ウサギの観察日記『完結』   作:サルスベリ

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 モチベーションって、何処かに落とすものらしい。

 書こうと思ってパソコンに向かうとかけず、仕事とか車の運転中にアイディアが浮かぶ浮かぶ。で、メモを取ろうとして忘れる。

 あ、何時ものサルスベリでした。

 今回こそ進学編です!







大混乱の四ページ目

 

 

 

 

 

 

 篠ノ之束は決意した。

 

 絶対にやり遂げると決意した。誰にも邪魔させない、誰かが意見しても聞いてやらない。ちょっとリクに怒られるかもしれないけど。本当に怒られるかもしれないけど、ちょっと怖いけど。嘘です、かなり怖いです、本当に死ぬかもしれないほど怖い。

 

 昔の自分はなんでリクにケンカを売れたのか、自分のことなのに訳が解らない。あんなに突っかかって行って、生きている今に深く感謝を。もしかして神様っているかもしれない、なんて世迷言を信じたくなる。

 

 だからこそ篠ノ之束は決意した。

 

 もう誰にも邪魔させないし、誰にも意見させない。自分の意思は決まった、決意は固い、リクに怒られても絶対に引き下がらない。

 

 でも一緒に学校には行ってほしい。教室でリクがいないと、ちょっと困る。かなり辛い、もう泣きそうになっている。想像しただけで体が震えて視界が歪んでくる。

 

 常識とか、礼節とか、色々なことを置き去りにして、もう投げ捨ててやるしかないことだから、リクに見つかったら絶対に怒られる。お説教だ、かなり怖い顔したリクに見つめられ。

 

 あれ、と束は拳を握ったまま固まった。

 

 怖い顔のリクに見つめられると想像したけど、怖いという気持ち以外に何かあるような。なんだろうこの気持ちは、どうしたのだろう、こんな気持ちは初めてだ。

 

 怖いのにフワフワして、悲しいのにポカポカしている。

 

 リクのことを考えると、体中が熱くなる。もうリク以外に必要ない、なんて思えてくる。千冬のことも大切だけど、それ以上にリクのために何かしたくなってくる。

 

「こ、これが恋」

 

 確実に違うようなことを、束はそうだと思い込んだ。

 

「ならやらないと」

 

 束はグッと拳を握って、目の前に立っている機械の鎧を見つめた。

 

「がんばらないと」

 

 すべてはリクのため。リクに見てもらうため。

 

 そのためには。

 

「これが必要だから」

 

 ジッと見つめる鎧は、見る人が見れば『白騎士』といえるような形をしていた。

 

「束!! プロデューサーさんが来てるわよ!!」

 

「ふみゅ?! こここここここ断ってぇぇぇ!!」

 

「自分で言いなさい!」

 

 母の言葉に震えて部屋の隅で震える束は、固い決意を改めて決めた。

 

 リクのため、リクとの平穏な日常のため。

 

「これを着れば誰も怖くない」

 

 よっし、がんばろうと束は拳を握って気合を入れた。

 

「姉様、今日も可愛らしい」

 

 震えながら拳を握る、ウサギの耳をつけた小動物みたいな姉を、妹はうっとりした視線で見ていたのでした。

 

 こうして、篠ノ之束の『インフィニット・ストラトス』は作られるのでした。

 

 

 

 

 

 

 アイドルの勧誘を断るために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 立てば雛菊、座れば牡丹、歩く姿は百合の華。

 

「なんだそれは?」

 

 疑問を浮かべる制服姿の千冬に、隣に立つリクは深くため息をついた。

 

「俺の後ろにいるウサギのことらしい」

 

「なるほど、なるほど・・・・・・なんだとぉ?!」

 

 思わず千冬は叫んだ後に、束をリクの背中から引きずりだした。

 

「束!! 貴様ぁぁ!!」

 

「ちちちちちちちちーちゃん!? 暴力反対! 暴力、反対、グス」

 

