ぐだ男君と立香ちゃん   作:雷神デス

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ようやくセイバーオルタ戦終了!
アンケートの結果次に召喚されるサーヴァントはノッブになりました。
さて―――コハエース買わなくちゃ()

*追記
今までずっと主人公の名前を藤丸立夏と書いてましたが、正しくは藤丸立香でした。
タイトルまで修正する羽目になったぜ!本当に申し訳ありませんでした!


立香ちゃんは勝利したい/ぐだ男君はレフが嫌い

「Arrrrrrthurrrrrrrrr!」

 

 

 最初に動いたのはランスロットだった。あのアーチャーから奪っていた剣でアーサー王に迫る。

 それに対しアーサー王は剣から大量の黒い魔力を放出し、薙ぎ払うようにそれを振るう。

 

 

「随分と弱くなったな、ランスロット卿」

 

「―――!!」

 

 

 咄嗟に跳躍し躱そうとするが、それを読んでいたかのようにアーサー王が切り上げるように剣を振う。

 黒い魔力の放出が空中で身動きを取れないランスロットに迫るが、ランスロットは剣を捨て、その剣を足場に加速しその一撃を躱す。

 そして、その勢いのままアーサー王の場所まで落ちていく。

 

 

「rrrrrrrr!!!」

 

「この程度は避けるか。だが―――その程度で打ち取れると思っているなら、貴様は王を舐めすぎだ」

 

 

 敵を捉えられなかった黒の閃光はしかし、それだけでは止まらなかった。

 黒く染まる聖剣が再び、極光を帯びる。

 

 

「さあ、これはどう躱す?」

 

「Gal――ahad――!!」

 

 

 ランスロットが雄たけびを上げ、黒い魔力を相手に防御をする素振りも見せず拳を地に向け構える。

 黒い極光はランスロットを蹂躙せんと迫る―――が。

 

 

「仮想宝具 疑似展開―――!人理の礎(ロード・カルデアス)!!

 

「あれを防ぐか……。その盾を持つに相応しい力はあるようだな、小娘」

 

 

 それをマシュの宝具が防ぎ、マシュとランスロットが同時にアーサー王に攻撃を仕掛ける。ランスロットは拳を、マシュは盾を、全力の力で打ち付ける。しかし、その一撃は……。

 

 

「―――その拳程度で、私を倒せると思ったか?」

 

 

 アーサー王の眼を隠していたバイザーを砕く程度だった。アーサー王の手からジェット噴射のように魔力が放出され、音速を超えるほどの拳が振るわれる。

 咄嗟にランスロットがマシュを突き飛ばし、その拳を受け流す、が。

 

 

「―――!?」

 

「どうした、ランスロット卿。よもや、この程度を受けきれないとは言うまい」

 

 

 受け流した腕の鎧が砕け、生身の肉体が露出する。それを気にも留めず、アーサー王は更なる追撃を加える。

 剣を振る。たった一回振るうだけのそれはしかし、私がいる場所にまで届く魔力の光線……!

 

 

「先輩!」

 

「ッツ、ありがとうマシュ!」

 

 

 咄嗟にマシュが私と所長の前に立ち、閃光を盾で防ぎきる。ランスロットもそれを避け、アーサー王に反撃の一撃を与える。

 だが、それは全く効いている気配が無い。拳が胴体を射貫くが、それは鎧を割ることさえ無かった。

 

 

「なぜ聖剣を出さない。まさか、あの小娘の魔力を気にしているのか?―――馬鹿者め」

 

「Arr……thur……!」

 

「主の言葉が聞こえなかったか?貴様は言われたはずだろう、全力で勝てと」

 

 

 ランスロットに諭すようにそう言いながら、アーサー王の剣が再び輝く。それは先ほどまでと違い、異質な程の重圧感を感じた。

 それに気づいたランスロットだが、しかし避けるにはあまりにも範囲が広すぎる―――!

