ちょっと最近忙しいので更新頻度が下がりそうです
「arrrrrrrr!!」
「……風情の無い英霊だ。騎士が機械を使い闘うとは」
ランスロットが挨拶代わりとばかりにガトリングガンを撃ち続ける。敵のランサーが地面から杭のようなものを出現させ、盾のようにしそれを防ぐが、弾丸は杭を貫通しランサーに迫る。
しかし、ランサーは体を霧のように変化させ弾丸はランサーの後ろに飛んでいった。
「霧への変化……!これは、まさか」
「気づいたか。血塗られし我が逸話の正体に。であれば、隠し立ては必要あるまい」
ランサーの目が赤く光り輝く。口を歪め鋭い牙を露出させ、世界的に有名なそのモンスターは名乗りを上げる。そう、それは夜の支配者にして、ルーマニアの王。
「我が名はヴラド三世。虚構の姿を纏いし吸血鬼だとも。不本意ではあるが、マスターの命令だ。生きて帰れるとは思わぬことだ。」
幾千もの杭がランスロットを襲う。ランスロットは後退しつつガトリングガンでそれらを打ち砕くが、幾らそれらを捌いてもヴラド三世は全く消耗がないように見える。ランスロットもそれは承知の上なのか、ガトリングガンを投げ捨て光の刃を出現させヴラド三世に向かい突撃していく。
ヴラド三世は手に出現させた杭で光の刃を受け止める。一瞬の拮抗の後、杭は断ち切られ続けざまにとどめを刺そうとするが。
「そう簡単にチェックとはいかぬよ」
「―――!!」
背後からの杭がランスロットを襲う。跳躍しそれを避けるが、杭の先端から新たなる杭が生え、空中にいるランスロットを貫こうと迫りくる。光の刃でそれらを切り裂くが、切り裂いた杭が新たなる杭を生み出す地面となる。
必ず仕留めるという殺意を込めた猛攻を凌ぐランスロットだが、そう長くは持たないだろう。
「ランスロット卿、今援護を……ッ!?」
「あらあら、よそ見をしていていいのかしら?」
マシュが加勢に駆け付けようとするが、その隙を逃すまいとバーサーク・アサシンが魔力の弾丸を私に向けて飛ばしてくる。マシュが咄嗟にそれを防いでくれたが、もし数瞬でも遅れていれば私は死んでいただろう。
攻撃されるまで、その気配を感じ取れなかった。これがアサシンの能力か。
「あなたの相手は私よ、お嬢さん。あなたの血はどれほど私を美しくしてくれるのかしら?」
「ぐぅ……!」
マシュに近づき、鋭い爪による近接攻撃を仕掛けてくる。攻撃力は大したことはないようだが、息もつかせぬ連撃に反撃する暇を与えられない。
だが、アサシンが警戒すべきはマシュではなく、もう一人のサーヴァントの方だ。
「はぁっ!!」
「ッ!仮にも聖女がそんな闘い方をするなんてね。少し驚いてしまったわ」
「私は自分のことを聖女だなんて思ったこと、一度もありませんから」
アサシンの背後から白いジャンヌが近づき、旗による突きで襲い掛かる。その攻撃に対応しきれず、少し吹っ飛びうめき声を上げるが、大したダメージを受けている様子はない。
白いジャンヌはマシュの隣に立ち、見るものを奮起させる笑顔で言う。
「焦る必要はありません。相手の攻撃を見定め、反撃の隙を作るのです。私が攻撃を担当します、あなたは防御を。合わせられますか?」
「―――はい!任せてください!」
「ありがとうございます。では、行きます!」
マシュと白ジャンヌが連携してアサシンを攻撃する。数の不利による劣勢に顔を顰めながらアサシンが迎撃するが、攻撃は全てマシュに防がれ、隙を晒せば白ジャンヌによる強烈な一撃を食らうことになる。おそらく、この二人であれば問題無く勝てるだろう。
「ま、こんくらいは簡単に勝てるようにならんとこの先が思いやられるからの。相手の大将が油断して慢心かましてる内にとっととあの二騎を討ち取ってしまえ」
「ノッブは戦わないの?」
「参加せんでも問題なかろう。マシュの方は見ての通りじゃし、ランスロットの方も……ほれ、そろそろ決着がつく」
ランスロットとヴラド三世の闘いは益々激化していた。圧倒的な数の杭をすべて防ぎ切りながら、少しずつ近づいていく。ヴラド三世は少し焦りを見せながらもランスロットを近づかせないよう杭による迎撃を繰り返しているが杭の攻撃に慣れたのか、苦もなくそれを捌きながら、杭を足場にさえしながらヴラド三世の喉元に近づいていく。
「arrrrrrrrrr!!!」
「……なるほど、認めよう。貴様は私が思っていた以上の騎士のようだ」
杭の生成を止め、大きく後ろに下がるヴラド三世。その行動に警戒し、すぐに攻撃しようとはせず立ち止まるランスロット。両者の間に緊張した空気が流れる。
先に動いたのはヴラド三世だった。右手を挙げ、高らかにその名を唱える。
「我が血に濡れた生涯をここに捧げよう。さあ、この宝具を捌き切れるか、湖の騎士よ!
