ウサギの観察日記『完結』   作:サルスベリ

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 こう一つの作品を書いていると、他の作品のアイディアが浮かび、二つ同時進行だと、三作目、四作目のアイディアが浮かんで。

 五作目のネタを夢に見る、何時も通りのサルスベリです。



 シンフォギアの響が、ロンゴミニアドを振り回す夢を見ました。どうせなら、七つに分裂するブリュナークをファンネルみたいに扱ってくれたらよかったのに。『私の槍は世界の果てから果てまでを繋ぐから』って言っていたけど、拳と槍じゃ繋ぎ方が違っているような。 





 まったく関係ない話ですね、では今日もよろしくお願いします。








勘違いが加速する七ページ目

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 高坂リクには深雪という妹がいます。

 

 篠ノ之束には箒という妹がいます。

 

 そして、織斑千冬には一夏という弟とマドカという妹がいます。

 

 兄や姉が仲良しなので、この四人は仲良しなのですが、仲がいいというか仲が良すぎるというか、ちょっと事情が迷走してきたのが、織斑家の妹弟の二人。

 

 織斑家の両親は、滅多に家にいない。何処で何をしているか知らないが、ふらっと帰って来ては、またフラッと出かけてしまうので、一夏とマドカは両親の顔を知らない。

 

 知らない、のならよかった話なのですが。

 

 ある日のこと、千冬は一夏とマドカにこう質問されました。

 

「なんでパパとママは『コウサカ』なのに、僕たちは『オリムラ』なの?」

 

 純粋な瞳を向けてくる弟や妹に、千冬は笑顔を向けたまま絶句したという。

 

 確かに両親は家にいるのが、稀。本当に家にいない、いることが奇跡に思えるほどにいない。だから、昔馴染みの高坂家の古城とリリィが面倒を見てくれていたが、それがまさか自分の『親』と錯覚するくらいなんて。

 

 悩みに悩んだ千冬、彼女も聡明ではあったが、まだ中学生。ちゅうにびょうを年がら年中やっていようとも、まだまだ子供だったので。

 

「・・・・・・それはな、私たちがまだ高坂の名を名乗れるほど強くないからだ」

 

 苦し紛れに言ったことを、千冬は十年後に後悔することになるのだが、今の彼女は『あ、これっていいこと言った。納得できる理由だ』と自分で自己完結してしまい、その話題を忘れてしまった。

 

 一方、言われた一夏とマドカは思った。

 

 リク、その強さは最早、近所どころか都市クラスで噂になっていて、最強の五人衆の一角といえば、大抵の人が逃げ出す。

 

 深雪、同い年ながら周辺を凍らせたり、雪を降らせたり、『極寒の魔女』なんて呼ばれ始めているから、その強さは本物だと思う。

 

「つまり、頑張ればいんだ」

 

「そうなんだ!」

 

「そうだよマドカ!」

 

「がんばろう一夏!」

 

 グッと二人は手を握り合った。

 

 幼い妹弟が決意を固める一方で、千冬は自分の言ったことに感動していて、止めるなんてことは考えなくて。

 

 その日より、一夏とマドカの特訓の日々が始まるのでした。

 

 目指す背中は遥か遠い。絶対に追いつけないかもしれないけれど、あの二人の血を引いている者として、決してあきらめてはいけない。

 

 特にリリィは、『英雄姫』とか、『女帝』とか呼ばれているくらいにかっこいい。仁王立ちで無数の武器を振らせるなんて、見ていて一夏はしびれるくらいに興奮した。

 

 一方のマドカは古城の強さに憧れた。たくさんの獣を従えて、軍隊だろうが魔王だろうが蹂躙する姿に、とても高い理想の姿を見た。

 

 見本はそこにある、ならば速やかに動くべきだ。

 

 こうして二人の勘違いは、誰も気づかないまま加速されていくのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「束姉ちゃん!」

 

「ふみゃ?! ふぇぇぇっぇえ。い、いいいいいっくん?」

 

 いきなり研究室のドアを蹴とばして入ってきた一夏に、束は完全に涙目で止まってしまう。なんだろう、何があったんだろう。

 

 現在、絶賛、束はビルドドライバーの改修中。向こうで、白騎士が分解されたまま悲しそうに見ているのだが、完全に眼中にない。

 

 作って変身したら、四方八方からツッコミと評価と、ダメ出しが行われたのでした。

 

 曰く、変身音声が違う、順番が間違っていないか。

 

 曰く、ハザードトリガーはどうした。

 

 曰く、タンクタンクフォームは何処行った。

 

