ガバ転生メイリンによる「こずみっくいら」再現物語 作:めんりん
はーーい皆さんご機嫌よう!! 地球に再誕オーブに爆誕、こずみっくいらが生んだ奇跡の美少女コーディネーター、メイリン・ホークでっすっ!
と、まあ挨拶もそこそこに。私は現在オーブ連合首長国の本島、『ヤラファス島』に来ております。
そのヤラファス島のほぼ真ん中に位置するこの国の首都、『オロファト』にデデーンと建てられた巨大なショッピングモール。なんか超進化したジャ○コみたいな雰囲気を醸し出すこの空間で、今日は思う存分ショッピングぅを堪能します。
もう見まくって買いまくってカロリー気にしながら食べまくってオメーは夢の国でも来たんかってくらいテンション爆上げで行こうと思います。
と、ここで本日のパーティーメンバーをご紹介。
一人目、私の大好きなお姉ちゃんことルナマリア・ホークさんです。私が甘えたら秒で一緒に来てくれた優しいお姉ちゃんですすき。
次は、というか原作ならお姉ちゃんどころか私の同行メンバーってエンジニア型の野郎どもオンリーだったはず。そんな誰得つまらん展開なんて例え神が仏が許しても私が許さない。
どうせやるならとことんまで原作から外れたことしてやるぜ(本筋に関係ないことに限る)ってことでエンジニア組の「なんか可愛い女の子いた方がよくね」的な意味の声かけを情け容赦なく一刀両断した私は、一も二もなくお姉ちゃんを引っ張ってきた。
これ逃すともうお姉ちゃんと思い出作る機会、終戦までないからね。いや、あるっちゃあるけどそこでは最重要案件の一つが起きてるから精神的に無理かなと。
あとは、私とお姉ちゃんと両方と交流があって尚且つ私が内弁慶できる男手がほすぃってなった。まあもうこの時点で二択なんだけど。
シンに関してはここオーブで彼を外出に誘うのは無神経過ぎるので却下。それに君は一人で慰霊碑にいってモノホンのラクス様とフリーダムのパイロットとファーストコンタクトしてきてくれさい。
ので、残った選択肢などただ一つ。他の人が誘っても一万パーセント断られる超難関ミッションを見事達成し、私が連れてきた荷物持ちの方がこちら。
「………」
……絶賛ご機嫌斜めなレイ・ザ・バレルさんですはい。昨日声かけた時は「いかん」と取り付く島もなくぶった斬られたけども。そんな程度でへこたれるほど、私のショッピングへの情熱は緩くない。
色々言ってみた。たまには息抜きしよーよーとか。レイと外出したことないからしてみたいなーとか。奥の手のご飯奢るとも言った。
が、上から順に「必要ない」、「興味がない」、「艦内のもので十分だ」とすげなく断られた。
正直、この野郎とか思った。こんな可愛い女の子が他の野郎どもの誘い断ってわざわざ声かけとんのやぞとか思ったりした。だから最終兵器を使うことにした。
「議長もこの間、『市井の人の声を直接耳にするのは重要だ』って言ってたのに」
知らないの? みたいな気持ち煽り気味にやるのがコツ。そしてこの外道作戦が功を成したと私ははっきりと断言できる。レイの眉が明らかに上に動いたからね。ふっ…いつもの冷静さはどこへやら。
私が生粋のお姉ちゃんっ子であるように、彼は彼で議長大好きっ子だ。それはもう彼の前では無垢なこどものように笑って抱きつくくらいは好きだ。
そして、しばらくの膠着した睨み合いの末に、
「…集合は朝だ、夕方には帰艦するぞ」
ぷいっとそっぽを向いて立ち去る彼の背中に、私は内心で超ガッツポーズした。それはもうどっかの生徒会長がトイレで意味もなくシャドーボクシングをかますくらいに。
と、まあこんな具合に意外とチョロいレイを誑かして外に引っ張ってきたっちゅう話っすわ。
ちなみに私らの服装を順に説明すると。
お姉ちゃんは黒のタンクトップに桜色の七分丈ジャケット。下は白いスラックスと低めのヒール。
私はブルーの膝上丈のワンピースにベージュのジャケット。下は至高の生足と白のヒールサンダル。あと頭の上に白いキャスケット。
そしてレイは白のワイシャツに紺のチェスターコート。下は黒いジーンズとブーツ。
