ガバ転生メイリンによる「こずみっくいら」再現物語   作:めんりん

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あけましておめでとうございます。年明け前夜までリツイートとはツイートに対する返信のことだと思ってました私です。

目に見えて低迷していく更新速度に申しわけが立たない次第でありますが、どうかこれからも(と言っても物語的にはあと僅か)よろしくお願い致します。


第四十四話 : 歩む道

話がある、そう言われて連れてこられた…というか有無を言わさず連行されてきたのはナスカ級戦艦"ボルテール"、そこの一室だ。ざっと見た感じ誰かに使われているって雰囲気じゃなさそうだが。

 

 

「さて。前置きはいらないでしょう」

 

 

振り向いた先には、この部屋から外に通じる唯一の扉を塞ぐように立つイザークとディアッカ。いつでもどこでも顔を見ればまず間違いなく顰めっ面のイザークだけならともかく、ディアッカにまでそんな真剣な顔されたら…まあ誤魔化せねぇよな、多分。

 

 

「答えろ、ハイネ・ヴェステンフルス。あなたは何を知っている、何が目的でここに来た」

 

 

…と、言われてもな。あと感情昂り過ぎて敬語抜けてるぜイザーク。

 

 

「…少なくても、今さっきのデスティニー・プランとやらについては何も知らねーよ」

 

 

逆に返せばそこ以外はいくつか知ってることになんのかね。あの男の内面とか。

 

 

「俺が知ってるのは、ついさっきに全世界に向けて大層な宣言かました男の本性と、あいつが…アスランが脱走した理由くらいだ」

 

「「っ!?」」

 

 

驚くわな、そりゃ。外面だけ見てれば、あの男…デュランダルは紛うことなき優れた為政者だ。大局を見定め、人々の心を撃つ発言を発信し続けて、その姿勢は世界の、人々の平和のためと言って憚らない。多分、プラントだけじゃなくて地球からの支持だって少なくないだろうぜ。

 

けどな、

 

 

「議長は…いやデュランダルは、お前らが思ってるような聖人君子じゃない。…自分の目的の為には、なんの罪のない女の子すら平気で始末するような外道だ」

 

 

ただ都合が悪いから、邪魔になるから。自分の手駒に余計な影響を与えたから。そしてあの子の死をすら利用してルナマリアの心を壊し、シンを手駒に引き込んだ。

 

そして、そんな奴の言葉に惑われされてあの子とアスランを撃った大馬鹿野郎が、この俺だ。気づいた時には全て後の祭り、もう二度と取り返しがつかなかった。

 

 

「教えてやってもいい。アスランが何故あんな真似をしたのか、あの事件の裏には何があったのか。…そして奴の…ギルバート・デュランダルという男の正体を」

 

 

けどな、それを聞いたら後戻りはできない。お前らに残される選択肢は、俺をこの場で拘束して命令あるまで営倉にぶち込むか、()()()()()()に手を出さないか、だ。

 

それでもいいのかと、確認するように鋭くしたつもりの目線を向ければ、そこには何とも難しい…まあ平常運転な顔をして視線を下に向けるイザークがいた。

 

 

「…アイツは確かにバカだ、気に食わなさに関してはどうしようもないくらいの、底無しの、救いようのないバカだ」

 

 

…ひでぇ言われようだな。なあ? アスラン。

 

 

「……だが、理由もなく脱走など愚かな真似をするクズではない」

 

 

……だとさ。お前はどうすんだ、ディアッカ。部屋を出るなら今が最後のチャンスだぜ。

 

 

「俺は…前の戦争ではアークエンジェルにいた。ザフトでのアスランも、あっちでのアスランも、両方見てきたつもりだ」

 

 

…………………。

 

 

「だから、俺も知りたい。なんでアスランがあんな真似したのか、なんであんなことになったのか。…あんたが何を考えてここに来たのか」

 

 

………はぁ。どいつもこいつも、揃いも揃って…。だがまあ…ありがたいことなんだろうな。

 

なら、俺も腹括るか。こんなに機会に恵まれることなんて、もうないだろうからな。

 

 

「…分かった、教えてやる。俺が知ってること全て、アスランがあの時俺たちに言った言葉も、デュランダルの言葉も、本性も」

 

 

そして、俺の目的も。

 

 

「俺は、オーブのラクス・クラインに協力する」

 

 

 

* * * *

 

 

アルザッヘルが大西洋連邦のお偉いさんと残存戦力もろともレクイエムで吹き飛ばされてはや小一時間。目眩立ちくらみ過呼吸ギャン泣きのフルコースでそれを目の当たりにし、アスランさんの甲斐甲斐しい付き添いのもとなんとか復活しました。

 

メイリン・ホークですよ、こんにちは。分かってたこととはいえ心にきましたね、レクイエム。プラントの人達もあんな風にして命を奪われたのかと思うと色々フラッシュバックが大変でした。あれです、スピーカの調節が効かない大ノイズを発するテレビに耳を押し当てられるくらいやばかったです(伝わって)

 

今はそこをなんとか乗り越え、皆さんに心配されながらも合流したエターナルに乗り込み、そのエターナルの艦長室っぽいとこにおります。何故か?