 特にリナとトオルのお説教は、軽く死にそうになるくらいで。慌ててリクが止めるくらいに怖かったから、真面目に改修中。

 

 白騎士のことなど忘れるくらいに、真剣に作っていた時だったのに。だから、白騎士はきっと泣いていい。号泣していいくらいに、忘れられている。

 

 そんな中に、一夏は決意を秘めて束の元を訪れていた。

 

「束姉ちゃん、俺に機械を作ってくれ」

 

 束の反応に一切、考えたり退いたりすることなく、一夏は土下座をした。

 

「え、え? えええ!?」

 

「お願いだ! どうしてもできないんだ! もう束姉ちゃんに頼るしかないんだ! 情けない男だと笑ってくれてもいい、罵ってくれてもいい。でも僕はどうしてもママみたいな能力を手に入れたいんだ!」

 

 真面目に必死に、縋るように見つめる織斑一夏四歳。これで四歳である、親が第四真祖と英雄王だと、育ち方が違うらしい。

 

「ふぇ、あ、あのね、ママって。リリィさん、だよね」

 

 あまりの剣幕に、まだまだ腰を引きながら束が問いかけると、一夏は大きく頷いた。

 

「・・・・・わ、解った、頑張ってみる」

 

「ありがとう束姉ちゃん!」

 

「で、できるなんて、言えないよ?」

 

「大丈夫!」

 

 笑顔で一夏は手を振って去っていき、篠ノ之家の敷地を出る寸前で。

 

「貴様、姉様に何をした?」

 

「ほ、箒!? 待って! 事情が!」

 

「黙れ、痴れ者が」

 

 幼馴染の箒ちゃん四歳の『とうやこー』って彫られた木刀で、叩かれたそうです。

 

 その頃、マドカはというと。

 

「召喚獣を教えてください!」

 

「え、このポケットに入るモンスターじゃダメ?」

 

「・・・・・・ゴジラありますか?」

 

「ええ、そっち?」

 

 篠ノ之家の遠縁で、電気ネズミを友達に世界を旅している人のところへ、弟子入りに行ったそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 篠ノ之束は考えた。

 

 リリィのスキルを見たことはある。あの背後の黄金の波紋が浮かび、武器が飛び出してくる技能は、確かに凄いと思う。素晴らしいと思える。きっと誰が相手でも、初見殺しで倒せるだろう。

 

 でも、二度、三度と相対すれば対応できないことはない。なのに、リリィは今まで一度しか敗北していない。

 

 その相手が古城だから、二人は結婚したらしいけど、今は関係ない。

 

 背後から武器が飛び出す。方法としては異次元空間あたりに倉庫を持ち、出入り口に力場を発生させ、内部の武器を飛ばす。力場は磁力か、しかし金属以外には作用を発生できない以上は、あのリリィの能力には大きく劣る。

 

 そもそも、異次元空間ってどうやって生み出すものか。持主の背後に、必ず展開させるためにはどうすればいいか。

 

 グルグルと考えて、ブンブンと腕を振って、机に突っ伏して考えに考えて。悩んで唸って、困って頭を振って、ウサギの耳が落ちてガシャンなんて音がしたから、母に凄い怒られて。

 

 行き詰まって、ふと顔を上げた先に、分解された白騎士が。

 

 ピコンと、束のウサギの耳が跳ねた。

 

「・・・・・・おおおおお、忘れてたよ、白騎士」

 

 その瞬間、白騎士の頭部が転がり落ちたのでした。もう泣いていいよ、白騎士。

 

 さてさてと、束はうんうんと唸っているところにメールが一つ。

 

 前にナノマテリアルの精製方法を教えてくれた人達から、『きぐるみコミュニティ』に参加しないかと、御誘いのメールだった。

 

 深く考えずに、『いいですよ~』と送り返した束の視界に、返答のメールが送られてきた。

 

「天才がいるぅぅぅぅぅ!!!」

 

 空中投影されたモニターを掴もうとして、束はそのまま壁に激突したのでした。

 

 『三次元座標における基準点の設定と、空間拡張による道具類の収納について。つまり、アイテムボックスの可能性』。

 

 こうして、白騎士に劣化番の『王の財宝』が追加されたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして数日後。

 

「いけ!!」

 

 気合一閃、叫んだ一夏の背後に七色の光の波紋が浮かび、次々に木の棒が飛び出してきた。

 

「・・・・・・・束、あれはなんだ?」

 

 木の棒なのに、地面に突き刺さる物体を見ながら、千冬は隣で隠れているウサギ耳を引っ張った。

 