「な、泣くな。悪かった、悪かった・・・・ではない!! なんだその華に例えられる軟弱さは!? だからあれほど運動をしろと言ったのに!」

 

「ふぇぇぇぇ!! りっくぅぅぅぅん!!」

 

「泣くな束!! 貴様のか弱さを私が矯正してやる!!」

 

 隣で騒ぐ幼馴染二人を見ながら、リクはどうしようと考え込んでいた。

 

 外に見える空はとても青い、何処までも高い空の下、今日はとてもいい日なのに、どうしてこの二人の抑え役をしなければいけないのか。平和で平穏な毎日を望んでいたわけじゃないが、普通の学生生活を望むくらいはいいじゃないか。

 

 それとも、自分のような異能を持つ人間には平穏とは遠いものなのか。

 

『・・・・・いいかげん、止めてもらえるとありがたい高坂君』

 

「はい、解りました、校長先生」

 

 深いため息共に、スピーカーを通した相手の声に、リクはため息交じりに答えたのでした。

 

 今日は、中学校の入学式です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 無事に小学校を卒業できた、噂の三人組は、順調に中学校に進む。

 

 そんなわけがない。

 

 ネット怖いなんて束が言いだしたことを始まりにして、アイドル騒動が勃発。絶対に諦めたくないアイドル事務所が、何度も篠ノ之家を突撃。玄関先で土下座までするスカウトマンに、本物の矜持を感じた千冬とリクだったが、迷惑なものは迷惑なものなので、お引き取りしてもらいたかったのですが、相手側も本人に会うまでは引き下がれないと絶対に動かないと言いだしてしまい。

 

『こんにちは、篠ノ之束です』

 

 どうしようと考えている最中に、話題の人物が上空から降ってきた。

 

 ガンなんて音と共に地面に降り立ったのは、真白な鎧を着た騎士。声は束のものなのだが、見た目は完全に何処かの機械兵士。

 

「アイア●マンだとぉ!?」

 

「ガン●ムじゃなくて」

 

『ゲッ●ーかマジン●イザーを目指したのに』

 

 なんだかよく解らない本人登場に、誰もが呆けている中で、三人は平常運転。何処がどう違うのか、何を目的としてデザインしたのかと、三人であーだこーだと話していると、スカウトマンがハッと正気に戻って。

 

「束さん! どうか私と一緒にアイドルの天下を取りましょう!」

 

『ふぇ!?』

 

 気合を込めて立ち上がって迫ったスカウトマンに、真白な機械の鎧が怯えてリクの背中に引っ込んだ。

 

 あ、これは束本人が入っているとリクと千冬が確信した瞬間でした。

 

『わ、わわわ私はそんなのにならない!』

 

「どうしてですか?!」

 

『私は!!!』

 

「私は?」

 

『私はこれでりっくんと一緒に星を目指すから!!』

 

「・・・・・・・そうですか、解りました。いつか、貴方が星の海を行く姿を楽しみにしています」

 

 何かを悟ったスカウトマンは、一礼して去って行った。

 

『・・・・・・やったぁぁぁ!! 束さん大勝利ぃ!!』

 

 歓喜が天井を突き破り、全身で珍しいほど喜んでいる束。その動きに従って動く外枠のような白い鎧。

 

 なんだか、色々と気合が抜けたような一同の目の前で、一人だけ歩き出す人物がいた。

 

 その姿に、ハッとして千冬は思わず手を伸ばして。

 

「束ぇぇぇ!!!」

 

『ふぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

 間に合わなかった。

 

 小学生とは思えない握力で、鋼鉄みたいな鎧の顔を握り潰そうとしているリクと。

 

 いきなりの制裁に泣き出しそうな束と、火花が散っている機械の鎧。

 

「何時から星の海を目指すことになったのか、解り易く、丁寧かつ簡潔に俺に教えてくれ」

 

『痛い痛い痛い痛い!!! りっくん待って待って! ごめんなさい! 本当にごめんなさい!!!」

 