いや、あんた私服持ってたんかい。言っちゃあなんだけど絶対どっかの黒ウサギ隊の隊長みたく軍服しか持ってないと思ってたよ。
にしてもなー、うん。やっぱしイケメンって何着ても映えるよね。むしろバエルよね。なんでだろ、アグニカかな。レイ・ザ・バエル(激寒)
「それで、何を買うのメイリン」
お、流石お姉ちゃん。乗り気ですね。しかし、ショッピングとは買う、ではなく見ることから始めるのが鉄板。後からこっちのが安いっ! とかってならないように、まずは満遍なく敵情視察と洒落込もうではないか。
「とりあえずシャンプーとリンスーみたいなお風呂グッズでしょ? あと折角だからドライヤーとかブラシも変えちゃおっかなって」
「あ、そういえば在庫切らしてたわね。なら一通り見て回ってから決めましょうか。その方がレイの負担も減るし」
だね。買ってから歩くのめんどい。まあこれでも軍人だから多少の荷物くらい平気だけどね。たぶん、知らんけど。
「…待て、どうしてそこで俺の負担が出てくる」
あ、ミネルバ出てからただの一度も口を開かなかった奴がようやく口を聞きましたね。
「どうしてって。荷物待ちするためにメイリンに連れてこられたんでしょ?」
何を馬鹿な、みたいな顔をするお姉ちゃん。…なんかレアだな、レイがこういう顔されるの。いつもは私の役割なのに。
「ふざけるな。お前らの荷物だろう、お前らが持て」
「じゃあ、これに持たせる?」
と、お姉ちゃんが私を見てる。レイもなんか見てる。え、なにこれ。どゆこと? なにすればええのんわたし。
とりあえずジャケットを脱いでレイに渡し、真っ白な両肩両腕をむき出しにしてから全力で力こぶを作ることにした。管制官とは言えアカデミー時代から鍛え続けたこの上腕二頭筋を見るがいい。えい、むきっ。
「………………」
徐にレイがなんか無言で右手で顔を覆い始めた。どした? 体調わるい??
「…とりあえず早く上着を着ろ。そして荷物は最低限だ、いいな」
ジャケット投げてきた。ねーねー、これどういうこと? お姉ちゃんおしえてくんろ。
* * * *
ひとしきり必要物資の目星をつけ、購入をある程度済ました頃。レイの両手は私たちの戦利品が入った紙袋で塞がってきた。そして私の腹の虫は鳴き出した。
「ぎゅるるるるる」
「こら。はしたないことしないの」
私がお腹の虫のリピートしてたらお姉ちゃんに怒られた。仕方ないじゃんーーお腹空いたーー。
「ご飯たべたい」
「あんたって子は…まあいいわ、そろそろいい時間だものね。レイもいい?」
「好きにしろ。俺は必要ない」
あ、そういうこと言うんだ。でもそうは問屋が卸しません。
「ダメだよ。ご飯は奢るって約束だもん」
「だからいらんと言っている。お前らだけで済ませろ、俺はこの荷物を持って艦に戻る」
むぅぅぅっ! それじゃ意味ないじゃん。ちゃんとお礼をしないと気が済まないんだよ私は。
「やっ。三人で食べるの」
「…いい加減にしろっ。今がどういう状況か分かっているのか、これ以上は付き合いきれんっ!」
マジおこモードのレイと駄々っ子モードの私。稀に訪れるこの嵐。シンだったら間違いなく右往左往してる、エンジニア組だったら距離を取るか逃げる。
けど、ここにいる三人目はそのどちらでもなく。
「レイ」
名前を呼ばれたレイがいつになく鋭い目線でお姉ちゃんを見る。けど、お姉ちゃんはそんな圧を物ともせず、柔和に笑って言う。
「これが最後よ。ご飯食べたら早めにミネルバに帰りましょ。メイリンも、それでいいわね?」
その折衷案でいいと、私はコクリと頷く。そしてじーーーーっとレイを見る。それはもう目から怪光線が出る初期のポケ○ンのゲームのにらみつけるくらい見る。
やがて、
「…勝手にしろ」
やや吐き捨てるようではあるが、そんな言葉が溢れでた。内心ではやったと思ったが一応は駄々っ子モードなのでしかめっ面は継続させておく。ありがとね、レイ。お姉ちゃんも。
「はい、じゃあ喧嘩は終わり。そこのフードコートでご飯食べて帰りましょうか」
