ぐだ男君と立香ちゃん   作:雷神デス

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ランキング順位がすごいことになってる……


やっちゃえバーサーカー!

 藤丸立香です。気絶して起きたら召喚したサーヴァントが正座してました。

 あと、召喚した時は出てた黒い霧も今は出てないみたいです。

 

 

「いいですか、バーサーカーさん!先輩はついさっきマスターになったばかり、それに魔力量も少ないのです!あなたが魔力を持っていこうとするとすぐに気絶しちゃうくらい少ないんです!そこのところをちゃんと理解した上で戦ってください!いいですね!」

 

「rrrr……」

 

「……これが、この情けない姿がサーヴァント……」

 

「あ、おはよう立香。なかなか面白いことになってるよ~」

 

「うん、だろうね。見れば分かるよ」

 

 

 とりあえずぐだ男に色々言いたいことはあるのだが、それは後にしよう。今はいてくれるだけで心強い。

 さて、とりあえず私はなんで気絶したのだろうか?

 

 

「あ、先輩!お目覚めになりましたか……よかった。先輩は、サーヴァントの中でも特に魔力を必要とするクラス、バーサーカーを呼んでしまい魔力不足で倒れてしまったんです。カルデアからの魔力供給もあるはずですが、それでも先輩の身体が魔力を吸われる衝撃に耐えきれず気絶してしまったようで……」

 

「魔力が吸われるのってあんな感じなんだ……。なんかこう、自分の生気みたいなのが奪われてくみたいな感じだったなぁ」

 

「まったく、初めて魔力を扱うにしても気絶するなんてね。私がマスターならばあんな醜態は晒さなかったのだけど。ひとまず、自分のサーヴァントのステータスを見てみなさい。真名やステータス、宝具なんかもそれで分かるはずよ」

 

「ステータスを見るって……あ、意識すれば案外簡単に見れるんだ。ええと……真名はランスロット、らしいです」

 

「……ランスロット!?あの円卓最強の騎士ランスロット!?あなたそんなのを呼んだの!?大当たりじゃない……なんでこんな一般人が」

 

 

 ぐぎぎ、と私に視線を向けてくるオルガマリー所長。だけど、ステータスというのを見てみればBとかCとかが多いようだ。宝具だけはAと出ているのだけど……。

 ステータスや宝具を伝えると、所長は「まあ当然よね」と言って少し怒りを抑えてくれた。

 

 

「サーヴァントのステータスはマスターの力量によって左右されるわ。あなたみたいな三流マスターがいくら最高峰のサーヴァントを呼んだところで、全力なんて出せるわけない。それでもバーサーカーの狂化と元の強さで、サーヴァントとしては一級品だけど……。ひとまず、魔力消費が多い宝具は絶対に使わせないようにしなさい。下手をすれば、魔力切れで死にかねないわ」

 

「死…‥!?は、はい。肝に命じときます」

 

「サーランスロット、分かりましたか?」

 

 

 ランスロットはぶんぶんと首を縦に振っている。……なんかマシュに尻に敷かれてないだろうか、バーサーカー。女の子に弱かったりするのだろうか。

 

 

「ま、そこらへんは後々分かるさ。ほら、立香もバーサーカーとはいえコミュニケーション取っておいた方がいいんじゃないかな?マスターとサーヴァントの関係性は、後々生死に関わるよ?」

 

「なんでそんなこと知ってるの……。ていうか、今までどこにいたのよぐだ男は」

 

「立香とは別の場所に飛ばされてたみたいだね~。今までダッシュでそこらへんを探し回ってて、光が出た方に行ってみれば立香がいたって感じかな」

 

「ふーん……」

 

 

 やっぱり、こいつが私を置いてどこかに行くはずも無かった。ほんの少しだけ疑ったことに自己嫌悪しそうになるが、今はそんな場合じゃないだろう。顔を叩き気合を入れ、バーサーカーに話しかける。

 

 

「ええと、バーサーカー。私があなたのマスター、藤丸立香って言います。私自身、何がどうなってるのかさっぱりなんだけど……私たちが生き残るために、協力してくれますか?」

 

「……」

 

 

 バーサーカーは何も言わず私の眼を見た後、こくりと頷いた。

 よかった、どうやらマスターとしては認められたみたいです。

 

 

「ひとまず、これでサーヴァントがニ騎になったわね。それじゃあ改めてこの特異点を探索するわよ。三人とも、周囲を警戒しながら私についてきなさい」

 

「了解です、所長。先輩、気を引き締めて行きましょう!」

 

「うん。よろしくね、マシュ、バーサーカー!」

 

「urrrr……」

 

「楽しい旅になりそうだね~」

 

「ぐだ男ほんと後で覚えてなよ……」

 

