ガバ転生メイリンによる「こずみっくいら」再現物語   作:めんりん

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第四十五話 : 開戦

「目標まで百八十」

 

 

どうも皆さんこんにちは。無事にバルトフェルドさんからも内火艇使用の許可をいただきあとは殺戮兵器レクイエムの要、中継ステーションとメサイア、そして大元のレクイエムの無力化を残すのみとなりました。

 

現在、私がひっさびさに左耳にインカム引っ提げて本業を発揮しているのは、もちろんエターナルのCIC兼ブリッジ、そこの管制官スペース。これからレクイエムの第一中継ステーションに向かい、それを破壊。然るのちにメサイア、レクイエムへと向かいます。

 

まあメサイアの詳細を知っているのは私だけなんですが、それはそれ。一応こうなるかもよーくらいにはアスランさん達御三方には伝えてありますが、ほとんど出たとこ勝負なんで楽観はタブー。

 

…それに私が知っている通りなら、ここでインパルスが襲撃してくるはずです。

 

 

『じゃあなにかい? あんたは自分の姉貴と闘り合うことになるって分かっててここにいるってのかい』

 

『はい、そうです。お姉ちゃんは…インパルスは間違いなく戦場に出て来ますし、それを止める手立ても私にはありません』

 

 

私の脳裏に先程交わしたヒルダとの会話が反芻する。責めるでもなく、慰めるでもなく、ただ事実を確認するように淡々とした声で、彼女は私に質問してきた。

 

 

『…だとしても、手加減するつもりはないよ。たとえ戦場にあんたの姉や大事な奴らが乗ってる機体を見かけても。そいつらがラクス様を脅かすってんなら、私は迷わず引き金を引く』

 

 

強い言葉だった。決意、覚悟、信念。彼女が何のために戦うのか、私は頭の中にある知識ではなく、感情を以って理解した、理解させられた。

 

でも、これが当たり前。どこまで行っても戦場は残酷です、やらなきゃやられる、迷えば死ぬ。誰だって殺したくて殺すんじゃない、それしか生き残る術がないから、それしか守る術がないから。自分も、仲間も、国も、何もかも。

 

キラさんやアスランさんが特別なだけです。でも彼女はそうじゃない、彼女は()()の軍人です。敵は敵、ご丁寧に敵の武装や四肢を狙って無力化するなんて不殺はしない。

 

だって、そうしないと守れないのだから。だから私は彼女に言えない、言うべきじゃない。自分にとってかけがえのない存在を守る為に命を賭して戦う彼女に、私の口から()()()()()、なんて言うことは許されない。

 

 

『…それだけさ。邪魔して悪かったね、作戦前に』

 

 

恐らく、これがあの人の最大限の譲歩なんだと思います。彼女にとって、ラクス様の存在は絶対です、何に代えても優先し守る対象です。それを脅かしかねない私の我儘を止めるでもなく、ラクス様に直訴するでもなく、ただ傍観に徹してくれると言うのですから。

 

…それだけで、十分にありがたい話です。てっきり、ふざけたこといってんじゃないよ、とかって怒鳴られるかなとか思ってたのに。

 

迷いあっての答えだと思う。自分が絶対に死なせたくない人の命を危険に晒しているかもしれない企みを見逃すって言ってくれてるんですから。しかもろくに話したこともない私の。

 

……もし、彼女と唯一言葉を交わすことが出来たあの食事会がなければ。もし、そのきっかけを作ってくれたミーアさんが生きていなければ。

 

もしそうだとするのなら、そうであってくれるのなら。確定している未来なんてどこにもない。望む未来を掴みたいなら、もう逃げないと、向き合うと心に決めたのなら。

 

全力でアドリブかますのみです。これからも…いや違いますね、()()()()()、です。

 

 

「ザフト軍防衛戦、光学映像出ます」

 

 

そして見えてくる巨大な廃棄コロニー…、レクイエムの第一中継ステーション。あれをいかにして素早く堕とせるかどうかが、こちらの作戦の肝。

 

ちなみに、そもそもなぜヒルダさんがそんなことを知ったのかと言うと……アスランさんとキラさんが話してるのを偶々聞いたという奇跡なのかガバなのか分からんしょーもないことが原因だったりします。

 

……ほんっとに、どうなるか読めないもんですね、未来って。

 

 

『ラクス、発進する。メイリン、お願い』

 

 

なんて考えてたらフリーダム…件のキラさんから通信。いいですか、とラクス様に視線を送ると、彼女は力強く頷いた。

 

 

「了解。ハッチ開放、カタパルト推力正常、進路クリア。フリーダム発進、どうぞっ」

 

 

…うん、大丈夫、やれる。たとえこの先何が待ち受けていようと、どんな未来がそこにあろうと。それを得るために、そこにたどり着くために、私も戦うって決めたから。

 

 

『大丈夫、必ず連れて帰るよ。君の仲間と…家族を』

 

 

……っ…はい、よろしくお願いします。

 

 

『キラ・ヤマト、フリーダム。行きますっ!!』

 

 

凄まじい速度でエターナルを飛び出したフリーダムが、灰色の翼を蒼く輝かせながら飛翔していく。私はその光景を見届けつつ、次の機体の発進準備に取り掛かる。

 

 

「続けてジャスティス発進、どうぞ」

 

 

モニター越しに見るパイロットスーツの彼は、とても落ち着いていて、凛々しくて、ただそれだけで何とかしてくれるような安心感みたいなものがあって。でも、大事な人を戦場に送り出さなきゃ行けないことに少しばかりの葛藤もあって。