 

 

「さて…と。初めましてからはじめようか。君が噂のシンデレラだろ? 話は聞いてるよ、人伝だがね」

 

 

ラクス様に『議長に会いに行くから内火艇貸してー』ってお願いしたらこうなりました。てっきり反対されるからマジモードのこの方を何とか説得するために、ない頭を捻り、足りない脳をこれでもかとブン回し必死に言い訳を考えていたのですが、

 

 

「…アスランには、お伝えしたのですか?」

 

 

というまさかの第一声が反対ではなくほぼ意思確認。ええ、伝えましたよ昨夜に。ダークでアダルティックな雰囲気で流そうとしましたがそうは問屋がドントclose。めっちゃくちゃ反対されましたが、正直な気持ちを全部伝えたら渋々了承してくれました。……ほんと、私には勿体ないくらい素敵な恋人です。

 

 

「わかりました、ならば私が反対する理由はございません。ただし」

 

 

最低限、伝えなければならない方の許可は必要ですわ、と。

 

昨夜に風呂場で私を掻っ攫おうとでんでんドンドンパンパカパーンな騒ぎをしてらしたとは思えぬ…というか本来はこっちが本業な柔和かつ強い意志を秘めた笑顔でこう言われ、現在に至ります。

 

 

「アンドリュー・バルトフェルドだ。よろしく、メイリン・ホークちゃん」

 

 

許可が必要な方、それがエターナル副艦長にして"元"砂漠の虎と呼ばれた凄腕軍人なこの人です。

 

 

「さて、自己紹介は済んだことだしさっそく本題に入ろう。この一秒の猶予すら惜しい状況でわざわざ俺を呼び出したのは何故かね?」

 

「はい、実はーー」

 

 

カクカクしかじか。流石に私の個人事情まで説明してる暇はないので、戦闘中に折を見て議長に会いに行くから内火艇をお貸し下さい、とだけお願いしてみる。

 

まあ…なんとなく返答は見えていますけどね、そのダンディーな顰めっ面見れば。

 

 

「…ふむ…なるほど、理解した。却下、だな」

 

 

ほら、やっぱり。

 

 

「こんな大規模な戦闘中にただの管制官でしかない君が、戦闘力皆無の内火艇でデュランダルの元へ行くと? …悪いが、気は確かかね?」

 

 

隻眼となった片目でギロリと睨みつけられて思わず息を呑みそうになる。怖い、ここまでそれなりの修羅場を体験してきたつもりだったけど、そんなものはこの人からすればまたまだヒヨッコもいいとこ。

 

…これが、歴戦軍人の圧ってやつなのかな。文字通り潜ってきた場数が違うわこりゃ。

 

 

「何故そんな馬鹿な真似をする、何故君が行く必要がある。わざわざ殺されに行くようなものだろう? まあ、俺は君が奴に狙われた理由すらまだ聞いとらんのだがね」

 

 

それを説明する時間が、残念ながらないんですよ。もっとも、あったところでアスランさん達のように信じていただけるかは不明瞭ですけれども。

 

 

「俺を呼んだと言うことは、お前は許可したんだろう、ラクス。何故許す、拾った命をわざわざ捨てに行くようなものだ」

 

 

一から十までまさにごもっとも。私が行かなくても多分キラさんあたりが何とかしちゃうだろうし、議長に直々に狙われた私が彼の前に姿を晒す必要はないし、そもそこにたどり着くまでが既に運ゲー極まりないスーパーギャンブル。倍率は全盛期のディー◯インパ◯トに無名の競走馬が勝ちをもぎ取りにいくレベル。

 

何もかも、私なんかが出しゃばる必要ナッシングなこの状況。多分二日くらい前の私ならどうぞ仰せのままに、って感じだったんだろうけども。

 

 

「私からは何も。ただ彼女にとってそれが、それこそが未来へと歩むために必要なことであるから、としか」

 

「分からんな。その未来を自ら投げ捨てているようにしか思えんが?」

 

 

そうでしょう? というラクス様の視線を受けて私は改めて彼の残された右眼を見据える。今必要なのは、少しの理屈と大きな決意。

 

 

「バルトフェルドさん、これが何かわかりますか?」

 

 

