ガバ転生メイリンによる「こずみっくいら」再現物語   作:めんりん

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あとこれ含めて2話ほど、この中ダルーにお付き合いください(作者もそろそろ次行きたい)


第四十話 : (ちょっとした)真意

……ええ、はい、メイリン・ホークですよ…。え、開幕早々やる気がない? 勘弁してくださいよ…。

 

 

「わかりました、じゃあ三人でしましょう。これが私が出せる最大限の折衷案です。いくらラクス様でもこれ以上は譲れません」

 

「…そうですわね。これ以上は不毛な争いです。それに三人で、というのもまた楽しそうですわ」

 

 

はい、説明終わり。私の補足? いらないでしょもう察してくださいよ。ここ脱衣所ですからね? お風呂上がってまだやってんですよこの二人。しかも話聞かねーし、私なんも了承してねーし。

 

 

「部屋はメイリンの部屋でいいですか?」

 

 

よくないでーす、いれませーん。

 

冗談じゃない、私は未だピーチクパーチク勝手に話を推し進めるあまりお着替えが進んでいない二人にバレないよう、しかし手早く着替えを終わらせる。

 

はぁ? ブラ? 時間短縮です、そんなもん嵌めてる暇あったらさっさと部屋帰ってロックかけて呼び出し音の機能だけウイルスでぶっ壊す。世の中にはキャミソだけで日々を乗り切ってる猛者だっているんですよ、てか今この時は私もそれになります。

 

同じ理由でドライヤーもカットです、女子力の悉くをかなぐり捨ててますが仕方ありません、背に腹は代えられないのですから。ドライヤーとブラでは命を守ることはできないのですよ、お分かりですか。

 

ごめんなさいアスランさん、この危機を乗り越えたらちゃんと女を磨くことを約束します。

 

でもどうか…今、この果てない危機の連鎖を、断ち切る力(女子力代償RTA)をっ。

 

 

「はい、あの部屋であればミリアリアさんが外側からロックを外してくれますから」

 

 

……待てコラ。今なんかすっっごい聞き捨てならないこと聞いた気がするんですが。

 

 

「へー、そうなんですか?」

 

「ええ、確かコペルニクスにお出掛けする際もそうしたと、先程のお食事の時に」

 

 

…あんの民兵上がりがぁっ!! 常識人って言った私の言葉返せぇっ!! ちくせう、愚痴ったところで始まらん、こうなったら少しでも早く帰ってバリケードを…ってダメだ、材料がない、某クラフトゲームのようにまさか砕いて材料にするわけにもいかないし…てかそれは流石にバレるし。

 

ああーーっもうっ!!

 

 

「あ、こらメイリンっ!! 髪ちゃんと乾かしなさいっ!!」

 

 

いーーーやーーーーっ!! 逃げる、もう逃げるぅぅぅぅぅっ!! 

 

 

* * * *

 

 

そしてメリス(真名:メイリン)は走った、この未曾有のエマージェンシーから一歩でも遠くへと。いくあてなんてありはしない、しかし止まれず、彼女たちより速く、彼女たちより遠く、彼女たちより先へ。もはや走ることしか許されぬ私に出来ることは、ただ濡れた髪を人力ドライヤーしながら風になることのみ。

 

けれど、疾走する私の脳裏に閃く蒼き稲妻の如く鋭い天啓。具体的には多分今私が助けを求めれば手を差し伸べてくれる人類筆頭がいらっしゃるお部屋の前を通りかかった。これは幸いとおバカな私はお借りしているスニーカーから火花がでるんじゃねーかってくらい全力で脚による急ブレーキをかけ、迷わずコールボタンをポチくり。

 

だが、この選択がいかに安易であり、そして今瀕している危機とは全く別の危機を招くことになると、この時の私は知る由もなかった。

 

 

「助けてアスランさんっ! 私…攫われるっ!!」

 

 

…そう、こんなダラシないこと極まりない格好で一応は交際相手の男性の部屋に来てしまったことが、どれほどの事態を引き起こすことになるのかということを。

 

…許せ三十秒後の私、そしてあとは頼んだ(現実逃避)

 

* * * *

 

 

……ああ、すまない。あまりの衝撃に一瞬で意識が別のところへ持って行かれてしまった。なんだ、なんなんだ今日は。前置きなしの急転直下型展開の押し売りでもやっているのか?

