夜明けの為の物語   作:蛍石/ラディッシュ

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 書いてしまった、書いてしまったぞ。
 完結までいけっかなー…不安だ

 一話目だから完成度についてはセメナイデ…セメナイデ…
 独自解釈が多いことについてはマジで私を責めないでくれ。資料集が出ないのが悪い(責任転嫁)


最初の一枚目

 プリンプ魔導学校。言わずと知れた、多くの魔導師の卵が集う学舎(まなびや)だが───今日に限ってここはより一層の賑わいを見せていた。

 どの教室もたくさんの生徒達が共通の話題のもと、雑談を交わしている。

 

 学校で優秀な成績を収める紫帽子の生徒は、とりわけその話題に興味を惹かれているのか、多くの同級生の前で自らの知識を以って弁舌を振るっていた。

 それなりに頭の良い者はその話に目を輝かせているが、そこまで良くない成績の持ち主は“なんか凄いことが起こるんだ!”と取り敢えずはしゃいでいる。

 

 三者三様のお祭り騒ぎ。教師達も今日ばかりは多めに見ているのか、騒ぐ生徒達への叱責は無い。

 まるで祭りの前のように賑やかな学校。おそらくこの喧騒は授業が始まるまで続くだろう。

 

 …とある教室では、ただ一人だけこの騒ぎに加わっていない者がいた。

 彼は席についたまま、ぼんやりと虚空を見つめている。

 

 同教室にいる同級生───赤ぷよを模した帽子とハネた金髪が特徴的な少女は、彼を見て呆れ半分に笑った。

 ぽんぽん、と少女の左手が淡々と虚空を覗く生徒の青い髪を叩く。

 そうして、やや強い語気で叱るように。

 

「シグ、もうすぐ朝礼だよー? 起きないと、またアコール先生に怒られちゃうよ? 起きて起きてー!!」

「…………」

 

 シグと呼ばれた生徒は、赤と青のオッドアイを開いたまま微動だにしない。金髪の生徒に“起きないと”と言われたが、その通り彼は()()()()()()()()()()()

 肩を掴まれがくがくと揺さぶられてから、シグはキョロキョロと周りを見る。

 そうして、眠たげな声で一言。

 

「…アミティ、今なんじかんめ?」

 

 やる気とか、熱意とか、そういったものから程遠い声。

 あくびを一つ。寝起きそのものみたいな振る舞い。

 彼の発言に、アミティと呼ばれた赤ぷよ帽子と金髪が特徴の少女は絶句したように目を剥く。

 

まだ朝礼もやってないよ!? …もしかして、学校が終わるまで寝るつもりだった?」

「……どーでしょー

 

 ふい、と露骨に目線を逸らすシグ。

 それを見たアミティがガックリと肩を落とした時。

 

「皆さん、おはようございます」

「おみゃーら、さっさと席に着くみゃ」

 

 教室の戸が開き、長い紫の髪を持つ若い見た目の女性が入ってくる。彼女はぬいぐるみの様な黒い猫を抱えており、その猫は喋ると来た。猫は奇妙な口癖と共に、談話中の生徒たちを着席へと促した。

 

「今日お休みの子は…いませんね。それでは、朝礼を始めます」

 

 同時に、学校の鐘が鳴った。

 本日の学業が始まった事の合図だ。

 鐘が鳴って、机に突っ伏して眠りこけていた生徒が跳ねたように起き、それを見て周りがクスクスと笑う。

 それを見てから紫髪の女性が口を開く。

 

「皆さん、もうすぐ日食の日が来ます。大きなイベントで楽しみなのはわかりますけれど、それで事故に巻き込まれたりしないよう気を付けて下さい」

「アコール先生! 日食は直に身ちゃいけないって本当ですか?」

「はい。その通りですアミティさん。目が見えなくなるかもしれませんから、皆さんも日食を見る時はちゃんと道具を用意してくださいね?」

 

