これは暁の護衛の海斗のもしかしたらの世界の話。
☆他の作品に詰まったので息抜きで書きました。他の作品が落ち着いたら続き書くかもです。期待はしないでほしいです。

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作品に詰まったので息抜き作品。すごい昔に少しプレイ動画を見たゲームで書いてみました。ある程度情報は収集して書いてますが、多少間違ってるかも。


暁の護衛ー世界が優しかったならー(お試し版という名の息抜き)ー

ーーー【朝霧 海斗】は元いた場所に帰るつもりだった。

 

とある男の紹介でボディーガードの学校に入学したものの、やはりアウトローな自分には合わない世界だと自覚したからだ。やはり、自分の居場所は【禁止区域】にしかないのだと。

 

外の人間からすれば、人間にすらカウントされない無法地帯の禁止区域。海斗はそこで生まれ育った。海斗からすれば、温かすぎるこの世界は肌に合わなかった。

 

だから学校も退学届を提出した。あとは帰るだけ…の筈であった。

 

 

「私のボディーガードになりなさい」

 

 

気まぐれで助けたご令嬢にボディーガードの引き抜きをされ、気付けばあまりの押しの強さにボディーガードにならざるおえなくなっていた。

 

令嬢の名前は【二階堂 麗華】。令嬢らしからぬ…いや、某恋三国志ゲームの某曹操のような令嬢であった。

 

 

*********

○二階堂家○

○自室○

 

 

ーーージリリリ。

 

部屋に備え付けられている電話が鳴る。仕方なくといった様子で海斗は電話を取る。

 

 

「俺だ」

「どこの俺ですか? 麗華お嬢様がお呼びです」

 

 

電話の相手はメイドの【ツキ】であった。

 

 

「分かった伝えとく」

「あなたが呼ばれてるんです」

「怒らなくてもいいだろ。軽いジョークだ」

「ーーーなら死ね」

 

 

ツキの鋭いツッコミが海斗に入る。

 

 

「…もちろん軽いジョークだよな?」

「…どうかな?」

「おいっ⁉︎」

「とにかく旦那様の書斎に2秒以内に来て下さい」

「2秒以内かよ⁉︎…って切れてるし」

 

 

海斗は部屋を飛び出していく…が。

 

 

「迷った‼︎」

 

 

それもそのはずである。まだまともに案内されたのは与えられた部屋くらいなものであった。書斎など分かる筈もない。

 

おまけに、屋敷が大きすぎて迷路のように海斗には感じられた。

 

 

「…ん?」

 

 

そんな時、海斗は1人の中年男性が歩いてくるのを発見する。これ幸いとばかりに、彼は中年男性に声をかける。

 

 

「ちょうどよかった。少し道を聞いてもいいか?」

「なんだ、貴様…は…」

 

 

中年男性は海斗を見た途端に絶句していた。

 

 

「…?おい?」

「あ、ああ、な、なんだ?」

「書斎に行きたいんだが…」

「書斎?何の要件だ?」

「あんたには関係ないだろ?」

「…私を誰だか分かっているのか?」

「執事ってやつだろ?」

 

 

海斗はキメ顔で答える。

 

 

「………」

 

 

中年男性、二度目の絶句…というよりも言葉が出ない様子である。

 

 

「それで?書斎に行くにはどうすればいいんだ?」

「ついてこい」

 

 

中年男性と共に海斗は歩き出す。

 

 

「両親は健在なのか?」

「…あ''?」

 

 

海斗の両親はすでに両方とも死んでいる。母の記憶はなく、父親もよくてDV男…悪く言えば鬼畜外道であった。

 

つまるところ、触れられたくない話題であったため、海斗は心底不快そうな声を出した。

 

 

「…両親なんていねぇよ」

「そう、か」

 

 

彼らは書斎の前に到着する。

 

 

「おそ…旦那様⁉︎」

 

 

ツキが驚愕の表情を浮かべる。

 

 

「この男が麗華のボディーガードか?」

「えっと、その…」

「そうよ」

 

 

ツキの背後にいた麗華が中年男性…【二階堂 源蔵】の問いに答える。

 

 

「そうか…確か【佐竹】の紹介だったな」

「はい」

 

 

【佐竹 明敏】が源蔵の問いに答える。

 

 

「…もうやめないか?佐竹?」

「なっ、何を…」

「お父様?」「旦那様?」

 

 

源蔵の言葉に佐竹は動揺する。その様子をツキと麗華が不審そうに見ている。

 

 

「お前はあの時を修正したいのだろ?あの時の事を…あの事件の事を」

「わ、私はただ麗華お嬢様に…」

「誤魔化すのも大概にしろ佐竹。私は昔と違い寛容にはなったが甘くなった気はない」

 

 

源蔵から激しい怒りの感情が佐竹に向けられる。

 

 

「確かにあれはあってはならない事だった。だからといって我々がいつまでもそのことに囚われ、あまつさえ未来ある若者を身代わりにして気を紛らわせようなどということがあってはならない‼︎」

「そ、それは…いや、だとしても私は‼︎」

 

 

それはツキは勿論の事、麗華達ですら見たことの無い父親の姿であった。

 