幾千、いや幾万の杭がランスロットを襲う。その攻撃範囲は私やマシュ、そして味方であるはずのアサシンにまで及んだ。
「よっと。おいマスター、ぐだ男。あまり近づくでない、こういうことが起こりうるからの」
「ご、ごめんノッブ!ありがと!」
「この規模からみて、対軍宝具かな。オスマントルコ兵を串刺しにした逸話が宝具となったものか」
「儂の宝具と同じようなものか。味方も纏めてとは、連携が全く取れんと見える」
ノッブが私とぐだ男を抱えながら、あまり使ったところを見たことがない刀で杭を切り払う。ランスロットの方に杭は集中しているので、私たちへの攻撃はおまけのようなものなのだろう。白ジャンヌはマシュの盾によりダメージを受けておらず、マシュ自身もその防御力で防ぎ切っている。しかし、味方であるはずのアサシンは杭の攻撃を食らったのか、顔色を悪くして腹の辺りに滲んでいる血を押さえていた。
「ぐっ……!」
「これだから狂戦士というやつは。平時なら、というよりまともなサーヴァントとして召喚されていればしっかり宝具をコントロールしていたじゃろうに」
「バーサーク・サーヴァントってやつだよね」
「うむ。狂化を無理やり付与なんぞするから、技量も下がり判断能力も鈍る。そんなもの幾ら数を並べても碌に連携もとれまい。それも、あんなサーヴァントであるならなおさらの」
「まあ、一部技量が下がらない例外がいるけど。あそこにいるバーサーカーとか」
斬り、砕き、打ち払い。先ほどよりも遥かに速いペースで襲い掛かる杭を、新装備を駆使し退けていく。中世の騎士がSFチックな装備で戦っている様は少しだけシュールだが、初めて使うであろう武器を何の苦もなく使っている様はランスロットのスキル無窮の武練による効果だという。精神的デバフにかかっていようと何の問題もなくその技量を振るえるという、特定状況下においては絶大な効果を発揮するその時代において無双ともいえる活躍をした英雄にのみ与えられるスキル。
それをもって、彼は剣以外の近代兵器でさえ自分の手足のように扱っていた。しかし、それも限界が来る。
「―――――」
「さあ、どうする湖の騎士。もう逃げ場は無いぞ。その剣で打ち払おうとも、天高く飛ぼうとも逃がしはせぬ。さあ―――覆せるものであれば、覆してみるがいい!!」
ヴラド三世が手を振ると共に、周囲を囲んでいた杭が一斉にランスロットに襲いかかる。思わず令呪を使おうとするが、ぐだ男に手をつかまれ静止される。しかし、この状況をなんとかする術なんて―――。
ドン
大地を揺るがすほど大きな銃音が響く。まるで大砲のようなその音は、ランスロットが背負っていた巨大なキャノン砲から発されたものだった。
発射された銃弾は、杭の包囲を貫通し―――ヴラド三世の胸に巨大な穴を開けていた。
「な……に……?なぜ、霧となれぬ……!これは、まさか……!」
『その通り。そのキャノン砲は対使死徒用に作られた銀の弾丸を使った武装さ。ぐだ男君に頼まれて作ったけど……最高の場面で効果を発揮してくれたようだね?』
杭が消え、ヴラド三世が膝をつく。しかし、まだ消滅する気配はない。普通であれば死ぬほどの重傷だが、何かスキルの効果が働いているのだろうか。
ヴラド三世は忌々し気に自分の身体を見る。
「おのれ―――忌まわしきあの宝具の効果さえなければ、このようなことにはならずに済んだのだがな。不甲斐ない」