と、いうや否や。お姉ちゃんはさっさと四人席の一つに腰を下ろして私にウインク。なんだろ、なんか企んでんな。
「荷物と席見てるから、二人で買ってきなさいな。あ、メイリン。私そこのチキンカツバーガー」
そう言ってお姉ちゃんが指さしたのは、今では珍しい店頭で直接店員にオーダーを言うタイプのファーストフード店。しかも結構高めのやつ。なるほど、借りは飯で返せと。
「はーい。んじゃ行こ」
もしかして来ねーんじゃねーかなとか思ったけど荷物置いて普通に着いてきた。まあ私の斜め後ろっている若干びみょい位置だけど。……
「私もお姉ちゃんと同じとこにしよ。レイは?」
「…どれでも構わん。手早く済ませろ」
全くこいつは。まあいいいや、妥協してもらってんのこっちだしね。
「私と同じのでいい?」
「…ああ」
ふむ。なら折角だから珍しいのにしよっ。えっとねぇ…あ、これなんかよさげ、絶対思い出になるよっ! 善は急げ、私は早速オーダーを店員さんに通すことにした。
「えっと…チキンカツバーガーのセットが一つと…。このスペシャルウルトラアルティメットユニバースビックバンタイフーンバーガーをふたっ」
「待て。待て待て、メイリン」
あり、珍しくレイに名前呼ばれた、何じゃろ。
「ほえ?」
「そんな得体の知れないものを頼む奴があるか、もっと普通のものにしろ」
えー。まあそう言うなら仕方がない。えっとねぇ…あ、ならこれにしよ。
「じゃあこのランダムブラックホールバーガーをふた」
「却下だ。なにも変わってないだろうっ」
んもーーー。注文が多いなーー。
「…はぁ…。店員、先程のチキンカツバーガーのセットと、チーズバーガーのセットが二つ、以上だ」
「あ、ちょっ」
レイがそういや否や、店員さんはかしこまりましたーと奥へとオーダーを通しに行ってしまった。えーーー普通すぎー。
「もう。これじゃ何のためにオーブにきたの」
「あんな名前から中身がカケラも想像出来ん物体がオーブの名物なわけがないだろう。金輪際あんなものには手を出すな」
なにおう。そう言うものを頼んでから実物を見ておったまげーするのが旅行の醍醐味なのにぃ。
でも、なんか。うん、これ言っていいのかな。いいや、言っちゃお。
「ねぇねぇ、レイ」
「…なんだ?」
ふっ…食らうがいい。男子が女子に言われて割と驚くワードTOPファイブをっ!(偏見)
「お父さんみたい」
「なっ!?」
お、予想外に効いてる。ポーカーフェイスが剥がれましたね。へいへいへーい、いつもの済まし顔はどーしたー??
「くだらんっ」
あり、そっぽ向いちった。からかい過ぎたかな、でも怒ってどっか行かない辺り優しいねやっぱ。
「お待たせしました〜」
と。きました。そう思っていたらレイがさっさと私とレイの二つ分のトレイをかっさらって行ってしまった。迷いなく二つ持つ辺り、男の子だねーやっぱ。
と、いけないお姉ちゃんの分が。あ、こら待てレイ。ケチャップちゃんと持ってけ〜っ!
* * * *
「さて、と。少しお手洗い行ってくるわ」
「はーい」
無事に昼食を食べ終えた私たちはいそいそと帰り支度をしていた。お姉ちゃんがお花摘みに行っちゃったので、必然的に席には私とレイの二人だけ。
ふむ。先に切り出しておくか、事情はどうあれ、悪いのは私だしね。
「ごめんね、無理言って」
「…そう思うなら、初めから俺なんかに声をかけるな」
うにゅう。手厳しい。まあ原作では絶対あり得ないシチュエーションだよね、やっぱ。
「あはは…。でも偶にはいいかなって。シンやお姉ちゃんとはあるけど、レイとこうして遊んだりしたことなかったから」
事実だ。お姉ちゃんはもちろん、今日みたいにお姉ちゃんとシンとなら何回か出かけたことはある。もちろんプラントでね。けど、レイとは皆無だ。原作知識を除けば、私は付き合いの割にレイのことは何も知らない。
アカデミーの総合成績がお姉ちゃんやあのシンを上回る神童であること以外に。レイの『人として』のことは、何も知らない。
「…必要ないんだ、俺には」
ん?
