ガバ転生メイリンによる「こずみっくいら」再現物語   作:めんりん

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お待たせしました。火曜から昨日までほぼ自由に使える時間なく働かされておりました私です。

ので、憂さ晴らしも兼ねて今日と明日は法律違反を敢行します。具体的には添削が終わり次第投下してもいいストックは全部ぶっ込みます。

どのみちあと少ししたらまた休載期間(ストック確保期間)をいただく予定なので、まあやってしまえと。

おそらく今日はこれ含めて3本か4本くらいを目処にしています、時間はマチマチです、その辺は未来の私に任せよう思います(これを書いているのは2020/10/09 22:30)

そして、↓の話は過去一の不快回の恐れありです。これを機にお気に入りとしおり外して私にブーイングされる方は勿論、この先もお読みいただける方もなにかしら口直し(物理的でも精神的でも可)のご用意を推奨致します。


第三十一話 : 拒絶

「すみません、お待たせしました」

 

 

聞き馴染んだ声とともに、彼女が部屋に入ってきた。ラクス・クライン、平和を謳う歌姫、俺の元婚約者にして、今は目の前にいる親友の恋人だ。

 

 

「おかえり、どうだった?」

 

 

会ってすぐ肩に頭を乗せる彼女と、その肩を抱くキラ。…少しは人目を憚れと思うが、残念ながらこの場においてその人の目なるものは俺の二つ分しかないし、たとえ俺以外の戦力が増えたとしてなにが変わるというわけではないだろうけども。

 

強いて言うなら…ラクスの顔がひどく物憂げなことは気がかりだが。

 

「まだ核心に至るものまでは…。ただ、今の彼女は目的に囚われるあまり、それ以外の全てを見失っているように思えます。…それこそ、彼女自身の本当の心すらも」

 

 

…ラクスをして、そう言わせてしまうのか、今の彼女は。

 

一応キラには、こいつが宇宙に上がる前に簡単にだが事情は説明してある。

 

彼女の人となりや、俺が軍から半ば無理やりに連れ出したこと。放っておいたら議長に消されてしまっていただろうこと。これらをキラから聞いていたラクスが格納庫で初めて彼女を見て……まあなにか思うことがあったのだろう、というのが今の状況だ。

 

 

「……おそらく彼女は、目の前で起こる全ての悲劇の責をその背に背負おうとしているのでしょう。なぜそのようなことをするのか、なにが彼女をあのような姿になるまで駆り立てているのか…それは私にもわかりません」

 

…なら彼女は目の前で起きる、起きている戦火の全てをその身で背負おうとしているというのか? なぜ彼女がそんなことを…。

 

 

「…あの時…アスランの出撃を見届けながら彼女は言っていました、"そんなものは、己の知る未来ではない"、と」

 

 

…つまり、彼女には既に見据えてる未来があり、そのために動いていると? そのために、あんな仮面を被り他人を突き放していると? 何を犠牲にしてでも…自分や最愛の姉すらも蔑ろにしてまでも、勝ち得たい未来があると、そういうことか?…馬鹿な、そんなことが、

 

 

 

「…私では今の彼女を救えません。自らを氷で閉ざし、鎖で縛りつけている彼女の心に、()()()()()で私たちの声は届きません」

 

 

…ラクスでも、無理なのか。これまで俺たちの心に進むべき道標を示してくれた彼女の言葉でさえ、今のメイリンには届かないというのか。

 

 

「ですが、一筋の亀裂さえ、きっかけさえあれば…或いは」

 

「…そうすれば、彼女の心を救える、のか?」

 

 

それはなんだ、教えてくれ、ラクス。彼女を救うには、彼女に元の笑顔と心を取り戻させるには、どうしたらいい? どうすれば…俺は彼らから奪ってしまった光を取り戻せる。

 

 

「それを作るのは、私ではありません。…私には、あと一歩…どのようにしても埋められないものがあります」

 

 

…ラクス…?