 

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)

 

 

 ―――黒い魔力が、ランスロットに放たれる。

 

 

「ランスロット!!」

 

 

 思わず叫ぶ。光が消失すると、そこには片腕を失ったランスロットの姿があった。

 

 

『咄嗟にあの宝具を、腕一本犠牲にして避けたのか!?なんて技量だ!』

 

「ロマニ、解説している暇があるならあの宝具の分析でもしなさい!」

 

『了解しました!』

 

 

 このままじゃダメだ。クー・フーリンがいなくなったことで火力の無さが出ている。あのアーサー王を倒すためには、宝具の一撃が必要だ。

 宝具自体は、ある。ランスロットの奥の手、湖の聖剣。しかし、それを使われて自分が意識を保てるかは分からない。

 ―――だが、全力で勝てと言ったのは、私だ!

 

 

「立香 。実は宝具を気絶せず使う手段があったりする」

 

「え、何それ!?なんで今まで教えてくれなかったの!?」

 

「いやー、切り札的なものだからさ?けど出し惜しみする状況でもなさそうだし言うけど―――令呪を使いな、立香」

 

「令呪……?」

 

「そう、令呪。右手にある、それだ。使い方はまだ所長に教わってないだろうけど。君なら使える」

 

「使い方とかは?」

 

「立香なら僕から言わなくても使えるさ」

 

 

 んな無茶苦茶な、と思ったが、なぜかそう言われて出来る気がしてきた。

 

 

「ちょっと藤丸立香!何を独り言してるのかは知らないけど、しっかりマシュやバーサーカーに指示を送りなさい!押されてるわよ!」

 

「あ、はい!……マシュ!」

 

「はい、先輩!待ってました!!」

 

 

 名前を呼ばれ、凛々しく返事をする頼もしい後輩(立場的には先輩なのだけど)。

 大した指示は出せない三流マスターだけど、三流マスターなりにやることはやってやる!

 

 

「ランスロットの前に出て、宝具準備をして私の前で待機!ランスロットはマシュの後ろで指示を待ってて!」

 

「了解です、マスター!」

 

「―――」

 

 

 マシュも、ランスロットも私の指示に従ってくれて私の前に立つ。それを見て、アーサー王は攻撃を止める。

 

 

「……なるほど、ようやく腹を括ったというわけか。いいだろう―――構えろ、盾の娘」

 

 

 あちらもこっちの意図は理解しているはずだ。完全なるカウンター狙い。宝具発動後の隙を狙い、返しの一撃で宝具を当てるシンプルな作戦。

 マシュが防ぎきれなければ私達諸共消し飛ばされ、ランスロットが仕留め損なえばそのまま押し切られるだろう。

 だが、きっとこの作戦は成功する。マシュ達ならば、やれる。

 

 

「先輩。必ず、守ります!」

 

卑王鉄槌、極光は反転する。光を呑め!約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)!!!

 

 

 二回目の宝具。マシュは息を吸い、グッと前を見据え、叫んだ。

 

 

仮想宝具 疑似展開―――!人理の礎(ロード・カルデアス)!!

 

 

 青の光と、黒い光がぶつかり合う。マシュは足を地面につけ、踏ん張る。しかし、それだけでは足りない。距離が開き過ぎている。

 マシュは歯を食いしばり足を前に進める。ほんの一瞬片足を地面から離しただけで押される体に鞭打ち、前へ、前へと進んで行く。

 

 

「おお―――おおおおおおおおおおぉおおお!!」

 

 

 アーサー王の眼が見開かれる。防ぐのは予想していた、だがこの宝具を防ぎながら、歩を進めるとは予想外だった。

 そして、それに追従するように最高の騎士が歩を進める。私は令呪をランスロットに突き出し、叫んだ。

 

 

「ランスロット!令呪を持って、命ずる!」

 

 

 ランスロットの兜から赤い光が漏れる。自身の今の主の言葉を聞き逃すまいとするように、静かに佇む。

 

 

「―――全力で、勝って!!」

 

「―――了承した、我が主よ」

 

 