「俺の役割は、議長の目指す平和な世界を実現させること。それ以外に、俺の存在価値はない」
んんん?? 待ってこれなんか雲行きが、
「存在そのものが平和を否定している俺に、人並みの生活など許されない。俺に、その資格はない」
…何この最終回直前みたいな流れ。タイミングも場所も相手も間違えてるよ…それは最後の方にメサイヤでキラにぶつけてくれよぉ…私みたいなチョイ役お邪魔虫にぶつける話じゃねーだろうが。
「偽り、紛い物だ。名も、姿も、存在そのものさえ。俺の使命は、新たなる平和な世界のために、それを妨げている人類の膿みを、俺諸共消し去ることだけ。ただ、それだけだ」
はぁ…なんでこうなった。え、それ私に言う? 君の根幹に関わる部分じゃないのそれ。それを? 今? 私に? うそでしょ…どうすんのこれ。
いや…逆にチャンスなのかもしれない。でもいいのかな? 下手をすれば今この時からもう道筋が狂いかねない。
確実性を選ぶなら、適当に流すべきだ。なーに急に?とか言ってレイに、なんでもない、と言わせるのが最も無難な選択だ。私が守りたい、辿り着きたいあるべきエンドロールのためには、それがベストな解答のはずだ。
ただそこに、レイの姿はないということだけ。
「………」
言え、急にどうしたのって。何も気づかず、悟らず、全部知らないフリして。
私にはなにもない。理不尽に抗う力も、趨勢を自在に操る戦術眼も能力も持ち合わせていない。
ラクス様のような絶対的な影響力も、キラ・ヤマトのような圧倒的な戦闘力もない。あるのは生半可な原作知識と、ちょっとしたオペレーター能力だけ。能動的に何かを起こす力を何一つ持たない弱者だ。
そんな私に、一体何ができる? 原作どうりの道筋を辿る以外に何ができるという。
だから、私が言うべきは一つ。急にどうしたのって。なにも悟れぬ愚者を演じることだけ、それだけだ。
「…急に済まなかったな。忘れてーーーー」
「レイがね、褒めてくれたの。筋がいいって」
だが、気づけば私の口から出た言葉、そのどれでもなく。
「アカデミーに入学する前から、いっぱい教えてもらったよ。お姉ちゃんやシンと一緒になって、いっぱい。卒業試験がやばいって言ったら、休暇取ってみんな総出で試験練習手伝ってくれた」
「なにをーーーー」
「緑の私を、ミネルバの管制官に推薦してくれた。アツくなりやすいお姉ちゃんやシンを、いつも纏めてくれたり。私たちの艦を、命がけで守ってくれる」
言い出したら止まらなかった。止めなくてはならなかった。
「艦の中で浮いてたら助けてくれる。お願いしたら、なんだかんだ言いながらお買い物に付き合ってくれる。さっきだって、私を見てた男の人達の視線を遮って歩いてたでしょ?」
そう、先程彼が私の斜め後ろなんて場所を陣取っでいたのは、なにも怒っていたわけではない。私のことを不躾に見ていた不審な男性達の視線を遮ってくれてたから。私一人だったら、もしかしたら不穏なことになってたかもしれない。
「だからさっきからなにをーーーー」
「私が知ってるのは、そんなレイだよ」
それでも、止められなかった。欲が出てしまった。もし、そんな可能性が、未来があるのならと。
「レイにどんな過去があって。どんな気持ちで戦ってるのかは、正直分からない。でもね」
そんな都合のいい未来を、望んでもいいのならと。私は彼の右手を、両の掌で包み込む。
「ここにいるのは、他の誰でもない、紛い物なんかじゃない。私が知ってる、私の大切な友達、レイ・ザ・バレルだよ」
「…………」
私は私の気持ちを口にした。彼は、もうただのキャラクターでも、ましてクローンでもない。私のかけがえの無い友人、その一人だ。
「隙ありっ」
「なにっ」
レイの手を包む、いや拘束した私は、掌に隠しておいたシルバーのミサンガをそのままレイの右手首に結びつける。
本当は自分の願がけ用に買ったのだけど、こうする方がいいと思ったから。
「それ、内側から切れるまで取っちゃダメだかんね。ハサミで切ったりしたら怒るから」
「なにを勝手なことをっ」
ぬわっはっはっは。そのミサンガにはもう私の願いが込めてあるから、勝手に切ったりしたらおこなのだ。そんなことしたら今度からレイのザクに毎回ガナー装備つけてやるんだから。
レイの未来は明るくない。例え戦後に生き残ったとしても、クローンである彼の寿命は、私たちと比較すればずっと短いのかもしれない。
それでも、せめて。せめてこのミサンガが、自然と切れて落ちるくらいまでは、生きていて欲しい。
神様。もし私をこの世界に転生させた神様なんかがいるのなら。
こんな愚かで卑怯な私ですが。散ると分かっている命に手を差し伸べぬ外道の身ではありますが。
せめてこんな私の、友を願う我儘くらい、見逃してくれますよね。