 

 

「故に、アスラン。彼女を心から救いたいと願い、守り寄り添うと覚悟を決めること。それだけが、彼女を孤独な闇から救えるかもしれない、ただ一つの方法です」

 

 

…寄り添う…覚悟を…決める…。

 

 

「どうするべきなのか、どうしたいのか。貴方には、もう分かっているのでは?」

 

 

…ラクス………。

 

 

「残酷な道を貴方に、()()()()に示しているのは…承知しております。ですがーー」

 

「ねぇ、ラクス。ヘアゴム持ってる? 出来れば二つ」

 

 

キラ? 何をするつもりだ? 珍しくラクスの言葉を遮って、キラが口を開いた。

 

 

「はい? ありますが…どうするのですか? キラ」

 

「僕も少し会ってくるよ。そうすれば、うじうじしてる誰かさんの心も少しは決まるかなって」

 

 

………………キラ…………。

 

 

「アスラン、僕はね。カガリには幸せになって欲しいんだ。それがどのような形でも、彼女が心から幸せだって言ってくれるような、そんな未来を掴んで欲しい。家族として…一応、弟として」

 

 

………………。

 

 

「…でも今の君は…カガリに相応しい相手なのかな? …自分の心すら満足に決められないような君に、一体何が出来るの?」

 

「キラっ!!」

 

 

…いいんだ、ラクス。…キラの言うことは…尤もだ。俺は……。

 

 

「…僕らは知ったはずだ。何かを守ることは、何かを殺すことよりもずっと難しいことだって。……アスラン、そうやって迷ってたら、多分何も守れないよ」

 

 

そう言って、キラはラクスから受け取ったヘアゴムを持って部屋から出て行ってしまう。……迷っていたら、誰も守れない、か。

 

 

『いつかはこうなるって、分かってましたから』

 

 

『支えてやれよ、そうしたいから…助けたんだろ?』

 

 

『次は殺す…絶対に』

 

 

……うじうじ迷っていても、何も始まらない、何も守れない、か。たとえお前に殴られるようなことになったとしても、自分に嘘をついたままじゃ、結局何も出来はしない。…そういうことか、キラ。

 

……そうだな。…覚悟を決めろ、アスラン・ザラ。この先何があろうと、傷も、恥も、罪も、涙も、全て背負え。そうしなければ、お前に何かを救うことなど、決して出来はしない。

 

奪ってしまった光を、消えてしまった光を、再び取り戻したいのなら。

 

 

* * * *

 

 

モノホンのラクス様からのありがたいお言葉をいただいてしばらく。手すり?にもたれかかってぐだぐだしてるのが私です。

 

己が罪でないもの? そんなもの、この光景のどこにあるのですか? 全部全部私のせいなのに。私が招いた戦火の爪痕。この戦いで、一体どれほどの命が散ったのか。そしてその散った命に思いを馳せる人たちのどれだけの心を踏みにじったのか。

 

 

「……私の罪ですよ、全部。今までも、これも、これからも」

 

 

思えば、止めようと思えば止められたものなんて今回以外にいくらでもある。アーモリーワンの襲撃は勿論、シンとステラの邂逅を止めることだって出来た。彼に余計な悲しみを背負わさないようにすることだって出来た。

 

二人の邂逅を防ぎ、ステラを返還せずにそのまま死なせていれば、デストロイによるベルリンの悲劇だって防げたかもしれない。

 

でも、結局私はそうはしなかった。なんで? そうするのが物語の道筋だから。アーモリーワンで沢山の兵士が殺されて、シンにステラを失う痛みと悲しみを背負わせるのがあるべき結末への道筋だから。

 

…結局、私は他人のことなんて考えてなかったんだ。最善を尽くしているつもりで、平気で他者の気持ちと命を踏みにじる外道だった。目指す場所が違うだけで、結局はあのデュランダル議長とおんなじ。

 

いや、役割だけ押し付けてその後の未来まで丸投げしてるから私の方が尚のことタチが悪い。

 

そんな私を、思ってくれる人? ……いないですよ、そんなの。思ってもらう資格なんて、いまさら…

 

 

「よかった、ここにいたんだ」

 

 

……聞いたことある、しかし切実に聞きたくなかった声が背中にかけられた。ショートジャギーに切り揃えられた茶色の髪に、優しげな紫紺の瞳。

 

最強の名を冠する機体、フリーダム、そのパイロットにしてこの物語の元祖主人公。それが今し方私の背中に声をかけてきた人。

 

 

「…ヤマト…さん。どうかされたんですか?」

 

 

…本当に、なんなんだろ。カガリ様にラクス様、挙げ句の果てにこの人まで。なんでこの人たち初対面の私に自分からむっちゃくちゃコミュニケーションしてくんの? 私、別にあなたたちみたいな人たちの目に留まるような存在じゃないって。 …いらないって。原作になかったじゃん、こんなの。

 

せいぜいがミーア・キャンベル死亡イベントについていくくらいでしょ?なんなのよ、どいつもこいつもめんどくさいな。

 

 