「ふみゃゃゃゃ! 痛い痛い痛いよちーちゃん!! いっくんが、リリィさんの能力が欲しいって言うから、開発中の白騎士に組み込んで、作ってみた」

 

 ちょっと自信に満ちた顔の束に、千冬は拳を握り締めた。こいつをどうすればいいか、どう説教してやろうか。その前に、怯えていない堂々とした態度に、ちょっとは成長したかと嬉しくなった。

 

 ただし、その右手がリクの腰に巻きついていなければ、もっと喜んでいたかもしれない。

 

 リクに触っているから、怖いものなんてない。束の顔にはそんなことが書いてあるようでした。

 

「これで、これで俺も高坂を名乗っていいですよね、リク兄さん!!」

 

「え、なんだって?」

 

 リク、思わず聞き返す。

 

「は?」

 

 たまたま、一緒にいた深雪、ちょっと青筋を浮かべていて。どうしておまえが高坂を名乗れる、その程度の強さで何を誇るのか、とか内心で色々と罵倒していそうだが、表には青筋だけにしました。

 

「え、だって僕たちが織斑なのは、高坂を名乗れるほど強くないからって」

 

 きょとんとした一夏に、誰もが困惑して顔を見合わせていると、ゆっくりと立ち去ろうとする影が一つ。

 

「何処行くんだ、千冬?」

 

「グ?! 待て、リク、話せば解る」

 

「へぇ~~~束がやらかしたと思ったら、今度はおまえか? え、何を言った?」

 

「・・・・・・一夏とマドカは、リリィさんと古城さんがママとパパと思っていてな」

 

「そっか、そっか、で?」

 

「めんどくさいから、強さが足りないと教えた」

 

 胸を張って、さすが私という顔をのままでいる千冬に。

 

 リクは無言でとある宝具を抜いたのでした。

 

「待てリク!! それは駄目ではないか?!」

 

「最近になってさ、使えるようになったんだよ。いやいや、母さんからは試しでもダメって言われているけど、今回は許してくれそうだなぁ」

 

「待てリク! 待つんだリクぅぅ!!」

 

「うるせぇ!! おまえまで何してんだよ千冬!! こんなバカは束だけで十分なんだぞ!!」

 

「ふぇぇぇ?! 私はまともだよ!」

 

 思わず、腰に抱きついたままの束の反論に、刀を抜いた千冬と、ドリルみたいな武器を持ったリクは停止して。

 

「一番の馬鹿が何言ってんだよ!」

 

「貴様が最も迷惑をかけているだろうが!!」

 

「ふぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 同時に突っ込みを入れて、ウサギは泣いたそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同じ頃、マドカはというと。

 

「遅くなってしまった。さて、一夏は上手くやっただろうか」

 

 手に持ったボールを回転させながら、足元を叩く。

 

「パパに認めてもらうのだから、頑張るのだぞ、ミラボレアス」

 

 巨大な影は、彼女の合図で大きく咆哮したのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぇ~~~今日もりっくんとちーちゃんは容赦ないよ」

 

 束は涙目で自分の研究室へ戻り、白騎士を見上げる。

 

 ナノマテリアルでの装甲完了、量子武器庫も装備完了。これなら誰が相手でも負けない気がする。

 

 ピコン!

 

「あ、メールだ。ふぇ~~そんな技術があるんだ」

 

 内容を読んだ束は、嬉しそうに笑ったのでした。

 

 『人の精神波による機械制御。そのための精神に反応しやすい物質の生成と構築方法。つまりサイコ・フレームだよ』。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしました、総理?」

 

「いや、とある大統領からなんか色々といわれてな」

 

「はぁ」

 

「いつからうちって魔界みたいになったんだ?」

 

「・・・・・・・高坂古城に連絡を入れておきます」

 

「ああ、頼む」

 

 とある国の政治中枢で、そのトップは胃を抑えて苦笑いをしたという。

 

 

 

 

 

 

 








 さあ、皆さま大好き、サイコ・フレームです。白騎士をユニコーンにするのか、悩むところでございますが。

 高坂家を中心として、徐々に広がるバグとチートの波。

 いったい、何時から白騎士事件が起きないと錯覚していましたか?

 白式が一夏の専用機だと思っていましたか?

 千冬の最初のISが、白騎士だと思っていましたか?

 すみません、まったく考えていません。常に行き当たりばったりなサルスベリです、ごめんなさい。

 では、このあたりで失礼いたします。

 この作品が、皆さまの日常の小さな楽しみの一つになれば、幸いでございます。

 



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