 

今までは大丈夫って分かってたから何ともなかった…ううん、なんとも思わないようにしていたけれど。…まあこれも、不確定な未来を選んだこと、今まで見ないようにしてきたことのツケということで。

 

でも、

 

 

「…必ず、帰ってきてくださいね」

 

 

こんな一言を恋人に送るくらいのわがままくらいは、見逃してくれるかな。

 

 

『ああ、勿論だ。帰ってくるさ、()()でな』

 

 

……アスランさん。

 

 

『…だから君も、気をつけて』

 

 

はい、ありがとうございます。

 

 

『アスラン・ザラ、ジャスティス。出るっ!!』

 

 

その一言を最後に、ジャスティスもまたフリーダムに続いて宇宙(そら)へと駆けて行く。蒼と紅、自由と正義、まさに私たちが議長に示す為の心のあり様の名を冠する二機。

 

 

「ミーティア、リフトオフっ!」

 

 

そしてバルトフェルドさんの指示でエターナルの艦砲として取り付けられている巨大兵装を切り離す。それは二人のための剣であり、ただの一機で戦場を支配しうる戦術兵器。

 

モビルスーツ埋め込み式戦術強襲機、"Mobilesuit Embedded Tactical EnfORcer"、略して"ミーティア"。本来はアルファベットですが、この方が見やすいでしょってことで一つ。とんでもないマニューバと単騎に託すには余りにも過剰な火力の塊。それが今、フリーダムとジャスティスの背中に装着される。

 

 

「メイリンさん、通信回線を私に」

 

 

了解です。私は彼女の声が宙域に存在する艦隊全てに行き渡るように回線を開いて、ラクス様に眼で合図を送る。それに頷いた彼女が、ゆっくりと口を開いた。いつもの優しく、慈愛を感じさせるものではなく。どこまでも力強く、人々の心に訴えかける凛とした声と共に。

 

 

「こちらはエターナル、ラクス・クラインです。中継ステーションを護衛するザフト軍兵士に通告致します」

 

 

これから私たちが行うのは、究極の理性にありったけの感情論をぶつける、そんな戦いです。

 

 

「私たちはこれより、その無用な大量破壊兵器の排除を開始します。それは人が守らねばならないものでも、戦う為に必要なものでもありません」

 

 

子供の我儘と言われるかもしれない、理想主義者と笑われるかもしれない。くだらぬ論より確固たる策、分かってますよ、そんなこと。

 

 

「平和の為に、その軍服を纏った誇りがまだその身にあるのなら」

 

 

それでも、それでも私達は…ううん、私は。明日が欲しい、人が人でいられる明日が欲しい。皆んなが皆んなでいられる日々が欲しい。誰に強制されるでもなく、力で捩じ伏せられるでもなく。

 

自分の道を自分で決められる、自分の居場所を自分で選べる、そんな当たり前で暖かい、平和な世界が欲しい、そんな未来を私は選びたい。だから、

 

 

「道を開けなさいっ!!」

 

 

 

戦います、今も、これからも。私は一人じゃない、私達は孤独じゃない。今日を生きるために、明日を見るために。あなたの許可はいりません、議長。

 

 

* * * *

 

 

メサイアへと宇宙を駆け抜けて行くレジェンドとインパルス…ルナをブリッジから見送った後、俺はパイロットスーツに着替えてデスティニーの中でひたすらシステムチェックも兼ねて待機してた。

 

艦隊司令部から入った通信じゃ、第一ステーションに奴らが…アークエンジェルとエターナルが来たらしい。今も護衛艦隊と奴らが激しい戦闘を繰り広げてるって話。そしてそこには、フリーダムとジャスティスの出撃も確認されてる。

 

 

『シン、いいかしら?』

 

「はい、どうかしましたか? 艦長」

 

 

戦闘準備しとけって話か? だったら大丈夫さ、何なら今から先行してもいいくらいに。

 

 

『先程レジェンド…レイから通信が入ったわ。無事にメサイアに到着したそうよ。勿論、ルナマリアも一緒にね』

 

 

…そっか。レイのやつ、わざわざそんなことまで。…ありがたいけど、なんか見透かされてるみたいで少し悔しいな。…そっか、大丈夫なんだな、そっちは。

 

 

『これより本艦はアークエンジェルとの戦闘に入ります。ステーションIは護衛艦隊に任せて、貴方は敵の旗艦…エターナルをお願い。あれさえ落とせれば、こちらの勝利と言っても過言ではありません』

 

 

…エターナル…ラクス…クライン……っ。

 

 

「了解、そちらは任せます。俺はエターナルを」

 

『ええ、お願いね。…じゃあ、気をつけて。なにかあれば知らせるわ』

 

 

そうして艦長からの通信が終わると、モニターに映される人物が艦長からアビー…管制官に切り替わる。…出撃だな、ああ、やってやる。

 

アークエンジェル、フリーダム、ジャスティス。なんだっていい、絶対にメサイアには行かせない。…ルナを戦場になんて出させない。

 

終わらせるんだ、今度こそ。このくだらない戦争を、俺たちから…ルナから奪うばかりの世界を。だから、

 

 

「シン・アスカ、デスティニー。行きますっ!!」

 

 

潰してやる、消してやる。世界のために、未来のために。…お前さえ、お前らさえいなくなればいいんだ。新しい世界のために、暖かい未来のために。

 

キラ・ヤマト、ラクス・クライン…そして、アスラン。……言ったよな、俺。次に会ったら、

 

 

()()()()

 

 

 

 

 

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