「何となく、話しておきたかったんだ。アスランが連れ出したって子が、どんな子なのかなって」

 

 

あっそ。もう飽きましたよその展開。姉弟恋人そろって無駄なことがお好きなんですね。あなたの役割はご自身の大事なお姫様を守りつつミーティアで暴れまわってレイをこてんぱんにして議長と対面することです。

 

それで望む世界が訪れますよ。ラクス様はプラントの実質最高指導者に、あなたはザフト軍のお偉い様に。私なんかにかまけてないで、今から理想の世界についてラクス様と語り明かした方がいいと思います。

 

…その先の未来まで、面倒見るつもりはないんだから。

 

 

「…そうですか。ご足労いただき申し訳ありませんが、私からお話し出来ることなんてありませんよ」

 

 

あなたと私が直接関わる必要なんてない。さっさとこの後に声明を発表して電波ジャックされるあなたのお姉様のとこにラクス様乗せてフリーダムかっ飛ばしてくれませんかね。

 

 

「そっか…これ。話、少しだけ聞いたよ。向こうでは結んでたんでしょ、髪」

 

 

そう言って、彼は右の掌を私に差し出してくる。上に乗っているのは、二つのヘアゴム。何となく高級そうだから、多分ラクス様のかな。

 

ああ、確かに…予備のゴム持ってないや。別段結ぶ必要もなかったから気にしてなかったんだけど。何となく、躊躇いながら私は差し出されたそれを受け取ろうとした。

 

でも、

 

 

「これくらい遠慮しなくても大丈夫だよ。一応、仲間なんだから」

 

「っ!?」

 

 

…なにを、言っているの、この人は。

 

 

「…なんか、向こうで色々彼を助けてくれたんでしょ? いや、今もかな」

 

 

それが、どうしたっていうの…。それは、ただ物語を進める上で必要なことだから。それ以外に、理由なんてない。

 

 

「アスランを助けてくれた。何度も、何度も。それだけで僕には十分だったんだけど…ダメかな?」

 

 

…ダメに決まってる、何を言っているの。なんで私があなたたちなんかの……っ。

 

…あ、そっか。なるほど、そういうことか。わざとやってるのか、さっさと()()をどうにかしろってことか。だからわざわざこんなものを持ってきたんだ。

 

それに思い至った瞬間、私は差し出された彼の手を力の限りで振り払う。パンっと音を立てて弾かれる手と、床に飛ぶヘアゴム。驚く彼に、私は言葉の刃を振り下ろす。

 

……いいよ、わからないなら教えてあげる。今あなたの前にいる女が、あなたが仲間だなんてほざいた女が、どんな奴か。

 

 

「…すみません、配慮が足りませんでしたね」

 

「…えっ……?」

 

 

そうですもんね、そりゃ結んだ方がいいですよね。被りますもんね、()()と。性別、年齢、背丈、髪色。ごめんなさい、私が不用意でした、キラ・ヤマトさん。

 

今の私の姿は、それだけであなたの心を逆撫でしてしまっていますもんね。

 

「…正直に言っていただいて構いませんよ? 

 

 

()()()()()()()()()と重なって目障りだって」

 

「っ!? …なんで…君が…」

 

 

本当にごめんなさい。私が悪いですね、私のせいですね。でもすみません、なんかそれ、受け取りたくなくなりました。

 

 

「いいですよ、何なら切りましょうか。目障りですもんね、すみませんでした、気付いてあげられず」

 

 

私は流したままだった長い髪の先端を掴み、力任せに引きちぎろうと試みる。無理やりに皮膚から髪が引き抜こうとされる痛みに襲われるが仕方ない。彼にとって、私のこの姿が邪魔だと言うのなら。

 

彼が自分の役割の果たす障害となるのなら、自分の髪の毛くらい幾らでも捨ててあげる。それで世界と皆んなが救われるなら、安いもんでしょ?

 

 

「…っ」

 

「はなしてくれませんか?」

 

 

けれど、そうしようとする私の手を、険しいような、悲しいような目をした彼の手が押さえつける。

 

 

「はなしてくださいよ」

 

「……っ!」

 

 

なお力を込める私の手を、さらに力が増した彼の手が押さえつけてくる。

 

…黙ってないで早く手をどかして下さい。別に切りますから、結ばなくても、別に切ればいいんでしょ? あなたにそんな些細なことに捕われてしまっても困るんです。そうしないと世界が救われないんです。私が望む明日に辿り着けなくなるんですよ。

 