 

 ということで、皆で一緒に見て回ることになったのだが……。

 

 

 

――――――

 

 

 

「先輩、敵対存在を発見しました!突貫しま」

 

「aurrrrrr!!」

 

「ごめんマシュ、もうバーサーカーが全部倒してる……」

 

「……」

 

 

 出てくる敵は。

 

 

「あれは、まさかシャドウサーヴァント!?先輩、危険です!下がってくださ」

 

「thurrrrrr!!」

 

「わー、すっげー。パンチ一発でシャドウサーヴァントが……」

 

「ご、ごめんマシュ……今回は出番無いみたい」

 

「……」

 

 

 だいたい。

 

 

「こ、今度は2体もシャドウサーヴァントが!先輩!ここはサーランスロットと私で迎撃を」

 

「ごめんマシュ、もう終わってる」

 

「……」

 

 

 ランスロットが殲滅してくれたので。

 

 

―――――

 

 

「……マシュは、使えないサーヴァントです……」

 

「urrrrr……?」

 

「だ、大丈夫だよマシュ!バーサーカーがちょっと強すぎるだけだから!マシュが私の隣にいるから私は安心できるから、ちゃんと役に立ってるよ!?」

 

「流石は円卓最強の騎士ってところかしら……マシュが出ない方が効率いいんじゃないかしら?」

 

「所長!!」

 

「な、なによ!?本当のこと言っただけじゃない!」

 

「真実は時に人を傷つけるものだね~」

 

 

 ランスロット無双のせいでマシュの出番が無くなってしまったのだ。あまり魔力を使わないよう制限して戦ってもらっているのにこの戦闘力、本気ならどれくらい強いんだろうか……。

 ちなみに、ぐだ男のアドバイスで宝具は基本使わないようにしてる。『騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)』という宝具ならあまり魔力消費は大きくないようだが、それでも通常時と比べればかなり燃費が悪いらしいし、『無毀なる湖光(アロンダイト)』なんて使ったら魔力がすっからかんになるらしい。まあそれ無しでもこの強さなわけだが……。

 

 

「藤丸立香、魔力の消費はどうかしら?」

 

「ええと……召喚した時よりはましですけど、戦闘した後はちょっと気だるげになる感じです。マシュが戦うのに比べて、やっぱり消費が大きいみたいです」

 

「まあ、あれだけ強ければ当然よね……。マシュ、雑魚戦はあなたが出なさい。バーサーカーは温存よ。何が出てくるか分からないから、最高戦力はおいそれと出せないわ。カルデアから魔力供給がされてなければ、今頃死んでてもおかしく無いわね……」

 

「……はい」

 

 

 ズーン、と沈み込むマシュにランスロットがあたふたしている。最初はマシュにいいところを見せようと張り切っていたみたいなのだが、途中でマシュが落ち込んでいるのを見て現状を悟ったのかあまり闘志を見せず後ろで待機してる。

 強すぎる力って、時に残酷なんだね。

 

 

「子供相手にゲームで本気出したお父さんみたいだね~」

 

「なんとなく分かる気がするなぁ……」

 

 

 まあ、ランスロットとマシュの関係はあまり悪くないようだ。ランスロットはマシュを気遣っているしマシュもランスロットに負けないようにと気合を入れている。悪いことにはならないだろう。

 

 

「……立香、気を付けて」

 

「ん、どうしたの?」

 

「ヤバイ所に、近づいちゃったみたい」

 

 

 ヤバイ所?そう疑問に思った直後、ランスロットが何かに気付いたように近くの森に視線を移す。遅れて、私もその森から放たれる危険な気配に気づいた。マシュや所長も、それに気づいたようだ。

 一瞬、空気が静まった後、咆哮が響いた。

 

 

「■■■■■■■■■■■!!!」

 

「―――ッツ!?先輩!私の、後ろに!」

 

『なっ!?あ、あり得ない!これほどの霊基、通常の英霊じゃあないぞ!このレベルのものは、神代の英霊、それこそ大英雄レベルじゃないと……!』

 

「つまり、あのサーヴァントが大英雄レベルってことでしょう!?藤丸立香、逃げるわよ!あんなの相手にできるわけが無いわ!」

 

「ッ!はい!!」

 

 

 一瞬、恐怖で足が止まったものの、所長の一喝で調子を取り戻しその場から離れようとして―――

 

 

「立香!!右に跳べ!」

 

 

 ぐだ男の声が聞こえた瞬間、考えるよりも体が動く。投げ出された体が地面に落ちると同時、さっきまで私がいた場所で謎のサーヴァントの斧剣をランスロットが白羽取りで受け止めていた。

 

 

「――――!!」

 

「■■■■■■!!!」

 

 

