「ん~、美味しい!」
「あんまり甘いもの食べると太るよ~?」
都内の有名なケーキ屋で買ったチーズケーキ、噂に違わず頬が落ちるくらい美味しかった。
デリカシーの欠片も無い余計なことを言うぐだ男の言葉は無視して、今日もバイトと学業を頑張った自分のご褒美にと口の中一杯に広がる甘い香りを堪能する。
「羨ましいな~。俺もそんなの食べたいんだけど」
「ぐだ男は食べれないから仕方ないでしょ。ほら、匂いだけでも嗅ぐ?」
「余計に食べたくなっちゃうからいらないや」
ぐだ男は基本的に何かに干渉したりはできない。私が触ろうとしてもすり抜けるし、壁にぶつかったとしてもふよふよと通り抜けてしまう。
それが利点になることも多いのだろうが、本人としては不便なようだ。まあ、何かを食べることも触れることもできないので娯楽品を味わえなくなると思うと、当たり前だろう。
「なんとか実体化する方法を探さないとなぁ。ずっとこの姿だとやっぱり不便だ」
「人形とかに取り憑いたりできないの?幽霊なんだし、それくらいできるんじゃない?」
「できたらもうやってるよ。試したけどすり抜けるだけ」
「へー。不便なんだね」
「あと試してないことと言えば~……」
うーん、と悩んだ後あっと声を出し、私の方を見る。なんだか嫌な予感がした。
「人に憑依するとかは試して無かった!一回試してみようか」
「ちょ、それ実験台私?」
「うん、君しかいないし。それじゃ、レッツトライ!」
本人の了承も無しに私の体に突っ込んでくるぐだ男。
おなかの方に半透明な男が突っ込んでくる異様な光景に思わず少し後ずさろうとするが、身体が動かない。私の体が言うことを聞かず、勝手に右手を上げたりしてる。
「おお、成功だ!」
「(勝手に人の身体乗っ取らないでよ!?)」
「わぁ、身体の中から声が聞こえてくる!不思議だなぁ。あ、そうだ」
なんとこのバカ幽霊は、私の買ってきたケーキを食べ始めた。身体を乗っ取られた私にケーキの味は伝わらない。どうやらこの状態だと、味覚とかは全部ぐだ男の方に行ってるようだ。
「わ、美味しい!立香がパクパク食ってたのも納得だね。うまうま」
「(ちょっと、太るでしょ!そんなに食べないでよ!)」
「さっきまで僕がそれ言っても食べるのやめなかったじゃん」
「(自分が食べた物で太るのと他人が食べた物で太るのは全然違うのよ!)」
「そういうもんかな。まあ美味しかったし返すね。……あれ?」
「(え、どうしたの?)」
突然無言になり、ばたばたと私の身体を動かすぐだ男に不安を覚える。ぐだ男はしばらく動いた後、頷いて言った。
「戻り方分かんないや!」
「(ちょっと!?)」
その後、暫く試行錯誤した後にようやく戻れた。もう身体は貸さないと心に誓った。
――――――――――
冷たい、冷たい、冷たい。
今日もまた筆箱を隠されたり、机に落書きをされたりした。
前まではそれでずっと泣いてたけど、今はぐだ男が筆箱を探し出してくれたり、慰めてくれたりするから笑顔でいられた。けどそれが気に入らなかったらしい。
まさか、トイレに入ってる途中に水をぶっかけるとかいうのを現実でやられるなんて思わなかった。
替えの服なんて持ってなかったから、冬だというのにびしょぬれで帰らなくちゃいけなかった。
冷たいのは嫌いだった。父さんと母さんが棺に入ってるときの肌の温度を思い出してしまうから。あの時の光景が蘇って、クスクスと笑われる自分が惨めで、泣きそうになった。
「(……あれ?)」
急に冷たい感触が無くなった。前と同じ感覚がして、いつの間にかぐだ男が私の体に乗っ取ったのだと分かった。ぐだ男が体を使ってる間は、私は何も感じない状態でいられるけど、ぐだ男がその代わりに感じてしまう。
「(やめなよ、ぐだ男。寒いでしょ?)」
「平気平気。俺、寒いの好きなんだ」
私の顔に似合わない、ニコニコとした能天気な笑顔を浮かべながら歩いていく。
それが気に入らなかったようで、彼女たちはどこかに行ってしまった。
「帰ったらお風呂入ろうか~。冷えた体を温めるのは気持ちいいよ~」
「(……覗かないでね?)」
「覗かないよ!変態扱いはやめてよもぉ」
今は何も感じないはずなのに、なんだかほんのり暖かかった。
ニ騎目のサーヴァント、誰がいい?
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佐々木小次郎(セイバー)
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織田信長(アーチャー)
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マンドリカルド(ライダー)
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岡田以蔵(アサシン)
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アンリマユ(アヴェンジャー)