ぐだ男君と立香ちゃん   作:雷神デス

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何故いるのだろうかこの人


ぐだ男君はシルクハットが苦手/立香ちゃんはぐだ男君と一緒にいたい

 

「いやー楽しみだな。ありがとね立香!」

 

「ちゃーんと約束は守ってね?」

 

「勿論!やるのが楽しみだなぁ!」

 

 

 今日は珍しくゲーム屋に来ている。なんでもぐだ男がどうしても欲しいゲームが出たらしく、何度もお願いしてくるので私の体を使って家の家事をやらせるという条件でゲームを買ってあげることにした。

 最近は体を使われるのは割と慣れて、ぐだ男が体を動かしてる間はゆっくり休むことにできる。……実は時々私の代わりに授業に出てもらってるのは内緒だ。

 

 

「それにしても、それ面白いの?カードゲームみたいだけど」

 

「面白いよ、英雄史大戦!やったことないけど!」

 

「英雄とかは、私あんまりわからないなぁ」

 

 

 なんでも、一度はやってみたい!とずっと思っていたゲームらしい。

 簡単にルールを聞いてみたけどチンプンカンプンだったので私はあまり興味無いが、ぐだ男が楽しそうに私の周りを飛び回っているのを見ているとつい私も嬉しくなった。

 けど、ぐだ男を見ていたからかつい前をちゃんと見ておらず、歩いている途中に誰かの背中にぶつかって転んでしまう。我ながら間抜けな転び方で、服が少し汚れてしまった。

 

 

「あ、す、すいません!」

 

「ああ、構わないよ。怪我はないかい?」

 

 

 その人は、シルクハットをかぶった紳士的な人だった。人の好さそうな微笑みを浮かべ、ぼさぼさの赤みがかった長髪のおじさん。いい人そうだな、と思った。

 

 

「はい、大丈夫です。えと、ほんとすいません、こっちの不注意で」

 

「謝ることはないさ。避けれなかった私にも非は……ん。おや、服が汚れてしまったようだね」

 

「あ、これくらい大丈夫ですよ。慣れてますし」

 

「慣れている?しかしレディの服を汚してしまったままとなると、こちらも申し訳ない。ついてきてくれるかな?違う服を見繕うよ。勿論、代金は私が出すさ」

 

「え、いやあの」

 

 

 ぶつかってしまった挙句、服を買ってもらうなんて、と戸惑っているとぐだ男が耳元まで近づいてくる。

 

 

「立香、ついていっちゃだめ」

 

「……?」

 

「いいから。早く帰ろう」

 

「……えと、すいません!私用事があるので、また!」

 

 早口でそう言って、紳士風な人の横を駆け抜け帰路につく。

 失礼なことしたな、と思ったがぐだ男がこうやって助言をする時はいつだって正しいことばかりだった。あの人には悪いけど、今日はぐだ男に従って家に帰ろうとする。

 しかし、彼の横を通り抜ける途中に腕を掴まれてしまった。

 

 

「なに、そう時間は取らせない。非礼を働いてしまったんだ、せめてそれくらいは―――!」

 

 

 気が付けばぐだ男が私の体を使い、捕まれていた手を強引に引き離していた。

 ぐだ男は今まで見たことない眼で男を見ると、そのまま走って家に向かって走り出した。

 

 

 

 

 

「……ほう。存外面白いものに出会えたな」

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

 

 ぐだ男は帰った後すぐに玄関の鍵を閉め、カーテンを閉めてソファに座り込んだ。

 私の体から離れた後、重い口調で言葉を発した。

 

 

「立香。あの人とは、関わっちゃいけない。きっと碌なことにならない」

 

「……いきなり言われてもわからないよ。事情を説明してよ、ぐだ男」

 

 

「それ、は……」

 

 

 ぐだ男は口を閉じ、真剣な顔で悩み始める。それは私に真実を話していいのか迷っているように見えた。

 うんうんと唸っているところを見て、ため息をつく。

 

 

「はぁ、もういいや。私に知られると不味いかもしれないことなんでしょ?」

 

「……ごめん」

 

「別に?ぐだ男がなんか隠し事してるのはこれに限ったことじゃないし」

 

 

 ぐだ男は何かを隠しているのは分かっていたし、それを喋りたくないのも分かってる。多分あの男のことも、私に喋りたくないことに関係しているのだろう。

 私もぐだ男には喋りたくないことも幾つかあるし、しょうがないことだと思う。けど。

 私に心を許してくれていないようで、少しだけ悔しかった。

 

 

「はい、話は終わり!ほら、約束通り家事ちゃんとしてね!ゲームはそれから!」

 

「あ、忘れてた。えーと、洗濯と掃除と料理と~」

 

「お風呂は私が入るからね?絶対覗かないでね!」

 

「はいはい」

 

 

 お互い話辛いことがあったら、すぐに話を逸らす。こういうところが似てるから、私はこいつと上手くやれているのかもしれない。

 今はダメでも、いつかは話してほしい。いつかこいつが私に全部話してくれるようになるくらい、ぐだ男に信頼されたいな。

 

 

 

 

 

 

―――――――

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、立香。変な質問していい?」

 

「ん~?」

 

 

 掃除や洗濯、ゲームも終わり寝ることになる夜、ぐだ男がまた変なことを言ってきた。

 

 

「変なことを言うのはいつも通りじゃん。それで、何?」

 

「……もしも、この世界が終わるとして」

 

「いきなりすごいスケールになったね」

 

 

 仮定からすごい設定で少し驚いた。またいつもの冗談かな、とも思ったけどぐだ男の眼は真剣だった。だから私も、真剣に考えることにする。

 

 

「立香が頑張れば、世界を救える。けど、その頑張ることはすごく辛くて、死んじゃった方が楽かもしれないと思うかもしれないほど過酷で残酷だ」

 

「うん」

 

「もし頑張って世界を救っても、立香を恨む人が出てくるかもしれない。立香は悪くないのに命を狙われるかもしれないし、謂われない罵倒を言われるかもしれない」

 

「うん」

 

「……立香は、世界が滅びるのと自分が辛い思いをするの。どっちかを選択しなきゃならない時、どっちを選ぶ?」

 

 

 少しだけ、考えて。一番重要なことを聞いていないので、質問する。

 

 

「ねぇ、ぐだ男。世界が滅びると、ぐだ男と一緒にいられなくなる?」

 

「そう、だね。一緒にはいられないかな、きっと」

 

「世界を救うために頑張るのって、ぐだ男が一緒にいてくれる?」

 

「……うん、いるよ。絶対に、立香と一緒にいる」

 

「なら、世界でもなんでも救っちゃうかな~」

 

 

 辛い思いをするのはもちろん嫌だ。前までなら、もしかしたら世界が滅びようとそれを選ばなかったかもしれない。けど。

 

 

「ぐだ男と一緒なら、辛いことだって楽しい思い出になるから」

 

「……そっか」

 

 

 

 

 ぐだ男は優しく微笑んで、私の頭に手を置いた。

 触れないのだけれど、少しだけ心が温かくなった気がした。

 





多分次回辺りでようやくカルデア

ニ騎目のサーヴァント、誰がいい?

  • 佐々木小次郎(セイバー)
  • 織田信長(アーチャー)
  • マンドリカルド(ライダー)
  • 岡田以蔵(アサシン)
  • アンリマユ(アヴェンジャー)
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