いいタイトル浮かんだらDMくれ(不可能)
「遂に完成したわ。【
「やったぁ! これで別の世界の人を呼び出せるんだ!」というか名前長いね……
「まだ通話できるだけよ」
僕は
と言ったものの、装置が完成しただけで起動実験もまだ何もやってないんだけど。
「先生、早速呼び出しを行ってみてもいい?」
「いいわよ。でも接続先はよく考えてね」
「はい!」
♪ ♪ ♪ ♪
さて、いったいどこへ繋いだものやら。過去の自分は通話した経験がないので多分繋がらないだろう。もし繋がったらタイムパラドックスとか考えなくちゃいけないし。そもそも自分と会話するのはドッペルゲンガーみたいで怖い。
せっかくだから別世界に繋げてみよう。どうなっているか分からないけど。
では早速――。
「――接続開始!」
装置と接続しているコンピューターのスピーカーから、もよん、もよんと得体のしれない音が聞こえる。
「これって接続中?」
「多分そう」
「あっ、何か来た」
画面に変化が訪れた。次いで不規則なノイズが奔り、装置の周囲にバチバチとスパークが発生する。
「これヤバくないの!?」
「うーん、そうね……もう少し経過を見ましょう」
「まるで危機感ゼロ! 僕は逃げるよ……ひゃあっ!」
ぼふん、と巨大な爆発が発生し、周囲に黒い煙を噴き出す。思ったよりは小規模な爆発。確かに爆弾とかは使ってないんだけど、なんか、こう……逆にがっかり。それはそうと、壊れてないよね?
「どうもこんばんは……こんにちはでしょうか? ここは
スピーカーから聞こえる若い女の子の声。煙が多いからって燻製は作ってないよ。真っ先にできるとしたらそれは人間の燻製。換気扇をつけて煙を排除していくと、モニターの中にはアニメーションのようなアバターが浮かび上がっていた。彼女の銀色の髪はまるで絹糸のように一本一本がきらきらと輝き、瞳は月夜を映したかのように静かな美しさを見せる。
「こんにちは、別の世界の方。私の名前はプラ……そうですね、【
名前が複数あるの? ああ、なるほど。バーチャルな世界の人か。それにしてもスモモさんか。見た目以上にかわいい名前、というか日本の苗字なんだ。活動場所は並行世界の日本かな?
「初めまして、僕は
「普通に話していいですよ?」
そう? 初対面だからどうこうとかじゃなくて、バーチャルの人って大体年上だからなぁ。
「
「こちらこそよろしくおねがいします。それにしても別の世界だなんて、楽しみです!」
これは成功なのかな? スモモさんの理解が速すぎて逆にドッキリか何かに思えてくる。そんな暇はなかったけどさ。
「ところでスモモちゃん、いくつか質問いい?」
早速、ヒノワ先生が実験記録を付けようとメモ帳を取り出した。紙のメモは大事よね。大体タブレットで済ませちゃうけど。
「スモモちゃんなんて、初めて呼ばれました! まあ初めて名乗った名前なので当然なのですけれど」
「えっ?」
「いいえ、なんでもありません。ご質問をどうぞ?」
「そう。『次元転送情報伝達装置が接続したとき、どんな風に呼び出しが発生したのか』ってことを聞きたいのだけれど」
「そうですね、この――次元転送情報伝達装置の機能は、”使い魔の召喚”によく似ていますね」
「へえっ?」
唐突にファンタジーが入ってきた。ヒノワ先生が目をぱちくりとさせている。僕もびっくり。別の世界の話ならそういうのもある……かもしれないけど十中八九無い。
「まず通信路が形成されて、繋ぎますか・繋ぎませんかみたいな感じで同意をとって、同意したらここに呼び出される感じで」
「うむぅ。もっと複数の人と通信してみないとわからないわね」
これは理解を放棄したときの顔だ。まあどっちにしろサンプルが一人だけという実験なんてありえないので、後でいろいろと試してみよう。
「それじゃあ僕から次の質問。スモモさんって配信者なの?」
「そうとも言えます」
「曖昧ぃ……【白梅スモモ】でやってるの?」
「いえ、これはコードネームです」
「そうなんだ……」
コードネームって何? 何かの作戦が?
「どんな名前でやってるの?」
「それは……言えません。名前というものは魔術的に重要な側面を持ち、知られることにより不利に立つことがあります」
「いやでもそれで配信者やってるんだよね!? というか本名じゃないならいいのでは」
「あと”この世界の私”がいた場合、安易に名前を出したら存在が統合されて私が死にます」
「何それ怖い」
ヒノワ先生が全然ついてこれてない顔をしている。先生サブカルとか見ないから。僕もこれ以上はついていけそうにないですけどね。
「なるほど、協力感謝するわ。ありがとう――」
おっと。ヒノワ先生が通信を終わらせようとしている。それじゃあ終わったら次の人を呼ぼうか。その前に整備かな?
「待って!」
「何?」
「私は配信者です」
「そう」「まあ見ればそうだろうなと」
「せっかく配信者を呼んだのですから、配信しましょうよ!」
「ああ、なるほど確かに。でも今日は装置の調子が悪いのでまた今度ね」
ヒノワ先生は装置のメーターを調べている。接続状況が悪い? どういう原因なんだろう。
「私は配信するまで帰りませんよ!」
「帰る? いや本当に装置を整備しなくちゃいけないんだって」
装置から煙がプスプス出てきた。
「ほら見て装置。なんかヤバいから。そろそろ切るよ」
「こちらのカメラからは見えませんけれど?」
「今はいいから。ありがとうございました……」
接続終了ボタンを押す。
「……切れない!」
「こちらから通信路をロックさせていただきました。配信しましょうよ」
「怖っ。どんな技術力だ」
接続先が僕たちの世界よりも技術力が高い、ということはちょっと考えてなかった。
しかしその直後にまた画面にノイズが奔る。今度はハード面の問題か?
「先生、どう?」
「んー。また爆発するわね」
「んなフレアみたいな!」
先生に危機感がなさすぎるので、僕が先生を連れて慌てて避難した。
3、2、ドカン!
爆発まで早いよ……。モクモクと煙が出ている元凶を確認すると、通信ケーブルが焼き切れていた。限界以上の情報量が流れたのかな。
「あらら、通信路が閉じちゃいましたか」
えっ、怖い。