「いいから答えろ! 答えないならぁぁぁぁ!!」

 

『ごめんなさいごめんなさい・・・・あれ、なんだろう、痛いのに気持ちいい?』

 

 泣いて喚いていた束が、唐突にそんなことを言い出しまして。

 

「リク君! 待ってくれ! 怒りは解るがそこは駄目だ!」

 

 慌てて篠ノ之父、止めに入る。引きこもりで人見知り、でも常識と礼節は心得ている娘になったのに。以前の他人をゴミのように見ていた、大人になったら世界を掌握しそうな悪女になりそうな、そんな娘から多少は問題はあるものの、普通の女の子になっていたのに。

 

 ここに来て、痛みを快感に変えるような娘にクラスチェンジするなんて、父としては見逃せない。

 

「待つのよあなた! ここはこのまま!」

 

 篠ノ之父の前に、篠ノ之母が立ちふさがる。

 

「な、何故だ!?」

 

「束はこのまま性癖を歪ませて、そのままリク君に依存させましょう」

 

「何を言うんだ?!」

 

「そして責任を取ってもらうのよ! リク君なら束の相手に相応しいじゃない!」

 

 母の叫びに、父はハッとして立ち止まり、腕を組んで悩んで。

 

 そしてゆっくりと親指を立てた。

 

「よくやった母さん。リク君、娘をよろしく頼む」

 

「解ってくれてありがとう。ではリク君、お願いね」

 

「え?」

 

 こうして、高坂リクと篠ノ之束の交際がスタートしたのです。なんてことはなく、リクは全力で拒否。だって束だ、最初に襲いかかってきた束だ。見た目はよくても、すぐに背中にひっついてくる束だ。

 

 何がなんでも拒否したいリクは、自分の能力すべてを使って実力を使ってでも拒否したかったのだが。

 

「そう、解ったわリク君。三か月頂戴!!

 

 あまりに強い拒否に、束が泣きそうな顔をしている中、篠ノ之母がとてもいい笑顔で笑っていた。

 

 そして、束を見ない日々が過ぎて行って、小学校の卒業式にも出席せずに、何かあったかと不安を感じ始めたリクと千冬を放置のまま、中学生の入学式となり。

 

 立てば雛菊、座れば牡丹、歩く姿は百合の華。そんな言葉がぴったり似合う、そんな言葉で表せないほどに美少女になった、篠ノ之束が出現したのでした。

 

「篠ノ之家、恐るべし」

 

 千冬は、久し振りに会う束を見て汗を拭い。

 

「りっくん」

 

「・・・・・・・え?」

 

 頬を染めた美少女の、完全に信頼したような笑顔に、高坂リクは恐怖を感じたのでした。

 

 こうして、三人は無事に中学校に入学しましたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、実はさ、何処かの小学生が重力制御とか、バリアーの開発に成功したらしいぜ」

 

「はぁ? 寝ぼけてるなら仮眠室で寝ろよ」

 

「いやいやマジだって。これ見てみろって」

 

「・・・・・・・・誰かこの子を捕まえて来い! 宇宙開発にこの子が必要だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 某国の宇宙開発組織にて、篠ノ之束捜索が命令された瞬間でした。

 

 

 

 

 

 

 

 







 ISを読んでいた時に疑問だったのが、あれだけの技術を目の前に出したら、誰か使おうとか思いませんかね?

 盗むために否定したのかなとか考えても、その後の話を読んでいるとどうもおかしいような気が。

 まあ、サルスベリの知識が原作小説とアニメが、同じ場所で止まっているからかもしれませんが。

 簪登場、楯無の元の名前が出た頃、あるいは亡国企業がIS学園襲撃してなんだか動けないけど、攻撃力は凄いガトリングガンのIS登場、くらいしかないので。

 最後に、ここまで暴走した話を読んでいただき、ありがとうございます。もうちょっと続けるつもりですので、どうぞお付き合いください。

 次回、がんばって、リクの『王の財宝』と『眷獣』出せるといいなぁ。







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