異世界に適応する少年   作:Yuukiaway

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#15 Blizzard fist

『さぁさぁ盛り上がっております準決勝 第1試合!! 試合開始からエティー選手の猛攻がノア選手を襲います!!』

 

アナウンサーの実況は、観客席を熱狂させる。

エティーに投げ飛ばされ、ノアは頭から地面に叩きつけられた。

 

誰がどう見てもノアは立てそうにないが、観客席の熱狂はまるで彼の勝利を信じているように聞こえた。

 

『おぉ!立った!立ちました ノア選手!!!

波乱の準決勝は、ここから新たな局面を迎えるのか!!?』

 

「詫びを言うぞ。北国の人よ。

どうやらお前を馬鹿力だけの脳筋だと読み間違えていたようだ。

 

だから、ここからは本気で行く!!!!」

 

ノアの両手に魔法陣が展開された。

 

『ここに来てノア選手、本気を出すと宣言!!!!ここから何が起こる!!!?』

 

遂にノアが本気を見せる と、観客の熱狂はピークを迎えた。

 

「《純白百雷(ジオヴェン・ハイヴェン)》!!!!!」

 

ノアの魔法陣から、レオルの比にもならない程の数の白雷(ハイヴェン)がエティーに飛んでいく。

 

『こ、これは何という攻撃だ!!!

レオル・イギアを凌駕せんとする程の猛攻が、エティー選手に飛んでいく!!!!』

 

対するエティーは両手を手刀にして構えた。

 

哲郎はその構えに見覚えがあった。

 

「ハッッ!!!!!」

 

エティーはノアの魔法に軽く触れ(・・・・)、身体をきりもみ回転させた。

 

『こ、これは、テツロウ選手がレオル選手の閃光機銃(フォトンゲイザー)を迎え撃った動きにそっくりだ!!!!』

 

幾つもの白雷(ハイヴェン)は四方八方を舞い、不発に終わった。

そのままエティーはノアに突っ込んでいく。

 

その勢いのままノアの顎をつかみ、地面に叩きつけた。

 

『こ、今度はマーシャルアーツです!!!

ノア選手、再び脳に深刻なダメージだ!!!!』

 

そしてエティーはノアに馬乗りになり、渾身の拳を振り上げた。

 

『き、決まってしまうか!!!?』

 

場内が一瞬 静寂に包まれた瞬間、ノアの逆襲が始まった。馬乗りになったエティーの腕を、ノアが掴んだ。

 

『こ、これは

下から腕ひしぎだァーーーーーー!!!!』

 

そのままノアは全ての力を回転に変え、エティーの巨体を崩す。

 

『エティー選手 つんのめる!!!

決まったか!!!?』

 

しかし、エティーもこれでは終わらない。

地面に腕を力強く突き立てた。

 

『た、耐えた!!腕1本で耐えている!!!

このままノア選手を持ち上げるのか!!!?

何という怪力でしょう!!!!』

 

エティーが腕にノアをしがみつけたまま立ち上がる。しかし、それもノアは想定していた。

 

ボォン!!!! 「!!!!?」

『ば、爆発魔法!!! エティー選手の腕に爆発魔法が炸裂したァーーー!!!!』

 

一瞬の激痛により出来た隙をついて、ノアはエティーと距離をとった。

 

 

その口が一瞬綻び、

「……やっと一発 まともなものを入れることが出来た。ここから本当の勝負だ そうだろ?」

 

ノアの言葉にエティーも応える。

「……そうだな。私も本気を出そう!!!!」

 

エティーが再びノアに突っ込んでいく。

殴るではなく、ノアの腕を掴んだ。

 

 

『こ、これは一体━━━━━━』

バキバキバキッッッ!!!!! 「!!!!?」

 

『な、一体何が起こった!!!?

ノア選手の右半身が、一瞬にして凍りました!!!!』

 

「こ、これは━━━━━━━━━!!!??」

一瞬の事態に、ノアも驚きを隠せない。

 

「これは魔法では無い。

ブリザードが吹き荒れる国で生き延びてきた我が一族にのみ許された【凍結闘術】だ!!!!」

 

エティーの両の拳には、冷気が立ち込めていた。

 

「お、恐るべき【凍結闘術】!!!

ノア選手、戦闘不能か!!!?」

 

場内が緊張に包まれる中、ノアが口を開いた。

 

「……なるほど… 冷気を拳に………。

恐れ入った。だが、詰めが甘かったな!!!」

「!!!!?」

 

 

『こ、これは信じられない光景だ!!!!

ノア選手の体を覆う氷が、一瞬で溶かされた!!!!

 

この2人、人間業を超越している!!!!』

 

 

 

「さあ、決着だ!!!!」

「望む所!!!!」

 

ノアとエティーは2人とも同じ形で拳を構えた。両者の拳には、炎の魔法と冷気が立ち込めている。

 

『両者、構え直した!!!

その拳には、魔法が込められています!!!

決勝に駒を進めるのは、果たしてどちらか!!!?』

 

ノアとエティーは、同じタイミングで地面を蹴った。

 

ズドォン!!!!!

「「!!!!!」」

『ク、クロスカウンターだ!!!!!』

 

ノアの顔面に冷気を帯びた拳が、エティーの顔面に炎を帯びた拳が炸裂した。

両者は吹き飛び、同時に外枠に叩きつけられた。

 

『な、何という威力だ!!!!

両者 吹き飛ばされた!!!! この試合、果たしてどうなる!!!!?』


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