遅くなって誠に申し訳ありませんでしたぁ!
今回はサクサク行きます。
『気を付けて立香ちゃん!そのサーヴァントも他のサーヴァントと同じようにバーサークサーヴァントのようだ、気を抜くと一気に負ける可能性もある!』
ドクターロマンが焦る声でそう言うと同時、ノッブの火縄銃が火を噴き、ランスロットが近くの兵士から槍を奪いバーサーク・ライダーに攻撃を仕掛ける。
しかしノッブの銃弾はバーサーク・セイバーの剣技により弾かれランスロットの攻撃は地面から生えた杭により防がれる。
「君の相手は僕だ、アーチャー」
「げぇ!?相性悪い奴ぶつけてきおったか。騎乗がありそうなだけマシじゃが……立香、悪いが少し時間をかける」
「さて、湖の騎士よ。少し早いが再戦と行こうか。まだ先の傷は癒えぬが、夜は我の領域だ。今度はそう上手く行くとは思わぬことだ!」
「rrrrrr!」
ランスロットの刃、バーサーク・ランサーの杭、バーサーク・セイバーの剣、ノッブの刀、四つの刃が月夜の下に火花を散らせぶつかり合う。
二人とも、隙あらば私を狙おうと牽制をかけてきている上、ノッブの宝具は混戦だと味方を巻き込む可能性がある。
「ぐだ男、二人抜きで彼女に勝てると思う?」
「立香次第だね。けど、多分もうやることは決まってるんじゃないの?」
「一応確認取りたかっただけ!それじゃ……二人とも!兵士の人や私を巻き込まないように、少し遠くで戦って!」
ノッブはニヤリと笑い、火縄銃を二人の周囲に展開し、巧みに誘導していく。
バーサーク・セイバーとバーサーク・ランサーもその誘導にあえて乗るかのように私達から離れて行った。
「多少兵法が分かるようになってきたようじゃの、立香!そら、おぬしはこっちじゃ男か女か分からん奴!」
「あまりその呼び方は好かないけれど、ライダーの願いだ。バーサーク・ライダー。ここは任せたよ」
「ええ、あなた達の闘いが終わるまでには決着をつけましょう」
最も戦闘力が高いサーヴァント二騎がいなくなったことで、今いるこちら側のサーヴァントはマシュ、マリー、アマデウス、ジャンヌ。
それに対してバーサーク・ライダーは一騎だけだというのに、その気迫はこちら側が追い込まれていると思ってしまう程に強かった。
「おいおい、こりゃ不味いんじゃないか?こっちの強いのを抑えられちゃったぜ」
「それでもこの場にいるサーヴァントは4人。数の上では有利です!」
「マリー、忘れちゃいけない。その4人は僕と君とサーヴァントになって間もない新人、唯一頼れる戦場のプロも今は魔力がカツカツだ。それに、こういっちゃなんだがマスターである彼女の魔力は一般的な魔術師よりも低い。幾らカルデアからのバックアップとかいうのがあったって、三体も、それもそのうち一体はバーサーカーともなればこれ以上の契約は困難。まあ要するに……結構ピンチってとこかな」
「説明ありがとう、アマデウス。けれどピンチだからって諦めるわけにはいかないわね!」
「おしゃべりは終わりかしら?」
バーサーク・ライダーは錫杖を掲げる、それと同時に何匹ものワイバーンが私達に向けて火炎の息を吹きかける。
「先輩、ぐだ男さん!」
マシュがそれを防いでくれるが、炎の中を突っ切って近接していたバーサーク・ライダーが振り抜いた錫杖がマシュを盾ごと吹き飛ばす。
続けざまに私達に向かい錫杖を振るが、その攻撃はジャンヌさんの旗により防がれた、が。
「弱いわね、聖女ジャンヌ・ダルク」
「くっ……!?」
「わっ!?」
力で競り負け、私達を巻き込んで後方に吹き飛ばされる。
このままじゃ不味い、完全に力負けしている。
「あんまり闘いは得意じゃないんだけどな!」
「ならば黙っていなさい、音楽家。あなたの下品な曲は聞くに堪えない」
「ああ、
軽口を叩きながらも繰り出されたアマデウスの指揮棒から放たれた魔力の塊はバーサーク・ライダーの動きを牽制する。
その間になんとかジャンヌと共に起き上がり、この状況をどうにかする策を考える。
「さて、どうしようかこれ……!ちょっと思った以上に戦力差がでかい気がするなぁ」
『魔力の攻撃だけじゃなくて、近接戦闘まで強いだなんて想定外だな!こうなったら二人の闘いが終わるまで耐えて、戻ってきたらそのまま数と質で押しつぶすしか……!」
「ロマン、それじゃダメだ。彼女とは、俺達だけで決着をつけなきゃならない」
ぐだ男は珍しく好戦的な意見を口にし、暫く考え込んだ後私を見る。
「立香、ジャンヌさんと仮契約するだけの魔力は残ってる?」
『な……!?無茶だぐだ男君!立香ちゃんの魔力容量じゃ、4騎の同時運用なんて不可能に近い!ただでさえ燃費の悪いバーサーカーがいる状況で、更に数を増やすなんて!』