 

「え?お父様よね?」「の筈ですが…」「つか、俺たち佐竹に身代わりにされそうだったの?」

 

 

蚊帳の外になってしまった海斗達を放置して、2人の男はぶつかり合う。

 

 

「とっくのとうにお前の動きは掴んでいた。雅樹の息子は退学届を出して学園を去るつもりだったというところまで聞いていた。それを麗華が…」

「え?ここで私なの?というかあんた何者よ」「え?俺に言われてもなぁ」

 

 

瞬間ドアが開く。

 

 

「海斗ッ⁉︎ 何でこんなところに⁉︎」

 

 

書斎から出てきたのは海斗と同じクラスで首席の【宮川 尊徳】であった。

 

 

「さあ、俺も分からん」

 

 

そんな海斗達を再びスルーし、源蔵は手に持っていたバックから書類を取り出す。

 

 

「私としても、あの2人のその後は気にかけていた。雅樹は親友だったし、百合は私の元婚約者だったからな。駆け落ちしたとはいえ、気にならないという方がおかしい」

「「「「え、ぇえええ⁉︎」」」」

 

 

全員が驚愕する。そう、当の海斗までである。

 

 

「朝霧 海斗…雅樹と百合との息子で、雅樹から様々な教育を受けさせられた男。殺し奪い犯し、強者として生き抜くために"完成された人間"として作り上げられた子供だ」

 

 

源蔵の手にある書類は怒りのあまり握りつぶされていた。

 

 

「ああ、何度も連れ出そうとした‼︎ ああ、何度も手の者を送り込んだとも‼︎」

「なっ⁉︎ そんなこと一切おっしゃっておられなかった筈⁉︎」

「色々と企んでいたであろうお前に話せると思うか?」

 

 

そう、源蔵は腕利きの人間を禁止区域に送り込み海斗だけでも連れ出そうとしていた。

 

 

「しかし、半数は海斗の元に辿り着くことすら出来ずに死んだ。残りのは半数も雅樹や当の海斗に殺された」

 

 

海斗はふっと思い出す。そういえば、何人か話を聞いてくれと言っていた身なりのいい人間から食料とかを剥ぎ取ったなっと。

 

 

「なっ、殺し…⁉︎」

「海斗は禁止区域の出身だ。何人殺そうと今更だろう」

 

 

源蔵は海斗に顔を向ける。

 

 

「相当禁止区域で暴れていたようだな。対して調べなくてもいろいろな情報が流れてきたぞ?【餓狼】だったか?」

「よく調べておいでで」

 

 

海斗は肩をすくめる。

 

危険な地域の危険な人間だとバレた。これで間違いなくボディーガードの話は無くなるだろう。

 

 

「しばらく海斗の目撃情報がなくなってたからどうしたものかと不安ではあったが、まさかボディーガードにしているとはな。報告をもらうまでは、お前が禁止区域で海斗を口説き落としていたとは思わなかったぞ」

 

 

源蔵は書類を佐竹に投げつける。書類はパラパラと舞う。

 

 

「ーーー二階堂 源蔵を舐めるなよ佐竹。親友と愛していた女の子供すらも受け入れられず守れず、何が二階堂かッ‼︎ 何が大人かッ‼︎ 何が父親かッ‼︎」

 

 

源蔵は佐竹の胸ぐらを掴む。

 

 

「いいか‼︎ よく聞け佐竹‼︎ 百合の実家【有馬家】は海斗を正式に家族として迎え入れると言っている‼︎」

「…はぁあああああ⁉︎」

 

 

あまりに急展開すぎる展開に、海斗は大声をあげる。

 

 

「その上で、私は麗華の護衛として海斗にボディーガードをしてもらうつもりだ‼︎」

「そ、それではあの事件を繰り返すことになりかねません‼︎」

「大いに結構‼︎」

 

 

ドンッと源蔵は佐竹を離す。

 

 

「家の格というならば我が家は有馬よりも下だ‼︎ このじゃじゃ馬娘を娶ってくれるのであれば盛大に祝ってくれる‼︎」

「お、お父様⁉︎」

 

 

これには麗華が悲鳴をあげる。

 

 

「だ、旦那様…」

 

 

すっかり呆けてしまった佐竹が膝から崩れ落ちる。

 

 

「佐竹、もしもお前があの時の失敗を苦にしているならば、今度こそ全員が幸せになるよう動くのが先人達の役割だろう?」

「…ふっ、そうですね」

 

 

佐竹はゆっくりと立ち上がり、サングラスをかけ直す。

 

 

「申し訳ございません。私は一度戻り頭を冷やして参ります」

「ああ、後の話は後日しよう」

 

 

佐竹が立ち去ると同時に、ツキが拾った書類を源蔵に手渡す。

 

 

「さて、では有馬の話を含めて書斎で話をするとしよう」

 

 

ーーー後に、朝霧 海斗はその名前を有馬 海斗とし、巨大グループ有馬グループの跡取り息子となる。

ーーーその周囲には女性達が絶えなかったという。

 

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エンド

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他の作品が落ち着いたら連載版書くかもです。期待はしないでクレメンス。


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