血を吐くような憎悪を込めそう言うヴラド三世は、重傷の身体でありながら飛び上がり、ワイバーンの背に乗る。
アサシンも同様に傷を負ったためか、撤退することを選んだようだった。
「―――はぁ。判断を誤りました。あなた達に任せるべきではありませんでしたか」
「待ちなさい。私が攻撃を受けたのはそちらの見境い無い攻撃をした男のせいなのだけど?」
「貴様が血に拘りすぎるあまり、手加減をしたのが原因だろう。なぜ宝具を使わなかった。それさえ使えばもう少し善戦できていたはずだが?」
「黙りなさい。あなた達に私の決定に対し反論する権利などありません。それに……ゴミ虫と思ってはいたけど、野犬くらいにはやるようです。であれば、私たちも少々本気を出すとしましょう」
黒いジャンヌが味方のサーヴァント2騎と共に、ゆっくりと近づいてくる。おそらくすでにあちらに慢心はない。宝具を惜しみなく使ってくるはずだ。
マシュがチラリとこちらを見る。このまま戦っても、消耗している私たちで勝てるかは微妙だ。さらに相手の戦力もまだ明らかになっていない。私は頷き、叫ぶ。
「総員撤退! 態勢を立て直そう!」
「逃がすと思っているのかしら?」
黒い炎が私たちの行く手を阻む。これは、やるしかないか……!?
そう考えた直後に、どこからか美しい女性の声が響いた。
「
「な―――!?」
「ガラスの馬車ぁ!?」
その声と共に、車体や馬までもがガラスでできた美しい馬車が、私たちと黒いジャンヌの間に割り込むように突進をしてくる。
その運転手である少女は、薔薇のような笑顔を浮かべ言う。
「初めまして、皆さん。あなたが誰なのかは知っているし、とても怖いのだけれど―――あなたがこの国を侵すというのであれば、私は戦わなければいけません」
「―――ヴェルサイユの華。マリー・アントワネット王妃。こんな状況でなければ、諸手を振って喜んでいたのですけどね」
「マ、マリー・アントワネット王妃!?」
「はい!ご紹介ありがとう!そして、あなたの出番よアマデウス!」
「まったく、おてんばな運転だなぁ!だけどナイスだマリー!さあ、僕からも一発良いの喰らわせてあげよう!聞くがいい、魔の響きを!
その場所に乗っていた黒服を纏った金髪の男が、幾人もの演奏家を出現させ聞くもの全ての能力を下げる演奏を行う。黒のジャンヌは鬱陶し気に耳を塞ぐ。
「面倒な宝具を……!!」
「いやぁ、そう言ってくれると嬉しいね!僕みたいなサーヴァントにも使い道はあるってことさ!さあ、乗ってくれ君たち!さっさとしてくれないと、僕の宝具が効きづらいやつが追ってくるぞ!」
「ぐだ男、マシュ、行こう!」
「はい!」
「了解!」
ぐだ男の手を取り、馬車に乗り込む。ランスロットとノッブは馬車の屋根に上に立ち、追い撃ちとばかりに弾幕を張り追ってこれないようにする。
最後に後ろを見てみると、憎悪の炎を目に宿らせた黒いジャンヌが、去っていく私たちを鬼のような形相で睨んでいた。
「……あれがデレデレになるんだから主人公ってすごい」
「ん?何か言った?」
「いんや何も~」
そんなこんなで、謎のサーヴァント達の協力もあって私たちは逃げきれたのであった。
二次創作者の心強い味方ダ・ヴィンチちゃん。
これからも色々と発明していただきます()