ぐだ男の眼を見る、人形なので瞳とかは無いのだけれど、その眼は私のことを案じながらも信じている、いつも勇気をくれるあいつの眼そのままだった。
溜息を吐き、ニヤリと不敵に笑って見せる。
「ぐだ男は私がそれをやれると思ってるんでしょ?ならやるよ。ランスロットも今は私のことを気遣って戦ってくれてるみたいだし、多分行ける!」
「……本当にいいのですね? 藤丸立香さん」
「うん、不甲斐ないマスターだけど任せて!マシュ、アマデウス、マリーさん!時間を稼いで!」
「了解です、マスター!」
「ええ、任せてちょうだい!五秒くらいなら稼げると思うわ!」
「僕は三秒も稼げる気がしないけどね。ま、合わせれば八秒だ、なんとかなるだろう!」
以前クー・フーリンと契約を結んだ時のことを思い出しながら、初めの一言を口に出す。
「―――告げる」
令呪が描かれた手が焼かれるような感覚と共に、疲労感が押し寄せるがそれを堪えて詠唱を続ける。
「無理をしてでも勝ちに行く姿勢は評価しましょう。けれど、敵の強化を許すほど私は甘くない!」
「敵に強化を邪魔させるほど、私達も甘くは無いです!」
マシュの盾がバーサーク・ライダーの錫杖とぶつかり合う、やはり相手の方が力量は上だがそれでも必死に食らいついてくれている。
アマデウスとマリーの歌と演奏を鬱陶し気に打ち払いながらも、ついにその杖の矛先がこちらを向く。
「終わりよ、一手遅かったわね……!」
「マスター!!」
『立香ちゃん、ぐだ男君!』
私の目の前に、魔力の渦が発生する。間に合えと願いながらも、その魔力の渦は弾けて―――。
「ごめん立香、少しの間だけ借してくれ」
ほんの一瞬、人形からではなく幽体となったぐだ男の声が聞こえると同時に、私の左手は魔力の渦に手を向ける。
たったそれだけの動作で、その魔力の渦は空間が切り取られたように消滅する。
力を失ったようにぐだ男の人形が私の肩からポトリと落ちる、それを自由になった左手でなんとか受け止めながら、ようやく契約が成された。
「その力は……!? ……ならば、もう一度!」
「いいえ、もうやらせはしません」
再び魔力の渦が出来上がる、しかしそれはさっきよりも早く打ち払われた。
ジャンヌが旗を振るっただけで、バーサーク・ライダーの攻撃は打ち払われた。
「感謝します、マスター。あなたのおかげで、体中から力が漲ってくるようです!改めて、ルーラー・ジャンヌダルク。あなたと神のために戦うと誓いましょう!」
「うん、間に合ってよかった……ってそうだ!ぐだ男、大丈夫!?」
「だ、大丈夫。大丈夫だから、今は敵に集中して!」
ぐだ男に言われ、バーサーク・ライダーを見る。彼女はジャンヌを見て、少し微笑んでいるように見えた。
しかしすぐにその顔は歴戦の戦士のように鋭く、そして明確な敵意を持った眼に変わる。
「……そういうことなのね。私はきっと、このために呼ばれたのでしょう」
急に地面が揺れる、それは今まで感じたことも無い程大きく、地震が多い日本でも味わったことのない程の、立っていられない程の地響き。
何事かと地面を見て、すぐにその正体に気づく。この揺れの正体は――!
「闘いましょう、ジャンヌダルク。我が真名はマルタ。バーサーク・ライダーとして召喚された、あなた達の試練となる存在!」
『マルタ、聖女マルタだって!?気を付けてくれ、皆!聖女マルタはかつて竜種を屈服させた英雄!つまり彼女はライダーとして最上種―――ドラゴン・ライダーだ!』
「さあ、来なさい―――
ドクター・ロマンの声と同時に、地面から出現した亀のような甲羅を背尾った獣のような竜は、確かな殺意を持って私達を睨みつける。
私は深呼吸をし、本気を出した聖女マルタを見すえる。
「皆、やろう!」
私が大声を出すと同時に、マルタとの決戦が始まった。
――――――
「ぐっ!?この巨体でなんてスピード!」
「マシュと私はタラスクとマルタの相手をします!マリー・アントワネットとアマデウスは兵を守りつつ、援護を!」
「ええ、分かったわ!アマデウス、もう少し頑張りましょう!」
「泣くほど嫌だが君の頼みであれば仕方ないね!惚れた弱みという奴だ、全力でやってやろう!」
マルタが呼び出したタラスクは、ジャンヌとマシュの二人がかりでも簡単に打ち破れるものでは無かった。
マリーとアマデウスの援護でなんとか戦えているが、それでもこのままではジリ貧だ。
私の魔力が不甲斐ないばかりにみんなに苦戦を強いていることに悔しさとやるせなさを覚えるが、立ち止まってばかりはいられない!