あなたにはレイと議長を倒して世界を守ってもらう必要があるんです、いいから離してくださいよ。どうでもいいでしょ、私なんか。

 

 

「キラっ!! メイリンさんっ!!」

 

 

不毛な膠着を続ける私達のもとに、彼の恋人さんが駆け寄ってくる。なんか新鮮だな、この人の切羽詰まったみたいな声。

 

 

「おやめください、なにをしてらっしゃるのですっ!?」

 

 

私達の間に割って入り、慌てて引き離す。意外、この人もこんな顔するんだ。余裕ありげに微笑んでるか、訳ありげな意味深モードしか知らないから、こんな慌てふためく顔見るの初めてかも。

 

まあ…どうでもいいけど。

 

 

「…これで分かったでしょう?」

 

 

驚愕と困惑に支配された表情の二人に、私は冷たく言い放つ。…世界最強カップルでもこんな顔するんだ。

 

……いい加減に理解してよ。いくらあなた方でも無理なの、役者は役者、台本には逆らえない。

 

いいじゃんか、それに沿うだけで、与えられた役割を果たすだけで望んだ未来が手に入るんだから。なにも知らず、見えず、ただ突き進むだけで夢が叶うなんて、幸せなことでしょ?

 

……私のように、知りたくもないことを知らされずにすむんだから。ごちゃごちゃ言ってないでやることやってよ。

 

 

「…どうですか、自分の心の傷を、見ず知らずの他人に逆撫でされる気分は」

 

 

私だって、あなたたちみたいに生きたかった。なにも知らないで、ただ自分の居場所を大切にしていたかった。そうやって、みんなと生きていたかった。…みんなと…お姉ちゃんと一緒にいたかった。

 

…物語の奴隷なんかに、なりたくなんてなかったのにっ!!

 

 

「…そんな私が、仲間? はっ……笑わせないでくださいね」

 

 

なにも知らない役者のくせに。ただ演じることしか出来ないくせに。私の苦しみなんて、何にもわかってないくせに。

 

…ただの人でいられるくせに。ドロドロとした感情が胸を渦巻きながら、私は早足で二人の元を立ち去ろうとする。

 

 

「…それでも僕は、君のことを仲間だって思うよ」

 

 

………っ!?………だからっ!! そう言うのがウザいって言ってるのっ!! いい加減にわかってよっ!!

 

 

「…僕を傷つけたかったの? 皆んな遠ざけたいの?」

 

 

…はい、正解です。何ならあなたたちにさっさと役割を果たして欲しいも追加してください。こんな薄汚い罪に汚れた娼婦以下のゴミにかまけてないで、早いとこ世界を救ってくださいよ。それがあなたたちの役割でしょう?

 

 

「…だからそうして、他人を傷つけるフリをして自分を傷つけるの?」

 

 

………何を言ってるんですかね、この人は。話きいてました? フリーダムに乗りすぎて頭沸いてんですか? …スーパーコーディネイターが聞いて呆れますね。

 

……ウザいって言ってんじゃん、さっさと消えてよ。

 

 

「そんなことしても、意味ないよ。…君だって、本当は分かってるんでしょ?」

 

 

…うるさいな。何のことだがわかりません、早いとこ発進してください、今現在あなたのお姉様が声明出してるんじゃないですか?デュランダル信じられなーいって。

 

早くいってよ。今この瞬間あなたがここにいること自体が無意味なんですって。

 

 

「…ごめんね、何もしてあげられなくて。でもいつか…君が僕たちに本当のことを話してくれる日が来るって…信じてる」

 

 

…っ!! だからないって言ってんでしょっ!!

 

役者と語り手では見ている世界が違うっ!文字通り、私とあなた方では住む世界が違うんです、見えてるものが違うんですっ!!

 

私とあなたたちの道が交わることなんか……絶対にない。絶対に、絶対に有り得ないっ!!

 

 

「…キラ…」

 

 

その言葉を最後に、二人は私の前から遠ざかっていく。あの方向は…格納庫かな。…寄り道なんかしてないで、初めからそうして欲しかったよ。

 

 

「…どいつも…こいつもっ!…うるっさい…っ!!」

 

 

なんでこうなるのよ。私なんかに構ってないで世界のために戦ってよ、自分の役割果たしてよ。何のために私がこんなことしてると思ってんの。

 

グダグタ言ってないで、あなたたちは議長を倒せばいいの。罪は私が全部背負うから。私が一人でもらうから。私が一人で汚れるから。

 

…だから、早く私を解放してよ、早く終わらせてよ、この物語(地獄)を。

 

 

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