1915年にソドー鉄道にやってきた彼は車齢も長く、ついにトップハムハット卿からさよなら運転の実施を言い渡される…
1915年にソドー鉄道にやってきた彼は車齢が長く、トップハムハット卿からさよなら運転の実施が言い渡される…
きかんしゃトーマス
『ありがとう トーマス号』
というお話。
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トーマスは、タンク機関車である。
彼はソドー島という小さな島で、働いている。
ソドー島ではたくさんの蒸気機関車が働いている。
トーマスもそのうちの1台である。
彼は本線で客車の入れかえを行っているだけではなく、彼自身の支線も持っている。
港や石切場がある路線で、客車のアニーとクララベルを牽引して、乗客を乗せている。
今日も役に立つ機関車になろうと、せっせと働いている。
彼は1915年にソドー島にやってきた。
随分な車齢ではあるが、元気いっぱいでやんちゃ坊主だ。
こんな性格なので、些細な失敗で事故を起こしてしまうことがある。
そんなある日、トップハムハット卿がやってきた。
彼はソドー鉄道を取り仕切る、局長である。
彼からは、驚愕すべき言葉が出てきたのであった。
「トーマス。来月末に君のさよなら運転を行う。」
「さよならって…僕はもうお役御免ってことですか…?」
トーマスは、恐る恐るトップハムハット卿に聞いた。
「そうだ。お前は機関車としての役目を終えることになった。」
「どうしてですか!?僕は役に立つ機関車として一生懸命働いてます!それに支線だって…」
トーマスは支線を持つ数少ない機関車だ。
支線を持っている機関車はトーマス、エドワード、ダックの3台のみである。
数少ない支線を持っている機関車である自分が、役目を終えるとは想像できなかったのであった。
「トーマス。確かにわしはお前に支線を与えたが、その当時は機関車の台数も少なかったからだ。今のお前と来たら調子に乗って事故を起こしてばっかりいる。」
「確かに、事故はありますけど…他の機関車だって事故を起こしてます!それに、事故が起きたといっても怪我人はいなくて…」
「他の機関車が事故を起こしてるからといって、事故を起こして良い理由にはならん!それに怪我人がいないからといって、安心できる理由には、ならないんだ。」
トップハムハット卿は淡々とトーマスに正論を述べた。
「それになトーマス。お前はもう車齢が長いんだ。同型の台数も多くないから、もう壊れたときのパーツの替えがないんだ。」
「それだったらソドー島に来たヒロの方が車齢が長い筈です!」
「ヒロは日本でも数多く生産させた蒸気機関車だからな。お前と違ってパーツには困らないんだ。」
ヒロはソドー島に最初に来たと云われている機関車である。
彼の同型機はD51形蒸気機関車(通称デゴイチ)であり、彼の出身国である日本では最も多く製造された蒸気機関車である。
保存車両も多いため、パーツ取りとしてはまだ替えが効く方であった。
そして何より、タンク機関車であるトーマスより馬力が優れている為、重宝される場面も少なくないからだ。
「とにかくお前は来月でお払い箱だ。ちゃんと、さよならを伝えてきなさい。」
「わかりました……。」
トーマスが、しょんぼりした。
それからトーマスは一つ一つの仕事を噛みしめながら取り組んだ。
丁寧に取り組んだ彼の仕事っぷりは役に立つ機関車そのものだったが、トーマスが笑顔になることはなかった。
そして何よりも、周りの仲間たちがトーマスに関わってくれなくなったからだ。
その理由は鉄道ファンにあった。
トーマスが引退すると聞いて、写真に撮り納めをしようとする鉄道ファン達が、やってくるようになったからだ。
人が多すぎると他の機関車たちも、近寄りがたいし、ファンたちの周りで皮肉を言うのは気が進まないからだ。
それでもトーマスは一生懸命仕事に取り組んだが、彼の引退が撤回されることなかった。
―それから一か月後。
トーマスはついに、運行最終日を迎えた。