 一瞬、耳を疑った。今までずっと意味のないような言葉しか発さなかったランスロットが、言葉を口出したからだ。

 そして令呪から魔力がランスロットに送られる。ランスロットの手に、黒く脈打つ反転した聖剣が握られる。

 

 

「A――urrrrrrッ!!」

 

 

 ―――アーサー王の宝具の攻撃が止まるのと、ランスロットが飛び出すのはほぼ同時だった。

 最高のタイミング、最高の宝具、最高のサーヴァント。そしてマシュの盾。それらを以て、今ようやく。

 

 

「―――認めよう。お前達の勝利だ」

 

 

 湖の騎士の刃が、騎士王の体を切り伏せた。

 

 

 

 

―――

 

 

 

「先輩、大丈夫ですか!?」

 

「……なん、とか?」

 

「いつの間に令呪の使い方なんて覚えたのよ……。まあいいわ。これで勝った、わよね?」

 

 

 ランスロットの宝具により体を斬られたアーサー王の身体は徐々に消えていく。アーサー王はフッと笑い、私達を見据えた。

 

 

「知らず、私も力が緩んでいたらしい。最後の最後で手を止めるとはな。聖杯を守り通す気でいたが、己が執着に傾いたあげく敗北してしまった」

 

「は、そりゃ違うぜセイバー。あんたが例え万全だろうと、こいつらはあんたに勝っただろうよ。なんせ、俺が認めた奴らだぜ?」

 

「クー・フーリンさん!無事だったんですね!」

 

「おう、きっちりあのいけ好かない野郎をぶっ倒してきてやった」

 

 

 

 傷だらけではあるが、しっかりと仕事を果たしたケルトの大英雄は笑って私達の所に帰ってきた。

 溜息をつき、アーサー王は口を開く。

 

 

「ふん……そういうことにしておいてやろう」

 

「あんたも負けず嫌いだなぁ」

 

「黙れクー・フーリン。……覚えておけ、グランドオーダー……聖杯を巡る旅は、まだ始まったばかりだという事を」

 

 

 アーサー王の身体が完全に消えていった。ランスロットは、それをただ見ていただけだった。

 それと同じく、クー・フーリンの身体も徐々に光に包まれていった。

 

 

「ッチ、俺もか……まあしょうがねぇ。嬢ちゃん達、こっからはお前らの仕事だ。何があろうと諦めんなよ?次に呼ぶなら、ランサーとして呼んでくれや!槍が無いとどうも落ち着かないんでね!」

 

「うん、ありがとねクー・フーリン!またあなたと会う日を楽しみにしてる!」

 

「おう!盾の嬢ちゃんと、所長さんも頑張りな!ああ、それと―――」

 

 

 チラリ、と私の隣に目を向ける。

 

 

「てめぇも、しっかり守ってやれよ」

 

「……言葉は届かないだろうけど、勿論守るさ。任せてくれ」

 

 

 最後にそう言って消えていった。

 ……完全にばれてたなぁ。

 

 

「……色々と不明な点は多いけど、これでミッションは終了とします。皆、よく頑張ったわ。冬木が特異点と化した原因はどう考えてもあれだし、早く回収してしまいましょう」

 

「はい、聖杯を回収し―――な!?」

 

 

 その時だった。時空が歪み、トン、と一人の男が地面に足をつかせる。

 その男は、どこか見覚えのあるシルクハットをかぶっている男性で―――。

 

 

「いやはや、まさか君たちがここまでやるとはね。計画の想定外にして予想外だ―――しかし、いいだろう。許そう、今回はそれ以上に面白いものが見られそうだ」

 

「―――あなたは」

 

「やあ、先ほどぶりだね。答えは変わったかな?」

 

「―――レフ・ライノール(フラウロス)

 

 

 男の姿を見て、忌々し気にその名前を呼ぶぐだ男を見て。

 私はどうしようもなく、不安な気持ちにさせられた。

 

 

 

 

 

 

 




次回、ぐだ男君のオリ設定が色々と明かされます。
にわか型月なので大分設定が投げやりだけど許して……()

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