 ガタッと勢いよく席を立ち、元気な声で質問するアミティに、紫髪の教師───アコールは和やかな声で返答する。

 応答してくれたことに感謝を述べつつ、再度着席するアミティ。彼女はその時から「確かあの本に…」と何やらぶつぶつと呟き出す。

 周りの席の生徒達は特に気にしなかったが、それが元で注意をもらった金髪の少女だった。

 

  ───

 

 最後の授業を終える鐘が鳴る。連絡事項も伝え終わって、教室には遊びの約束や雑談をする生徒達がいた。普段ならアミティもその例に漏れないのだが、今日に限ってか彼女の姿は教室になかった。

 皆が「珍しいこともあるものだ」と不思議に思う中、廊下から何かにぶつかる音と恐ろしい怒鳴り声が響いてきて「ああ、いつも通りだ」と安堵していた。

 

 失礼な安堵をされていることなど知らず、アミティはプリサイズ博物館に来ていた。

 この博物館は、数多くの書物や歴史的資料が集っており、ここプリンプに住む数多の人々が訪れる。

 アミティは、そんな図書館じみている「過去の置き場所」に蔵書されている本の一冊の、とあるページを穴が開きそうなほどに見つめていた。

 そんな彼女の耳に、聞き覚えのある二人の声が小さく聞こえた。

 声につられ、その方向に首を向けてみる。

 

「日食と虫の関係? そんなのあるのかい?」

「なんとなく、あるかなーって思ってた」

 

 そこにいたのは2人の男児。1人は紫を基調とした服を見に纏っており、もう1人は空色の髪を持ちぼんやりとした印象を抱かせる。

 2人とも、アミティがよく知っている男の子だ。2人の方もアミティに気づいたのか、即座に声をかけてきた。

 

「あれ、アミティ?」

「君が博物館に来るだなんて…明日は雨でも降るのかな?」

 

 小首をかしげた空色の髪の少年は“シグ”

 やや嫌みのある言葉を吐くのは“クルーク”だ。

 シグは虫を一等好むため、虫に関する本を何冊も読破しており、虫に関する知識は他の追随を一切許さない。

 クルークはプリンプ魔導学校で好成績の証である“紫帽子”を貰っている。そこには無数の本による知識が土台として存在している。彼が博物館にいるのは、つまりそういうことである。

 

「ちょっと調べ物。シグとクルークはどうしてここに?」

「僕は日食について復習をしようと思ってね」

「日食で虫に何か起こるかどうか調べてた」

 

 二人は各々好き勝手に本を読み漁っていたらしいが、途中で出会ってからはお互いにどんな本を読んでいたかを喋っていたとのことだった。

 クルークはアミティが読んでいた本に目を向けると、物珍しげな顔をする。

 

「これは…魔導具についての本かい?」

「うん! あたし、これを作ろうと思って」

 

 ばさっ、と本を開きアミティは自分が作ろうと思っている魔導具(魔導に関するアイテム、ツールのようなもの)について記したページを、目の前の二人に対して見せた。

 

魔導具:天文分野

 

 空に在る星々は我々に大きな恩恵をもたらします。占星、祈祷、星読、儀式とその用途は様々ですが、先ずは星について知ることが重要です。手始めに星見の道具を作りましょう。眼を凝らし、空とあなたの世界を繋ぐのです。

 

・望遠鏡類・

第一種:空鏡の望遠鏡

 空鏡の望遠鏡は、星見の道具の中で最も初歩的な道具です。星の魔導に進む者であれば、この道具の作成は避けては通れません。失敗を恐れず挑戦しましょう。

 空鏡の望遠鏡はあなたに極上の星空を提供します。またそれだけではなく、この望遠鏡はあらゆる天体を鮮明かつ安全に見ることが可能です。初歩として星を知るには正に最適と言えるでしょう。

 この道具の作成には、月の石の粉、セレスタイト、各種元素によって作られたレンズが必要です。先ずは材料を揃えましょう。(次ページに続く)

 

 

