* * * *

 

 

「…そっか。あの子が議長に」

 

 

未だベッドから満足に体を起こさない俺の隣に座った彼女…カガリに、俺はここに至った経緯を出来る限りで説明した。

 

軍を抜けようとしたこと。その過程で彼女が命の危険に晒されていること知り、無我夢中で連れ出してきてしまったこと。

 

 

「…なんだかすごい子だなって思ってはいたけど…まさか議長に命を狙われるなんてな。一体何があったんだ、あの子に」

 

 

さあな。おそらく彼女は議長の理想を否定してしまったんだろうが…詳しいことは直接彼女に聞いてみなければわからない。

 

 

「分からない。彼女が回復したら聞いてみよう。…確認しておきたいともあることだしな」

 

 

殺されるくらいならと、俺は良かれと思って彼女を連れ出した。"いずれはこうなると分かっていた"、そう言った彼女の真意を聞いておかねばならない。

 

 

「大丈夫だよ。さっき目を覚ましたってミリアリアが。熱が酷くて、お前が無事だって聞いたらまた眠っちまったらしいけど」

 

「…そうか。良かった、というべきなのかな」

 

 

機体が撃墜される寸前に咄嗟に庇いはしたものの、守れたかどうか曖昧だった。そもそも、俺たちがこうして生き残っていられた最たる原因は、あの時ハイネが最後に放った弾の着弾地点が大きく関係している。

 

意図的なのか、それとも無意識か。あいつが撃った弾は全て俺たちの機体の肩や膝、足といった四肢を穿ちはしたものの。ただの一発もコックピットには当たらなかった。

 

流石に無傷とはいかなかったが、あいつが本気で俺たちを殺すつもりだったら、とっくの昔にそうなってる筈だ。それに、最後まで俺たちを庇おうとしたシンや…レイが議長に背いてまで俺たちを…彼女を撃たなかったのは驚いた。

 

いや、俺が知らなかっただけでレイと彼女はなにか特別な関係だったのかもしれない。でなければ、格納庫であれほどまでに悲痛な叫びを交わしはしないだろう。あのレイが、見たこともないほどに感情を露わにして彼女に静止を呼び掛ける光景が頭から離れない。

 

それと…一番の気かがりは彼女の姉…ルナマリアの状態だ。二人が言葉では言い表せないほどに仲のいい姉妹だということは俺も知っている。というより、ミネルバ内で知らない者は絶対に存在しない。

 

そんな彼女が、突然大切な妹に別れを告げられて…俺たちは恐らくは死亡したとされている筈だ。平常心を保っていられるとはどうしても考えにくい。場合によっては、もしかして……

 

 

「…大丈夫だ。彼女のことは私も面倒を見る、心配するな」

 

「…頼む。色々、辛いだろうからな」

 

 

……いや、これ以上はよそう。いくら考えたところで今は答えは出ないだろうからな。

 

逆に答えが出たものも、いくつかある。その一つが、俺が今アークエンジェルにいるということ。そして、あいつも…キラも生きていたこと。

 

しかもキラのやつピンピンしてた、なんなら俺の方が重症なくらいだ、一体どういう体してる。

 

 

「…それで、その…私のことは、許してくれるか」

 

 

…何を言うんだ、こいつは。

 

 

「謝るのは、俺の方だろ。キラに言われたことの意味に気づいた時には、このザマだ」

 

 

議長は信用できない。まったくその通りだった。まさか俺ではなく彼女から消しに来るなんて。機密漏洩? そんなもの、体のいいでっち上げだ。

 

 

「…結婚、しようとした。お前に、何も言わずに」

 

「守りたかったんだろ、オーブを」

 

 

…それに比べて、俺は。一体何をしているんだろうな。カガリが国を背負って必死に戦って、キラも、アークエンジェルも。

 

なのに、俺は。

 

 

「…俺は、何もできなかった。戦争を止められず、議長の思惑にも気づけず。…メイリンの、彼女の居場所を奪って」

 

「…アスラン…」

 

 

何より姉を好きでいた彼女を、事情はどうあれ引き裂いてしまった。彼女が何より大事にしていたものを、居場所を。挙げ句の果てに、その彼女を大切に思っていた仲間に撃たせてしまう始末。…本当に、何一つ守れなかった。何もできなかった。

 

 

「…何も守れなかった。オーブどころか、女の子一人すら」

 

「…そうかな」

 

 

………え…?

 

 

「…どんなに大切な居場所があったって。生きてなきゃ、意味ないだろ」

 

 

……カガリ…。

 

 

「お前も、あの子も。ちゃんと生きてる。…何があったか私には分からないけど。それだけで、私は嬉しいよ」

 

 

…生きてなきゃ、意味がない……。

 

 

「彼女の様子見てくるよ。お前はしっかり休め、勝手に動いたりしたら承知しないからな」

 

 

そう言って席を立ち、カガリは部屋を出ていく。言った通りに、メイリンの様子を見に行ってくれたのだろう。俺もそうしたいのは山々だが…生憎とそれができるのはもう少し先になりそうだ。

 

 

そうして俺が意識を手放してしばらくした時だ。"エターナル"がザフトに発見されたと火急の知らせが入ったのは。

 

 


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