IS~この世界の宙が見たくて~   作:塊ロック

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第四十三話「崖っぷちのヒーロー」

 

「……ハッ?!?」

「あ、起きた」

 

目が覚めた瞬間、状況は一変していた。

 

まず、シャルルはISを解いていた。

一夏も……いや、こいつは片腕だけ展開され雪片弐型を構えていた。

 

「……状況は?」

「ラウラが……」

 

ラウラの方を見る。

……そこには、出来の悪い粘土細工の様なものが佇んでいた。

 

「オイオイなんだあの……ちょっと出来の良い粘土細工」

「ラウラだよ」

「嘘だろ……何があったんだよ」

「ボクがラウラを落としたと思ったらああなってね……隣に居た君を攻撃した後今に至るって感じかな」

「……で?アイツは何する気なんだ」

「見ての通り……かな」

「お前は?」

「一夏にエネルギーを渡しちゃってね」

「……ったく。男のケツ叩くのが上手い女だ」

「な、なんでさ……!」

「よっこい……しょ」

 

幸い、俺のISは解除させられていないようだ。

ならば、やることはひとつだ。

 

「……那由太?何するつもり?」

「あの馬鹿を助ける」

「もうエネルギーもギリギリじゃ……」

「……手はある。一夏!俺が動きを止める!決めろよ!」

「那由太!?……ああ!」

 

アーマーを呼び出す。

今回使用するのは……最もパワーのある形態。

 

「コアチェンジ、ドッキングゴー!」

 

オレンジ色のアーマーを身に纏う。

常時発揮される超パワー、そして固い装甲を貫くための攻撃力を備えたアーマー。

 

「サタニクスガンダム!」

 

サターンアーマー。

瞬間的なパワーはマーズアーマーに劣るが、常時発揮できる馬力は総合的に見て上である。

 

しかし、

 

(やはり、消耗が早い……!)

 

今まで装備したアーマーの中で、段違いにエネルギーの消費が早い。

おそらく2分ももたない。

 

「だが、それが止まって良い理由にならない……!」

 

踵のローラーをアクティブ。

走り出し、一夏を追い抜いてラウラのISだったものに肉薄する。

 

「くっ……!?」

 

相手の武器はひとつだけ。

雪片弐型に似ている。

 

それを目にも止まらない速さで振られる。

 

(恐ろしい程正確な太刀筋……だが!)

 

正確過ぎる。

いっそ機械的な動き。

 

そして、一夏の太刀筋にそっくりだ。

散々チャンバラした身としては、なんとか付いていけると言った所。

 

しかし、そんなものに付き合う必要は無い。

 

「ブレーカードリル!」

 

右肩に装備されていたドリルを腕部に接続。

続いて甲高い音を立てて回転。

 

「この……!大人しくしやがれ!」

 

刀をドリルで弾く。

ラウラの態勢が大きく崩れた。

 

「ヴァイスプライヤー!」

 

ドリルを腕部からパージし投げつけ、左肩の大型ペンチを反対側の腕に接続。

 

「何がどうなってるか知らんが……一夏に、助けて貰え!」

 

飛んできたドリルを鬱陶しく弾いたラウラは、そのまま刀を持っていた腕を挟まれる。

 

「動くな……!」

 

そのまま背後に回り、空いている腕でもう片方の腕を抑える。

 

「行け!一夏ァ!!」

「応!!」

 

突っ込んできた一夏が、雪片弐型を一閃。

泥人形モドキとなっていたISを切り裂き……吐き出されたラウラを受け止めていた。

 

かくいう俺はヴァイスプライヤごと叩き切られ、零落白夜によって完全にシールドエネルギーが底を尽いたので遂にISが解除されてアリーナの床を転がる羽目になった。

 

「痛ってぇ!」

 

……結局、トーナメントは中止になったのだった。

 

 

 

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