 ランスロットが謎のサーヴァントのキックで吹き飛ばされ、壁にぶつかる。その間に少しでも距離をとるために走り出す。私に振るわれた斧剣を、マシュの盾が受け止め凄まじい轟音が響く。

 

 

「先輩、所長!すぐに逃げてください!!このサーヴァントは、現状戦力では歯が立ちません!!」

 

「嘘でしょう、最高レベルのサーヴァントでも歯が立たないなんて……!」

 

「所長、今はとにかく逃げましょう!」

 

 

 所長の手を引き、崩れた廃墟の陰に隠れる。これで逃げられるとは思わないが、少しでも時間を稼ぐ必要がある。ランスロットでも力負けするようなサーヴァントを相手に、どう立ち向かう……!?

 

 

「……ぐだ男、どうすればいい?」

 

「サーヴァントを1体囮にすれば逃げられると思うけど、そうじゃないんでしょ?」

 

「当たり前!」

 

「なら、ランスロットに本気を出してもらうしかない。ただし―――魔力切れを起こす可能性はある。そうしたらまた気絶する可能性がある。……どうする?」

 

「……うん。気絶したら、後は頼んだ!」

 

 

 大声で、未だ戦っているランスロットに告げる。

 

 

「ランスロット!宝具使っちゃっていいよ、全力で!」

 

「―――――」

 

 

 ノイズ塗れで聞こえなかったが、ランスロットは何かを呟いた後、森の木を引っこ抜く。

 その木はドス黒く変色していき、赤い線が脈打つランスロットの武器と化す。それと同時に、最初と同じようにひどく魔力が抜け落ちる感じがする。あまり長くは、持ちそうに無い。

 

 

「arrrrrrrrrrrrrrr!!!」

 

「■■■■■■■―――!?」

 

 

 咆哮がぶつかり合う。巨漢の大英雄と最強の騎士が正面からぶつかり合う。先ほどとは違い、ランスロット単騎でも拮抗している。そこにマシュが加わることで―――。

 

 

「援護します、サーランスロット!」

 

「―――」

 

 

 マシュがサーヴァントの攻撃を受け止め、ランスロットがその隙をつき攻撃をする。少しずつだが、押している。あと一手で、何かがあればあのサーヴァントを倒せる、が。

 

 

「すいません、所長……!私、そろそろ限界……!」

 

「ちょっと、何言ってるのよ!?ここで魔力切れなんて起こしたら私もろとも全員死ぬじゃない!もう少し待ちなさい!」

 

「そんなこと言っても……」

 

 

 もう一つの宝具『無毀なる湖光(アロンダイト)』を使えば、おそらくはあのサーヴァントに打ち勝てるだろう。だが、それを使えば間違いなく私は倒れるし、このまま攻め続けたとしても倒し切る前に私の魔力に限界が来る。

 どうすれば―――行き詰まりかけたその時、どこからか声が響く。

 

 

「よく頑張ったな、嬢ちゃん。後一手、俺が引き受けた―――」

 

 

 現れるは炎の巨人。檻に入るべき生贄を求め彷徨う、神々の使者。

 

「我が魔術は炎の檻 茨の如き緑の巨人 因果応報、人事の厄を清める社―――」

 

灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)!!」

 

 炎の巨人が姿を現す。

 荒ぶる巨人は巨漢の大英雄を包み、身体を焼き尽くす―――!

 

 

「よぉし!逃げろ嬢ちゃん達!あんま長くは持たねぇぞ!」

 

「え、あれで終わりじゃないの!?」

 

「あのバーサーカーがこの程度でやられるわけもねぇ!それにあいつは、この森に近づかなきゃ手を出してこねぇ!ほっとけほっとけ!」

 

「先輩、失礼します!」

 

「―――――!」

 

 

 マシュが私を、ランスロットが所長を抱え離脱する。チラリ、と後ろを見れば焼き尽くされたと思ったサーヴァントはすぐに再生していき、私たちがいないことを確認した後森に戻っていった。……うん、関わらない方が正解みたいだ。

 

 

「……森にこいついること、忘れてたな。今後気を付けないと」

 

「ぐだ男、なんか言った?」

 

「いいや、何も」

 

 

 そして、相変わらず私の相棒は隠し事が多いらしい。

 

 

 




□ランスロット(バーサーカー)
筋力:B 耐久:B 敏捷:B+ 魔力:C 幸運:B 宝具:A

現在のマスターである藤丸立夏の魔力不足により、ステータスが若干低下している。
それでもなお狂化と元のスペックにより高水準のステータスを持つのは流石円卓最強の騎士と言ったところか。
マシュの存在により、多少狂化が収まっているのかあまり暴走はしない。


少し設定ミスがあったので、描写を追加しました。
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