 

買わないぞ、俺は。そんな訳のわからんものの叩き売りなんて絶対に買わん。……売り手が彼女でないのなら、だが。

 

 

「…と、とりあえず入ってくれ」

 

 

だめだ、とりあえずこの俺に密着して離れない存在を引き離すことから始めよう、思考がまっったく定まらない。

 

 

「…で、どういうこと……いや、やはりいい。まずその格好を何とかしてくれ」

 

「ほえ? …あっ……」

 

 

…言われなきゃ気づかなかったのか…それともそんなことに気を回す余裕がないくらいに切迫した状況だったのか。…正直、目のやり場に困る…いや毒だ。

 

薄手のシャツと殆どシャツに隠れている程に丈の短いショートパンツ、濡れた髪。…そして何より、片手で抱えているが本来は服の下に身に付けているはずの白いそれ。

 

……頼む、もう少し俺の目と精神に優しい服装をしてくれ。

 

 

「す、すみませんっ!! 私っ」

 

「…いや、俺こそもっと早く気づくべきだった」

 

 

とりあえず俺は部屋を空けるとしよう、じゃないとその…着替えがままならないだろうしな。ついでにドライヤーを借りて…飲み物も必要か。それともう少し布面積が広い服も忘れずに。

 

あとは…そうだな、この騒ぎを起こした二人に少しお灸を据えるとしようか。彼我の戦力差(俺vs歌姫二人)は明らかだがメイリンのためだ、ここはどうにか強気に行こうと思う。……ラクスとミーア…かぁ…。

 

 

「部屋を空ける、ついでに入り用なものも幾つか用意してこよう。十五分ほどあればいいか?」

 

「…す、すみません。お願いします」

 

 

必死に彼女に視線を向けないように首を横にしたまま、俺は部屋の扉を開けて外に出る。…勘弁してくれ、あんな格好で部屋に来るのもだが、艦内とはいえ外を出歩くことも、だ。

 

気が気じゃないぞ、まったく……。まあおおよその事態の見当はついているのだがな。というかことのあらましの何割かは聞いてたからな、風呂で。

 

 

「「「あっ」」」

 

 

まずはドライヤーを確保しようかと先程後にしたばかりの風呂…天使の湯と言うらしいところにやって来てみれば、この騒動を引き起こした下手人二人が先程とは幾分かラフな服装でタイミングよく中なら出てきた。……どっちがどっちだ、髪飾りもなしに髪型まで一緒だといよいよ、ってそうじゃないだろう。

 

 

「君たちな、いったい何を」

 

「よかった、その様子だとちゃんとあの子はあなたの部屋に行ったのね」

 

 

…なんだって?

 

 

「私とラクス様ですこーし小芝居したの。そのまま捕まえればそれもよかったんだけど」

 

「やはり、アスランの元に行っていただくことが一番ですから。私たちよりも、貴方の元に」

 

 

…すまない、俺も俺で今日はいっぱいいっぱいでな。出来れば詳しく、しかしなるべく簡潔な説明を所望する。特にえっと……そっちがラクスか、君だ。

 

 

「…今の彼女を一人にしてはいけません。どれほど本来の彼女に近づこうと、私達が暖かく囲もうと。彼女が自らを囲う悪夢や罪の意識から解放されたわけではないのです」

 

 

だから、わざと必要以上にはしゃいでメイリンを一人にしないように誘導したと? 彼女が一人ではなく君たちか俺の元に来るような状況を作ったと?

 

 

「私が彼女に届けられた言葉は、あくまで貴方は一人ではないのだと、助けを求めても良いのだということ。私達がどれほど言葉を尽くそうと…おそらく彼女はこの戦争の責を背負うことをやめられないでしょう」

 

 

なるほどな…この戦争が続く限り彼女に…メイリンに真の安息はないと。いくら心を開いてくれたとしても、これまでの彼女のあり方そのものは変えられない、そう言うことか。

 

 

「そんな時、隣に彼女の手を握る者がいなければ、彼女を繋ぎ止める存在がいなければ…。もしかしたら、再び悲劇が繰り返されてしまうかもしれません」

 

 

だから、か。彼女を一人にしないために、俺かもしくはラクス、ミーアが隣にいられるように、わざとこうしてどんちゃん騒ぎを起こしたと。なるほど、納得はした。たしかに軍医の人が言うように、彼女は今この時ですら紛れもない経過観察中の精神疾患予備軍の患者だ。…失念していたのは俺も同じ、彼女たちを責められん。

 

もし眠っている間に何らかの悪夢か、それに準ずる記憶をフラッシュバックした際、再び自らを亡き者にしようとする可能性は…決してゼロではない。

 

だが…

 

 

「…君のやり方にしては、些か品性が足りない気がするな、ラクス」

 

「あら。明るく楽しく実用的に、それもまた心のケアですわ」

 

 

いやまあ確かに感情を露わにしてはいたような……ちょっと待て、なら今日は俺の部屋に泊まるということか、メイリンは。

 

 

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