ガバ転生メイリンによる「こずみっくいら」再現物語   作:めんりん

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第二十七話 : 囚われの心

 

 

『…フリーダム…』

 

 

私を庇うようにフリーダム…キラが前に出る。翼の形が以前と異なっていたり、節々の関節が黄金に輝いたりと色々違いは見受けられても、はっきりと面影は残してる。幾度となく私を、私たちを守ってくれたこの背中を、見間違えるはずがない。

 

 

『マリューさん、ラクスを頼みます。ここは僕が引き受ける、カガリは国防本部へ』

 

 

引き受ける、か。やっぱり力強いな、コイツの言葉は。…頼んだ、ありがとうな。

 

 

「わかった」

 

 

私の言葉を聞くや否や、翼を広げてバカみたいな速度で私と戦ってた暗色の機体に突っ込んでいく。任せたからな、キラ。私も私で、やるべきことをやらないと。

 

兎にも角にも国防本部へ行かないと。キラ、皆んな、頼む、あと少しだけ、無力な私に力を貸してくれ。

 

 

 

* * * *

 

 

キラが戻ってきた。カガリがレジェンド…レイにやられる直前に、とんでもない速度で大気圏外を突破しながら。そして新しいフリーダムと一緒に降下してきたもう一機の機体を見てハッとした。

 

見間違えるはずがない。あの機体は、俺に宛てたものだ。未だ万全とは言い難い体を起こし、格納庫へと向かおうとすると、

 

 

「…………」

 

 

やはり分かっていたかのように彼女は俺の肩を支えてくれる。相変わらず…と言っていいのか、その表情は冷たく無機質なままだ。先程、レジェンドが出撃してきた際にはかなり動揺していたが…やはりレイに何か思うことがあるのだろうか、それともまた別の理由か。

 

 

「…これも、君の予想通り…なのか?」

 

 

道すがら、そう聞いてみる。いまさら大した答えを返してくれるとは思ってはいないが。

 

 

「……さあ…どうでしょうね」

 

 

…やはり、か。本当に君は、何を見ているんだろうな。その後は特に話すこともなく、俺たちは格納庫へとたどり着いた。そしてそこに、見知った桃色の長髪の後ろ姿があった。

 

 

「…ラクス?」

 

 

ラクス・クライン。…本物の彼女がそこにいた。見たことのないパイロットスーツを着ていたために一瞬気付くのが遅れてしまった。

 

 

「アスラン」

 

 

まさか、()()に乗っていたのか?

 

 

「君が乗っていたなんて。大丈夫だったか?」

 

「はい。本当に、ただ乗っていただけですから」

 

 

…よかった。キラのやつ、相変わらずふざけた速度で機体を振り回してたからな。ラクスをこれに乗せて…無茶をする。目眩しと機体の運搬が一緒に出来てちょうど良い、とか言ってそうだが。

 

 

「アスランこそ、大丈夫ですか?」

 

 

…生憎、万全とは言い難いが、そうも言ってられない。だからこそ、()()を持ってきたのだろう?

 

 

「…大丈夫だ」

 

「…お身体のことではありませんわ」

 

 

っ…。そうしてラクスは、ほんの少しだけ、未だ俺を支えてくれているメイリンに視線を向け、また再び俺を見る。……まだキラに少し事情を伝えたくらいなんだがな。この一瞬だけで彼女は何かを感じたのか? …凄まじいな、やはり。

 

 

「…ジャスティス、か?」

 

 

多少俺の知るものとは違うが、見間違えるものか。これは…かつて俺の機体、"ジャスティス"…キラのフリーダムと対を為す機体だ。あの時ジェネシスで自爆させたはずだが、後継機ということだろうか。

 

 

「はい。ZGMF-X19A "インフィニットジャスティス"…それがこの機体の名前です」

 

 

……インフィニット…無限の正義、か…大層な名前だな。…今の俺には、その名前すら皮肉に聞こえてくるような気がするが。

 

どうするべきなんだろうな、俺は。力が必要なのは分かっている、今が戦わなければいけない状況だと言うことも。

 

だが、なら俺は何と戦えばいい? その選択を間違えたからこそ、今こんなことになっているのではないか? 隣にいる彼女に、こんな顔をさせてしまっているのではないか?

 

なら…

 

 

「…傷ついた今の貴方に、これは残酷なのかもしれません」

 

 

………。

 

 

「でもキラは…"何かしたいと思った時、何も出来ないこと。それが一番辛いこと"だと。だから、これを貴方に…と」

 

 

……っ。キラ…

 

 

「力はただ力です。どう使い、どう活かし、何を為すのか。それは貴方が決めること。…アスラン、貴方が今求めるもののため、これは不要なものですか?」

 

 

俺が今…求めるもの。それは……。

 

 

『…支えてやれよ。そうしたいと思ったから、助けたんだろ?』

 

………。

 

 

「…この戦いを止める。話はそれからだ」

 

 

思うことはある。知らなきゃいけない、話さなきゃいけないことだってたくさんある。だが今は…、オーブを守らないと。このままこの国を戦場にしたくはない。

 

 

「…行くんですね、アスランさん」

 

 

……メイリン?