そう言って私が懐から取り出したのは、一枚の紙切れ。精々大きめなメモ用紙程度のものに、誰かしらのサインと思われる名前がスタイリッシュな一筆書きで描かれている。

 

 

「…サイン、かね? 誰のものかは分からんが」

 

 

でしょうね。たとえ名前が見えたとして、その意味を理解できるのは、この世界でまだ私を含めて五人といないでしょう。だからこそ、あなたにそれを理解してもらいます。それを持って、私の決意表明としましょう。

 

 

「ここに書かれている名前は、ミーア・キャンベル。あなたが陰ながらファン活動をしている、()()()()()()()()を演じている…ううん、演じていた女性の本名です」

 

「なっ!?」

 

 

知っていますよ、あなたがミーアさんの熱烈なファンだと言うことも。会員限定のビデオクリップすら入手するほどの熱狂ぶりなことも。まあ、そんなことはどうでもいいんですけれど。

 

 

「彼女は言っていました。この戦争が終わったら、自らの行いを全て世界に晒すと。ラクス様の姿と名前を使って世界を欺いていたこと、人々を偽っていたことも」

 

 

きっといっぱい叩かれる、心ない言葉を突きつけられ、指を指され、石を投げられることだってあるかもしれない。

 

それでもと、彼女は言ってくれた。エターナルに渡る直前に、私を抱きしめてそう言ってくれた。この小さなサインは、彼女の決意の表れだ。

 

ラクス・クラインとしてではなく、ミーア・キャンベルとして新たな一歩を踏むのだと。いつの日か、この紙切れをワールドクラスのプレミア品にしてやると、彼女は笑って言っていた。

 

だから私も。

 

 

「逃げたくないんです。未来から、罪から…何より、自分自身から」

 

 

原作通りだとか、物語だとか。そんな耳障りのいい予定調和を言い訳にして、ずっと逃げてきた。ここは私の知るフィクションじゃない、紛うことなき現実だ。

 

命を懸ける人がいて、命を失う人がいて、それを悲しむ人がいる。そんな当たり前の事実にすら私は気づけていなかった。今更もう遅いと言われても仕方がない。でも、それを言い訳にこれからも逃げていいわけじゃない。

 

取り戻せるなんて甘ったれるつもりはない。失った命は取り戻せないし、そこに生まれた痛みや悲しみをなかったことになんて出来るわけがない、出来ていいはずがない。

 

それでも、

 

 

「ケジメをつけたいんです、自分の全ての行いに。こんな私を支えてくれる皆のためにも、こんな私を守ると誓ってくれた…彼のためにも」

 

 

 

ラクス様、キラさん、ミーアさん…そして、アスランさん。他にもたくさんの方々に助けられて、支えられて、私は今ここに立っている。罪の意識に潰されるはずだった私が、こうして前に進もうとしていられるのは、間違いなく皆さんのおかげです。

 

 

「…まったく…これだから女という生き物は」

 

 

バルトフェルドさん? 失った片目を撫でながら、どこか哀しげに、でもほんの少し優しげな呟きのような声が聞こえる。

 

 

「…未来だ世界だ、そんな曖昧なことのために命を捨てに行く、と言うのなら反対のしようがあるんだが」

 

 

………………。

 

 

「愛する男のため命を賭す女を、止められはせんよ。……俺にはな」

 

 

………バルトフェルドさん。

 

 

「いいだろう、内火艇の使用を許可する。ただし、状況が無理だと判断したら容赦なくそう指示する、それには従うこと、いいな?」

 

「ありがとうございます、それで構いません」

 

 

問題ありませんよ。タイミングは、分かってますから…って、もうこう言うのはやめたんだろって? はっはっは、使えるものは使えの精神ですよ。こちとらそこいらの人たちに比べて何もかも能力値が足りてないんでね、利用できるものならなんだって利用しますよ。

 

それが自分の中にあるものなら、何だって。

 

 

「…お礼、と言うわけではありませんが。ミーアさんにはもう一枚実名サイン頼んでおきますね」

 

「う、うむ…。お願いして…おこうかな」

 

 

決してもので釣ったわけではありませんからね、そのへん誤解なきようにっ。

 

 

* * * *

 

 

これでお話終わり、さあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい、これから私メイリン・ホークの百億年ぶりの本領発揮だぜぃ(オペレート)、となれば話は平和でピースでいぇい、だったんですが。

 

 

「ああ、メイリン。聞いときたいことが出来たんだよ。わるいけど少し付き合いな」

 

 

橙色の髪をオールバックにした隻眼の女性…ヒルダさんが、パイロットスーツに身を包んだまま部屋を出たばかりの私の名を呼んだ。

 

 

 

 

 

 

 

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