「今度の日食って、中々見れないらしいから、皆で一番綺麗なのを見てみたいなって」

「…これ上級生が作るものじゃないか。

 君がやっても、成功するとは思えないけどね」

「うっ………」

 

 少女の願望を、少年の現実を見据えた発言がグッサリ刺した。思わず肩を下げてしまうアミティの表情は悔しげだ。

 どうにか出来ないものだろうか、と彼女は必死に考えてみる。今回の日食は、次がいつ来るか分からないとても貴重な現象なため、出来るだけ綺麗な形で目に収めたい。

 そして友人達とその光景を分かち合いたい。願望を諦めきれず「うー、うー」と呻く少女だったが、そこにシグの声が割り込む。

 

「メガネ、これって遠い星も見える?」

「ん? そういう道具なんだから、見えるに決まってるだろ」

 

 極わずがな質疑応答を終えれば“よし”と、呟いてから満足そうに頷くシグ。彼は青い髪を揺らし、アミティの方に顔を向ける。いつもと変わらずぼんやりとしていて、変化にも乏しい表情のままあか弾んだ声で提案した。

 

「アミティ。その道具、一緒に作ろう」

「シグ…!」

 

 まさかの助け舟というか、協力者の誕生に目を輝かせるアミティ。それに驚いたのは、シグの性格をそれなりに知っているクルークだ。

 

「シグ…どうしたんだい急に!? 虫以外は“へぇー”とかで流しかねないのに!」

「青い星もあるって聞いた、それが見たい。青は海だし、空だし好き」

「…青い星…青色輝巨星のことかい?」

「何それ? 知ってるの?」

「…今度本を貸すから読むと良いさ」

 

 思いの外真っ当な動機に面食らうメガネの少年。やや食い違いがありそうだが、今は置いておくことにしたのか、クルークはそこまで深く踏み込まなかった。

 ただ、彼はシグがアミティに協力する事が確定した瞬間、頭痛に苦しむかのように眉間に手をやる。

 顔つきは苦虫を噛み潰したように渋く、彼は恐る恐ると二人に聞いてみる。

 

「しかし…本当に君達だけで作るつもりなのかい?」

「え、そうだけど…」

「問題、ある?」

 

 とうとう彼はこれ見よがしにため息を吐く。

 それも然もありなん、アミティもシグもお世辞にも成績がいいとは言えないからだ。

 そうともなれば、クルークは内心気が気ではない。

 

  ───不安だ…! 果てしなく不安だ…! 火事場の馬鹿魔導力かつミスの多いアミティに、授業は寝てばかり、かつ何時もぼんやりしているシグ ! この二人だけにやらせたらとんでもない事が起きるに決まってる…!

 

 頭をよぎるのは大爆発する二人と周囲。そうでなくとも何らかの失敗で起きかねない惨事を予想して、クルークは決心を固めた。

 彼は重々しくため息を吐きながら、身体中を重そうにしながらも、一つの提案をする。

 

「仕方ない…この僕も手伝ってやる」

「本当!? クルークも手伝ってくれるなら、頼もしいよ!」

「おー…、思わぬ助っ人…」

 

 本来なら厳粛であるはずの博物館は、子ども達のおかげですっかり騒がしい。

 しかし咎める声は無い。ただいつものことか、と穏やかに眺める目があるだけだ。

 

 暑過ぎず、寒過ぎずな過ごしやすい季節。三人の魔導師の卵が、それなりに大きな試みを胸に、それぞれ不安と期待を抱く。

 それは大事の前触れか、それとも事件の前兆か。

 どちらにせよ、平穏無事に終わる事はないだろう。

 

 これは、発端こそ些細であるが、盛大な終わりを迎えた一つの思い出話だ。

 

 

 

 





大体25話前後で終わらせる予定。骨組み通りに進めばなぁ!! キャラが勝手に動き出したら超過します。仕方ないですね(真顔)
主軸はアミティ、シグ、クルークの三人に絞る予定です。

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