「マシュ、一気に行くよ!」
「はい、先輩!」
ダヴィンチちゃんが作ってくれた秘密兵器は、ランスロットのごちゃ混ぜシリーズ(正式名称は長いから忘れた)のほかにもう一つある。
私が今着ているカルデアの制服に仕込まれている、三つのサーヴァント支援機能、『応急手当』『瞬間強化』『緊急回避』。
カルデアのマスター全員に配られていた物とデザインは同じだが、へっぽこマスターたる私のためにダヴィンチちゃんが改良してくれた即興魔術!
「ジャンヌさん!」
「ええ、合わせます!」
『瞬間強化』により筋力のステータスをランクアップさせたマシュの盾と、ジャンヌの旗が同時にマルタに襲い掛かる。
これなら、少しはダメージを与えられるはずだ!
「なるほど、少しはやるようです。ならば―――
宝具の真名開帳、それによりタラスクが瞬間移動のような素早さでマルタの前に盾となり現れ、二人の攻撃を防いだ。
甲羅には全くダメージが入った様子はなく、その目はまだまだ健在であることを示している。
「これでも攻め切れないのか……!」
「宝具も使わぬ攻撃で、タラスクを突破できるとは思わないことです。……ですが、あまり時間をかけてもあちらが終わってしまうでしょう。一気に決めさせてもらいましょう」
タラスクの身体が白く輝き、周囲を照らし浮かび上がる。
今までとは違う攻撃―――さっきの防御型とは違い、攻撃に特化させた宝具!
『皆、気を付けてくれ!この反応、強力な宝具が来るぞ!』
「マシュ、宝具を!」
「はい!所長、私に力を……!真名偽装登録―――宝具展開!」
「星のように―――
タラスクが回転しながらものすごい勢いで迫ってくる、大質量のドラゴンを高速でぶつけるシンプル故に恐ろしい威力を持つ鉾を前に、マシュは息を吸い込んで。
盾に魔力を集中させ、頼りになる後輩は自身が持てる最大の盾を展開した。
「
マシュの宝具はタラスクの一撃を受け止める、その衝撃は凄まじく遠くで見ていた兵士達も怯えている程だった。
なんとか防げてはいるものの、タラスクはその盾を打ち破ろうと回転を続け、ジリジリとマシュが押され始めている。
このままでは―――
「マスター。宝具の開帳を許してくれますか? 私の宝具は防御に秀でています。マシュと合わせれば、マルタの宝具を完全に防ぎ切れるでしょう」
「本当!?なら、すぐにでも!」
「ですが。あなたは今、合計四騎のサーヴァントを扱っています。それに加えて私が宝具を使えば、今までよりも遥かに大きい負担がかかるはず。事実、今もかなり疲弊している」
『そうだ、今君は前代未聞の四騎同時使役をしている。この状況で二人同時に宝具展開なんかしたら、令呪を使ったとしても耐えれるかどうか……!』
「うん。念には念を入れて、令呪二画で行くべきだ。立香の負担を減らすためにも」
ぐだ男の助言を聞いて、ほんの一瞬だけ考える。
たしかに私は大分疲れてる、体がすごく重いし息切れしてるし、こんな状況でも無ければ寝転がりたいくらいには。
そんな状況で宝具を更に使うなんてすれば、負担に耐え切れずに気絶する可能性が高いだろう。
令呪を使った方が安全だというのは分かる―――けど。
「令呪は使わない!ジャンヌさん、宝具を使って!」
「立香、それは―――」
「たしかに令呪を使った方が確実にその場を凌ぎ切れると思う。けど、きっとこの先でマルタさん以上の敵や、最後にはあの黒いジャンヌが待ち受けてる」
ここで楽をするならば、令呪を使うべきだというのは分かっている。
けれど、こんなところで足踏みして切り札を使うようでは、この先の戦いを勝ち抜けない。
何よりも、彼女―――マルタは私の思いの強さを見極めている気がした。
令呪に頼らず、自力で耐えてみせることで彼女を認めさせられるのだとしたら!
「それに私が負けず嫌いなの、知ってるでしょ?さあ、行くよ!」
「立香……分かった。けど無理だと思ったらすぐに令呪使ってね!?魔力切れはマスターの死亡要因の一つなんだから!」
「……あなたの覚悟は分かりました。マスター、あなたに敬意を」
ジャンヌの旗が光輝く、それは救国の聖女により与えられる天使の祝福、あらゆる攻撃から味方を守る神の御業。
「主の御業をここに。我が旗よ、我が同胞を守りたまえ!
―――光が周囲を包み込む
それと同時に、私は魔力の使いすぎで碌に立っていられなくなり、ペタリと座り込みそうになって……それを予想してたかのように、あきれ顔のぐだ男に受け止められる(受け止めるというよりはクッションだったけど)。
またマシュに心配かけちゃうな、なんて思いながらも、ぐだ男の心地よい暖かさに負けて私は意識を閉ざした。
「―――よく、頑張ったわね。ジャンヌ・ダルクと、そのマスター」
最後に聖女としてのマルタの声が、かすかに聞こえた気がした。
漫画版読みながら書いてたので大分漫画版寄りの展開になってしまった。
『Fate/Grand Order‐turas realta‐』
皆も買おう、面白いぞ!(露骨な宣伝)