最終日に相応しく、本線を猛スピードで突っ切りながら、途中でトーマスの支線に入り、トーマスとバーティ―の競争したときの終着駅に停車するダイヤが組まれた。
最終列車には『ありがとう トーマス号』と名づけられた。
彼はアニーとクララベルを牽引し、ナップフォード駅に到着した。
ナップフォード駅は本線とトーマスの支線が合流するターミナル駅であり、トーマスの支線の始発駅だ。
大きい駅であることに加えて、ドームが美しいことから、多くの鉄道ファンがトーマスの最後の花道を見ようと、駅に足を運んだ。
しかしここで、トラブルが起きた。
トーマスを見に来た人が集まり過ぎて、鉄道ファン達が喧嘩をしてしまったのだ。
人多くて撮れない、マナーをどうにかしてくれ、駅には多くの罵詈雑言が放たれた。
「下がれっつってんだろォ!」
「そこの駅員邪魔なんだよォ!」
「フラッシュ焚くなっつってんだろ!!!」
「三脚建てるな邪魔だろうがよ!!!」
鉄道ファンは良い写真を収めようと大騒ぎだ。
そこに、トップハムハット卿がやってきた。
「静粛に!」
鉄道ファン達は一瞬静かになった。
「おっほん!トーマスを撮影した気持ちもわかりますが。紳士たる者、静かにマナーを守って撮影しようじゃありませんか。」
だが、トップハムハット卿の声は鉄道ファン達には届かなかった。
「一か月前とか告知が遅すぎんだよ!!!」
「貴重な蒸気機関車を引退させるのを中止しろ!!!」
鉄道ファンの怒りは収まることを知らずに、ついにはトップハムハット卿をトーマスの隣の線路に突き落としてしまった。
しかし、ここでトラブルが起きた。
なんとトーマスの隣の線路に、ジェームスが入線してきた。
ジェームスは遅延回復の為に速度を落とすのがギリギリだった為、ブレーキが間に合わなかった。
トップハムハット卿は派手に吹き飛ばされ、轢いたジェームスは自身のボディのように、赤い血が跳ね返ってきた。
「僕の自慢のボディがぁ~!」
元々赤いボディなのでそんなに血は目立ってはいないが、ジェームスはボディが汚れることが気になって仕方なかった。
鉄道ファンはゾッとするどころか、ジェームスが入線したことによってトーマスが撮影できないことに、怒りを燃やしていた。
「この機関車邪魔なんだよ!!!」
「トーマスが撮れなくじゃねぇかよふざけんな!!!」
「ジェームス死ね!!!!!」
トーマスは不安で仕方なかった。
しかし、出発時間が来たので、恐る恐るナップフォード駅を出発した。
最後の最後まで、役に立つ機関車である為に。
それからは鉄道ファンを多くは見かけたものの、大きなトラブルもなく、『ありがとう トーマス号』は終着駅に着いた。
ファンはありがとう、とトーマスに声援を送り、トーマスは車庫に戻った。
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―数日後。
トーマスが車庫で眠っていると、やせ細ったおじさんがやってきた。
「トーマス!久々に仕事だぞ!」
「えっ…仕事って…僕はもうお払い箱じゃないんですか…?」
「何を言っている。お前はまだまだ役に立って貰わないと困る。それに、お前を引退させるというのは、トップハムハット卿の独断だったんだ。」
「でも、僕のパーツは…」
「それがな…お前と同型の機関車が少なく貴重だから、特別にパーツを作ってもらえることが決まったんだ。お前はタンク機関車だから地盤が弱い所では大事な存在だ。それにお前より古い電車が今でも保存されてるから大丈夫だ!」
「やったぁ!それじゃ僕、まだ仕事ができるんですね!」
「当然だトーマス。役に立つ機関車になる為に、もっと働いてもらうぞ!」
「勿論だとも!」
彼は多くの人にありがとうを届ける為に、引き続きソドー鉄道で働くことになった・
良かったね♪トーマス。
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このお話の出演は『トーマス』と『ジェームス』でした。