 

 

「二つ、忠告があります」

 

 

やはりか。彼女の言っていた"じきに戦いになる"と言っていた言葉が今を指すのだとしたら…。

 

 

「一つ。今はレジェンドだけですが、じきにデスティニー…シンも出てくるはずです。現時点で出てこないのならば、既にヴェステンフルスさんはミネルバを離れていると見ていいでしょう」

 

 

なるほど、たしかにハイネの性格なら飛び出して来ていそうではある。レイにだけ行かせて自分はジッとしている…なんてことをするとは考えにくい。

 

 

「…その時にレイはもちろんのことですが……気をつけてください、今のシンは…おそらくとても強い。私たちを追撃してきた時と同じように考えるのは危険です」

 

 

…そうか、オーブはあいつの…。…なら尚のこと止める必要がある。あいつにオーブを撃たせるわけにはいかない。憎しみのわけも知らないまま、その引き金を引かせるわけには。

 

…それに、もし彼らと少しでも言葉を交わすことが出来れば君の、

 

 

「二つ。戦闘中に彼らと話すチャンスがあったとしても、私の生存は絶対に知らせてはいけません」

 

 

…っ!? メイリン…?

 

 

「どうしてだメイリン。君の生存を知れば彼らは…。君だって先日のヘブンズベースの映像は見ただろう、あの時のインパルスに乗っていたのは」

 

 

君が死亡したと知らされて、おそらく彼らの心には大きな影が落ちているはずだ。先日のベブンズベース攻略の映像を見ればそんなもの一目瞭然だろう。

 

特にインパルス…おそらく今あれに乗っているのはルナマリアだ。その彼女が……あんな戦いをする様を君も見たはずだ。一刻も早く生存を知らせてやらないと、

 

 

「だからです。お忘れですか? 議長が消したかったのは私です。もし私の生存が彼に知れれば、間違いなくお姉ちゃんたちに危険が及びます」

 

 

……それは、そうかも知れないが。しかし、このまま放っておけばいずれルナマリアは…手遅れになるかもしれないんだぞ。

 

 

「絶対に駄目ですよ。たとえお姉ちゃんが…彼らがどんな精神状態だったとしても。私の生存は決して伝えてはいけません」

 

 

いいですね? と確認の意を込めた瞳を向けて、彼女は俺にそう告げる。どうしてだ、メイリン。それが分かっていながら、君が何より大切なルナマリアが危険な状態だと分かっていながら。

 

なぜこうも頑なに閉ざす。何が彼女をここまで縛り付けている。彼女は一体、何を見据えている、何を目指している。それは…そこまでしなければなし得ないことなのか? 彼らを…ルナマリアを犠牲にしてでも、君には求めるものがあるというのか。

 

 

「……………」

 

 

 

* * * *

 

 

…はぁ、焦った。初手にミネルバからレジェンドが出てきたこととか、もしかしたらヴェステンフルスさんも来ちゃうんじゃないかとか色々と心配したけど、概ね予定通りって感じかな。

 

まさに結果よければってやつ。レジェンドが初手だろうがどのみち大筋の流れは変わらない。宇宙から黒と紫のズングリムックリ三兄弟も落ちてきたし、多少原作より内陸にザフトが残っていても大丈夫でしょ。

 

アスランさんにも忠告はできたしね。…今のシンは、おそらく原作と比べて遥かに強い。私たちを…アスランさんを自身の手で討ってないどころか、最後まで守ろうとしたからね。迷いや葛藤がない分、きっと手強い。

 

…二つ目は…。分かってるよ、私が生きてるってこと伝えたら、きっとみんなの心は僅か以上に救われる。お姉ちゃんを安心させてあげられるかもしれない。

 

でも、それはできない。もし私の生存が議長に知れたら、彼は間違いなくお姉ちゃんを利用する。彼が目的のためには手段を選ばず、また不穏分子の存在は決して許さないということも、身を以って実感した。

 

そんなことが分かっていて、お姉ちゃんたちに私の生存を知られるわけにはいかない。それに……お姉ちゃんとは、宇宙で会えるから。

 

お姉ちゃんはあの戦いの最中に、初めて私の生存を知るの。それが私の知る物語の流れ。それまでは、シンと支え合って戦い抜くんだから。そうすれば、きっと大丈夫。

 

それにね? 違うんだよ、アスランさん。お姉ちゃんは宇宙で、シンは多分、この戦争が終わってからでいい。…レイは、もう最後の一瞬に至る全てにおいて知る必要はない。…そんな中途半端な感情なんかいらない。

 

ここで彼らに私の生存を知らせる? 彼らを安心させる? そんなもの、

 

 

「…そんなもの、()()()()()()()()じゃない」

 

 

出撃していくジャスティスを格納庫で見送りながら、私は知らずのうちにそんなことを呟いた。…CICに戻ろうかな…ないとは思うけど、ここで本筋と大きな乖離とかあったら不味いし、ちゃんと見ておかないと。

 

 

「……知ってる……未来…?」

 

 

 

 

 

 

 

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